日本人のために作られた革靴、三陽山長の魅力と定番モデルを紹介

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日本人のために作られた革靴、三陽山長の魅力と定番モデルを紹介

国産革靴ブランドでも指折りの人気を誇る三陽山長(さんようやまちょう)。経験豊富な職人を多数擁し、ブランド創業からわずか10数年で一流ブランドの一角を担うまでになった。今回は、世界レベルの純国産ブランド「三陽山長」の魅力と定番モデルを紹介!

三陽山長とは

伝統的な仕様と現代のディティールを見事に融合させた革靴を展開する三陽山長。「技」「粋」「匠」を理念に掲げ、徹底した品質主義のもと創業時よりハイレベルな製品を展開。日本人の足型にあったラストを制作し、日本人のための革靴づくりを行う。顧客からフィードバックを得ることでラストは進化を遂げており、そのフィット感とホールド感は欧米の靴を凌駕している。代表作の「友二郎」や、ハイグレードラインの”極み”シリーズなど、魅力的なコレクションで着実にファン層を拡大中。

三陽山長の歴史と3つの理念

ブランド「三陽山長」の起源

三陽山長の始まりは2000年10月、靴メーカー「山長印靴本舗」が誕生。それからちょうど1年後の2001年10月に三陽商会が商標を取得し、紳士靴を中心にレザーアイテムを取り扱うブランド「三陽山長」としてスタートした。

徹底した品質主義を実現する”技”

創業時から一貫して「品質本位」をコンセプトに掲げる三陽山長。物の価値を見極められる本物志向の男たちをも納得させるべく、3つの精神に基いて靴を作り続けている。そのひとつ目の理念となるのが「技」。三陽山長の職人たちは、日本の四季による湿度や暑さ、寒さなども考慮し、あらゆる気候からの影響を意識した素材選びや縫製を施す。特に英国靴顔負けのグッドイヤーウェルト製法は、革靴に強靭な耐久性と使用ごとに馴染む上質な履き心地を実現する。さらに、モデルによってはボロネーゼ製法も採用。ソール付けの製法として、本格的な靴メーカーであればグッドイヤーウェルト製法自体扱えるブランドは珍しくない。しかし、ボロネーゼ製法は本場イタリア靴ブランドでも数える程度しか扱うことのできない稀少な技である。他にも、コバのアウトラインを削ることで独特のエッジを持たせる”ヤハズ仕上げ”という日本特有の手法も駆使。三陽山長が扱える技のレパートリーは世界屈指のレベルと言っても大げさではないだろう。

日本人の足型を計算した”粋”な靴づくり

革靴もスーツも、本格志向であればあるほど海外製のものが求められる。”紳士”の文化自体が欧米由来であることを考えれば、ドレスアイテムで日本が遅れるのは当然の話である。しかし、日本人にとってこのブランドの革靴は、決して英国靴やイタリア靴に劣るものではない。日本人の体型を熟知し、その立ち姿を男らしく見せられるのは日本人自身に他ならないと考える三陽山長。日本人の足型に基いて作られた木型は、他国のどのブランドにもない快適なフィット感を実現。「三陽山長を選んでくれた人を最高の紳士に見せたい。」という”粋”な理念から生み出される一足は、妄信的に海外ブランドの革靴を求める前に一考する価値が充分にあるだろう。

その道ひと筋の”匠”な靴職人たち

粋な理念も高度な技も、それを現実に実行できる職人がいてこそ。三陽山長の屋台骨を支える職人には、靴作りひと筋50年などという人も少なくない。ブランドこそ新しいものの、そこに集まるのは海外の名職人に一歩も引けを取らない実力の持ち主なのだ。一握りの匠たちの技を結集することで、足元を端正に見せる三陽山長の革靴が作り出されている。

三陽山長のラスト

三陽山長初期の代表ラスト「R201」

2001年の三陽山長発足時から展開されており、長いあいだブランドを支えたかつての主要ラスト。凹凸が少なく、全体のバランスをとったアーモンドトゥが特徴。端正なシルエットが魅力でUチップの「勘三郎」や「友二郎」のファーストモデルに採用。

現在の三陽山長主要モデルに採用されるラスト「R2010」

R201をベースとしながら、2010年に再構築され誕生したラスト。ブランドがスタートしてからの10年間のあいだに獲得した、顧客からの情報を結集しフィードバック。より多くの人の足に合うよう甲を低く押さえ、”点”ではなく”面”で体重を支える仕様に変更。さらにはウェスト部分を絞り込むことで下から支え、小ぶりのヒールカップでかかとをしっかりとホールド。立体的にフィット感を体感できる完成されたラストとなった。正統派のラウンドトゥも魅力で、現行の「友二郎」や「琴伍郎」など、多くの主要モデルに採用されている。

三陽山長のローファーモデルで採用されるラウンドトゥ「R2013」

R2010をベースとして2013年に誕生したラスト。さらに甲を低く、かかとのフィット感を向上させた。スリッポン用木型として、ローファーモデルの「弥伍郎」やスエードチャッカブーツの「長六郎」に採用されている。ぽってりとしたボリューミィなラウンドトゥが特徴。

スクエアトゥが特徴のラスト「R309」

R2010と同時期から展開されている三陽山長の定番木型のひとつ。小ぶりのヒールカップや低めの甲など基本的な設計はR2010と同じだが、トゥに向けてやや内側に振ることで土踏まず部分に余裕を持たせている。スクエアトゥによるモダンシルエットも特徴。ストレートチップの「友之介」やダブルモンクストラップの「源之介」に採用されている。

ロングノーズシルエットのラスト「R305」

2007年より展開されているラスト。R2010と同じくR201をベースに開発しているが、異なるアプローチでフィット感を向上。ウェストを絞ることで足の後ろ半分をホールドしながら、前半分は余裕を持たせることで快適な履き心地を実現。程よいラウンドトゥでクォーターブローグの「勇太郎」などに採用。三陽山長の中では最もロングノーズシルエットであることも特徴だ。

2017年の春よりロングノーズシルエットのラスト「R305」から「R202」へ変更に

ロングノーズシルエットのラストR305は2017年の春より製造中止に。代わりとして、創業当時のラストで人気を集めていたR202が現代人の足に合わせた形に再設計され復活している。R202の木型を採用して生産されたモデルは「爽二」と「爽六」だ。丸みのあるラウンドトゥに、アッパーにはっ水加工が施されたウォータープルーフレザーを採用し、ラバーソールと組み合わせることで、天候に左右されずに足元を爽やかに演出してくれる。

上記画像はストレーロチップの「爽二」詳細・購入はこちら

三陽山長を象徴する内羽根ストレートチップ「友二郎」

創業時から三陽山長のアイコンとして、ブランドの人気を支える「友二郎」。”品質本位”からなる三陽山長の理念は、このオーソドックスな内羽根ストレートチップから十二分に感じ取れる。堅牢なグッドイヤーウェルト製法やキメの細かい一文字のステッチのレベルは、世界的に見ても群を抜いていると言えるだろう。2010年からはラストもR2010へと進化し、オーセンティックな空気感を放つ。

「友二郎 ブラウン」の詳細はこちら

イタリア人顔負けのボロネーゼ製法を施したモデルでは、控え目のコバでより上品な印象に。耐久面や修理の利便性でグッドイヤーウェルト製法よりも劣るボロネーゼ製法だが、フォーマルシーンの利用では控え目コバのこちらに軍配が上がる。冠婚葬祭専用の一足として重宝するだろう。

「友二郎 ボロネーゼ」の詳細はこちら

三陽山長の技術力が光る独創的なストレートチップ「匠一郎」

アイコンモデルの「友二郎」と同じくラウンドトゥラストのR2010を採用した内羽根ストレートチップだが、驚くべきはそのデザイン。ステッチが見えないよう折り返して縫製することで、よりエレガントな印象を携えている。良質な皮革でなければ不可能な技術だが、欧米老舗タンナーの艶黒素材を採用することで実現。それどころかラストによる凹凸が際立つ美しい輝きを放っている。凡庸なストレートチップとは一線を画する、友二郎と並んで三陽山長を代表する一足だ。

「匠一郎」の詳細はこちら

和テイストがユニークな三陽山長のモデル名

三陽山長のドレスシューズのモデル名は、全て漢字3文字の男性の名前が並ぶ。他の国産ブランドにもない和のテイストを感じさせる、三陽山長の大きな特徴である。「友二郎」や「友之介」「勘三郎」など、知らない人が見ると見分けがつかないように思えるが、実はこのモデル名には法則がある。まず、モデル名の頭文字で靴のデザインをある程度判断できる。

【友】- ストレートチップ
【源】- ダブルモンクストラップ
【勘】- Uチップ
【長】- ブーツ
【弥】- ローファー

さらに2文字目、3文字目は採用されているラストを表わす。

【郎】- R2010/R2013
【太郎】- R305
【之介】- R309

日本人のための革靴を手がける三陽山長らしいユニークなモデル名も、このブランドの魅力である。

最高峰の技術力を結集した三陽山長の最高級ライン「極み」シリーズ

ただでさえ高い技術力を誇る三陽山長だが、さらに手作業による工程を増やし、技術力と製造コストを費やして手がけるハイグレードライン「極み」シリーズ。既成靴ではお目にかかれないような技術が随所に使われており、海外の老舗名門にも匹敵するクオリティは圧巻である。それでいながら、国産ブランドであるため輸入費用がかからず、欧米ブランドでは考えられないようなコストパフォーマンスを実現している。

ベヴェルドウェスト

アウトソールのウェストを絞り込み、極上のフィッティングを生み出すベヴェルドウェスト。つまみ上げたような美しいソールの外観も特徴である。極みシリーズの友二郎や源四郎では、半カラス仕上げのベヴェルドウェストにより、履き心地だけでなく見た目のスマートさも実現している。

ピッチドヒール

一般的な革靴のヒールのように垂直にストンと落ちるヒールではなく、くびれを効かせたピッチドヒール。見た目の美しさだけでなくカカトのホールド感も向上させている技術である。このピッチドヒールもベヴェルドウェストも、本来はビスポーク(オーダーメイド)シューズなどに施される意匠。既成靴に採用されるのはエドワード・グリーンやガジアーノ&ガーリングなど海外でも一握りのブランドのみなのだ。

R3010

極みシリーズのためだけに採用されるラストR3010。代表ラストのR2010とR309を組み合わせて開発されたこの新ラストは、従来のモデル以上の立体感とエレガントな佇まいを備えている。モダンなスクエアトゥも魅力である。

究極の内羽根ストレートチップ「二代目 極み 友二郎」の魅力

ブランドの至宝である友二郎をさらなる高みへと昇華した「二代目 極み 友二郎」。通常よりも細い針と糸を使用することで、より高いレベルのステッチを実現。例えばストレートチップの2連ステッチによる一文字は、2本の間隔が狭いほど上級品とされるが、この革靴の2連ステッチはほぼ密着していると言えるほど美しい一文字を描いている。ホールド感の高いヒール部分は継ぎ目のないシームレス仕様により、後ろ姿までエレガントになるよう計算。グッドイヤーウェルト製法にもかかわらずコバがほとんど張り出していないのは、手作業での吊り込みの賜物である。二の甲部分を低く押さえることで屈曲時の革へのストレスも軽減。さらにアッパー素材にはソフトできめの細かいイタリア製ベビーカーフを使用という、まさに非の打ち所が一切ない究極の内羽根ストレートチップである。

「二代目 極み 友二郎」の詳細はこちら

三陽山長の定番モデルを紹介

三陽山長「友二郎」

ブランドのマスターピース的位置づけの内羽根ストレートチップ。グッドイヤーウェルト製法のスタンダードモデルは高い耐久性と堅牢性で長きに渡って愛用できる。ボロネーゼ製法採用のモデルでは美しいシルエットを実現。最高級ラインの「二代目 極み 友二郎」ではもはや既成靴のレベルを飛び越え、圧巻の完成度を誇っている。全モデル共通のスワンネックステッチも魅力。

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三陽山長「源四郎」

ダブルモンクストラップタイプの源四郎。定番の木型R2010によるラウンドトゥとモンクストラップはこの上ない好相性。小ぶりのヒールカップによるかかとのホールド感も相まって快適な履き心地を実現。エレガントな光沢を放つバックルは、美しさだけでなくベルトの通しやすさまで計算されている。

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三陽山長「勘三郎」

ビジネスからオフスタイルまで、幅広いシーンで活躍が期待できる外羽根Uチップシューズ。モカステッチの技術力は流石といったところである。ラストR2010によるシルエットでカジュアルになりすぎないところも好印象。

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三陽山長「弥伍郎」

ぼってりとしたラウンドトゥが存在感抜群のコインローファー。広めに取られた履き口とゆとりのあるトゥで快適なフィッティングを実現。あらゆるシーンで気軽に履きたい一足。

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三陽山長WEBサイトはこちら▶︎「三陽山長」WEBサイト / 「iStore」三陽山長ページ

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