“テーラードジャケット”というカテゴリーに関して、新たな発想で世界をリードし続けるイタリア。メンズファッション誌やメディアなどのスナップに登場する男たちが着用しているテーラードジャケットも、イタリアブランドのものが大半を占めている。今回は、10万円前後のボリュームゾーンから、最後は50万円を超える価格帯の超プレミアムブランドまで一挙に紹介!
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イタリアファクトリーブランドの人気御三家をピックアップ!
①LARDINI(ラルディーニ)「イタリアファクトリーブランドの雄」
1978年にイタリア中心部のアンコナで、ルイジ・ラルディーニ氏が創業したブランド。世界的に有名なビックメゾンのウェアを自社工場で30年以上作り続けてきた実績を持つファクトリーブランドだ。全アイテムがイタリア職人によってイタリア国内で製造。あのニックウースター氏もプロジェクトに関わったことでも知られている。ラペルに添えられた花形のブートニエールはアイコニックデザインだ。機能性を重要視した”イージーウェア”や毛芯を使用して構築的な要素をプラスした”SARTORIA”などのコレクションを展開するなど、トレンドや市場のニーズを意識したプロダクトを提案できる柔軟さも人気の理由のひとつ。
②BOGLIOLI(ボリオリ)「ジャケットに”洗い加工”を加えることで独特な質感とソフトな着心地を実現」
1890年にイタリアで創業した超人気ブランド。「クラシック&モダン」をコンセプトに置き、伝統的なサルトリア仕立てを継承しながらも革新的な技術と現代的デザインを組み合わせたジャケットやスーツを提供し続けている。「Kジャケット」「ドーヴァー」「コート」などの名品は世界的に有名。一度完成されたジャケットを”洗い加工”や”製品染め”することで、独特の生地の表情を演出し、ソフトな風合いを実現させている。2015年からは、ブランド名をボリオリミラノへと変更。毛芯はもちろん、接着芯までも極力省いたボリオリの十八番であるソフトな仕立てに注目だ。
③TAGLIATORE(タリアトーレ)「男性をグラマラスにみせるカッティングに注目」
1960年代創業のレラリオ社が母体となり、二代目であるピーノ・レラリオ氏がスタートさせたブランド。ブランド名のTAGLIATOREはイタリア語で裁断士の意味。ピーノ氏の祖父が革靴のアッパーを裁断する職人だったことから呼ばれていたニックネームが由来なのは意外と知られていない。また実際にブランド自体もカッティング技術にこだわり、立体的でスリムなフォルムを実現している。高いウエスト位置から絞りこんだウエストや前肩を強調するショルダーラインは、タリアトーレらしい型紙のデザインだ。人気御三家の中では最もスリムシルエットであるため、痩せ型の男性には特にオススメ。ちなみに、ピーノ氏はバットマンの衣装を手がけるなどの実績も持つ。
10万円前後の価格帯のイタリアジャケットを紹介!
De Petrillo(デペトリロ)「ナポリのエッセンスとトレンドをミックス!」
2006年、ベネデット デ ペトリロ氏がナポリのフラッタマジョーレに設立したファクトリーを起源に持つブランド「De Petrillo(デペトリロ)」。ナポリの薫りが漂うソフトな仕立てやトレンドコンシャスな生地使いが人気を集めている。ジャケットは、極力ソフトな芯地を採用することで、構築的なシルエットを表現しながらも柔らかな着心地を実現。
Z ZEGNA(ジーゼニア)「世界最高峰の生地を手掛けるブランドが提案するライフスタイルライン」
世界最高峰の生地を作るイタリアメーカーZEGNAのモダンなライフスタイルライン「Z ZEGNA(ジーゼニア)」。トレンドを意識した洗練されたデザインが魅力的だ。メインラインのゼニアと比べて価格帯も低めに設定されている点も嬉しい。
L.B.M.1911(エルビーエム1911)「確かな仕立てをベースにしたスポーツテイストが魅力!」
イタリアのファクトリーブランドの中でも最も古い歴史をもつLubiamを母体として、2006年にカジュアル・スポーティーラインとして始動したブランド。モダンなデザインでありながら、有名ブランドのウェアを手がけてきたファクトリーならではの技術が光る。
Cantarelli(カンタレリ)「同価格帯のテーラーブランドでは難しい軽い着心地と立体感を実現」
1976年、イタリアのトスカーナ州アレッツォにてスタートしたブランド。マシンメイドによって、立体的なシルエットとナチュラルに身体を包み込むような着心地を実現。国内ではバーニーズなど高級セレクトショップで取り扱いがある。10万円前後のジャケットを展開する同価格帯の他イタリアブランドの中でも軽さや立体感に定評があるブランドだ。裏地やパイピングなどで色を取り入れるなどの遊び心にも注目。
CIRCOLO 1901(チルコロ1901)「あくまでもテーラーをベースにしたイージージャケットに定評」
イタリアのバレッタに本社を構えるテキスタイルカンパニーS.G.L.社が展開するブランド。社内で20年間経験を積んだジェラルド・ダルジェーニオ氏が、面白半分で発表したスウェットジャケットが話題を集め、ブランドとして本格的に始動している。テキスタイルカンパニーが母体なだけあり、生地や繊維に関する技術や扱いに高い評価があり、全てのアイテムをスウェット生地で仕立てるという大胆な取り組みは、当時のアパレル業界に衝撃を与えた。「フリースのようなジャケット、そしてジャケットに見えるフリース」として開発されたイージージャケットが特に有名だ。
ALTEA(アルテア)「100年以上に渡り一族経営を続ける老舗」
創業家であるサルトーリ家が途絶えることなく100年以上に渡り一族経営を続けるブランドがALTEA(アルテア)だ。ネクタイの個人商店がルーツであり、20世紀末ごろよりジャケットやコートなども製造するトータルファッションブランドへと成長している。ALTEAのジャケットで注目したいのは、2017AWより新登場したCOPPERライン。スニーカーに合うイタリアンサルトリアルプロダクトをコンセプトに、軽量構造とジャージーやニットなどの素材の組み合わせによって、ストレスフリーな着心地を実現している。表地はもちろん、裏地まで伸縮性のある素材を採用。リーズナブルな価格設定も魅力だ。
T-JK(ティージャケット)「T-Shirtのように軽いジャケット」
重衣料を得意とするTONELLOが生み出したブランドが「T JACKET(ティージャケット)」だ。まるでTシャツを羽織っているかのような軽い着心地を実現させたコレクションが人気を集めている。肩パッドなどの副資材未使用を証明する様な、チューブ状のパッケージにアイテムが梱包されているのも特徴のひとつ。サルトリアの技術をTシャツのようにカジュアルに楽しめる革新的なプロダクトは世界中から注目されている。
TITO ALLEGRETTO(ティトアレグレット)「クラシコイタリアブランドのイメージを構築してきた人物が提案するナポリスタイル」
2012年、ナポリにて発祥した新ブランドが「TITO ALLEGRETTO(ティトアレグレット)」だ。イタリアの名だたるブランドでディレクターやVMDとして、顧客に愛される売り場環境を構築してきたティトアレグレット氏がブランドをスタートさせている。ティトアレグレット氏は、自分が持っているジャケットを洗濯機で洗ってソフトな風合いを演出するなど、大胆でワイルドな行動をする人物としても業界で知られている存在だ。そんな彼の考えを再現したかのようなジャケットを始めとするコレクションは、ナポリらしいソフトな着心地を実現している。
DOPPIAA(ドッピアー)「絶妙な色使いによって生まれるエレガントなコレクション」
2016年にスタートした新進気鋭なブランドながら、世界的なテノール歌手の息子がオーナーを務めるイタリアブランドとして世界から注目を集める「DOPPIAA(ドッピアアー)」。ナポリの伝統的なテーラードを踏襲しつつ、トレンド感満載の仕様を盛り込んだコレクションが特徴だ。色使いも実に繊細で、他ブランドにはない雰囲気を醸し出している。
THE GIGI(ザ・ジジ)「ボリオリ兄弟が放つ新鋭ブランド」
2014秋冬にスタートしたイタリアの新鋭ブランド。ボリオリの元デザイナーのピエルイジ・ボリオリ氏(ニックネームがジジ)がデザイナーを務めている。「DON’T LOOK BACK」をテーマに老舗ブランドのボリオリとは一線を画するコレクションを提案。丸みのあるソフトなシルエットや遊び心溢れる生地使いが特徴だ。
GABRIELE PASINI(ガブリエレパジーニ)「モデナの怪人が仕掛けるモダンなコレクション」
”モデナの怪人”の異名を持つガブリエレ・パジーニ氏が手掛けるブランド「Gabriele Pasini(ガブリエレ パジーニ)」。ナポリの伝統的サルトリアーレ技術とガブリエレ・パジーニ氏の繊細な美意識、独特の感性を融合させ、革新的なコレクションを展開し続けている。ワイドなピークドラペルやドクロのロゴが特徴だ。毎シーズンのコレクションは、パジーニ氏が実際に旅した国の文化からインスピレーションを受けてデザインを展開しているという。
GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)「身体のラインをそのまま演出するのが美しいという考え方から生まれるアンコンジャケット」
モード界の帝王と言われるアルマーニ氏の意匠が一番感じられるラインといえば「GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)」。身体に寄り添うようなテーラードジャケットのシルエットが一番の美しさであるとういう考え方から、身体を構築する資材などの装飾を取り除いたデザインが人気を集めている。ダークトーンを主体とした一貫性のあるコレクションを展開しているブランドとしても有名だ。
Caruso(カルーゾ)「ハンドソーンと最新マシーンによって構築される立体的なシルエット」
ナポリでテーラーを経営していたラファエル・カルーゾ氏が1958年にパルマでスタートさせたファクトリーであるマコ社の自社ブランド。現在はニコラ・カルーゾ氏が代表を務めている。伝統的なハンドメイドと最新マシーン技術を融合させた立体裁断システムと必要な部分にハンドメイドを加える理にかなった生産方式を採用。イタリア系のブランドの中では、やや英国テイストが強いデザインが特徴でもある。ゼニアやロロピアーナなどの高級生地の供給指示ファクトリーとしても有名だ。今でも生産の16%はオーダーメイドが占めており、ものづくりにこだわりぬく姿勢が他ブランドと一線を画する魅力を放っている。
︎Carusoのジャケットを探す!日本では流通が少ないイタリアジャケットブランドもピックアップ!
Valditaro(ヴァルディターロ)「ソフトな着心地とフルキャンバスの構築的シルエットを両立」
イタリアはパルマを拠点に活動する「Valditaro(ヴァルディターロ)」。イタリアらしい軽い着心地ながらも、フルキャンバスを採用した構築的な仕立てによって、他ブランドとは一味違う魅力を放つ。
Eidos(エイドス)「イザイアのセカンドラインとして展開されているコストパフォーマンス抜群のブランド」
イザイアの持つトラディッショナルな技術やノウハウに、最先端技術をミックスさせることによりコストパフォーマンスの良いジャケットを提供。ちなみにブランド名のエイドスはギリシャ語でアイデアを意味する「Eidosis」に起源を持つ。4、5年前に価格の見直しが入ると同時に、取り扱うセレクトショップが少なくなった影響で、入手が難しくなっている点が残念。
PAOLONI(パオローニ)「フォーマルとインフォーマルのスタイルを絶妙にミックス」
イタリアはアンコーナ近郊発祥のパオローニ。「PITTI IMMAGINE UOMO」には常連ブランドとして出展していることでも知られる。フォーマルとインフォーマルをミックスしたエレガントなスタイルが特徴だ。このブランドの多くのジャケットには、ブートニエールにハサミのデザインがセットされている。生地やデザインはもちろん、無地アイテムなら内ポケットの玉縁に柄を取り入れるなど、さりげないポイントでも遊び心を演出している点にも注目だ。
次のページでは、15万円以上の価格帯の高級イタリアジャケットブランドを紹介!
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