スラックスの裾上げ、どちらを選んでる?【ダブル VS シングル】

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スラックスの裾上げ、どちらを選んでる?【ダブル VS シングル】

スーツスタイルやジャケパンスタイルにおいて永遠の論争とも言える「シングル VS ダブル」。スーツを購入したショップで、裾上げの際に必ず聞かれる質問「裾上げはシングル、ダブルどちらに致しますか?」に対して即答できずに、悩んでしまうという方も少なくないのでは?今回は「裾上げシングルダブル論争」にフォーカスして、ダブルの生まれた起源やメリットも含めて紹介!

ビジネススーツの裾上げはシングルとダブルどちらが無難なのか?

伝統的な正装である燕尾服やモーニング、タキシードのズボンの裾には折り返しはつかないのが一般的だ。このことから「ダブルはスポーティーな印象で、ビジネススーツならシングルが無難。」という俗説が存在するがこれは誤認だ。ビジネススーツ自体が正装ではなく略礼装のため、ある意味で正装に比べたらスポーティー、カジュアルであり、スポーティー、カジュアルと言われるダブルでも何ら問題は無いと言える。さらに言えば「最前線でアクティブに働く男のためのビジネススーツだからこそスポーティーなダブルが似合う」という言い方もできる。もちろん正装である燕尾服、モーニングやタキシードをダブルにするのはありえないが、ビジネススーツの裾上げはダブルでもシングルでも世界的に見ても全く問題は無い。

裾上げのダブル・シングルは和製英語!

欧米ではダブルは「turn up」シングルは「plain」と言われているため、海外駐在の方や旅行先でスーツ購入予定の方はおさえておきたい。ちなみに欧米では流行に関係なくビジネススーツは「turn up」が主流だ。

ダブルの裾上げが生まれた起源には3つの説があった!

ダブル仕上げが生まれた起源は、3つの説が存在する。

スラックス ダブル裾上げの起源①「英国紳士のミスをニューヨーカーが勘違いした説」

20世紀のはじめに英国の貴族がニューヨークで行われる結婚式に参加するため会場に向かっている道中で突然の雨に見舞われ、裾が濡れたり汚れたりするのを防ぐためにスラックスを折り返したまま会場で戻すのを忘れてしまった。それを見た参加者が”これが流行スタイルなのか”と勘違いをして定着したという説。書籍によっては、舞台がイギリスであったり英国貴族ではなくマッキンリー大統領であったりとバラツキがある。

スラックス ダブル裾上げの起源②「ぬかるんだ競馬場のパドックから生まれた説」

英国下院議員のルイスハム氏が起源という説。競走馬オーナーである同氏が雨でぬかるんだパドックで、裾がよごれないように折り返したスタイルが非常にCOOLだったことから、多くの紳士がひそかに取り入れはじめたという。

スラックス ダブル裾上げの起源③「狩猟中に生まれた説」

スポーツハンティング(狩猟)に熱中するスコットランドの貴族が裾をまくりあげたことが起源という説。起源ははっきりしないが、泥ハネや濡れを防ぐためという共通点が存在する。大雑把で実用的な男らしい発想から生まれたのは間違いなさそうだ。

スーツのズボン裾をダブルにして靴とのバランスをとる

スーツの原点とされるラウンジコートが誕生した当時の生地は、厚みと重さがあったため折り返しするという発想自体がなかった。しかし、現代のスーツに使用される生地は、当時とは比べものにならないほど薄く繊細になっている。ダブルの折り返しをつけることによって、靴に負けない存在感を演出し、バランスをとることが可能だ。特に、イギリス生まれの重厚なグッドイヤーウェルテッド製法の靴にはダブル仕上げが相性◎

逆に、イタリアのマッケイ製法の革靴など、幅が狭くややロングノーズデザインの靴を合わせるのであればシングル仕上げの方がバランスが良い場合もある。

スラックスの裾上げでダブルの幅は何センチが正解?

シングルに仕上げると決めれば迷いは消えるが、ダブルに仕上げるなら幅を何センチに仕上げるべきなのかという迷いが生まれるだろう。一般的には「3.5cm〜4cm」の幅がオーソドックスと言われている。ちなみに、昨今のトレンドは少し太めの「4.5~5.5cm」だ。太い幅に仕上げる場合は、全体のバランスが崩れないように注意しながら調整したい。身長や足の長さ、スーツスタイル、所有する靴のタイプ、好みなど個人差があるため、上記を踏まえてしっかりと全身鏡の前で吟味することが何よりも重要だ。ちなみにホックで留める方法と糸で留める方法が存在するが、糸で留める方法がグローバルスタンダード。ホック式はたまったゴミやホコリを掃除しやすいようにという日本式であり、上からみるとホックが見えるため、英国やイタリアではエレガントとされていない。

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