ジャケパンスタイルの印象を最も強く印象付けるアイテムといえば「テーラードジャケット」だろう。イタリアブランドに限っても、メゾンブランドからファクトリーブランドまで強豪ひしめくカテゴリーだ。今回はイタリア勢の中でも人気が高く、アンコンジャケットブームの火付け役との呼び声も高い「BOGLIOLI(ボリオリ)」にフォーカスして、その魅力を紹介!
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ボリオリとは?
サルトリア(仕立屋)として「モダンとクラシック」をコンセプトに掲げ、100年以上も続く老舗ブランド。Piero Boglioli(ピエロ・ボリオリ)が19世紀末、及び1890年代にメゾンを立ち上げ、第二次世界大戦後の1950年半ば、息子のGiuseppe Boglioli(ジュゼッペ・ボリオリ)が後を継ぎ、当時の最先端技術を導入したアトリエを開設。後の1972年に3代目のMario Boglioli(マリオ)が世界的に名を広め、今に至るまで100年以上も続く老舗ブランドだ。
ボリオリが再現したいのはおさがりのジャケットのくたっとした風合い
マリオ氏は「当時はお下がりのジャケットを着る若者が多かったが、くたっとした風合いが、たとえようもないほどに魅力的だったんだ」と語る。くたっとした風合いをコットンファブリック加工で再現し1999年に発売された「コート」、またコートの洗い加工をカシミヤなどの高級素材に応用し2003年に発表された「Kジャケット」はボリオリのコンセプトが強く反映されているモデルだ。
2008年発表の「ドーヴァー」も名品と言われている。機械化による量産品に、手仕事の仕様を上手く取り入れた質の良さも人気の一つだ。イタリアのサルトリアのコンセプトに則った、柔らかくしなやかな曲線で男性の美しさが際立つ。身幅が細く、着丈が短いため、現在の流行にも適している。
ボリオリを代表するアンコンジャケットとは?
正式名称はunconstructed jacket(アンコンストラクテッド・ジャケット)。ファッションの造語であり、略してアンコンジャケットと言われている。「constructed(コンストラクティド)」=「構築的」という意味の否定として、カッチリではなく体にフィットするソフトなジャケットのことを指す。
具体的には、ジャケットの資材として使用される裏地、芯地、肩パットなどを極力使わないのが特徴。資材を省くため、ブルゾンのように羽織れる。軽くてソフトなシルエットを生み出すこなれた上品さは、イタリア式ジャケットの特徴の一つだ。
ボリオリだからこそのアンコンジャケット
資材を極力使わないため、コストカットでアンコンジャケットを制作するブランドもある。一方BOGLIOLIには、デザイナーが求める独特な風合いを、構築された型では再現出来ないと感じたことから資材を省く事でアンコンジャケットが誕生している。洗い加工が施された生地の使用もコンセプトに基づいたデザインであり、他のブランドでは表現出来ないBOGLIOLOの強みだ。
ボリオリのアンコンジャケットを英国式と比べて紹介
具体的にアンコンジャケットはどれくらいソフトなのか。今回は対比ともいえる英国式のジャケットと比べてみる。(上がBOGLIOLI、下が英国を代表するDUNHILLのジャケット。)
堅苦しさを感じないこなれ感が出ているのは、ボリオリのジャケットだろう。ここで比較出来る点として、全体的にみたシルエットの丸みや胸周辺のハリ、ラペル(襟)の返りなどが挙げられる。英国式は、各々の部位にメリハリのあるカッチリとした印象。一方、ボリオリのアンコンジャケットは身体に沿ったしなやかさが感じられる。
内側に据えられた芯の有無で変わる印象
一般的なジャケットは、胸増芯、肩パッドなどの資材を使用して身体の美しさを構築し、裏地で中の構造を隠して美しく仕上げる。一方、アンコンジャケットはいかに自分が持つボディから美しいラインが出せるかを重要視する。それぞれの文化に則った、こだわりの視点からジャケットの着こなしを見比べてみると、より深くファッションを楽しむことができる。着用画を見比べると分かり易い。次にご覧いただく画像は上がBOGLIOLI、下が英国のジャケット。BOGLIOLIには、リラックスしたソフトな印象を受ける。
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ボリオリのジャケットの魅力 1「シルキータッチな上質生地」
ジャケットの良し悪しを考える上で外せないポイントとして、まず生地の質を思い浮かべる方は多いだろう。現代のアンコンジャケットは、ポリエステルの混合や生地の質が落ちているものが多いと言われているが、BOGLOLIの生地はそれを感じさせない質の高いものが多く見られる。BOGLIOLIのウール100%生地は、シルクの混合を思わせる光沢を持った高品質のものが多い。
高級素材のカシミヤ100%の生地に染色加工を施すなど、当時の常識を覆すデザインをまとった「Kジャケット」も注目を集めた。下記画像のラペルに見られる洗い加工による色落ちは、高級な素材にこなれ感を生み出す。
ボリオリのジャケットの魅力 2「着回しの良さ」
アンコンジャケットはカジュアルなイメージが強いが、BOGLIOLIのジャケットには英国式の要素もバランスよく取り入れられている。具体的にいえば、肩パッドや芯地などの資材は使用しないがパターンの妙によって、やや構築的なシルエットを表現している。アンコンジャケットならではの、軽い着心地やこなれ感はしっかりと実現しながらも、ラフになりすぎないためビジネスシーンにも違和感なく対応できるのが魅力だ。
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オンビジネススタイへの取り入れに加え、染色や洗い加工によるこなれ感が、ジーパンなどのカジュアルパンツにもすんなりと馴染む。この着回しの良さを体感してボリオリに病みつきになってしまったという男性も多い。
BOGLIOLIの代表的モデル紹介
2014年に元ラルフ ローレンのデザインディレクター、ジェイ・ヴォッスージ(Jay Vosoghi)を迎え、BOGLIOLI MILANOとブランド名を変えている。現在展開しているモデルにフォーカスしてボリオリの代表的モデルを紹介。
BOGLIOLIの代表的モデル「DOVER」
ボリオリの象徴的モデル。「カーディガンのように羽織れるジャケット」というコンセプトにのっとって、着心地や使い勝手に特化した作りになっている。軽やかな着心地で窮屈感が全く感じられない。シワになりにくい素材を使用するなど、普段着使いにも最適な要素を含み、ビジネススタイルにも十分対応出来るシルエット設計がなされている。▶︎「DOVER」の詳細・購入はこちら
BOGLIOLIの代表的モデル「NEW DOVER」
屈伸体系と言われる日本人の体型に特化した新しいモデル。前見頃が若干狭まり、後ろの背幅が2cmほど広く設計され、可動域が向上している。Tシャツのような薄着一枚の上に羽織るだけで、ピッタリと体にフィットし、大人の風格を作りだせる仕様になっている。▶︎「NEW DOVER」の詳細・購入はこちら
BOGLIOLIの代表モデル「COAT」
90年代に流行していた洗いの加工をドレス服に応用したモデル。BOGLIOLIの原点とも言われているモデル「コート」。コットン生地等に染色と洗いの加工を施すことで、着込んだ風合いとこなれ感を再現し、当時のイタリアンクラシックに衝撃を与えた。「コート」はジャケットのモデルの名称なので、混乱しないように気をつけたいところ。▶︎「COAT」の詳細・購入はこちら
BOGLIOLIの代表的モデル「K.JACKET」
「コート」から発展して2003年に生まれたモデル。カシミヤ100%の高級素材でジャケットを縫い上げた後、染色加工を施すことで新しい質感を表現した。最近のK.JACKETは「ニュードーバー」を軸に新たなシルエットを展開している。▶︎「K.JACKET」の詳細・購入はこちら
BOGLIOLIの代表的モデル「YORK」
アンコンジャケットのソフト感と、英国式ジャケットの様な構築的な印象をあわせもつモデル。アンコンジャケットをベースにしなやかな薄いウールの芯地を添えることで、イタリア式ジャケットと英国式ジャケット両者の良さを兼ね備える。シルエットは「ドーバー」よりもタイトに設定されているので、細身な着こなしを好む方に適している。▶︎「YORK」の詳細・購入はこちら