革靴のソール交換の種類【用途やスタイルから考える】

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革靴のソール交換の種類【用途やスタイルから考える】

大事に愛用したい革靴だからこそ、ソール選びにも慎重になるべきだ。単純にレザーソールかラバーソールの2択で考えるだけでなく、利用シーンや使用頻度に応じて検討するのがスマートだ。購入時に用途にあわせて選ぶのはもちろん、オールソール交換時に使用シーンや気分に応じて変更するのも良いだろう◎。今回は、用途やスタイル別に革靴のソールの種類を紹介!

レザーソール(カジュアル〜ビジネス〜フォーマル)

レザーソールの長所と短所

ドレスシューズの王道と言えば、やはりレザーソール(革底)だ。およそ3万円以上の本格的なドレスシューズであれば、ほとんどのものはレザーソールが採用されている。この伝統的なソールはラバーソールよりも圧倒的に高級感があり、フォーマルである。レザーソールこそ、革靴本来のあるべき姿と言えるだろう。そして古くからレザーソールが紳士靴のスタンダードである理由は、伝統が重んじられているからではない。皮革のソールは極めて通気性と耐熱性に優れており、長時間履いていても足が蒸れないのだ。

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また、弾力性が高く、履き込むごとに使用者の足に馴染んでいく。長年愛用することが前提の革靴において、牛革は靴底の素材として理にかなっているのだ。

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その一方で、耐水性の低さは短所として挙げざるをえない。アッパーも含め革靴のような皮革製品は水に弱く、特に路面との接着面であるソール部分は負担が大きい。ひどく濡れたときは、そのまま放置していると最悪の場合カビが生えてしまうこともあるため、必ず靴底を空気に触れさせて乾燥させる必要がある。

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さらに、ラバーソールのような溝(トレッド)が無いため、滑りやすいのも注意点だ。最も相性が悪いのがやはり濡れた床であり、雨の日はあえてレザーソールの靴を履かない人も少なくない。

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大理石のような、フラットで固い床には小気味よい優雅な足音を立てるレザーソールだが、砂利道のような路面は得意ではない。あまりデリケートになる必要はないものの、悪路や難路への使用頻度によってはオールソール交換の時期を早めてしまうこととなる。

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皮革で作られている以上、手入れによる保湿や栄養補給も必要だ。もっとも、革靴自体が定期的なシューケアを要するため、その延長でクリームを塗り込んでおけば最低限は問題ない。徹底してレザーソールをケアしたい場合は、ミンクオイルや専用の栄養剤を使用することをおすすめする。

レザーソールの仕様「シングルソール」

ほとんどのドレスシューズにはシングルソール仕様のレザーソールが採用されている。4.5〜5mm程度の厚さの一枚革で構成されたアウトソールだ。クッション性に優れ、足への馴染みが他のソールに比べて速い。最もフォーマルシーンに適した仕様である。

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レザーソールの仕様「ダブルソール/トリプルソール」

アウトソールの上に1枚ミッドソールを敷き詰めたダブルソール仕様を採用したドレスシューズも存在する。見た目にも重厚さが増し、シングルソールよりも耐久性と耐水性が向上する。しかし、分厚くなるがために弾力性がやや劣り、足馴染みに関しては一歩遅れる。靴自体の重みが増すことと、つま先やカカトの削れが目立ちやすくなるのもデメリットだ。

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また、3枚革のトリプルソール仕様の革靴も存在する。カントリーが起源となっているため、フォーマル向けのドレスシューズで採用されることは少ないが、アウトドアで使えるレザーソールとしてカントリーシューズやブーツなどに採用されることが多い。

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レザーソールの仕上げ

ブランドや革靴のモデルによってレザーソールの仕上げも様々だ。「オークバーグ」と呼ばれる仕様は、樫の木(オーク)の樹皮から抽出したタンニンで鞣した革を用い、1年という時間をかけてじっくりと鞣されている。革の繊維が詰まっているため、見た目に高級感を与えるだけでなく摩擦への強みや屈曲性が向上する。

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オークバーグのような仕様に多く採用されている仕上げが、「ヒドゥンチャネル」という製法である。一般的なレザーソールは出し縫いの糸が外から見える「オープンチャネル」という仕上げが基本だが、ヒドゥンチャネルは伏せ縫いにより糸を見えないようにしている。さり気ない部分のお洒落だが手間のかかる技術であり、高級なモデルに採用される。その他にも、高級靴の中には2色のトーンで仕上げた、「半カラス仕上げ」と呼ばれるレザーソールも存在する。ウエスト部分にフォーマル色である黒を採用し、よりエレガントで美しい見た目になる。

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ラバーソール(ビジネス向け)

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現在最も多く普及しているとも言えるラバーソール。市場に出回っている紳士靴の大部分を占めており、一般的な靴底としての地位を確立している。事実、その実用性はレザーソールを多くの点で凌駕している。水を通さず、滑りにくく、悪路難路においても耐えうる。レザーソールが不得意とする部分を全て補う機能性を持つ。

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しかし、全てにおいてラバーソールが優位に立つわけではない。通気性の悪さはラバーソール最大の欠点だと言えるだろう。足馴染みにおいても、最初からある程度の柔らかさはあるものの、レザーソールのような徐々にフィットしていく成長性はない。また、フォーマル度もレザーソールの下に位置付けされており、冠婚葬祭には本来適していない。

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ひと口にラバーソールと言っても、合成ゴム製や天然ゴム製、さらにビジネス向けのものからアウトドア仕様ものまで、利用シーンによって種類が異なる。基本的にはトレッドパターンと呼ばれる、ソールの溝の彫りによって分けられることになるが、以下にそれらの種類を紹介する。

ダイナイトソール(ビジネス・雨の日向け)

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ドレスシューズ用のラバーソールを選ぶときにまず選択肢に挙がるのがダイナイトソールである。
正式名称はスタッデッドソールだが、イギリスの「ハルボロラバー社」の「ダイナイト(Dainite)」ブランドが生産したものが有名になり一般的にはダイナイトソールと呼ばれる。底面に施された凹凸が歩行時に最適のグリップ力を生む。ゴツゴツしておらず外観上はフラットなため、紳士靴のソールとしては最適。雨の日用の革靴にダイナイトソールを選ぶビジネスマンも多い。

リッジウェイソール(ややカジュアル向け)

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”あぜ道”を意味するリッジウェイソールも、イギリスのダイナイトブランドから生まれた。ダイナイトソールが「点」なら、こちらは「線」で足を支えるため、ややソフトなフィッティングとなる。グリップ力は強いものの、見た目がややカジュアルになるためドレスダウンスタイルやカジュアルシーンに適したソールである。

コマンドソール(カジュアル・アウトドア向け)

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重厚な見た目と極めて強いグリップ力を持つコマンドソール。登山ブーツのソールとして生まれたこのソールは、名前のとおり軍用靴にも採用されるほどの機動力を誇る。山道や岩場などの難路も歩行可能で、ブーツに多く用いられる。ドレスシューズに取り入れることで、あえて武骨なテイストをプラスし、カジュアルコーディネートにあわせやすくすることも可能だ。

ビブラムソール(カジュアル・アウトドア向け)

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イタリアの「ビブラム(Vibram)社」が製造するソール。幅広いパターンのソールを生産しているが、特にコマンドソールのような力強いソールの印象が強い。レッドウィングやトリッカーズのブーツに採用されているソールを慣用的に「ビブラムソール」と呼ぶケースも多く、ワークブーツやカントリーブーツに優れた相性を持つ。

複合ソール(ビジネス向け)

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レザーソールとラバーソールの長所を合わせた、コンビネーションソールとも呼ばれるソール。土踏まず周りのウエスト部分をレザーソールに、つま先やカカト部分をラバーソールにしており、高い実用性とドレス感を兼ね備える。汎用性は高いが製造が困難でコストがかかるため、生産しているブランドは僅か。日本のリーガルやスコッチグレイン、スペインのヤンコなどが採用している。

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