エドワードグリーン(Edward Green)の魅力と定番モデルとは?

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エドワードグリーン(Edward Green)の魅力と定番モデルとは?

革靴ブランドの中でもトップクラスの人気を持つエドワードグリーン(Edward Green)。英国靴の伝統を守りつつも、武骨とは程遠いエレガントなシルエットで世界を魅了する。今回は、革靴界の老舗名門エドワードグリーンの魅力について紹介!leffot

エドワードグリーンとは

英国革靴ブランドの中でも最高峰の評価を得ているエドワードグリーン。その質と人気はジョン・ロブと並び称されるほど。しかしエルメス傘下のジョン・ロブ(パリ)と違い、エドワードグリーンは様々な経営上の危機に苛まれながらも、大手ブランドに吸収されることなく独立したブランドとして現在の地位を築き上げている。その高品質な革靴は、愛好家だけでなく同業の靴職人ですら絶賛すると言われているほど。豊富な種類のラストを持ち、多彩なコレクションを手がけているのも魅力のひとつ。中でも内羽根ストレートチップの「チェルシー」や、Uチップの「ドーヴァー」は不朽の名作だ。

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エドワードグリーンの歴史

1890年創業のエドワードグリーン。良質な水や樫の木に囲まれた革靴製造の聖地、英国ノーザンプトンに創業者のエドワード・グリーン(Edward Green)氏が工房を設立したのが始まりである。彼の3人の息子とともに、当時はミリタリーブーツを中心とした紳士用の靴を手がけていた。素材や製法に関して、エドワードグリーン氏の「でき得る限りの上質を求める」という信念は、125年を経た現在も職人たち一人ひとりへと受け継がれている。

エドワードグリーンを再興させたジョン・フルスティック氏とは

創業時から最高水準の革靴づくりで”伝説の靴”と称されるまでに名声を轟かせてきたエドワードグリーン。ところが、1970年代に経営難に陥り、一時は米国資本になるなどの不遇を経験しながら、最終的には破綻寸前の状態にまで追い込まれる。そんな瀕死のエドワードグリーンに手を差し伸べたのが、今は亡きイタリアの靴デザイナー、ジョン・フルスティック氏である。1983年、ブランドを買収するかたちでエドワードグリーンを再建したジョン・フルスティック氏。その買収額は、借金の返済額プラス「1ポンド」だったと言う。
エドワードグリーンの社長の座についたジョン・フルスティック氏は、デザイナーとして活躍していた経験を活かしてブランドの再興を目指す。美しくも履く人を選んでいたラストは、より万人の足に合うよう修正。現行のエドワードグリーンのルーツとなる、コンフォータブルなドレスシューズを完成させた。さらに、英国の革靴と言えばブラックという考えしかなかった時代に、手染めのブラウンの革靴を手がけ、絶大な人気を博した。そしてエドワードグリーン本来のスタイルであった品質重視の信念に基づき、精鋭の職人たちによる少量生産体制へと方向性を戻したのだ。

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エドワードグリーンのラスト。新生「#202」の開発のほかに、ロングノーズな新ラスト「#808」なども開発した。

ブランドを倒産の危機から救済するだけでなく、V字回復させたジョン・フルスティック氏。今日のエドワードグリーンの礎を築いた彼は2000年3月、突然の死を迎える。跡を継いだのは、フルスティック氏の右腕を務めていたヒラリー・フリーマン氏。彼女は”一人ひとりの職人に権限を持たせること”を重視し、エドワードグリーンの伝統を守り続けている。ちなみに日本でエドワードグリーンが注目され始めたのも、先代の社長ジョン・フルスティック氏がブランドを再興に導いた80年代後半頃からである。

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現社長ヒラリー・フリーマン氏

あわやエルメス傘下になっていたエドワードグリーン

エドワードグリーンが危機に瀕したのは1970年代だけではない。1995年、エドワードグリーンがジョン・ロブに向けた革靴を制作したことにより、その品質の高さが親会社のエルメスに評価されたのだ。買収を持ちかけられたエドワードグリーンは、フランス進出を目論んでいたこともあり一度は手を組もうとするが、結果的に経営は悪化。最終的には自社株をエルメスに売却し、創業以来ともにしてきた工場と、看板ラスト「#202」も差し押さえられることとなった。
同じ英国ノーサンプトンのクロケット&ジョーンズやグレンソンといったブランドに革靴製造を委託することでどうにかブランドは存続。その後、新作ラストの開発によって復活を遂げた。今やジョン・ロブに並ぶポジションにありながら、エドワードグリーンほど波瀾万丈な歴史を歩んでいるブランドも稀である。

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エドワードグリーンが手がけた多くの別注モデル

倒産危機からの復活を目指していた80年代〜90年代のエドワードグリーンは、自社製品だけでなく他ブランドの革靴も多く手がけていた。
バーニーズニューヨーク、フォスター&サン、オールドイングランド、ロイドフットウェア、W&Hギデン、エーボンハウス、ワイルドスミス、ポールセンスコーンなどなど。これでもほんの一部なのだから、当時のエドワードグリーンがいかに生き残りに必死だったのかが窺える。

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エドワードグリーンの看板モデル「チェルシー」

時代を超越する存在として知られるエドワードグリーンの王道内羽根ストレートチップ「チェルシー」。優美なスワンネックステッチはチェルシーを象徴する意匠だ。

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チェルシーには、看板ラスト「#202」を採用したモデルと、後発のラスト「#82」を採用したモデルが存在する。特徴としては、「#82」のほうがやや捨て寸が長く、シルエットが現代的でスタイリッシュである。また、ボールジョイントも滑らかに作られているため、フィッティングにおいても「#82」の方が万人向けとされており、今やナンバーワンの人気を持つラスト。とは言え、「#202」もエドワードグリーン伝統のラストであり、多くの人に合う足型とされている。もちろん自分の足に合うかどうかが重要だが、どちらを買うべきか購入者が頭を悩ませるポイントである。

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チェルシー/ラスト「#82」

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チェルシー/ラスト「#202」

エドワードグリーンのデザインのルーツはポルシェ!?

チェルシーに限ったことではないが、エドワードグリーンの靴の多くは「ポルシェ911」からインスピレーションを得ているというのは有名な話。グラマラスなフォルムで人々を魅了した名車ポルシェ911。チェルシーを代表するエドワードグリーンの革靴の有機的な曲線美が、この車から着想を得ていたとしても不思議ではない。

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Uチップの名作、エドワードグリーン「ドーヴァー」とは

エドワードグリーンのもう一つの代表作が「ドーヴァー」だ。Uチップと聞いてまっさきにドーヴァーの名を上げる人も少なくない、ライトアングルステッチのモカシンシューズの王様である。

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ドーヴァーには、チェルシーと同じくラスト「#202」を採用したモデルと、ラスト「#32」を採用したモデルがある。「#32」は、ラウンドトゥでありながら細身にシェイプされており、ドーヴァーのために開発されたラストとも言われている。スマートなため「#202」よりは足型を選ぶが、サイズが合うなら容姿端麗でドレッシーな趣きがある「#32」もおすすめである。

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ラスト「#32」(左)とラスト「#202」(右)。見比べるといかに「#32」が細身かが分かる。

上質を追求するエドワードグリーンの革靴製造

「でき得る限りの上質を求める」という創業者の信念が根づくエドワードグリーン。その革靴づくりは、各製作工程ごとのチームに分かれて行われる。

クリッキング

カーフスキンの上の真鍮製のパターン・カードを置き、必要なパーツを切り出す。革の目やシミなどの選別、革の伸縮の計算などは全て匠の技によるものである。

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ソーウィング

縫製は糸を作ることから始め、精巧に縫い込んでいく。道具ひとつとっても並のこだわりではなく、使用する針は豚の毛で作られたもの。

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ウェルティング

ウェルトとアッパーを機械により取り付け、ソールを付ける前に薄く革を削ぎ落とす。エドワードグリーンの高品質なグッドイヤーウェルト製法も、通常よりも職人の手作業が多いことで知られている。

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ポリッシング

美しい革に定評のあるエドワードグリーンだが、革質自体の上質さはもちろん、職人の仕上げによる功績も大きい。丹念に磨き上げられたカーフスキンは、一旦寝かせることによって、エドワードグリーン特有の透明感溢れる優美なツヤを宿すのだ。

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厳正に管理された組織内の養成プログラムのもと、職人たちの技は受け継がれる。より専門性に特化した経験を持つ職人と徒弟のグループによって、それぞれの工程が完成するのだ。

ラストから紐解くエドワードグリーンの魅力

エドワードグリーンは革靴ブランドの中でも特にラストの種類が注目されているブランドだ。なにしろ、職人でもない一般人が木型の番号などを意識したり、靴を愛でる指標のひとつになったのはエドワード・グリーンのラストがきっかけとも言われているぐらいである。

日本人にも合う永遠の定番ラスト「#202」

ラスト「#202」自体は1940年代から存在しており、当時からエドワードグリーンを支える不滅の木型とされていた。しかし、エルメス買収騒動によってこの旧「#202」ラストは奪われてしまったため、90年代中頃に生まれ変わったのが現在の「#202」である。
ジョン・フルスティック氏の洗練されたエッセンスが加えられており、美しいシルエットと快適なフィッティングを両立している。小ぶりなヒールカップでカカトをホールドすることにより、長時間歩いても疲労感を感じさせない設計も人気の理由。ボールジョイントの小指側がやや張っており、甲高幅広の日本人の足型にも合うとされている。

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トニー・ガジアーノ氏が手がけたラスト「#888」

現在、一流革靴ブランドのひとつとして数えられる「ガジアーノ&ガーリング」。その創業者のうちのひとりであるトニー・ガジアーノ氏は、かつてデザイナーとしてエドワードグリーンに籍を置いていた。そのガジアーノ氏が2002年に手がけたラスト「#888」は、捨て寸の長い現代的なシルエット。ナローセミロングなチゼルトゥは実に優美で、モダンなダブルモンクシューズなどのモデルに多く採用される。エドワードグリーンが復活を遂げるひとつのきっかけとなったラスト。

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現在のエドワードグリーン人気を支えるラスト「#82」

2004年に登場し、瞬く間にエドワードグリーンの主力を担うラストとなった「#82」。ナローなラウンドトゥは「#202」の血脈を多く受け継いでおり、実際のところ7〜8割方は「#202」と同じとされている。「#82」の方がややスマートで上品な雰囲気を持つ点と、より万人向けに作られている点が人気の理由。

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エドワードグリーンの定番モデルを紹介

エドワードグリーン「チェルシー(Chelsea E82)」

エドワードグリーンの王道モデルにして内羽根ストレートチップの最高峰「チェルシー」。上品なカーブを描くラウンドトゥとスワンネックのステッチは時代を超越して愛される。本物が分かる大人のための一足。モダンとコンフォートを兼ね備えた最新ラスト「#82」採用のモデル。

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エドワードグリーン「ドーヴァー(DOVER E32)」

永遠の名作Uチップ「ドーヴァー」。革の内側を手で縫い込むモカ部分の象徴的な「スキンステッチ」は、最高品質の革と熟練技術が合わさって初めて完成できる代物。このモデルの為に開発された細身ラスト「#32」を採用。スマートなシルエットとダークオークのカラーが解け合い落ち着いた雰囲気を醸し出している。

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エドワードグリーン「インヴァーネス(INVERNESS D82)」

芸術的なメダリオン(穴飾り)で技術力の高さが窺えるエドワードグリーンのフルブローグシューズ。採用されているラスト「#82」は、ややポインテッドなラウンドトゥで、現代的なロングノーズ。ダークネイビーのカラーがモダンな雰囲気を後押ししており、ビジネスでもカジュアルでも着用できる一足に仕上がっている。

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エドワードグリーン「サンダウン(SANDOWN E184)」

天候を選ばず使用できる汎用性の高いスエード仕様のコインローファー。エドワードグリーンのローファーモデルに多く採用されているラスト「#184」は、程よいラウンドトゥで英国的な雰囲気を携える。リラックスしたウィークエンドに重宝する一足。

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