スーツに合わせるコートは、ビジネスシーンやオフシーン、冠婚葬祭などシチュエーションにより選び方が異なり、その着こなしや作法をわきまえてこそ大人に相応しいお洒落なスタイルが完成する。今回は「スーツに合わせるメンズコート」にフォーカスし、シーンにあったデザインの選び方とおすすめアイテムを紹介!
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スーツに合わせるべきコートの色味は?
スーツに合わせるべきコートの色味は、シーンによって作法や着こなしが異なるように選択肢が異なる。一般的にグレースーツとネイビースーツが主力となるビジネスシーンでは、黒、グレー、ネイビー、ベージュなどベーシックカラーが良しとされ、華美でない無地が一番無難。もちろん柄の主張が控えめなら無しではないが、優先順位としては無地より低め。スーツの上にコートを着用したまま仕事をする場面はどんな業種であろうと考えづらいが、ビジネススーツに合わせるコートの色味は無地のベーシックカラーがもっとも有力な選択肢となるだろう。一方で、作法が重んじられる冠婚葬祭の礼装用コートは慶弔どちらの場合も黒が基本。通常、喪服となるブラックスーツの上には黒のコートを合わせ、結婚式のフォーマルスーツには黒、ネイビー、グレーの色味のチェスターコートやトレンチコート、ステンカラーコートを合わせるのが常道だ。お祝いごとも弔いごとも参列者でありながら、目立ってしまうような派手さは禁物。作法やルールに縛られることのないオフシーンでさえ、スーツの洗練度を損なうような色柄コートは有力な選択肢にはなり得ない。
スーツ姿によく似合うコートの種類とは?
スーツと相性の良いコート①「ステンカラーコート」
デザインがシンプルかつもっともベーシックなステンカラーコートは、ビジネスコートの代表格。基本的に比翼仕立て(フライフロント)のシングルブレストでどんなビジネススーツにも合わせやすく、装飾のないミニマルなデザインのためいい意味でクセが無く、冬はもちろん春秋にも長いスパンで着用可能だ。日本では特にビジネスコートのイメージが強いため、オフシーンでスーツの上に着用すると堅苦しい雰囲気やもの足らなさを感じてしまうかもしれない。クラシックなスタンカラーコートは一般的にセットインスリーブではなくラグランスリーブで、作りも若干ゆったり目。トップボタンを外す着こなしによりネクタイのノット部分を見せられるので、タイドアップしたスーツスタイルとの相性も抜群だ。
スーツと相性の良いコート②「チェスターコート」
スーツジャケットの襟型とそっくりで、スーツとのペアリングがスマートにキマるチェスターコート(チェスターフィールドコート)。クラシックなアイテムは上襟がベルベット生地になっており、フォーマルコートとして冠婚葬祭にスーツの上にも着用可能だ。昨今では幅広い着こなしができるようチェスターコートの上襟は、ベルベットではないものが主流となっており、オンオフ問わずスーツに合わせやすいコートの最右翼と言えるだろう。
スーツと相性の良いコート③「ベルテッドコート」
装備されたウエストベルトの調節により、シルエットをアレンジできるベルテッドコート。まるでローブのようにスーツの上から羽織りやすく、ウエストをシェイプすることでスーツの着こなしでは得難いメリハリのあるマスキュリンなシルエットを演出し、スタイリングの重心に変化を加えることも可能となる。フロントをしっかりと閉めてベルトをきっちり締めるも良し、フロントをオープンのままベルトを締めて抜け感を演出するも良し。ウエストを絞めずにベルトをだらりとルーズに垂らせたり、フロントをオープンのまま後ろで結んでウエストをシェイプしたりとベルトのあしらい方もお好み次第だ。
スーツと相性の良いコート④「アルスターカラーコート」
チェスターコートと並び最もドレッシーかつクラシックなムードを醸すアルスターカラーのコート。スーツとの合わせによる見栄えの良さは格別で、主に厚手のウール生地が使用されているため保温性・防寒性も抜群だ。デザインはダブルブレストのチェスターコートにそっくりだが、上襟の部分が下襟よりも大きいアルスターカラーが特徴で、Vゾーンをグラマラスに演出。主にポロコートやPコートで採用されることが多いディテールだ。襟を立てることにより、顔まわりの印象を大胆にアレンジするのにももってこい。
スーツと相性の良いコート⑤「トレンチコート」
第一次世界大戦時にイギリス軍が使用した軍用コートを出自とし、今ではすっかりビジネスコートの定番となったトレンチコート。エポーレット、ガンフラップ、スロートラッチ、アンブレラヨーク、アームベルトやDかん付きのウエストベルトなどミリタリー由来の象徴的なディテールが数多く、スーツに合わせられるコートとしては最も装飾性が高くスタイリッシュなイメージで存在感もバツグンだ。コートの上部に象徴的なディテールが集中しているため、ベルテッドコートよりもベルトのあしらい方はあくまでも“すっきり見せてさりげなく”がお約束。とりわけスーツに合わせる際は、ウエストベルトでギミックを効かせることなくサラリとスマートにこなしたい。
スーツに合わせるコートの選び方とは?
スーツに合わせるコートは、スーツの上に羽織ってもすっきりとしていて着用感にストレスがなく、スーツにシワができたりしないようなジャストサイズを選ぶことが肝心だ。スーツの洗練さを毀損してしまうような、ダボダボのサイズ感や窮屈感のあるコートは以ての外。まずはどんなスーツにも馴染みやすいシンプルで汎用性の高い無地のベーシックカラーをワードローブに加えておいて、2着目以降に色柄や素材感に特徴のあるコートでスーツとの合わせに表現力を持たせたい。
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