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Pitti Uomoで一目置かれる日本人男性は何が違うのか?

Pitti Uomoで一目置かれる日本人男性は何が違うのか?

Pitti Uomoに行くと、つくづく、この世には格好いい男がいるものだと思い知らされる。普通にヨーロッパの街角を歩いているだけでは出会わない密度で、高身長、好スタイル、美しい顔立ち、上質な服、こなれた着こなしを備えた男たちが集まっている。しかも彼らは、ただ見た目がいいだけではない。明るく、社交的で、場を自然に動かす力まで持っている。そんな男たちと同じ場所に立つと、自分がどう見えるのかを否応なく考えさせられる。装いだけを真似ても、一筋縄では対等に渡り合えない。その一方で、そんな場でも一目置かれる日本人男性がいる。彼らは何が違うのか。Pitti Uomoの現場から、大人の男性が一目置かれるための条件を考えてみたい。

モードの祭典とは異なる、着こなしの社交場Pitti Uomoとは、世界中の洒落者が集まる大人の祭典

Pitti Uomoとは、正式にはPitti Immagine Uomoと呼ばれる、イタリア・フィレンツェで開催されるメンズファッションの国際見本市だ。会場となるバッソ要塞(Fortezza da Basso)に足を踏み入れると、それが単なる展示会ではないことがすぐにわかる。世界中から集まった洒落者たちが行き交い、久しぶりの再会を喜び、写真を撮り合い、装いを通じて自然に会話が生まれている。パリやミラノのファッションウィークが、メゾンやデザイナーによるランウェイショーに加え、有名タレント、アーティスト、セレブリティ、インフルエンサーも含めた“見せる側”の演出を中心に次のシーズンの表現やムードを提示する場だとすれば、Pittiはもう少し“着る人”に重心がある。服を楽しむ熱量と、商談、買い付け、取材、撮影、ネットワーキングが同じ場所で交差する。服好きにとっては最高に楽しい祭典でありながら、同時に、装いが仕事や社交の入口にもなるプロの現場。それがPitti Uomoだ。

大人男性が一目置かれるヒント1「Pittiで一目置かれる人は、単に目立っているわけではない」実績、装い、人柄の総合力を磨く

Pittiで一目置かれる人には、わかりやすい理由がある。買い付け量の大きいバイヤー、長年現地を取材してきたジャーナリスト、世界中に顧客を持つテーラーやブランドオーナー。そうした実績のある人は、当然その場で認知される。だが、それだけでは十分ではない。装いに説得力があり、人柄に余裕があり、相手に対して気さくに接することができる。実績、装い、人柄。その3つが自然に重なったとき、ただ目立つだけではない“一目置かれる人”として記憶に残る。これはPittiに限った話ではなく、仕事や社交の場でも同じだ。肩書きだけでなく、実際に会ったときの印象まで含めて信頼される人こそ、大人として強い。

編集部 三井
たとえば繊研新聞の小笠原拓郎さんは、長年にわたって海外のファッションシーンを取材し続けてきた日本を代表するファッションジャーナリストとしての実績があり、現地でも信頼されている方です。それでいて、大御所然と威張ることなく、若輩者にも気さくに接してくださる。着こなしは、いわゆるPitti Uomo然としたドレススタイルではないのですが、非常にファッショナブルで洒落ている。当然ですが、現地でもあきらかに一目置かれています。

大人男性が一目置かれるヒント2「Pittiで一目置かれる人は、会話と振る舞いで距離を縮めている」片言でも、明るくはきはきと人に向き合う

Pittiのような国際的な場では、装いの完成度だけでなく、人との向き合い方も印象を左右する。語学が堪能で、相手の文化に合わせて会話できる人はもちろん強い。だが、外国語で流暢に話せることは絶対条件ではない。片言でも、胸を張って明るく挨拶し、相手の目を見て、はきはきと声を出す。それだけでも、その人の見え方は大きく変わる。さらに自分なりの視点や話す中身があれば、言葉が多少拙くても会話には熱が生まれる。大人の社交において大切なのは、完璧な会話力よりも、まずは相手に向き合う姿勢を見せることだ。

編集部 三井
スピラーレの神藤さんを見ていると、一目置かれる人は着こなしに加えて、人との距離の縮め方まで上手いのだと感じます。着こなしに説得力があり、海外の人とも自然に会話し、イタリア語で冗談を交えながら距離を詰めていける。相手の懐に入るスピードが早く、それが決して押しつけがましくない。装い、言葉、振る舞いが噛み合っている人は、やはり現地でも強いです。

大人男性が一目置かれるヒント3「SNSで目立つことと、現地で一目置かれることは違う」写真加工よりも、実物の説得力を磨く

SNS上で影響力があることと、Pittiの現地で一目置かれることは必ずしも同じではない。写真は角度、光、加工、投稿する一枚の選び方で印象を操作できる。しかし現場では、身体のバランス、姿勢、歩き方、表情、声、人との距離の詰め方までありのままの姿がさらされる。フォロワーの多さや写真映えだけでは、その場で信頼される理由にはなりにくい。Pittiで本当に印象に残るのは、SNSというフィクションのなかで輝く人ではなく、リアルでオーラを放つ人である。だからこそ大人の男性が意識したいのは、写真の中だけで格好よく見えることではなく、実際に会ったときの姿勢、表情、声、会話まで含めて印象を磨くことだ。

編集部 三井
SNS上では強く見えるのに、現地で見ると意外と印象に残らない人もいます。逆に、フォロワー数や知名度とは関係なく、実際に会うと空気感があって目を引く人もいる。Pittiに行くと、写真で格好いいことと、実物として格好いいことは、まったく別の話なのだと感じます。

大人男性が一目置かれるヒント4「Pittiに通い続ける人は、言葉以上に場への愛着が伝わる」好きな場所を見つけ、足しげく通って関係性を育てる

Pittiでは、ただ一度目立つことよりも、通い続けることによって生まれる関係性が大きい。毎回顔を合わせ、再会を喜び、言葉を交わし、少しずつその場の空気に馴染んでいく。そこには、服が好きでこの場所に来ているという共同意識がある。上っ面のトークよりも、その場に足しげく通っていること自体が、同じ空気や価値観を愛している何よりの証明になる。買い付け、取材、撮影、商談といった仕事の目的がある人もいれば、直接ビジネスにつながるわけではないのに足を運び続ける人もいる。いずれにしても、その場を愛していることが伝わる人ほど、Pittiのなかで単なる来場者ではなく、場の一員として記憶されていく。これは日常の社交にも通じる。信頼できるショップに通う、行きつけのバーで顔を覚えてもらう、同じイベントに足を運び続ける。言葉で好きを語るより、その場に通い続けることの方が雄弁な場合がある。

編集部 三井
Pittiには、直接ビジネスにつながるわけではないのに毎回来ている人もいます。でも、そういう人ほど楽しそうなんです。誰かに見せるためというより、会場に来て、人に会って、服を見て、会話すること自体を楽しんでいる。その感じは周囲にも伝わるし、毎回来ているうちに自然と顔も覚えられていく。Pittiという場が好きなんだな、ということが、言葉以上に伝わってくるんです。

大人男性が一目置かれるヒント5「一目置かれる日本人男性は、西洋の真似事で終わらない」欧米服を自分の身体向けに翻訳する

スーツ、ジャケット、シャツ、革靴といったメンズクラシックは、欧米の身体感覚や生活文化を背景に発展してきた。だからこそ、海外の洒落者の装いをそのまま真似ても、同じ見え方になるとは限らない。肩幅、胸の厚み、首の長さ、腰位置、脚のライン、顔まわりの印象が違えば、服の見え方も変わる。大切なのは、西洋のスタイルを表面的になぞることではなく、自分の身体、顔立ち、キャラクターに合うよう翻訳すること。海外スナップを参考にするなら、着ている服そのものよりも、なぜその人に似合っているのかを見極めたい。真似るべきはアイテム単体ではなく、その人の身体に合わせてバランスを取る視点である。

編集部 三井
BEAMS Executive Creative Directorの中村達也さんは、既製服の範疇で、欧米クラシックを日本人の身体にどう合わせるかを究極まで突き詰めてきた方です。たとえば日本人男性に多いとされる前肩気味の体型に対して、ジャケットの肩まわりをどう見せるか。ジャケットの着丈、パンツの太さ、靴とのつながりをどう整えるか。そうした視点を、BEAMS Fで展開するスーツやジャケット、パンツといった商品の設計にも落とし込んでいる。欧米のスタイルを理解したうえで、自分たちの身体で美しく見えるバランスに置き換えているところに凄みがあります。

大人男性が一目置かれるヒント6「自然体に見える人ほど、見えないところで手をかけている」身体を整え、服がきれいに乗る土台を作る

Pittiで格好よく見える人は、無理をしているようには見えない。だが、その自然体は何もしないことで生まれているわけではない。身体を鍛える、食事に気をつける、よく歩く、お酒を控える、姿勢を意識する。方法は人によって違っても、自分の持っている条件のなかで、より良いアウトラインを作る意識がある。身長、骨格、顔立ち、年齢は人それぞれ違う。だからこそ大切なのは、誰かと同じカードを欲しがることではなく、自分に配られたカードをどう活かすかだ。理想の身体を目指しながら、服がきれいに乗る肩、胸、背中、腹まわり、姿勢を整えること。身体の見え方をマネージすることは、大人の装いにおける重要な土台になる。

編集部 三井
現地で格好いい男性に「男前でいるために何をしていますか?」と聞くと、最初は「自然体でいることだよ」と返ってくることが多いんです。でもよくよく聞いていくと、食事に気をつけていたり、日常的にトレーニングしていたり、お酒の量を意識していたり、かなり意識的にスタイルをキープしている人が多い。早朝にフィレンツェのAnytime Fitnessへ行くと、実際にトレーニングに励むPitti参加者にも会います。自然体に見える人ほど、見えないところで手をかけているのだと感じました。

大人男性が一目置かれるヒント7「Pittiで痛感する、微差より大切なのは大差!?」服オタで終わらず、“シンプルに格好良い”に着地させる

服好きほど、生地、縫製、ブランド、色合わせ、ディテールの微差に目が行く。それは装いを深く楽しむうえで大切な感覚だ。しかしPittiのように、人種も体格も顔立ちも異なる人たちが集まる場では、同じ文化圏のなかで見ているような微差だけでは印象を作りきれない。むしろ、そこだけにこだわっていても、格好よさとしてはまったく足りない。細部の美学に偏りすぎると、服の文脈では洒落ていても、冷静に多くの人から見たときの格好よさから離れてしまうことがある。服単体では面白くても、その人自身が魅力的に見えなければ、本当の意味で一目置かれる装いにはならない。大人の男性が目指すべきは、服に詳しい人で終わることではなく、服を通じてシンプルに格好良く見える人になることだ。

編集部 三井
たとえばアレッサンドロ・スクアルツィさんは、世界的なヴィンテージコレクターであり、間違いなく服への造詣が深い方です。でも、服の知識やアイテムの希少性だけで格好よく見せているわけではない。体格、髭、ヘアスタイル、日焼けした肌、立ち姿まで含めて、冷静に見てもシンプルに格好いいんです。服の文脈では面白いけれど、男として格好いいかというと少し違う人もいる。だからこそ、最終的に目を引くのは“服に詳しい人”ではなく、“格好良い人”なのだと強く感じます。

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