
ミリタリー由来の武骨さと機能性を兼ね備えたフライトジャケット。メンズ・レディース問わずトレンドアイテムとしてもてはやされているワイドパンツや、バギージーンズとの合わせがキマるショート丈アウターの筆頭として注目を集めている。今回はそんな「フライトジャケット」にフォーカスし、MA-1やG-1、B-3など人気モデルをピックアップしながらその注目の着こなし、おすすめアイテムを紹介!
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“フライトジャケット”は防寒性に優れたショート丈アウターの原点的な存在
フライトジャケット(flight jacket)とは、航空機に搭乗するパイロットおよびクルーのために開発されたミリタリーウェア。スペースの限られたコックピット内や機内で機器を操作しやすいよう機能性が追求され、高度が高く気温の低い上空や寒冷地の飛行にも耐えられるよう防寒性が高められている。すっかりファッションアイテムとして定着したボンバージャケットやレターマンジャケットもフライトジャケットから派生したもの。オーバーサイズやロング丈、異なるスタイルのアウターとミックスした脱構築的ハイブリッドなアイテムまで、昨今では今を時めく多くのブランドがモードやストリートの解釈により大胆なアレンジを加えたフライトジャケットが展開されている。
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人気のフライトジャケットを種類別にコーデを紹介
フライトジャケットと一口に言っても種類は様々。国や土地柄に合わせてあらゆるタイプのフライトジャケットが展開されてきた。ここからは、なかでもファッションアイテムとして人気のあるフライトジャケットを種類別にピックアップ紹介!
フライトジャケットの種類①「MA-1」
B-15フライト ジャケットの後継モデルとして米国空軍によって1950年代に開発されたMA-1。フライトジャケットと言われて、真っ先にこの形状を思い浮かべる方は少なくないはず。プロペラ機よりもはるかに高度を飛行するジェット機のスムーズな搭乗と複雑化した機器の操作をするために、かさばるレザーではなく滑らか且つ軽量でありながら暖かい高品質なナイロン生地とポリエステルまたはウールの芯地が採用されているのが特徴だ。MA-1は機能性を向上させるため常にアップデートされており、その最も顕著な改良点がリバーシブル仕様になっていること。ライニングのレスキューオレンジは遭難などの緊急時における救助隊からの視認性を高めるために採用されていると言われている。
ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ) MA-1
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MA-1 コーデ①「ワッペンベタ付けのフライトジャケットでインパクトのあるスタイリングを表現」
複数のワッペンをベタ付けしたカーキのMA-1ボンバージャケットとブラウンアウターをレイヤードし、インパクトのある着こなしに。スリムフィットの白いコットンパンツとキャメルスエードのブローグブーツを合わせてクリーンなイメージを底上げし、アウターを重ね着しながらも着膨れを感じさせないすっきりとしたルックスに仕上げている。フロントの開け方の違いでレイヤーを強調したアウターの着こなしも見逃せない。
AVIREX(アヴィレックス) MA-1ボンバージャケット/フライトジャケット
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MA-1 コーデ①「黒のフライトジャケットを取り入れたアーバンシックなモノトーンコーデ」
MA-1タイプのフライトジャケットとインナーのタートルネックセーターを黒でまとめ、ライトグレーのチャック柄パンツに白のローカットスニーカーを合わせたモノトーンコーデ。スニーカーの白に斜め掛けしたボディバッグをリンクさせ、クリーンなイメージを添えたアーバンシックなルックスに。フライトジャケットを取り入れたコーデを都会っぽくスタイリッシュに仕上げるなら、ファッションブランドがMA-1をベースにシルエットをモダナイズしたモデルをチョイスするのがおすすめだ。
Calvin Klein(カルバンクライン) MA-1ボンバージャケット/フライトジャケット
MA-1 コーデ②「輪郭をブラックでまとめフライトジャケットコーデをクールな印象に」
街馴染みしやすい黒のMA-1にモードな雰囲気を醸す黒のクロップドカーゴパンツ、比較的丈が長めの黒のコンバットブーツでコーデの輪郭をクールにまとめたこちらのスナップ。インナー使いした淡いブルーのリブニットで重見えを回避している。ミリタリーよりもモードやストリートのニュアンスを感じさせる、クロップドカーゴパンツとブーツの合わせが◎
Alpha Industries(アルファインダストリーズ) MA-1ボンバージャケット/フライトジャケット
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フライトジャケットの種類②「G-1」
G-1はアメリカ陸軍航空隊によるA-2の開発と同時期に、海軍航空隊によって開発されたフライトジャケット。インターミディエイトゾーン(-10℃~10℃)に対応できるようゴートスキンとムートン襟を採用し防寒性に優れた仕様となっているのが特徴だ。1986年公開の映画『トップガン』でパイロット役を演じたトム・クルーズが着用したことでファッショインアイテムとして大流行し、2022年にはその続編となる『トップガン マーヴェリック』が公開され再び注目度が高まっている。
AVIREX(アヴィレックス) G-1 TOPGUN
ちなみに、G-1と同時期に開発されたA-2は、ファスナー式を採用した初めてのフライトジャケットで、レザー素材を採用しているものの、ライトゾーン(10℃~30℃)の夏用フライトジャケットとして開発された言われている。現代の生活では考えられない夏にレザージャケットという概念は、気温差が激しい航空機内の環境に対応するために開発されたフライトジャケットだからこそ成立するもの。そんな歴史的な背景を考えながらコーディネートを組んでみるのも一興だ。
HOUSTON(ヒューストン) A-2 レザー フライトジャケット
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G-1 コーデ「ハイテクスニーカー合わせでフライトジャケットコーデをモードな印象にシフト」
滑らかな光沢を放つG-1ジャケットのファスナーを全て閉めて、ウールパンツにハイテクスニーカーを合わせたモードな香りただようスタイリングに。都会っぽさが強く出過ぎないように、コットン製のブラウンバッグでアメカジ感をほどよく足したバランス感覚が秀逸だ。
G-1 コーデ「フライトジャケットを主役にオールブラックでまとめた大人の着こなし」
上質なレザーの質感がラグジュアリーな雰囲気を醸すG-1フライトジャケットを主役に据え、オールブラックでまとめたシックな大人のコーディネート。ワントーンコーデにありがちな単調さをフライトジャケットのレザーの艶感で払拭し、スリムフィットのブラックデニムとの合わせで男らしさと都会的なルックスをあわせ持つ印象に。フライトジャケットに合わせるサングラスといえばアヴィエータータイプが常道だが、あえて大きめなラウンドタイプのサングラスを合わせることでコスプレ感がなく都会的なルックスをモノにしている。
BUZZ RICKSON’S(バズリクソンズ) G-1フライトジャケット
G-1 コーデ「ブラウンの色味がリッチなムートンのフライトジャケットで冬のカジュアルコーデを格上げ」
大人の色気を醸すブラウンの配色がリッチなムートンのフライトジャケットで、冬のカジュアルコーデを一気に格上げ。チノパンにコンバースの白スニーカーを合わせたコンサバっぽい印象をラグジュアリーなフライトジャケットで払拭し、程よくフックを効かせた大人のスタイリングを完成させている。
BUZZ RICKSON’S(バズリクソンズ) G-1フライトジャケット
フライトジャケットの種類③「N-3」
−30℃にもなる過酷な上空を飛行する兵士用極寒対応フライトジャケットN-3。後継モデルにN-3AやN-3Bが存在する。基本的にはどれもナイロンシェルの中綿にウールやアルパカが使用され、フードにはボリューム感のある天然ファー、主にコヨーテファーが採用され凍り付いたフードが顔につかないようになっている。
WAIPER.inc(ワイパー) AIR CREW N-3 フライトジャケット
ちなみに、N-3Aの改良型のN-3Bは、外側にあったドローコードは内側に、剥き出しであった袖口のリブはインナーに変更されている。
WAIPER.inc(ワイパー) 米軍 初期型 N-3B
N-3 コーデ「フライトジャケットN-3Bにジーンズ、ワークブーツを合わせた王道スタイル」
N-3Bジャケットにジーンズとワークブーツを合わせて男受けする無骨な王道コーディネートが完成。インナーのグレースウェットをチラ見せしてカジュアルな雰囲気を演出。太過ぎず細過ぎないバランスの取れたサイズ感もぜひ参考にしたい。
N-3 コーデ「防寒性を重視したエアフォースブルーのN-3Aフライトジャケットなら冬のキレイめな着こなしにもうってつけ」
元々ナイロンシェルにはエアフォースブルーが採用されていたが、戦地では目立ちやすいということからすぐにオリーブドラブに変更された歴史を持つN-3A。エアフォースブルーは高貴な印象を着こなしに与えるため、フライトジャケットの備える武骨なムードとは一味違うコーディネートを実現可能だ。こちらのスナップでは、そんなN-3Aタイプのフライトジャケットに白のコーデュロイパンツをコーディネート。キャメルのワークブーツで男らしい骨太な足元を演出しながら、全体的にはキレイめな冬の着こなしにまとめている。
フライトジャケットの種類④「B-3」
B-3は米陸軍航空隊の爆撃機用に設計され、1934年に登場したヘビーゾーン(-30~-10℃)用のフライトジャケット。素材には毛足の長いシープスキン(ムートン)が採用され、最大25,000フィートの高度でも暖かさをキープできる仕様となっており、襟を閉じるために2本の革のストラップが施されている。第二次世界大戦の爆撃機クルーによって愛用されたことから“ボマー・ジャケット”の代表格として広く認知されている形状だ。ちなみにアメリカ陸軍航空隊に採用されたのは1934年5月8日で、本格的な生産が始まったのは翌年からと言われている。
SCHOTT(ショット) B-3 シープスキン ボマージャケット
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B-3 コーデ「シープスキンを使用した防寒性バツグンのフライトジャケットで冬のメンズコーデにインパクトをプラス」
毛足の長いシープスキンを使用した防寒性バツグンのB-3フライトジャケットに白セーター、ストレートレッグのベージュチノパンとグレージュのハイカットスニーカーを合わせた冬の装い。下半身を淡いブラウン系の色味でまとめナチュラルな雰囲気を底上げしながら、骨太なフライトジャケットで存在感のある着こなしに。ブラウン・ベージュ・ホワイトの色使いにより洒落者お得意のラテコーデを、男らしく表現している。
B-3 コーデ「シープシアリングのフライトジャケットで骨太感を演出したオールブラックの冬コーデ」
肉厚なシープシアリングのB-3フライトジャケットをチョイスし、オールブラックの冬コーデに骨太感を演出。スリムフィットの黒パンツと黒の編み上げブーツですっきりとした下半身にまとめることで、主役のフライトジャケットの存在感を際立たせた着こなしに。よりトレンド感のあるスタイリングを狙うなら、黒のワイドパンツやバギージーンズを合わせるのも良いだろう。