
1850年代前後から着られていたケープ型のレインコートをルーツとし、後ろの高い衿腰から前にむかって下がるように折り返すスタンドフォールカラーが特徴のステンカラーコート。ラグランスリーブと比翼仕立てを基本としたシンプルなデザインで、ビジネスからオフカジュアルまで様々な装いにフィットするクラシックなオーバーコートの代表格だ。今回はそんな「ステンカラーコート」にフォーカスし、注目の着こなし&おすすめアイテムをピックアップ!
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ステンカラーコート(バルカラー/バルマカーンコート)とは?
正式名称は「バルマカーンコート(Balmacaan Coat)」。スーツなどテーラード系アイテムに強いファッション誌では「バルマカーン(コート)」という表現が多用されるのでご存知の方も多いかもしれない。後ろの高い衿腰から、前にむかって下がるように折り返る一枚衿が特徴のコートだ。ちなみに「ステンカラーコート」という言葉は和製英語であり、スタンド・アンド・フォール・カラーがなまって生まれたという説が有力。他には、フランス語のsoutien(支える)から来ているという説も。海外ではステンカラーのコートの括りを詳しく定めていないため「Overcoat」「Rain coat」と特に他の種類のコートとは呼び分けないケースも多い。
ステンカラーコートはスコットランド生まれ!
ステンカラーコートは正式名称「バルマカーンコート」からも類推される通り、スコットランドに存在する地名「バルマカーン(Balmacaan)」から生まれたコートだ。もともとはレインコートの一種として誕生したコートであり、トレンチコートから派生したという説も存在する。
ステンカラーコートの特徴とは?
素材とカラーリングのチョイスによって、数多くのシーンでも活用できるステンカラーコートはワードローブに一着は備えておきたいアイテムのひとつだ。一般的に無地のものが多く、素材はウール、カシミア、綿、ポリエステル、ナイロン。カラーはブラック、ネイビー、グレー、ベージュ、カーキなどが存在し、丈も股から膝丈まで様々なバリエーションが存在する。なかにはトレンチコートを彷彿とさせるような腰や袖のベルトが付属しているものも。
続いては「ステンカラーコートのクラシックディテールをおさえることで自分好みの一着を選ぶ基準になるのではないだろうか?」という視点で、クラシックなステンカラーコートに共通する3つの特徴を紹介。
ステンカラーコートの特徴①「シャツのような折り返しのシンプルな一枚衿」
この衿の最大の特徴は、衿腰(衿の折り返しから下の、首に沿って立っている立ち代の部分)が高く、前が低い状態で折り返る一枚で出来た形状だ。さらに第一ボタンを開いた襟の形状は「バルカラー」とも呼ばれている。
ステンカラーコートの特徴②「継承されたラグランスリーブはクラシックなディテールの一つ」
ラグラン・ケープから派生して生まれたステンカラーコートの袖は、ラグランスリーブ仕様になっているものがクラシックと言われている。ラグランスリーブとは、クリミア戦争で活躍したラグラン将軍が右手を負傷した際、簡易な着脱を目的に採用したものだ。
ステンカラーコートの特徴③「シンプルなデザインをより洗練させる比翼仕立て(フライフロント)」
ステンカラーコートは、前立てのボタンを全て閉めたとき、第一ボタン以外のボタンは表面に出ない仕様の比翼仕立てになっている。ボタンが隠れることで、品のある表情を演出。第一ボタンは全て締めた状態に見えるアクセントとなり、開いた状態では目立たずにスマートな印象を打ち出せる。
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