
ジャケパンスタイルにおいてジャケット選びと等しく重要な要素になってくるのがパンツ選びだ。ジーンズやチノパンを合わせてカジュアルな装いを作り上げるのも一興だが、美しいシルエットでドレッシーな雰囲気を演出してくれる「スラックス」を使った着こなしはハズせないだろう。今回はスラックスを選ぶ上で注目したいポイントから、ジャケパンスタイルに取り入れたいドレッシーなアイテムを紹介!
2018年のスラックスは「サルトリア」が旬なキーワード!注目したいポイントをピックアップ
サルトリアとは、イタリア語で「仕立て屋」や「テーラリング技術」という意味をもつ。今シーズンは、そんなサルトリアの要素を多く備えたスラックスが各ブランドから豊富に展開されている。まず始めは、サルトリアのキーワードが反映された旬なスラックスの注目ポイントを3つピックアップ!
スラックスの注目ポイント①「太もも周りにゆとりを持たせたテーパードシルエットが旬」
数年前までメインストリームであったスリムシルエットは過去のものとなり、昨今ではウエスト周りにゆとりを持たせたテーパードシルエットが人気を集めている。ゆったりとした腰回りから裾に向かって絞られていく特徴的なシルエットは、幅広いスタイリングに絶妙にフィット。テーラードジャケットはもちろん、トレンドであるオーバーサイズのトップスにも難なくハマる。
スラックスの注目ポイント②「プリーツ入りパンツがメインストリームに」
スーツのパンツにおけるトレンドを象徴するディテールのひとつが「プリーツ(タック)」だ。昨シーズン、各セレクトショップに並ぶスーツのパンツはノープリーツとプリーツ入りのデザインが半々程度の割合で展開されていた印象が強いが、今シーズンになってプリーツパンツがメインストリームに。よりクラシックな表情のツープリーツや深いプリーツの仕様など、ブランドやモデルによってデザインも様々だ。
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スラックスの注目ポイント③「ウエスト周辺は、よりクラシックなディテールのデザインが揃う」
クラシックなサルトリアの雰囲気漂うディテールを多く取り入れたスラックスは、ウエスト周辺の印象が大きく変化してくる。例えば、下の画像のようなベルトレス仕様のサイドアジャスターが施されたスラックスはわかりやすい。ベルトループが省かれているため、ウエスト周りがスマートな印象に仕上がっている。コインポケットやブレイシーズボタンのデザインもサルトリアテイストを演出するディテールのひとつだ。前立てやマーベルトなど、快適な履き心地を実現する裏の仕様もより手の込んだクラシックデザインが増加傾向にある。
続いては、注目のスラックスを紹介!
PT01(ピーティーゼロウーノ) スラックス TRAVELLER
2008年にイタリアのトリノで創業したパンツ専業メーカーPT01。ファッションスナップでもおなじみのドメニコ・ジャンフラーテ氏がディレクターを務めることでも知られているブランドだ。そんなPT01が誇るドレスパンツ「TRAVELLER」をピックアップ。ビジネスマン向けに作られたこのパンツはスリムシルエットながらもストレッチのきいた生地がストレスフリーな履き心地を実現している。モバイル用ポケットやパスポートポケットなどの機能的なディテールも多く兼ね備えており、アクティブなビジネスマンの相棒として大いに活躍が期待できる一本だ。
INCOTEX(インコテックス) スラックス N35
1951年にパンツメーカーとして設立されたINCOTEX(インコテックス)。確かな素材選びと巧みな裁断縫製技術で、世界の名だたる一流メゾンの生産も手がけるイタリアの名門パンツブランドだ。日本でベストセラーとなったJ35をリニューアルし、ニュースタンダードとなったモデルが「N35」。イタリアで人気のモデル「30」の流麗なテーパードシルエットにJ35の日本人向けのディテールをミックスしているため、日本人の体型に絶妙にフィットするパンツとなっている。ちなみに型式につくNは、「Nippon(日本)」と「Nuovo(新しい)」の頭文字を取ったもの。
G.T.A(ジーティーアー) スラックス BAYRON
細部にまでこだわったパンツ作りでイタリアを代表するパンツブランドとして知られているG.T.A。そんなG.T.Aから「BAYRON」をピックアップ。もともとはBEAMSのエクスクルーシブモデルであったが、絶大な人気を集めたことから現在ではブランドの定番モデルに。1プリーツが入ったほどよい具合にゆとりをもたせたシルエットが人気の秘密。サマーウールを使用しているため、春夏のドレススタイルを際に有力な選択肢になるだろう。
giab’s ARCHIVIO(ジャブス アルキヴィオ) スラックス VERDI
イタリアのトラウザーズ専業ファクトリーGIAB’S社を母体に、2012年にスタートしたトラウザーズ専業ブランドgiab’s ARCHIVIO(ジャブス アルキヴィオ)。2014年には中新井淳平氏がディレクションに加わることで、日本とイタリアの感覚がミックスされた現代的かつ革新的に進化を遂げ、イタリアでも大きな注目を集めている。そんなジャブス アルキヴィオの代表的モデルである1プリーツパンツ「VERDI」。プリーツで腰回りにはゆとりを持たせながらも、テーパードのかかったシルエットがストレスフリーなドレススタイルを演出してくれる。
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VIGANO(ヴィガーノ) スラックス CONTEMPORARY collection
イタリアのパンツブランド「VIGANO(ヴィガーノ)」。クラシックなトラウザーズのOEMを中心に顧客の信頼を築き、90年代にオリジナルブランドを打ち出してからはモダンなデザインのアイテムで名を広めている。そんなVIGANOのコンテンポラリーコレクションは、深めの股上に2プリーツが入ったゆとりあるデザインが特徴。裾にかけてテーパードをかけたシルエットが今の気分にハマる一本だ。また、手洗いもできるウォッシャブル仕様でシワになりにくいトラベラーパンツというのも嬉しいポイント。
BERNARD ZINS(ベルナール ザンス) スラックス V3
1967年フランス北部の街ランスにて創業した高級パンツ専業ブランド「BERNARD ZINS(ベルナール ザンス)」。「V3」はインプリーツを採用した、定番のスリムフィットスラックスだ。フランスではインプリーツが主流となっており、同ブランドのパンツも多くのモデルがインプリーツ仕様。アウトプリーツとは違った表情が楽しめる一本だ。ウインドウペーンは線の色の濃さにあえてムラを出しており、こなれ感溢れる雰囲気を演出してくれる。
SOLIDO(ソリード) スラックス CERIO
2010年よりスタートしているパンツブランドSOLIDO(ソリード)。ゆったりとした腰周りのボリュームとソリード特有のテーパードシルエットが特徴的なスラックスをピックアップ。プリーツのディテールに加えて、Dカン仕様やフラップ付きのバックポケットデザインがウエスト周りに華やかな雰囲気を演出してくれる。
BERWICH(ベルウィッチ) スラックス RAFFI
ベルウィッチは、イタリア・プーリア州マルティナフランカのパンツ専業ファクトリーICOMAN 2000 s.r.l.が2004年にオリジナルブランドとして立ち上げたブランド。定番ラインであるRAFFIはスマートなシルエットが特徴の2プリーツパンツだ。細やかなヘリンボーンが配されたスモーキーな色合いがこなれ感のある表情に。
ZANELLA(ザネッラ) スラックス DANNY
1954年に創業したイタリアのパンツ専業のファクトリーブランド「ZANELLA(ザネッラ)」。現在でもMade In Italyを貫く貴重な存在だ。今回ピックアップしたDANNYは1プリーツ&ベルトレスというクラシカルなデザインをモダンに仕上げた一本。深めに入ったボックスプリーツでゆとりを持たせたワタリから、ゆるやかなテーパードをきかせたシルエットがエレガントなスタイルを演出してくれる。
ALTEA(アルテア) スラックス COPPER
イタリア・ミラノ発祥のファッションブランドALTEA(アルテア)。19世紀末から続く老舗で、元々はネクタイの個人商店がルーツである。2017AWから展開を開始したCOPPERは、表地だけでなく裏地にもストレッチ性を備えた抜群の履き心地が特徴。同デザインのジャケットもリリースされており、セットアップとして着こなすことも可能だ。
GERMANO(ジェルマーノ) スラックス 29(JAPAN SLIM FIT)
1952年にイタリアのナポリ近郊サレルノで始動したパンツ専業ブランド「GERMANO(ジェルマーノ)」。MADE IN ITALYでありながらリーズナブルな価格を実現させており、イタリアらしい細身のテーラードパンツを得意としている。そんなジェルマーノの「29」は、サルトリアテイストを取り入れたベルトレスのサイドアジャスター付きで、内側にはサスペンダーボタンを兼備。深く入った2プリーツがクラシックな雰囲気を漂わせるスラックスだ。
THE GIGI(ザ ジジ) スラックス TONGA
2014年にイタリアのブレーシャで誕生した「THE GIGI(ザ ジジ)」。ボリオリの元デザイナーであるピエルイジ・ボリオリ氏(通称ジジ)が、兄のマリオ・ボリオリ氏とともに立ち上げたブランドだ。そんなTHE GIGIのTONGAは、ウエストからワタリにかけてゆとりを持たせたシルエットとアンクル丈のレングスがメリハリのある印象を与える1プリーツスラックス。ブランドの代表的なモデルであり、デザイナーのピエルイジ氏本人の着用頻度も高いという。
BRIGLIA 1949(ブリリア) スラックス BG07W
イタリアのナポリを拠点とするパンツ専業ブランド「BRIGLIA1949(ブリリア)」。クラシックなディテールを採用しながらも、トレンドを巧みに取り入れたアイテムが人気を集めている。BG07Wは1プリーツで腰回りに適度なゆとりを作りながらテーパードをかけたモダンなシルエットのスラックス。フロントはボタンフライ仕様になっており、ブランドの特徴であるクラシック×モダンを反映させた一本だ。
JACOB COHEN(ヤコブコーエン) スラックス J620 LUXURY CLASSIC EDITION
シルエットの美しさに定評のあるイタリアのデニムブランド「JACOB COHEN(ヤコブ コーエン)」。同ブランドの代表的なジーンズJ620を、カノニコ社のウールを使用して仕立てたLUXURY CLASSIC EDITIONをピックアップ。股上が浅く設定されているため、ブランドの特徴である美シルエットがよりハッキリとしたスラックスだ。オリジナルがジーンズということもあり、5ポケットデザインを踏襲。一般的なスラックスとは一味違った一本になっている。