
新年度が始まる春は、装いの印象が想像以上に評価へ直結しやすい季節である。社内外で初対面の相手と接する機会が増え、清潔感や信頼感、仕事相応の節度まで服装から見られやすくなるためだ。とりわけオフィスカジュアルは、スーツほど正解が定まっていないぶん、きちんと感を保ちながら堅く見せすぎない調整が難しい。本記事では、春のメンズオフィスカジュアルを成立させる考え方を土台に、ジャケット、シャツ、パンツ、靴の選び方、職場で浮きにくい配色、避けるべきNG例までを具体的に解説する。さらにOTOKOMAEが蓄積してきたドレススタイルの視点も交え、単なる無難では終わらない、好印象と洒落感を両立する春の正解コーデを提示する。
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オフィスカジュアルの定義『オフィスカジュアル』は日本で広まった造語で、英語圏では business casual に近い
「オフィスカジュアル」は日本で定着した言葉だが、デジタル大辞泉では、メンズファッション業界のキャンペーンから生まれたと説明されている。英語圏で主要な辞書項目として確認しやすいのは business casual で、Merriam-Webster や Oxford Learner’s Dictionaries もこの語を見出しとして立てている。一方、Dictionary.com では business casual の近い表現として office casual も挙げられている。つまり、オフィスカジュアルは日本では広く通用する一方、英語圏の服装用語としては business casual を基準に捉えるほうが実態に近い。ちなみに、ビジネスカジュアルとの違いって何?ビジネスカジュアルは社外寄り、オフィスカジュアルは社内寄り!?
前述のように、ビジネスカジュアルとオフィスカジュアルの意味はかなり重なっており、両者の違いを考えることにあまり意義はないと思われる。しかし、あえて違いを言うならビジネスカジュアルは社外への配慮がやや強く、オフィスカジュアルは社内で自然になじむことをやや重視した言い方である。仕事で信頼を損なわない服装の考え方オフィスカジュアルは『きちんと感』『清潔感』『季節感』を守りつつ、職場と取引先に合わせる
オフィスカジュアルを成立させる条件は、「きちんと感」「清潔感」「季節感」の3つである。どれかひとつでも欠けると、職場の装いとして説得力を失いやすい。たとえば、首元が開きすぎればきちんと感を欠き、シャツのシワや靴のくたびれは清潔感を損なう。さらに、季節に合わない色や素材を選べば、それだけで違和感が残る。 そのうえで、正解は一律ではない。職場や取引先が変われば、許容される服装の水準も変わるからだ。社内で比較的自由な職場なら、ノージャケットやレザースニーカーまで許容されることもある。一方で、社外対応が多く、相手先が保守的なら、襟付きシャツや革靴、ネイビーやグレーを軸にした控えめな装いのほうが収まりやすい。重要なのは、自分の好みより、その場で自然になじむかどうかで判断することだ。編集部 三井
自分の職場で何が許容されるか迷ったら、上司や先輩のジャケット率、足元、配色を見るのがおすすめです。洒落感を足すのは、その基準をつかんでからでも遅くありません。
春のオフィスカジュアル着こなし実例1春らしさを明るい色で表現するなら、ライトグレー系スーツ・セットアップが取り入れやすい
春のオフィスカジュアルで、明るい色によって季節感を表現したいなら、ライトグレー系のセットアップはかなり取り入れやすい。ビジネススーツの定番色といえばネイビーとグレーだが、春らしさを出そうとして明るいトーンに振ったとき、ライトネイビーやブルーはどうしても洒落感や派手さが前に出やすい。その点、ライトグレーなら明るくしても仕事着としての節度を保ちやすく、春らしさも自然に足しやすい。上下が揃っているぶん、きちんと感を確保しやすいのも強みだ。生地は、つるっとした光沢の強いものより、トロピカルやホップサック、ドライなウール混のように軽さが見えるものがよい。インナーは、白TシャツやネイビーTシャツでカジュアルにいくもよし、サックスブルーのシャツでビジネス寄りにまとめるもよし。明るい色を使いながらも、セットアップの安心感で全体を引き締めやすい。春の本命として、まず押さえておきたい着こなしだ。 1 3
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このオフィスカジュアルスタイルの参考アイテムGOOVIのSUPER100'sウールトロピカル ワイドストライプ ダブルジャケット
春らしい明るさを仕事着として成立させるうえで、軸になるのがGOOVIのSUPER100’sウールトロピカル ワイドストライプ ダブルジャケットだ。明度の高いライトグレーに、かすれたホワイトのワイドストライプを重ねた配色が特徴。春らしい季節感は欲しいが、仕事着としての信頼感も崩したくない。そんな今回のテーマにかなりヒットする一着である。しなやかでソフトな肌当たりのSUPER100’sウールを使ったトロピカル生地は、通気性が高く、春夏らしい清涼感も出しやすい。さらに、独自のパターンメイキングによる自然な肩の丸みや、浅めの内合わせのダブル仕様によって、クラシックすぎず、今のオフィスカジュアルにも落とし込みやすい。ジャケットは¥43,890、セット着用可能なパンツは¥18,590。ライトグレーのセットアップを正攻法で取り入れたいとき、有力候補になる。春のオフィスカジュアル着こなし実例2量産型を避けつつ失敗もしたくないなら、ブラウン・ベージュ系スーツ・セットアップが有効
ブラウン・ベージュ系のセットアップは、ネイビーより柔らかく、ライトグレーより落ち着いた見え方で春らしさを足せる。量産型は避けたいが、洒落感に振りすぎて仕事着の線は越えたくない。そんなときに収まりやすい選択肢だ。生地は、つるっとした光沢の強いものより、リネン混やドライなウール混、表情のあるグログランやホップサックのように、軽さとニュアンスが出るものがよい。色も赤みの強いブラウンより、ベージュを含んだトープや深みのあるブラウンのほうが仕事着として収まりやすい。インナーは白シャツで端正に寄せてもよいし、エクリュのハイゲージニットで少し力を抜いてもよい。セットアップの安心感は残しながら、見え方だけ量産型からずらしたい。そんなときに有力な着こなしである。 1 5
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一般的に認知されているセットアップスーツだけでなく、ワークウェアやジャージなど上下揃いの服を総称するセットアップ。ドレスからカジュアル、スポーツからワークまで様々なスタイルを最速でコーディネートし、上下別々の単品アイテムとしても着回せる。今...
このオフィスカジュアルスタイルの参考アイテムGOOVIのキュプラリネンコットングログランジャケット
量産型のネイビーセットアップから半歩ずらしつつ、仕事着の線は守りたい。そんなときに頼りになるのが、GOOVIのキュプラリネンコットングログランジャケットとパンツだ。ブラウン・ベージュ系セットアップを仕事着として成立させるには、色だけでなく、素材と設計の完成度も重要になる。その点、このセットアップはキュプラ46%、リネン33%、コットン21%のグログラン生地を使っており、光沢は控えめで、自然なシワ感がある。見た目より軽く、清涼感のある肌触りも春夏向きで、セットアップでも構えすぎて見えにくい。独自のパターンメイキングによる自然な肩の丸みも特徴で、仕事着としての輪郭は保ちながら、量産型のネイビーセットアップとは違う空気をつくりやすい。ジャケットは¥32,890、セット着用可能なパンツは¥17,490と、上下で揃えても現実味のある価格帯なのも魅力だ。 色味はヴィンテージライクな深いブラウンなので、遠目にも春らしく見せたいなら、インナーは白シャツやエクリュのハイゲージニットなど、明るい色を差したい。ブラウンの落ち着きは残しつつ、重たく見えるのを防ぎやすいからだ。端正に寄せるなら白シャツ、少し力を抜くならライトカラーのハイゲージニット。この振り分けがしやすいのも、このジャケットの強みである。春のオフィスカジュアル着こなし実例3定番のジャケパンで堅実にいくなら、ネイビージャケット×シャツ×グレースラックス
ネイビージャケットに襟付きシャツ、グレースラックスを合わせるジャケパンは、オフィスカジュアルの中でも最も外しにくい組み合わせである。奇をてらわずにきちんと感と清潔感を担保しやすく、職場や相手先を問わず大きく崩れにくいからだ。ジャケットが全体の輪郭を整え、シャツが清潔感を支え、グレースラックスが重たさを抑えながら落ち着きをつくる。春らしく見せるなら、ジャケットは黒に近い濃紺ではなくやや青みのあるネイビー、素材はホップサックのように織りが見えるものを選びたい。パンツはチャコールではなくミディアムグレー寄りに振ることで、見た目の重たさを抜きつつ引き締まって見える。ジャケットとパンツを別々に選べるぶん、職場や相手先に合わせて堅さのさじ加減をつけやすい。 1 7
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ジャケパンスタイルは、単品のジャケットと単品のパンツを組み合わせる自由度の高い着こなしだ。スーツスタイルと比較して、配色やシルエット、素材選びで個性を打ち出せるのが大きな魅力。一方で、その自由度の高さゆえ、組み合わせを間違えると野暮ったい印...
このオフィスカジュアルスタイルの参考アイテムJ.PRESSのペピンメリノトロピカルブレザー
定番のジャケパンを堅実に組むうえで、まず土台になるのがネイビージャケットの完成度である。その意味で、J.PRESS(ジェイ・プレス)のペピンメリノトロピカルブレザーはかなり優秀だ。春のジャケパンで欲しいのは、きちんと見えるのに、スーツの上着のように硬すぎないこと。その点、この一着は背抜きの軽さがありつつ、ペピンメリノウールならではのハリとコシで輪郭が崩れにくい。ナチュラルショルダーで肩まわりも構えすぎず、ネイビージャケットの王道としてかなり使いやすい。金ボタンのブレザーらしさはあるが、白シャツやグレースラックスと合わせれば、春のオフィスカジュアルにも十分落とし込みやすい一着だ。編集部 三井
ちなみに、春のオフィスカジュアルにおいてはスーツやジャケパンのインナーはドレスシャツのノータイか白Tシャツに寄りがちです。そこで候補に入れたいのがスキッパーポロ。いわゆるビズポロほど仕事着感が強すぎず、普通のポロシャツほどスポーティーにも寄りにくいのが魅力です。個人的には、ジョンスメドレーのSYRESみたいな、台襟無し仕様がスポーティで今っぽいと思います。
春のオフィスカジュアル着こなし実例4ニットで行くなら、ハリのあるショールカラーカーディガンが使いやすい
ニットを使ったオフィスカジュアルで難しいのは、どこまでなら仕事着として成立するかという線引きである。そこで有力なのが、襟付きのショールカラーカーディガンだ。クルーネックやVネックよりも仕事着として見えやすく、ジャケットほど構えずに着られる。その中間の立ち位置が大きい。ただし、何でもいいわけではない。ハイゲージで柔らかく落ちすぎるものはインナーっぽく見えやすいので不向き。オフィスカジュアルに向いているのは、ローゲージでハリがあり、襟の返りがきれいで上着としての輪郭を保てるタイプだ。このオフィスカジュアルスタイルの参考アイテムGENTLEMAN PROJECTSのTHE WOOSTER 2B CARDIGAN
ショールカラーカーディガンを仕事着として成立させるには、襟だけでなく上着としての輪郭まで必要になる。その条件を満たすのが、GENTLEMAN PROJECTS(ジェントルマンプロジェクト)のTHE WOOSTER 2B CARDIGANだ。ブレザー感覚で着られるカーディガンとして位置づけられており、ショールカラーの返りや2ボタンの設計によって、ニットでありながら上着として見えるバランスがきちんとつくられている。さらに、コットン糸と高ストレッチ糸を組み合わせることで、ソフトな肌当たりとハリ、弾力を両立している点も強い。春のオフィスカジュアル着こなし実例5グレースラックスでは少し無難すぎるなら、ベージュのドレスチノで春らしさを足す
グレースラックスは端正で使いやすい反面、春の装いとしては少し無難にまとまりすぎることもある。そんなときに有効なのが、ベージュのパンツだ。ネイビージャケットや白シャツのきちんと感はそのままに、下半身だけで季節感を足しやすい。ベージュはグレーより私服っぽく見えやすい色でもある。だからこそ、選ぶべきはカジュアルな5ポケットパンツではなく、センタークリースが入り、腰まわりに少し余裕があり、裾もだぶつかないトラウザーズ型だ。ベージュでも形がドレス寄りなら、仕事着としての節度は十分に保ちやすい。ジャケットはネイビー、シャツは白かサックスを合わせると、季節感を足しながらも締まりは失われにくい。 1 4
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このオフィスカジュアルスタイルの参考アイテム麻布テーラーのオーダードレスチノパン
ベージュパンツを私服見えさせず、仕事着として着地させるうえで重要なのは、まず形である。その意味で、麻布テーラーのオーダードレスチノパンはかなり使いやすい。ベージュパンツは一歩間違えると私服っぽく見えやすいが、このモデルは2インタックとバックストラップによって表情がクラシックに整っており、チノ素材でも仕事着として引き締まって見えやすい。コットンリネン混バックサテンの軽さも春向きで、季節感を足しながらオフィスカジュアルの線を守りやすい。グレースラックスほど硬くなく、普通のチノほどラフでもない。その中間を狙える一本としてかなり使いやすい。 1 1
春のオフィスカジュアル着こなし実例6タイドアップするなら、ニットタイで春らしい季節感とハズしを足す
春でも、タイドアップしたほうが収まりのいい場面はある。普通のシルクタイで真面目にまとめるのもいいが、春のオフィスカジュアルでは少し重たく見えることもある。そこで有効なのが、ニットタイだ。タイドアップとしての節度は保ちながら、素材の表情で春らしい季節感と、ほどよいハズしを足しやすい。スーツにもジャケパンにもなじみやすく、きっちりしすぎず、軽薄にも見えにくいのが強みである。 1 5
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編集部 三井
ニットタイは生地の厚みでノットが大きくなりやすく、そのぶん長さも食うので、大剣が短く上がりやすいです。だからこそ、結び目を小さくまとめやすいオリエンタルノットが有効。プレーンノットでも結べますが、それは薄手のニットタイ向き。厚手のニットタイなら、ノットを大きく見せすぎず、全体のバランスを取る意識が欠かせません。



























































