独特の起毛感が魅力のフリースジャケット。数年前にアウトドアスタイルを軸にした“ゴープコア”が注目されたり、ユニクロのフリースが大流行した2000年前後の背景から昨今のY2Kトレンドに乗って人気を集めている。今回はフリースジャケットが生まれたエピソードと、最新の着こなし事例を紹介!
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フリースジャケットとは?
フリースとは、石油を原料としたポリエステル製の起毛素材のこと。1979年にアメリカ・マサチューセッツ州で紡績企業のモールデンミルズ社(現ポーラテック社)とアウトドアブランドのパタゴニアが共同開発した「Synchilla(合成チンチラの意):シンチラ」が世界初のフリースとされている。このフリース素材をジャケットとして製品化したパタゴニアは、1985年にSynchillaフリースジャケットを発売。軽量で強度があり、保温性と速乾性に優れているだけでなく、天然繊維のウールと比べても遜色のない柔らかな肌触りで着心地が良く、シワになりにくいため持ち運びしやすいことから、パタゴニアのフリースジャケットは、登山家、スキーヤー、バックパッカー、フライフィッシング、およびその他のほぼすべての種類のアウトドア愛好家の間で絶大な支持を獲得することとなった。
その後、ザ・ノースフェイスやコロンビアなど他のアウトドアブランドもフリースジャケットを手掛けるようになり、様々なアイテム展開によってフリースはアウトドアスポーツ市場に定着。1994年には日本の“ユニクロ”が低価格のフリースをカジュアル衣料として発売し、これを機にフリースジャケットは徐々に日常着、リアルクローズとしてのステータスを確立することとなる。ほとんどのフリースジャケットは長袖、スタンドカラー、ジップフロントのデザインで、ハンドウォーマーポケットを標準装備。毛足の長い起毛素材で繊維と繊維の間に空気の層を作るため、保温性に優れ外からの冷たい空気を遮断する。さらに通気性と速乾性にも優れているので水分を吸ってもすぐ乾き、自宅で気軽に洗濯ができるうえアイロンがけの必要もない。しかし、そんな良いこと尽くしフリースも洗剤には耐性があるがバクテリアには耐性がないため、汗や汚れが臭いの原因になりやすい。しかも摩擦や洗濯によって毛足の長い起毛がピリング(毛玉)になることもあり、冬場は特に静電気が起きやすいため糸くずやペットの毛、ホコリを引き寄せてしまうのでそれなりのケアが必要だ。
フリースとボアの違いは?
フリースと混同されがちなのが「ボア」。ボアとは羊の毛のように毛足が長いモコモコ素材のことで、素材としてはフリースと同様にポリエステルが使われることが多い。似て非なるものとはいっても、毛足が長いフリースのことをボアフリースと呼んだりすることもあるため、ほぼ同一カテゴリとして扱われることも珍しくない。ボアはアウターの表地に使われることがほとんどだが、フリースは表地だけでなくナイロンジャケットの裏地に使われたりと用途が多岐にわたる。
続いては実際にフリースジャケットを使ったコーディネート例を紹介!
フリースジャケットを着たメンズコーデベージュのフリースジャケットを主役にニュートラルカラーでまとめたキレイめな装い
フリースジャケットの定番色であるベージュを洒落感たっぷりに着こなすコツは、白やオフホワイト、アイボリーなどニュートラルカラーでキレイめにまとめること。白の分量が多ければ多いほどクリーンな印象が強調され、肌馴染みの良いベージュ系の色味が多くなればマイルドで上品なスタイリングが完成する。サンプルとしてピックアップしたこちらのスナップでは、フリースジャケットのライニングのモカブラウンをチラ見せし、苦味控えめな大人のラテコーデに落とし込み。
フリースジャケットを着たメンズコーデ90年代っぽい色使いのフリースがレトロで新鮮!
1990年代に大流行したネオンカラーが入ることで、フリースコーデが一気にレトロで今っぽい雰囲気に。全体のシルエットも今っぽく、ワイドカーゴパンツの合わせが感度の高さを物語っている。90年代や2000年代初頭に現役で着られていた服が、今古着屋でレトロアイテムとして並んでいるため、気になる方は探してみては?
フリースジャケットを着たメンズコーデフリースジャケットの絶対定番パタゴニアを選ぶ
パタゴニアのフリースジャケットといえばレトロXが超有名だが、他にも定番としてフリースジャケットを展開。こちらはレトロパイルジャケットというシンプルなデザインが採用されたフリースジャケット。レトロXは世代、時代を超えた超名作だが、定番だからこそ他と被りやすいのも事実だ。王道から少し外したものを選びたい方は、こんなモデルをチョイスしてみてはいかがだろうか。
フリースジャケットを着たメンズコーデMA-1ライクなフリースジャケットでヒネリを効かせる
ミリタリーとアウトドアのエッセンスをブレンドしたMA-1ライクなフリースジャケットをチョイスし、ヒネリを効かせたスタイリング。白ペンキの飛沫がやんちゃ感を醸すドローコード仕様のワークパンツとバンズのオールドスクールの間から白ソックスをチラ見せし、もっさりとしたナードな雰囲気にまとめた着こなしだ。フリースジャケットの裾から覗くセーターの丈感が◎