ミラノ男の粋な着こなし秘訣とは?「イタリア在住の日本人から現地リポート!」

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日本から1万キロ離れた街・ミラノ。Moda(モーダ)・ファッションの街・ミラノ。そんなミラノの街を闊歩するUomoたち(男性たち)の着こなしは、日本とは明らかに違う。「何が?」と問われれば、「すべてが!」と答えるしかない。それもファッション好きな一部の男性だけではなく、誰もが洗練された雰囲気を漂わせるのはなぜなのだろうか?筆者はここミラノに住み始めて1年半。日本から春夏用スーツ4着・秋冬用スーツ4着、ジャケット3着、その他私服などをここミラノに持ってきた。1年半もミラノに住むと服の着こなしが日本で着ていた時の着こなしと違い始めている。面白いことに日本から持ってきたスーツや服にも関わらず、着こなしが明らかにミラノ色に変わってきているのである。それは、おしゃれのDNAを兼ね備えてたイタリア人Uomoたちを毎日見て勉強させられているからだ。では、彼らから何を学んでいるのか。それを紐解きたい。

ミラノの男の着こなしは「清潔感」がちがう!

筆者は、毎日ミラノ市内を地下鉄、トラムやバスで移動する生活をしている。今の時期ミラノは連日夏日が続く。このような日々が続くと普通少し着こなしがだれてくる、また崩れてくるのはどこの国でも見受けられる傾向であろう。ところが、ここミラノのUomoたちはそんなことが見受けられない。猛暑の時もスーツやジャッケットを着てビシッとパリッと着こなすのだ。

日本とは夏の環境は違うのは否めない。日本と比較すると夏の湿度は低く日陰に入ると爽やかな空気が流れる。湿度が高く、ちょっと歩けば汗が滴り落ちるサウナのような日本の環境とは明らかに違う。しかし、興味深いことにここイタリアは夏日であってもエアコンをつけない、つけたとしても弱風の文化なのだ。最初の年の夏、筆者はエアコンをつけない環境に「どうして?」「なんで?」の連発だった。でも理由がよくわかった。それは、イタリア人はエアコンから出る冷気が大嫌いだからである。この冷気を受けると体に悪いと考えているのである。実際エアコンから出る冷気に触れるとすぐに彼らは風邪をひいてしまう。むしろ日光に触れることの方が大好きなのである。だから、気温が30度を超えているとしてもミラノの地下鉄、トラム、バスは冷房がついていない、つけていても弱風冷房、冷房設備が備わっていても敢えてエアコンをつけないこともざらにあるのだ。日本ではありえない環境。しかし、このような環境でも彼らはスーツやジャケットを着用する。

それでいて着こなしからは不思議と「清潔感」が伝わってくるのはなぜだろうか?彼らのシャツをまじまじと見ると、アイロンがピシッとあてられている。週末に家の近所を歩くとクリーニング屋からシャツを引き取ってきたUomoたちと道端でよくすれ違う。目を奪われるのはその引き取ってくるシャツの枚数が半端ではないぐらい多いということだ。つまり、シャツを着る時はアイロンをあてているものを着るのは当然としているのだ。そしてズボンも綺麗にアイロンがあてられているのである。しわだらけの服装は彼らにとっては考えられないことなのである。服への愛情の注ぎ方が清潔感のある着こなしにつながっているのだ。
そして、何よりも色の統一感からくる清潔感は抜群に素晴らしい。基本的に彼らのトータルコーディネートは3色以内で納めている。だからスーツに着るシャツは白色か青色であるのだ。ちょっと変化を加えたとしても白地に青色のストライプ程度なのである。そしてネイビーのネクタイ、小紋ちょうのネクタイを合わせてくるのだ。ここさえ押さえておけば誰もがイタリアスタイルになれるかと思いきやそうではない。ここに彼らはワンポイントを入れてくるのである。それもさりげないワンポイントを。ネクタイをはめないなら胸元にチーフをさしたり、靴はとびっきりお洒落なデザインだったり。もしくは、メガネのデザインがアクセントのあるものにしたりするのだ。色の統一感、清潔感を引き立てるワンポイントの入れ方は抜群に素晴らしいのだ。頭のてっぺんから足の先まで見事に整えてくるのである。デザインの奇抜なものは好まない。シンプルなデザインを選んでいるのだ。日本はこの時期クールビズでシャツスタイルに重きが置かれる。シャツの柄、襟の形、ボタンの色などにごてごてとしたデザインのシャツを着る人が多い。しかし、おそらくイタリア人Uomoたちを日本のこのビジネス環境に入れても、彼らは白シャツ、青シャツを着るであろう。それもシンプルなデザインのものを選ぶであろう。では、どうしてシンプルなデザインなのに彼らの着こなしは格好良いのか?

ミラノの男は「サイズ感」にこだわる

「サイズ感」とは。とにかく自分の体形に合わせたものを着ていることである。ここ最近はスリムシャツを着ているUomoたちを多く見るが、ただシャツの横幅のスリムだけの認識ではないのだ。縦のスリムつまり着丈の長さもよく考えているのである。シャツをズボンから出して着る時は長すぎず、短すぎず、程よい長さのシャツを選んでいるのだ。仮に長ければシャツをズボンの中に入れてスリムに見せているのである。日本人観光客をミラノ市内でよく見かけるが、ズボンからシャツを出している日本人男性ははっきり言ってやぼったい。なぜなら、着丈が長いシャツを着ているのでサイズ感のバランスが悪いのである。興味深いことに後ろから見た時、日本人の体形とイタリア人の体形はさほど大きな違いはないのだ。しかし、シャツの着こなしを見た時に、後ろ姿でイタリア人と日本人の違いをすぐに見分けることできてしまうのだ。Uomoたちは全体のサイズ感を重視しているのである。

ミラノの男は長袖シャツの「腕まくり」にこだわる

基本的にUomoたちはビジネスシーンでは半袖シャツを着ない。半袖を着る時はプライベートの時ぐらいだろう。だから暑い時でも長袖シャツを好んで着る。しかし、先ほども述べたが、イタリア人は夏の時期でもエアコンを好まない。だから、駅、電車の中、イタリア人が好きなBar(バール)は冷房が効いていないのである。そのような状況でも好んで長袖を着るのだ。ではどうやってその暑さの中で美しい着こなしを楽しむのか。それは、袖のまくり方を自分好みに合わせて調整するのだ。どれくらの幅で折るのか。腕のどこまでまくりあげるのか。その方法はそれぞれ人によって異なるのだ。ただ共通して言えることは、袖をまくり過ぎていないことだ。日本のビジネスマンは長袖を肩近くまでまくる人もがいる。まるで運動会で「ここぞ!」という時に出てくるお父さんのようだ。しかし、そのような人はミラノでは皆無である。”今の流行りの折り方“などというものは存在しない。誰もが自分に合った好きな折り方をしている。誰もが格好良いのだ。そして、Uomoたちは言う。「なんで半袖を着るの?」と。

ミラノの男は「着たい時に自分の着たい服を着る」

そして、イタリア人Uomoたちの着こなしの最大のポイントは、「着たい時に自分の着たい服を着る」ということである。こんなことがあった。昨年の9月初旬、ミラノは秋風が吹き始めた頃、といってもまだ日中の気温が25度前後という時期に革ジャンを着ているUomoがいたのだ。その着こなしは明らかに季節がずれているので絶対に浮くと思いきや全然浮かないのである。なぜだろう。その理由のひとつ目は、先ほど述べた通り、頭から足のつま先まで見事な色の統一感がありそのスタイルが格好良いのである。そしてふたつ目に、彼は「今、この服を着たい!」という思いを実行しただけ。着こなしによって自分を表現するという当たり前のことをしただけなのである。当たり前のこと。自然なことゆえに浮かないのである。そのため、ミラノでは日々紳士服のウインドー越しにマネキンのスタイルから勉強しているUomoたちをよく見かける。いわば個性の表現を常日頃勉強し楽しんでいる。だから、街ゆくUomoたちは素晴らしい着こなしをしている人に「Ti sta bene!!Che elegante!!!(おっ、すごく似合っているね。とってもエレガントだね!!)」と言うのである。そうすると言われた本人は「Grazie!!!(ありがとう!!!」と返答してお互いに満面の笑みをするのだ。褒められた本人は自分の着こなしが認められているのでもちろん嬉しい。人の着こなしをチェックしてそれを褒める。そのような相乗効果もあるので、着こなしの追及を彼らは止めないのかもしれない。これは日本人男性も学べる点だろう。是非、自分が今着たい服を着て堂々と街に出てみよう。最初は抵抗があるかもしれない。しかし毎日実践するなら、それが「あなたの個性。」と周りからも認められるであろう。このことを日々実践している、これこそがイタリア人Uomoたちの本当の着こなしの極意かも知れない。

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