
夏定番ボトムのショートパンツといえば、子供っぽく見えてしまう懸念からお洒落着として取り入れるのに躊躇している大人男子も少なくないのでは?。大人っぽいスタイルに仕上げるための実践的アドバイスと共に、ショートパンツにまつわる興味深いウンチクをお届けする。
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そもそも大人男性がショートパンツを穿くのはアリ?ナシ?大いにアリ!着こなしは欧州の大人男子の着こなしからヒントを得よう!
海や川のBBQ、あるいは近所の散歩などのシーンならショートパンツを穿くのに抵抗を感じる男性はほとんどいないだろう。一方で「お洒落着としてショートパンツを取り入れるはどうなの?」と考えている大人男性は多いはず。着こなしようによっては子供っぽくなってしまうのは事実だが、下ギャラリーで紹介しているようなキレイめなスタイリングなら大人でも無理なく格好良いにアプローチできるだろう。
ショートパンツって今のファッショントレンド的にどうなの?海外のファッションシーンでもショートパンツの大人男子が急増中!
OTOKOMAE編集部は毎回イタリアのファッションイベントに参加して定点観測している。以前からショートパンツでのメンズは少なからずいたが、オーバーサイズのプリントTシャツにナイキかバレンシアガのスニーカー、そして頭にはキャップといった派手なストリートスタイルが大半を占めており、大人が参考にしやすいコーディネートに出会うことは少なかった。2025年はショートパンツを取り入れる男性の数自体が急増しており、キレイめなトップスやドレスシューズと組み合わせて大人スタイリッシュにキメるメンズが多数。
短足に見えないショートパンツの丈感や穿き方のコツは?“膝ギリ丈×ハイウエスト”が正解
ショートパンツは短足に見えてしまうのではないかという懸念を抱いているメンズも少なくないのでは?そう見せないための最大のポイントは“脚の見せ方の錯覚”をつくること。そこで鍵を握るのが「丈の長さ」と「穿き位置」だ。まず丈は膝頭がちょうど隠れるか隠れないか程度の“ギリ丈”がおすすめ。これより長いと足の短さを強調してしまい、逆に短すぎると幼く見えるリスクがある。そして見落とされがちなのが“ウエスト位置”。ショートパンツをほんの少し高めに穿くだけで、視覚的な股下の長さが伸びてスタイルアップ効果が狙える。トップスに着丈短めのTシャツやシャツを選んだり、タックインすることで腰位置を低く見えないようにするのがコツ。さらに、足元はローカットのスニーカーや素足に近い印象のサンダルなど軽さのある靴を選ぶと、脚長効果をより高められる。この3点(丈・ウエスト位置・足元の抜け感)を意識するだけで、ショートパンツでもグッとスタイルがよく見える。
ファション感度が高い大人男子が取り入れるべきショートパンツの形とは?選ぶなら“膝丈ボックスシルエット”がおすすめ!
丈感と並んで重要なのがシルエットだ。ファッション感度の高い大人男子におすすめしたいのは、膝が隠れるくらいの丈感のボックスシルエット。これはショートパンツのトレンドシルエットのメインストリームであるだけでなく、脚のラインを拾わず、かつ程よい構築感を演出できるのが魅力。トップスとのバランスもとりやすく、Tシャツ一枚でもキレイめに仕上がる万能型だ。
ちなみに細身で短丈になるほどレトロスポーティな印象に、長丈でワイドになるほどイケイケな印象に。前述の膝丈ボックスシルエットに必ずしも縛られる必要はなく。自分がアプローチしたいスタイルに合わせて好みのシルエットを模索してほしい。
ショートパンツ=子供っぽいというイメージには理由があった!?ちょっと意外なショートパンツのメンズウェアとしての歴史を掘り下げ!
ショートパンツの起源とされるのは、19世紀末から20世紀初頭にかけての軍服。とくにイギリスの植民地軍が、熱帯地域での任務に対応するために採用した「バミューダショーツ」がその原型である。膝上丈という丈感は、蒸し暑さをしのぐための実用設計。その実利性はやがて退役兵によって私服としても活用され、民間にも浸透していく。
写真:Ullstein bild/アフロ Burma Consequences of the colonial domination by the British Empire: a young British soldier on the street
– 1939
– Photographer: Wolfgang Weber
– Published by: ‘Berliner Illustrirte Zeitung’ 38/1939
Vintage property of ullstein bild
さらに20世紀前半の欧米諸国では、ショートパンツは主に小学校低学年の男子児童が着る服として定着していた。制服や日常着として、少年期特有の“可愛らしさ”や“無垢さ”を強調するアイテムとされており、一定の年齢を超えると長ズボン(ロングトラウザー)への切り替えが一般的だった。この切り替えは、成長や自立の象徴でもあり、ショートパンツは「まだ一人前でない子ども」を象徴する衣服として社会に位置づけられていた。そのため、大人がショートパンツを着ることに対して「子供っぽく見えるのではないか」「未熟に映るのでは」といった心理的な抵抗感が、長らく文化的に根づいてきたと考えられる。ファッションとしての価値判断とは別のところで、“刷り込み”のように残っている印象なのだ。
こうした「未熟さ」のイメージが社会に定着していく一方で、1930年代くらいから状況が少しずつ変化する。海辺や高原での余暇が上流階級のライフスタイルとして定着し、リゾート地においてショートパンツは「洒落者のカジュアルウェア」としての地位を獲得する。ヨット、ゴルフ、テニスといったアクティビティとともに、“短パン”は上品なバカンススタイルの一部となった。クラーク・ゲーブルやゲイリー・クーパーといったハリウッドスターも愛用したことで、その印象はより洗練されたものへと更新された。ちなみに下画像は、映画「華麗なる賭け」の一場面で、1960年代の富裕層のファッションスタイルや価値観を感じられる。
一方で1960〜70年代には、ヒッピーやサーフカルチャーの隆盛を背景に、街着としても市民権を得ていく。デニムを切り落としたカットオフショーツは、DIY的で反体制的な表現として若者文化を象徴するアイコンになった。1980年代以降は、NIKEやadidasなどスポーツブランドの台頭とともに、ショートパンツはトレーニングウェアとして大衆化。その流れは90年代のスケーターやB-BOYにも受け継がれ、ストリートファッションとしての立ち位置も確立した。そして現在、ミリタリー、プレッピー、ストリート、アウトドアといった多様な文脈を内包しながら、ショートパンツはメンズスタイルに欠かせない存在となっている。
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