近年のメンズ美容ブームで、スキンケアだけでなく日焼けも気にする男性がグッと増え、日焼け止めを塗ることはもちろん、日傘を差した男性の姿もちらほらと見かけるように。日焼け対策をするのは良いが、日焼け止めの塗り方や選び方を間違えていては最大限の効果を享受できないため、最低限の知識は見つけておきたい。そこで今回は、日焼け止めを顔に塗る際のポイントや、SPF・PAなどの意味、おすすめの製品を一挙紹介!
2013年北里大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院にて研修終了後、都内クリニックにて内科・皮膚科として勤務。2017年5月から2020年6月まで院長として、都内美容クリニックにて勤務。2020年7月より「LonaLona CLINIC(ロナロナ クリニック)」院長就任。講演、TV、ラジオ、雑誌、webなど幅広く活躍中。
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そもそも日焼け止めを塗る意味は?
日焼けというと肌を褐色に変えるイメージが強く、90年代に流行したギャル文化に代表されるようにファッション的な意図で肌を焼く人もいるが、根本は「肌の火傷」。いわゆる肌の炎症である。日焼けの度合いが強くなりすぎると皮膚が黒くなったり赤くヒリヒリと痛むだけでなく、皮が剥ける等の症状が出ることも。こういった短期的なダメージばかりが目立ちがちだが、日焼け対策を疎かにしたまま日に当たり過ぎると紫外線が肌の奥まで届いてしまい、それが蓄積され肌に様々な症状が生じる。具体的には歳を重ねてからのシミやシワ、たるみといった取り返しがつかない中長期的なダメージの原因になってしまう。そもそも紫外線というのは夏場だけ人体に影響を及ぼすのではなく、線量に差はあるが365日降り注いでいるもの。夏だけ日焼けを気にするのではなく、その他の季節も積極的に日焼け止めを塗る習慣をつけることが大切だ。
日焼け止めを塗るタイミングはいつがベスト?スキンケアの時の順番は?
基本的には外出前、スキンケアが終わった5分後に塗るのがベスト。スキンケアから5分程度の時間を置くと、化粧水や乳液などが肌の角質層に浸透するため、日焼け止めのノリも良くなる。順番としては化粧水乳液を塗った後、スキンケアの最後の仕上げに日焼け止めを塗るのが正解。もしメイクをする場合は、日焼け止めを塗った後に化粧下地などを付け始めると良い。また、そのタイミングとしては外出の約30分前がいいと言われており、塗ってから時間を置き肌に定着させることで、日焼け止めの効果が最大限に。日焼け止めは一度塗ったままで効果が持続し続けるわけではないため、外出先でもこまめに塗り直すのがおすすめ。日焼け止めは汗や摩擦などで落ちてしまうことから「2〜3時間ごとに1回」塗り直すことが推奨されている。
日焼け止めを顔に塗る際の正しい塗り方
顔に日焼け止めを塗る際は、化粧水や乳液などのように手のひらで伸ばしてから塗るのではなく、手に出した日焼け止めを指で取り、顔の上5箇所に置いてから伸ばしていくのが正しい塗り方。イラストのように「額・鼻・右頬・左頬・顎」の5点置きが基本だ。ちなみに、手にとる日焼け止めの量は500円玉ぐらい(約0.8g)の大きさが適量。日焼け止めは手のひらに出しても良いが、手に残ってしまうことから、手の甲の親指と人差し指の間のくぼみに出すのもおすすめだ。
日焼け止めを伸ばすときは外側に向かって!
顔の上の5点に置いたら、日焼け止めを外側に向かって伸ばすように手で馴染ませていく。この時注意したいのが、指先で肌をこするように付けるのではなく、ポンポンとスタンプを押すように広げていくのがおすすめだ。全体にムラなく日焼け止めが行き届いたら、鼻や額などの焼けやすい箇所に重ね塗りをするとベスト。
塗り忘れやムラが出やすいポイントは特に気をつけて塗ろう
額の生え際や小鼻、目頭など、日焼け止めを伸ばしにくい箇所やムラが出やすいところ、塗り忘れやすいところは特に気をつけて塗っておきたい。顎の内側やエラの部分も塗り忘れやすいポイントなので、しっかりと仕上げて塗りあげよう。
日焼け止めの基準となる指数「SPF」「PA」の意味
日焼け止めのパッケージに書いてある「SPF」と「PA」という表記。この2つは紫外線によるダメージを防ぐための効果の強さを指数を示したものだが、これらは根本的に防げる紫外線の種類に違いがある。太陽光線である紫外線は主に「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3種類に分けられており、「UV-C」はほとんど地表には届かないため、日焼けに関係があるのは「UV-A」「UV-B」の2つ。これらを防ぐ指標である「SPF」「PA」について解説していく。
「SPF」
「Sun Protection Factor」の略で、“日焼け止めの効果が切れるまでの時間”を表しており、「UV-B」に対する防止効果を示すもの。「UV-B」は肌に炎症を起こさせる紫外線のことで、肌の表面から吸収されていき、シミやそばかすの原因になる。SPF表記の後ろには数字が付いており、その数字は2〜50。50以上の場合は「50+」と表記されていることが多い。この数値が高いほど、「UV-B」を防止する持続力が高まる。つまり、長時間の外出の際はなるべく数値が高いものを選ぶべき。ちなみに、一般的には紫外線を浴びてから約20分で日焼けの症状が出始めると言われており、この20分という時間を基準にSPFの数値は定められている。例えば、SPF10なら20分×10で200分間日焼け止めの効果が続く計算になり、SPFの数値が大きくなるほど肌が紫外線のダメージを受ける時間を引き伸ばせるというわけだ。SPFの数値が大きいから一度塗ったらそのままで大丈夫ということではなく、前述のように汗や摩擦で落ちやすいことから2〜3時間に1回塗り直すのがおすすめ。
「PA」
「Protection Grade of UVA」の略で、こちらは「UV-A」に対する防止効果を示すもの。「UV-A」とは、日差しを浴びた後に肌をすぐに黒くする紫外線のこと。これがメラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)を刺激することで、メラニンが生成され色素沈着が起こる。UV-Aは表皮を通り越して真皮へと到達する特徴を持つため、肌の芯に届くダメージとなり、シミやシワ、たるみへと繋がってしまう。PAの表記は4段階で「PA+〜PA++++」のように表され、「+」の数が多いほどUV-Aに対する防止力が高まる。
SPFとPAの数値が高ければ高いほど良いというわけではなく、数値が高いとその分日焼け止めによる肌へのダメージも大きくなってしまうため、使うシーンやどれくらいの時間紫外線を浴びるのか、自分の肌タイプなどを考えてベストな日焼け止めを使うのがおすすめだ。シーンによる数値の選び方のざっくりとした参考は下記のようなイメージ。
・散歩やちょっとした買い物などの短時間外出なら「SPF10〜20、PA+」
・屋外での軽いスポーツやレジャーは「SPF30以上、PA+++」
・炎天下での外出、アウトドアシーンやマリンアクティビティなどは「SPF50以上、PA++++」
日焼け止めは男性用と女性用で効果が違うのか?
男性用と女性用の日焼け止めの主な違いは「機能性」にある。男性は女性と比べて肌の皮脂分泌量が約2倍と言われており、商品によっては油分過多でベタつきが気になる場合も。この理由から、男性向けの日焼け止めはアルコール成分を配合したものが多く展開されている。これによってベタつきが少ない、さっぱりとしたテクスチャーに仕上げられているのが特徴だ。また、香りにおいても、男性用は日焼け止め特有の匂いが苦手な人向けに無香料のもの、フレッシュなものなどが多い一方で、女性用はフローラル系の甘い香りのものが多い傾向にある。男性だから女性用は使わない方が良いというわけではなく、自分の肌質に合っていれば基本的に何を使っても問題はないが、女性用の日焼け止めは化粧をする前段階で使うことを想定したものも多い。そのため、メイク下地を兼ねたものも少なくない。下地機能がついた日焼け止めは落とす時にクレンジングが必要な場合が多いので、普段クレンジングを使わない男性は気に留めておきたい。
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