最も装飾的な紳士靴、ウィングチップの歴史や定番モデルを紹介

男たちの足元を華麗に飾るウィングチップの革靴。2足目、3足目に狙うドレスシューズとしては間違いなく外せない選択肢だが、ひとくちにウィングチップと言っても装飾や素材、ディティールによって種類はさまざま。今回は、最も装飾的な紳士靴「ウィングチップシューズ」にフォーカスして、その起源や利用シーン、おすすめモデルについて紹介!!

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ウィングチップとは

トゥ部分に翼(Wing)にような切り替えを施した革靴を総称して「ウィングチップ(Wing tip)」と呼ぶ。靴全体にメダリオンやパーフォレーションなどの穴飾りを施しているものが一般的で、種類にもよるがビジネスシーンから休日のタウンユースまで幅広く使用できる。ちなみに「ウィングチップ」は米国での呼び名であり、英国では言葉の意味するところは若干異なるが同様の革靴を指して「フルブローグ」と呼称することが多いようだ。アメリカのファッション文化の影響を色濃く受けた経緯のある日本では、ウィングチップと呼ぶことが多い。

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ウィングチップの起源・歴史

ウィングチップの歴史は長く、その発祥は16世紀から17世紀ごろ。スコットランドおよびアイルランドの高知に住むケルト系民族のゲール人が履いていた労働靴がルーツとされている。
彼らの履く「クアラン(Cuaran)」や「ラリオン(Rullion)」と呼ばれる作業靴はワックス引きの生皮製で、頑丈かつ耐水性に優れたものだった。さらにこれらの靴には伝統的な穴飾りやギザギザの切り返し、二重のステッチなど、まさに今日のウィングチップの基となるデザイン要素を備えていた。
これらのクアランやラリオンが19世紀末にイギリスへと渡り、英国貴族たちが田舎(カントリー)での散策やハンティングで使用するブーツ、すなわちカントリーブーツが生まれたのだ。

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カントリーシューズの定番ブランド「トリッカーズ(Trickers)」のカントリーブーツ。

そして1900年代初頭にはブーツだけでなく短靴の製品も誕生。カントリーシューズの先端デザインの「W」や穴飾りをドレスシューズに取り入れた、内羽根ウィングチップが紳士靴の新たな定番に加えられたのである。
第一次世界大戦終結後の1920年代にはアメリカへ渡り、爆発的な流行を巻き起こす。ワークブーツなどに積極的に取り入られているうちにウィングチップは米国で独自の変遷を遂げ、ウィング部分の両端が靴のカカトまで伸び、ドレスライクな内羽根から外羽根ダブルソールのカジュアル仕様にアレンジされた。米国独自の意匠によって生まれたこの革靴はアメリカンブローグ(ロングウィングチップ)と呼ばれ、アメリカントラッドを象徴的するアイテムとして現在も愛されている。

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アメトラスタイルを代表するUSブランド「オールデン(Alden)」のアメリカンブローグ。

スコットランドで発祥し、英国でドレスシューズとなり、米国でダービーシューズが考案されたウィングチップ。現在は英国でも外羽根ウィングチップを手がけるブランドは少なくなく、紳士靴からブーツまで幅広いモデルが作られている。

ウィングチップの種類

フルブローグ

ウィングチップの別称でもあるフルブローグ。つま先が「W」状にブローギングされており、メダリオン(穴飾り)やピンキング(ギザギザの切り替え)のような装飾が施されているのが、スタンダードなフルブローグの特徴。カーフやコードバン、スエードなど、選ぶ素材によって全く異なる表情を楽しめる。

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ちなみに、同じようにメダリオンなどの装飾をあしらった”セミブローグ”や”クォーターブローグ”などの靴は、つま先が「W」状ではなく一文字なのでウィングチップではない。クォーターブローグ、セミブローグ、フルブローグ(ウィングチップ)を総称して「ブローグシューズ」と呼ぶ。

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一文字のトゥにメダリオン装飾が施されるセミブローグ。メダリオンなしのものがクォーターブローグとなる。

アメリカンブローグ(ロングウィングチップ)

フルブローグを米国流にアレンジすることで誕生したアメリカンブローグ。つま先の「W」の両端がバックステイまで一直線に伸びているのが特徴。日本の革靴好きのあいだでは「おかめ」と呼ばれることも。
アメリカ発祥だけあって、アメリカントラッドファッションを始めとした、デニムやチノパンなどカジュアルライクなパンツとの相性もよい。

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ブラインドフルブローグ(ステッチドフルブローグ)

メダリオンやパーフォレーションなどの装飾を全て排し、ピンキングを施さずにシンプルなステッチで仕上げたウィングチップ。比較的静かな佇まいで、インパクトが強すぎない中庸なバランスが魅力。

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コーディネートするTPOは?ウィングチップの利用シーン

労働靴やカントリーを背景に持つウィングチップは、たとえ内羽根式のものであっても冠婚葬祭には相応しくないので要注意。基本的に装飾があるから格式が高いというわけではなく、むしろ装飾は少ないほうがフォーマルに近づく。そもそもメダリオンやパーフォレーションと呼ばれる穴飾りは、屋外労働時に水や雨で濡れた場合でも水分を排出できるよう、通気用に空けられた穴だったのである。
ただし、紳士靴の一種ではあるのでスーツスタイルにマッチすることは事実。日本やアメリカではビジネスシーンでも当たり前に履かれている。英国では黒がビジネス用、茶系がオフスタイルという考え方が一般的だ。しかし日本でもお固い職種や、職場の環境によっては眉をひそめられることもあるかもしれないので、特に茶系や外羽根式はそのあたりを踏まえた上でスーツスタイルに合わせるかどうかを考えよう。

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冠婚葬祭にこそ適さないものの、ウィングチップは決して利用シーンが狭いわけではない。フォーマル向きのストレートチップなどと比べると、休日のコーディネートではウィングチップの方が活躍する。ジャケパンスタイルに合わせる革靴としてもウィングチップはかなりの有力候補。特に外羽根タイプで、ダブルソールのものはデニムなどのカジュアルなファッションにも合わせることが可能。

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ウィングチップの定番モデルを紹介

エドワードグリーン(EDWARD GREEN)「内羽根ウィングチップ インバネス(INVERNESS)」

革靴の聖地、英国ノーサンプトンの革靴ブランドの中でもトップに君臨するエドワードグリーンが手がけるウィングチップ。くびれたウェストからカカトを包み込むようなヒールカップまで、ディティールの一つひとつが最高峰。大ぶりなパーフォレーションが重厚な雰囲気を醸し出している。王室の紋章を思わせるようなメダリオンも実に優雅。

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ジョン・ロブ(JOHN LOBB)「外羽根ウィングチップ」

エドワードグリーンと双璧をなす、高級革靴界の王者ジョン・ロブ。このブランドのウィングチップは名作木型による美しいシルエットが魅力。最高級のしなやかな牛革を使うことで、本来ややスポーツライクなはずのダービーシューズにエレガントな印象を持たせている。丁寧な吊り込みによって一切乱れのないメダリオンも流石といったところ。

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三陽山長(サンヨウヤマチョウ) 「隼之介」

日本が誇る三陽山長の内羽根フルブローグシューズ“隼之介”。定番のスクエアトゥラスト「R309」は、甲を低く押さえ小ぶりのヒールカップが特徴だ。

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チャーチ(Church’s)「内羽根ウィングチップ グラフトン(GRAFTON)」

質実剛健な製品づくりで日本でも高い人気を誇る英国ブランド、チャーチ。迫力抜群のパワフルな外羽根と重厚なダブルソールによって唯一無二の存在感を発揮。装飾の完成度の高さはこのブランドの仕事ぶりが窺える。黒とはまた違った貫禄を見せるしっとりとしたバーガンディカラーも好印象。デニムに合わせても魅力を発揮できる一足。

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トリッカーズ(Tricker’s)「外羽根ウィングチップ バートン(BURTON)」

日本では特にカントリーシューズメーカーとしての知名度が高いトリッカーズ。「バートン」は、そんなトリッカーズのカントリー・コレクションの中でも最も代表的なモデルである。丁寧に施されたブローギングや、メダリオンが織り成す重厚な雰囲気はお見事の一言に尽きる。名ばかりのカントリーシューズと違い、耐久性の高いダブルソールのため多少の難路はものともしない。

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トリッカーズ(Tricker’s)「カントリーブーツ モルトン(MALTON)」

同じくトリッカーズのお家芸であるカントリーブーツ。王道である7アイレットはブーツながら紳士的な雰囲気も携えている。水に強いダイナイトソールを採用しているため耐久性、耐水性ともに抜群。トリッカーズのブーツを象徴するマロンアンティークカラーは、経年使用によるエイジングも存分に堪能できる。

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クロケット&ジョーンズ(CROCKETT&JONES)「内羽根ウィングチップ クリフォード(CLIFFORD)」

クロケット&ジョーンズの中でも最高級ラインに位置づけされる”ハンドグレード・コレクション”のウィングチップ「クリフォード」。伝説の木型として名高いパリラスト「#337」を採用しており、英国靴には珍しいロングノーズで緩やかなスクエアトゥが魅力。日本人の足形に合うことからも根強い人気を誇っている。フルブローグの華やかな装飾と紳士的でモダンな雰囲気を兼ね備えた一足である。

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オールデン(Alden)「アメリカンブローグ ブラッチャー(BLUCHER)」

メイド・イン・USブランドとして世界的に評価の高いオールデン。アメリカンブローグは最も得意とするところである。古くから伝わるバリーラストによって伝統的なアメリカ靴のシルエットを表現。アメトラスタイルはもちろん、スーツスタイルからジャケパンスタイルまであらゆるコーディネートに合わせたくなるような魅力を放つ。

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アレン・エドモンズ(Allen Edmonds)「アメリカンブローグ」

アメリカ国内ではオールデンよりも高い人気を持つと言われているアレン・エドモンズ。歴代大統領も愛用するこのブランドが手がけるロングウイングチップも秀逸の出来栄え。アメリカブランドの代名詞であるコードバンをアッパー素材にしており、”アメリカ靴らしさ”を最大限際立たせている。荘厳なメダリオンやパーフォレーションはもちろん、緻密に型どられたピンキングにも注目したい。

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アルフレッドサージェント(Alfred Sargent) フルブローグ「HUNT」

1899年、ポールとアンドリューのサージェント兄弟の曽祖父にあたるアルフレッド・サージェント氏によって設立されたAlfred Sargent (アルフレッド・サージェント)といえば、良心的な価格と同時に、ラルフローレン、ブルックスブラザーズ、ポールスミスなど多くのトップブランドの革靴を手がけることでも知られる。

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チーニー(CHEANEY) フルブローグ 「HEYFORD」

グットイヤー・ウェルト・シューズの生産地として名高い英国ノーザンプトン州の郊外、デスバラーで1886年に設立されたCHEANEY (チーニー)から、非常に希少価値の高い英国製コードバンを使用したフルブローグシューズをピックアップ。英国クレイトン社のコードバンをアッパーに採用することで、高い耐久性と、コードバンにしては少々マットな独特の光沢感が特徴のさりげなく個性を打ち出すレザーシューズに仕上がっている。ラストには、日本人の足型にフィットすると評判の”1886″を採用。

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トリッカーズ(Tricker’s) ウイングチップシューズ「BOURTON」

トリッカーズの定番ウィングチップ「バートン」。こなれたビジネススタイルからジーンズスタイルまで着こなしの幅は広い。

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ステファノ・ベーメル(Stefano Bemer)「内羽根ウィングチップ 6240」

天才的な製品づくりで創業から20年足らずでトップブランドへと登り詰めたステファノ・ベーメル。その意匠はフルブローグの装飾にもふんだんに詰め込まれており、独特の貫禄を放っている。最高級のイタリアンカーフスキンにコードバン染めを施しており、奥行きのあるしっとりとした輝きを携えている。シルエットの美しさも非常にすばらしく、まるでビスポーク靴かのような印象。半カラス仕上げのレザーソールもドレス度を高めている。

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マグナーニ(MAGNANNI)「ダブルモンクウィングチップ」

スペインを代表する革靴ブランド、マグナーニが手がけるウィングチップは実に珍しいダブルモンクモデル。つま先のメダリオンを排除し、パーフォレーションを最小限にとどめたブラインドフルブローグに近い仕様も独創的。デザインこそシンプルながら、スタイリッシュなロングノーズシルエットとコントラストの効いたカラーリングで色気は抜群。ベルトを細身に、そしてバックルを小ぶりにすることでより洗練された印象となっている。マグナーニが得意とするボロネーゼ製法で軽やかな履き心地を実現しているというのも長所。

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