ドレスシューズのスタンダードである内羽根ストレートチップのなかでも、チャーチの「コンサル(CONSUL)」といえば、英国はもちろん日本でも最も有名な一足だと言えるだろう。コンサルとは日本語で「領事」という意味であり、イギリスの政治家たちの多くがオックスフォード(内羽根)シューズを履いていたことから名付けられた。今回は、英国本格革靴の大定番チャーチの「コンサル」にフォーカスし、その魅力を紹介!
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革靴の基準を作り出したブランド「Church’s(チャーチ)」
「Church’s(チャーチ)」といえば、既成靴に右足用と左足用の区別がなく、真っ直ぐのものしか存在しなかった時代に、史上で初めて左右の形状が異なる靴「アダプタブル(=適合性)」を生み出したブランドだ。今日では当たり前となっているさまざまな概念を創造することで、1881年にロンドンで行われた靴の展覧会で金賞を受賞している。これをきっかけに、ヨーロッパ中に名を轟かせるシューブランドとして成長していくこととなった。
チャーチは「英国既製靴の父」とも呼ばれるブランドだ。これは、18世紀後半に米国で誕生したグッドイヤーウェルト製法をいち早く取り入れ「英国既成靴=グッドイヤーウェルト」というイメージを定着させた第一人者だからこその呼び名である。チャーチのグッドイヤーウェルト製法は、世界的にも絶賛されるほど丁寧でハイクオリティ。1足の靴を手掛けるのに非常に手間暇をかけており、最後の磨き上げまでに、およそ250の工程(約8週間)を経て生産される。
ジェームズ・ボンド愛用の革靴としても知られる「チャーチ」
チャーチといえば、007のジェームズボンドが愛用していたことでも有名だ。「慰めの報酬」では、チャッカブーツの「RYDER3」に加えて「SHANNON」も履かれていたのではとの噂も。残念ながらその後、クロケット&ジョーンズにその座を明け渡してしまったものの「ボンドを象徴する革靴といえばチャーチ」というイメージは変わらない。革靴メーカーとして培ってきた確かな実績もさることながら「ボンド愛用の革靴」というこの上なく男心をくすぐるイメージも、チャーチの魅力を支える一因となっている。
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完成までに250の工程と8週間を費やすチャーチの革靴製造
1999年にプラダに買収された後も変わらずに、チャーチの革靴はノーサンプトンの自社工場にて製造されている。伝統的なグッドイヤーウェルト製法で手がけられており、1足の革靴が完成するまでに8週間の時間をかけ、250に及ぶ工程を経て製造。その品質が高い評価を受け、靴を長く使い続けたい世界中の紳士から支持を集めている。19世紀に靴製造に新たな革新をもたらしたチャーチは、創業から140年を超え今なお最高峰の靴作りを継承しているのだ。
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