カントリーブーツの代名詞”トリッカーズ”が愛され続ける理由

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カントリーブーツの代名詞"トリッカーズ"が愛され続ける理由

「トリッカーズと言えばカントリーブーツ、ブローグシューズ」というほどにトリッカーズのカントリーブーツやウィングチップの短靴は人気が高い。一過性の流行ではなく長きに渡って支持されるのは、そこに確かなクオリティと風格が存在するからに他ならない。今回は、そんなトリッカーズ(Tricker’s)にフォーカスして、独特の魅力と王道モデルなどについて紹介!

トリッカーズ(Tricker’s)とは?

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英国ノーザンプトンには歴史ある一流シューズメーカーが点在しているが、その中でもトリッカーズは180年以上という特に長い歴史を持つ。1829年にジョセフ・トリッカーによって立ち上げられたこのブランドが手がける靴やブーツは、当時から地主階級や農場主たちによって支持されていた。そして現在では多くの王室関係者、ファッショニスタやセレブの御用達ブランドとして知られる。例えばニックウースターも、そんなトリッカーズ愛好家の一人だ。

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現在5代目の経営者はジョセフ・トリッカーの子孫にあたり、グッドイヤーウェルト製法などの技術を取り入れつつも、伝統的な技法は脈々と受け継がれている。

トリッカーズが採用する”ベンチメイド製法”とは?

製造工程におけるトリッカーズの魅力のひとつが、”ベンチメイド”という手法だ。靴の製造は、工程によって担当を分けるのが一般的。ところがトリッカーズの場合、1足の靴に対して1人の職人が最初から最後まで手がける。同じ職人が同じ「ベンチ」に座って靴を作り上げるさまがベンチメイドの由来だ。

一流の職人が、200を超える工程をこなして生み出された1足には、確かな責任と魂が込められている。(一部、トリッカーズの靴には個体差があるという声もあるがこのあたりが影響しているのかもしれない。) そしてもちろん、製造技術の高さだけでは一流の革靴とは言えない。皮革には生後6ヶ月以内の子牛の革、カーフスキンの中でも上質なものを厳選して使用、ソールにはオーク(広葉樹)の上質な皮を使用。選び抜かれた素材と熟練職人のベンチメイドによって作られた靴だからこそ実現できるトリッカーズクオリティ。

<トリッカーズ工場ツアー動画>

トリッカーズが英国王室御用達ブランド(ロイヤルワラント)に認定された意外なきっかけとは?

エリザベス女王、エジンバラ公、チャールズ皇太子、イギリス王室に5年以上使用されることによりロイヤルワラント(英国王室御用達)の称号を授かることができる。トリッカーズもそんな由緒あるブランドのひとつだ。

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故ダイアナ妃がトリッカーズの靴を愛用しており、ある日トリッカーズのルームシューズ(正式にはアルバートスリッパ)を夫であるチャールズ皇太子に薦めた。皇太子はそのルームシューズをたいそう気に入り、やがてトリッカーズがロイヤル・ワラントを授かることとなったそうだ。ロイヤルワラントを得ているメーカーは数あれど、そのエピソードまで有名なブランドは稀少である。関連ページ:ロイヤルワラントとは?英国王室御用達ブランド特集

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武骨路線を地でいくトリッカーズの質実剛健シューズ

トリッカーズといえば他の革靴ブランドには醸し出せない武骨な雰囲気と風格がある。4497Sラスト(木型)に代表されるぼってりした厚みと丸みを帯びたフォルムと、簡単にはへたらないと一見して分かる分厚いダブルソール。こんな魅力に取り憑かれてトリッカーズしか履かないような愛好者はもとより、ジョン・ロブやエドワードグリーンといったさらに高価なラグジュアリードレスシューズを履くような男性でさえトリッカーズの短靴やブーツを履くことは珍しくない。間違いなくクオリティは高いのだが、たとえば同価格の日本製シューズに比較してしまうと荒っぽい作りだという意見も多い。しかしながらそれを含めて愛され続けるには、「武骨」のひとことでは済ますことのできないトリッカーズならではの独特の存在感が理由である。

そして注目すべきは製造現場。王室御用達と聞くといわゆる英国紳士的な気難しいオヤジ職人集団が作っているような光景をイメージするが、意外にも工場の中にはブリティッシュロックなどが流れ、腕にがっつりとタトゥーが入った職人がリズムに乗りながら作業をしているような光景も見受けられるそうだ。妙なところで飾らないのも、トリッカーズの魅力なのかもしれない。前述のようにベンチメイド製造方式をとっているので、自分のトリッカーズを眺めながら「一体どんな職人が作った靴なのだろうか?」と想いを馳せるのも良いかもしれない。

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トリッカーズの履き始めはとにかく硬い「”ツンデレ娘”が好きなら、たまらない革靴」

グッドイヤーウェルト製法を採用した多くの革靴といえば「履き始めといえば硬く、履きこむうちに足に馴染んでいく」というのは多くの男性にとって共通認識だが、特にトリッカーズの新品時の硬さは尋常ではない。よほど足の形が靴にあっていない限りは靴擦れも日常茶飯事。トリッカーズ愛好家の中には「革靴に戦いを挑まれているよう」「初対面の男に冷たい、ものすごくツンツンした女の子」という表現をする者もいるほどにハードな履き心地こそがトリッカーズの特徴であり、真骨頂だ。

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しかしそんな無愛想とも言えるトリッカーズの革靴も、2年、3年とメンテナンスをしながら長期にわたって履きこむうちに気づくと足にぴったりとフィットする瞬間が訪れる。同じグッドイヤーウェルト製法の革靴でも、わりとすぐに足に馴染む”従順な靴”、”履き心地の良い靴”は存在するが、トリッカーズは、その全く逆をいく。しかし、その代わり一度馴染んでしまえばこれ以上ないほどの “自分にだけ合うフィット感” を体験できるとあってこのブランドの革靴から離れられないというファンも多い。「革靴との長い付き合い、駆け引きやドラマ」を求める男にとっては、”大いにアリ”な選択肢かもしれない。

トリッカーズの魅力 革のエイジング/経年変化

上質なカーフはもとより、内部に水が染みこんでくるのを防ぐ役目を担った「ストームウェルト」、屈強な「ダブルレザーソール」やより実用性を高めた「ダイナイトソール」「コマンドソール」などを装備したトリッカーズのブーツや短靴は頑丈で長く履ける相棒になる。履き潰しではなく長期間に渡り履きこむことで得られる革の経年変化もトリッカーズの魅力だ。特にマロン、エイコンといったベージュ、ブラウン系のカーフを用いたシューズのエイジングは顕著で味わい深いものがある。

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カントリーブーツがフィーチャーされがちなので忘れてしまいがちだが、そもそもトリッカーズは紳士靴をはじめとする革靴ブランド。カントリー色の強いブローグシューズからフォーマルなストレートチップまで、その実用性や耐久性、経年使用による表情の変化は、ブーツのみならずドレスシューズにおいても世界的に認められている。

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トリッカーズの王道モデルを紹介!!

王道カントリーブーツ、存在感のあるブローグシューズ、正統派ドレスシューズ、トリッカーズには魅力あふれる革靴がラインナップされている。今回はブランドを代表するようなシューズをピックアップ。トリッカーズクオリティをその目で少しでも感じて欲しい。

トリッカーズの代名詞的カントリーブーツ「MALTON (モールトン) M2508」

トリッカーズを象徴する定番中の定番ブーツモデル「MALTON」。ブローグが施されたやや丸みのあるラウンドトゥのラスト(木型)は4497Sを使用。パンツを選ばない程よい高さやダブルソールの堅牢性など、まさにカントリーブーツの完成形である言える。マロン、エイコン、ブラックが王道カラーだ。

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トリッカーズの名作モンキーブーツ「MONKEY BOOTS M6077」

カントリーブーツと双璧をなす人気を誇るモンキーブーツ。よりカジュアルで、デニムスタイルにもぴったりの一足。厚さ3cmの、堅牢性と存在感を兼ね備えたコマンドソールを採用しているので、天気を選ばずガシガシ履ける。

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トリッカーズの定番ウィングチップ「BOURTON (バートン) M5633 」

ラスト4444を採用。「BOURTON」というモデル名として名高いトリッカーズの代表的なウイングチップ。絶妙な味を表現しているアッパーカーフには、カシやナラなどから抽出されたオークバーク・タンニンのなめし革を使用。元々は野山を歩くことを想定してつくられたモデルだけあって、力強いダブルレザーソールが他のダービーシューズにはない野性味・風格を備える。

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トリッカーズのロングウィングチップ 「Richard(リチャード) 6837」

ロングウィングチップと呼ばれる、W状のつま先からかかとへ伸びたブローギングが特徴的なダービーシューズは、アメリカントラッドなテイストも併せ持つためロールアップジーンズなどにもよく似合う。 アッパーの素材は、雨や汚れにも強いスコッチグレインレザー。すっきりとした印象を与えるDainiteソールは、悪天候の日も滑りにくいのが特徴だ。

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トリッカーズのサイドゴアブーツ「HENRY(ヘンリー) M2754」

守備範囲の広さが魅力のトリッカーズ製サイドゴアブーツ「HENRY」。レースアップがない分シャープですっきりとした印象を持ちながら、お馴染みのウイングチップとブローグのおかげで優美さも備える。脱ぎ履きしやすいのがサイドゴアブーツの利点。気取らず気軽に履きたい一足だ。ラストは4444を使用。ソールは雨の日やちょっとしたアウトドアシーンにもガシガシ履きやすいコマンドソールを配したタイプ。

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トリッカーズの外羽根プレーントゥシューズ①「ROBERT(ロバート) M3616」

トリッカーズを代表するプレーントゥ。ラストW2298を採用したバランスの取れたラウンドトゥは、ミニマルで都会的な印象を持つ。洗練された顔立ちのため、良くも悪くもトリッカーズ特有の野暮ったさは薄いが、コーディネートを選ばない上にトリッカーズとしては意外な選択で個性を演出することも可能。
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トリッカーズの外羽根プレーントゥシューズ②「Woodstock(ウッドストック)5636」

前述の「ROBERT」と同じくプレーントゥだが、この「Woodstock」は王道ブーツの「MALTON」と同じラスト4497Sを採用。ブローグディテールは施されていないものの、よりカントリー色の強いシルエットとなっておりトリッカーズらしい武骨な空気をまとっている。カジュアルはもちろんビジネスジャケットスタイルにも対応可能な一足。

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トリッカーズのUチップシューズ「REX(レックス) M7785」

ややロングノーズのラスト13501を採用したUチップシューズ。シボ感の強いグレインレザーがコマンドソールのイカつい外観にフィットした一足。傷や汚れに強く、耐水効果期待できるスコッチグレインレザーを備え、見た目にも実用上も頼もしいタフさが最大の魅力だ。

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トリッカーズのタッセルローファー「Sloane(スローン) 1829 」

トリッカーズ製タッセルローファーの定番モデル「Sloane」。シンプルなデザインと上質なカーフスキンが実にエレガント。4537ラストが生み出すすっきりとした佇まいも好感が持てる。「あえてトリッカーズでタッセルローファー」という意外な選択で個性を打ち出す意味でも有力な選択肢になるかもしれない。

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