”キング・オブ・シューズ” ジョン・ロブの魅力とは?

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”キング・オブ・シューズ” ジョン・ロブの魅力とは?

「革靴の王様」とも称される革靴の名門といえば「ジョン・ロブ」だ。革靴好きなら誰もが知るこのブランドは、フランス靴のエレガンスと英国靴の質実剛健さを併せ持つ。今回はジョン・ロブにフォーカスして知られざる魅力や注目アイテムを紹介!

ジョン・ロブとは

1866年創業のジョン・ロブは、当初はビスポーク(オーダーメイド)靴を専門とする工房だった。1980年代より既成靴の制作に乗り出し、以降30年の時を待たずして”キング・オブ・シューズ”とまで呼ばれる地位を確立する。他の既成靴ブランドにはない美しいシルエットを生み出す木型(ラスト)と、最高品質の皮革を武器に、世界中のセレブや愛好家から評価される革靴を作り続けている。

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創業者のジョン・ロブ氏は工房開設時からロイヤル・ワラント(英国王室御用達)の称号を持つ名職人

ロンドンのリージェント通りに開かれた工房がジョン・ロブの始まりである。創業者のジョン・ロブ(JohnLobb)氏は、1950年代ゴールドラッシュに沸くオーストラリアで鉱夫用のブーツを作り、靴職人として名を上げる。帰国後の1862年には英国万国博覧会で金賞を受賞。そして翌年の1863年、つまりロンドンで工房を開設する3年前にすでにロイヤルワラント(英国王室御用達)の称号を獲得している。1866年の店舗開店後にはすぐに一流ブーツ職人としての地位を築き、政治家や財界エリートなどの上流階級向けのビスポークシューズを多く手がけた。
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日本市場などに並ぶジョン・ロブの既成靴は全て「ジョン・ロブ・パリ」のもの

1902年には2代目となる経営者がパリに支店を開く。WILLIAMやLOPEZなど現在も受け継がれる数々のモデルを世に出して繁栄を続けたものの、1976年に経営難に陥る。しかし技術力の高さに惚れ込んだエルメスが、閉鎖寸前のパリ支店とブランド商標権を買い取った。エルメスグループに入ってから間もなく、ジョンロブが限られた特権階級の顧客に向けたビスポークしか取り扱っていないこと、そのため既製靴のニーズがあることが発覚。エルメスの指揮により、1981年にレディメイド(既製ライン)をスタートさせた。これが世界最高峰の既成靴「ジョン・ロブ・パリ」の起源となる。現在日本で販売されているジョン・ロブは、全てこのジョン・ロブ・パリのものを指す。
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本家ジョン・ロブはロンドンのオーダーメイド専門店のみ

創業者ジョン・ロブ氏によるロンドンのジョン・ロブも、「ジョン・ロブ・ロンドン(ロンドン・ロブ)」の名で、今もなおセントジェームス通りで創業家によって経営されている。伝統と技術を受け継ぐ職人が手がけるビスポークシューズ(注文靴)専門の店として、その入口には現在でもロイヤルワラントが掲げられている。

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ジョン・ロブの魅力「英国靴の枠に収まらないファッション性」

伝統的な英国靴とは本来「優れた道具」として作られるものであり、時代が変わろうとも不変の品質とディティールを持つことが特徴だ。しかしそれは考えようによっては頑固であり、時代とともに移ろうファッション性とは無縁なところにあるように思える。もちろんそれが長所でもあるのだが、イタリア靴のような流行を捉える柔軟性を英国靴は持たないことが多い。
ところが、老舗英国ブランドでありながら、ジョン・ロブだけはファッションコンシャスなのだ。例えば、名作ラストである「7000」の木型は、細身のナローラウンドトゥでややロングノーズ。クラシックスーツから、細身スーツまで幅広く対応しスタイリッシュな足元を演出してくれる。

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世界有数のファッションブランドであるエルメスをバックボーンに持つジョン・ロブには、英国革靴ブランドらしからぬ垢抜けたエレガントな雰囲気がある。伝統的な技術力とモダンなファッション性こそが、ジョン・ロブの靴がキングオブシューズと称される由縁なのではないだろうか。

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ジョン・ロブの魅力「最高峰の素材と技術」

ジョン・ロブの既成靴は、革靴の聖地である英国ノーサンプトンのファクトリーで生産される。

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世界各地で取り扱われるジョン・ロブの靴はここで作られるわけだが、特に注目すべきはその素材選びだ。多くのモデルに採用されている「フルグレインレザー」はまさに最高峰の靴に相応しい皮革である。

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体毛を取り除いただけで一切加工の無い、動物の最も外側の部分。この天然皮革はナチュラルな質感を持つだけでなく、耐久性が高く足の形に合わせて包み込むように馴染んでいく、靴に最適の素材と言える。

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ジョン・ロブはこのフルグレインレザーを、自然光の下で傷やシワ、虫刺されのあとなどを入念にチェック。選び抜かれたレザーのみを、1足に対し1枚贅沢に使用する。

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熟練の職人達が50時間以上を費やすと言われる製造工程は190以上。選び抜かれた素材と最高峰の技術力によって、ジョン・ロブの革靴は生み出されるのだ。

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ジョン・ロブの魅力「ビスポーク靴のような雰囲気の”プレステージライン”」

高品質な既成靴を手がけるジョン・ロブだが、中でもビスポークの要素をとりいれたものを「プレステージライン」として位置付けしている。
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素材やパターン、ディティールにおけるノウハウなど、ビスポークメーカーが出自であることを最大限に活かす。手作業で仕上げたソールや細身でスタイリッシュなシルエットは、プレステージラインならでは。
ジョン・ロブの中でもアイコン的モデルとも言えるシティやフィリップのような作品には、このようなビスポーク的エッセンスが多く取り入れられている。

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ジョン・ロブの魅力「進化し続ける木型(ラスト)」

ジョン・ロブのビスポーク然とした、美しい革靴のシルエットを形成するラスト。完全無欠とも思わせられる、王道モデル「シティⅡ」に採用されているラスト#7000のような作品群は突如誕生したわけではない。

ジョン・ロブ木型 第1の進化「#ダービーに改良を加え、既製靴としての可能性を広げた#2466」

1990年代初頭のジョン・ロブが採用していた#ダービーと呼ばれるラストは、ビスポークの細身なフォルムを追求するあまり、履く人を選ぶ木型だった。既成靴である以上、多くの人の足に合わせてこそ優れた木型。#ダービーに改良を加えた#2466は、スマートでありながらフィッティングが良く、90年代半ばまでのジョン・ロブを支えるラストとなる。ファンの中にはこのラストこそ名作であるとする人も少なくないぐらいだ。

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ジョン・ロブ木型 第2の進化「#2466がさらに万人向けに進化した#8695」

#2466からさらに万人向けに進化を遂げたのが、#8695である。90年代中盤に開発されたこのラストは、なんと20年以上が経つ今なお現役。ローファーの「オデッサ」やサイドゴアの「ロウリー」など、ジョン・ロブのコレクションを代表する様々なモデルに採用されている。※ちなみにこの頃から、ジョン・ロブの木型名称の下2桁が製造年を表すようになる。#8695は95年制作、#1105は2005年制作といった具合だ。

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さらに#8695は、現在のジョン・ロブの全ての木型の源流となっている。純正シューツリーも#8695をベースにしていることからも、このラストがジョン・ロブの革靴づくりの歴史において大きな役割を果たしたことが窺える。

ジョン・ロブ 木型 第3の進化「既製靴の王者の地位をかためた 名作#7000が誕生」

そして#8695のアイデアを継承して生まれたのが、名作#7000である。スマートなオーバルトゥの名作ラストとして靴好きの間では、あまりにも有名である。ジョンロブの内羽根ストレートチップの売れ筋「CITY Ⅱ」に採用されているのもこのラストだ。

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ジョン・ロブ 木型 第4の進化「シャープさを増してモダンに進化した#2511」

#7000の登場はジョン・ロブを既成靴の王者としての地位を確固たるものにしたが、このブランドの開拓心はとどまることを知らない。2011年にデビューした#2511は、さらにスタイリッシュでモダンなシルエットを目指して誕生した。ノーズに向かって行くほどシャープになる、セミポインテッドトゥのロングノーズはよりスマートな足元を演出。ジョン・ロブがこれまで以上に幅広い層に支持されるきっかけとなった。

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ジョン・ロブ 木型 第5の進化「英国靴らしい丸みを帯びた#0015」

そして2015年、ジョン・ロブは新たな挑戦として、新たなアーティスティックディレクターにパウラ・ジェルバーゼを招いた。初の女性ディレクターとなる彼女は、サヴィルロウの老舗テイラー「ハーディ・エイミス」「キルガー」などで研鑽を積んだ経歴を持つ。

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そんな彼女が満を持して手がけた、歴史的作品とも言えるラストが#0015。ややボリューミーなラウンドトゥは、ビジネスからカジュアルまで幅広いシーンで使うことが可能。ドレス色の濃かったこれまでのジョン・ロブの、新たな進化に相応しいラストである。

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ジョン・ロブを使ったコーディネート事例

冠婚葬祭にも休日のオフスタイルにも使用できる黒のダブルモンクストラップ。スタイリッシュなシルエットで気品漂うジョン・ロブのダブルモンクに関しては、やはり王道のスーツスタイルが最もマッチする。若干のボリュームを持たせたトゥが細身シルエットのパンツにぴったり。

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主張の強いストライプスーツも、ニットベストとスエードのシングルモンクを合わせることで柔らかい印象に。

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華やかな印象のクオータブローグ。ナローラウンドトゥと絞り込まれたウエストが既成靴らしからぬ雰囲気を持たせる。

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かつては茶靴はドレス靴として認められていなかったものの、今ではどんなスーツにも合う革靴としてイタリア男性を中心にスーツスタイルの定番に。独特な濃淡を表すパリジャンブラウンの内羽根ストレートチップと茶系スーツのコントラストが相まり、若々しくもノーブルな佇まいとなっている。小物も同系色で合わせることで、知性的で落ち着きのある着こなしに。

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ジョン・ロブの定番モデルを紹介

ジョン・ロブ「シティⅡ(CITY Ⅱ)」

スマートなオーバルトゥの名作ラスト「7000」を採用したジョン・ロブの王道ストレートチップ。目付けのないコバやミニマルなディティールなど、他の英国靴にはない洗練された雰囲気を持つ。モダンでスタイリッシュな、ストレートチップの頂点的存在。
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ジョン・ロブ「ウィリアムⅡ(WILLIAM Ⅱ)」

元々はウィンザー公がジョン・ロブにオーダーしたのが元祖とされているダブルモンクストラップシューズ。この「ウィリアム」シリーズは、2代目ウィリアム・ロブ氏がデザインしたものがルーツ。ダブルレザーソールにグレインレザーのアッパーを組み合わせたこのロングセラーモデルは、ボリューム感のある足元を演出する。トゥキャップの一文字はハンドソーンでしあげられており、ラストは「9795」を採用。
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ジョン・ロブ「フィリップⅡ(PHILIP Ⅱ)」

ビスポークで最も人気の高いデザインを既成靴で表現したクオータブローグ。丸みを帯びたソールはプレステージラインの特徴であり、ビスポークの要素がふんだんに取り入れられている。
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ジョン・ロブ「チャペル(CHAPEL)」

ストラップを含むアッパー全てをただ1枚の革によって構成した逸品。このサイドモンクシューズは美しいセミスクエアトゥのラスト「8000」が採用されており、シームレスヒールや平行に配置されたバックルがただならぬ高級感を醸し出す。
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ジョン・ロブ「ロペス(LOPEZ)」

ジョンロブのコレクションを代表する人気のコインローファー。メジャーリーガーのA.ロペス投手が注文したビスポークがルーツ。ウォータープルーフ加工が施された最高級のミュージアムカーフを使用。秀逸な合わせモカのステッチが美しい永続的なデザインを生み出している。
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ジョン・ロブ「フェリス(FERRIS)」

エレガントな3アイレットのスエードチャッカブーツ。ステッチや羽根の切り替えに見られる美しい流線などは、ビスポークのアーカイブにあった過去のスタイルからインスピレーションを受けてデザインされている。ヴァンプ部分はアンライニング仕様となっており、足に優しく軽やかな履き心地を実現している。
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