
ローファーの中でも高い人気を誇る大人革靴の定番「タッセルローファー」。発祥元でもあるアメリカブランドからイタリア、英国ブランドまで選択肢は幅広い。今回はタッセルローファーにフォーカスして、歴史を深掘りしながらおすすめのアイテムを紹介していく。
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単なる飾り付きのローファーではない?タッセルローファーとは
タッセルローファーとは、アッパーに房飾り(=tassel)が付いた装飾的なローファーのこと。これは、単なる飾り付きのローファーとして生まれたわけではなく、背景にあったのは、戦後アメリカで加速した服装の軽快化だと言われている。若い世代を中心に、紐靴ほど堅苦しくなく、それでいてコインローファーよりも上品に見える靴が求められた時代に、タッセルローファーは、まさにその隙間を埋める存在として登場した一足であった。誕生の時点から「きちんとして見える快適靴」という役割を背負っていたわけだ。では、そのデザインはどういった経緯で生まれたのか、次項から歴史に沿って解説していく。
タッセルローファーの誕生秘話きっかけは俳優の特注靴だった
タッセルローファー誕生のきっかけになったのは、ハンガリー出身の俳優 ポール・ルーカスがヨーロッパで手に入れた、靴ひもの先に房飾りが付いたレースアップシューズだった。ルーカスはそのデザインを気に入り、1948年にニューヨークの靴店 Farkas & Kovacsへ製造を依頼する。そこで生まれた試作は見た目こそ魅力的だったものの、履き心地には満足できなかったため、彼はさらに別の靴店へ改良を求めた。すると、その依頼先がそろってAlden(オールデン)へ製作を持ち込んだことで、現在につながる系譜が動き出した。
紐靴とローファーの良いとこ取り!オールデンが“ローファー化”して完成形に
この歴史で重要なのは、オールデンが元の靴をそのままコピーしたわけではないということだ。オールデンは原型のレースアップ靴の発想を残しつつも、靴のベースをスリッポンタイプに転換。靴ひもは機能ではなく装飾へと役割を変える発想で、房飾りとともに履き口まわりへ配されることで、より洗練された新しい靴として再設計されたのである。こうしてタッセルローファーは、紐靴の優雅さとローファーの気軽さを同時に備えた独自のポジションを獲得。完成したものは1950年にはオールデンのラインナップへ正式に加わった。
ブルックスブラザーズの功績も1950年代、アイビーファッションの文脈で市場拡大
タッセルローファーがファッションアイテムとして定番化した理由は、デザインの新しさに加え、市場の活性化にもある。1950年代のアメリカでは、すでにコインローファーが大学生の足元に浸透しており、そこに“もう少し大人っぽいローファー”としてタッセルローファーが登場。オールデンは発売後すぐに多素材、多色展開で市場を拡大し、アイビーリーグの学生たちから、都市部の洗練された大人まで支持を広げていく。そして、アメトラの代表格であるBrooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)がこの市場に参入した。1957年にブルックスブラザーズが独自のモデルを発売したことで、アイビーリーグをはじめとしたアメリカ東海岸の学生たちの間で大流行。これによって、タッセルローファーはアメリカントラッドの文脈で文化的なポジションを確立した。
エリートの靴として認知転換なぜ“弁護士の靴”と呼ばれるようになったのか?
アイビーリーグを中心に学生たちの間で大流行したタッセルローファー。名門大学を卒業した彼らは法曹や金融といった業界に多く進み、キャンパスで装っていたスタイルをそのままに、紐靴のようにフォーマルかつローファーのように軽快な革靴としてタッセルローファーを好んで履いたことから「弁護士の靴」や「ウォール街の靴」と呼ばれるようになった。日本はアメリカの文化に強く影響されていることから、日本でもタッセルローファーを履いたビジネスマンをよく見かけるが、基本的にはカジュアル靴の位置付けで、ビジネスシューズとして積極的に履くのは日本とアメリカが主だ。
続いては、おすすめのブランドからタッセルローファーをピックアップ!
おすすめのタッセルローファー10選
おすすめタッセルローファー1Alden「563」
上の項目でも触れたが、タッセルローファーを語る上でオールデンというブランドは絶対に外せない。今回ピックアップしたのはブランドの中でも定番のタッセルローファー 563。元祖でありながら完成されたデザインに、ホーウィン社のコードバンを使用しており、まさにオールデンの魅力が詰まった一足と言っても過言ではないだろう。
おすすめタッセルローファー2Crockett & Jones「CAVENDISH」
タッセルローファーを探すのであれば、クロケット&ジョーンズのキャベンディッシュも外せない選択肢だ。オンオフを問わずに活用すること間違いなしなモデルで、シャープなシルエットが特徴。ほどよいボリュームのラウンドトゥがエレガントな印象を演出する。
おすすめタッセルローファー3Church's「TIVERTON」
チャーチの定番タッセルローファー「ティバートン」。コインローファーにタッセルを取り付けたようなカジュアルなデザインが特徴で、タン部分の鋸歯状のギザギザディテールが男心をくすぐる武骨なムードを醸し出す。デニムなどとも相性が良いデザインなので、ラフにカジュアルコーデで履きたいという方は、こんなデザインのタッセルローファーを選んでみては?
おすすめタッセルローファー4Tricker's「ELTON CASTORINO」
細めのラストを採用したシャープなシルエットに、重厚な仕様のソールを搭載したトリッカーズのタッセルローファー「エルトン」。肌触りがよくなめらかな質感のスエードレザーが上品な雰囲気を醸し出す。トリッカーズといえばカントリーブーツが有名だが「あえてトリッカーズでタッセルローファー」という意外な選択で個性を打ち出す意味でも有力な選択肢になるかもしれない。
おすすめタッセルローファー5DOUCAL'S「GLASGOW」
1972年、イタリアのマルケ州にてマリオ・ジャンニーニ氏が創業したイタリアンレザーシューズブランド「DOUCAL’S(デュカルス)」。クラシックな定番シューズを主体としながらもトレンドを取り入れたモードテイルとのアイテムも展開することで知られている。そんなデュカルスからピックアップしたタッセルローファーは、房飾りがくくりつけられたリボン状のサドルが特徴。タッセルとの組み合わせがドレッシーな印象を与える。
おすすめタッセルローファー6Loake「BRIGHTON」
創業から130年以上経過した現在もイギリスでもっとも美しく履き心地の良い耐久性に優れた紳士靴を作ることをコンセプトに、同じ工場、製造工程、素材へのこだわりを守り生産を行なっているLoake(ローク)。2007年には、英国王室御用達ブランドとしてロイヤルワラントを受けている。そんなロークのBRIGHTONは、ブランドを代表する定番タッセルローファー。厚底のクリアラバーソールが最大の特徴で、耐久性に優れるだけでなく柔軟性のある歩きやすさを着用者に提供する。
おすすめタッセルローファー7SANTONI「Andrea」
イタリア発祥のシューズブランド「サントーニ」。イタリアにおいてもイギリスにおいても、一流とされる革靴ブランドの多くが100年以上の歴史を重ねている中、サントーニはその半分以下の期間でトップブランドの仲間入りを果たしたブランドとしても知られている。今回ピックアップしたローファーはエナメルのような光沢が眩しいポリッシュドレザーを使用した存在感バツグンの一足。履き口が広く、丸みを帯びたヒールでエレガントな印象を与えるデザインが良い感じだ。
おすすめタッセルローファー8Dr. Martens「ADRIAN」
1945年にドイツ軍に属していた医師、クラウス・マーチン( Klaus Martin)氏の手によって生まれたシューズブランド。エアークッションの効いた「バウンジングソール」と、靴底を一周するように施されたイエローステッチはあまりにも有名だ。タッセルローファーモデルのADRIANにも、そのバウジングソールとイエローステッチのディテールは健在。キルトとタッセルの装飾を組み合わせてインパクトのあるデザインに仕上げられている。
おすすめタッセルローファー9G.H.BASS「11015H LARKIN」
世界で初めてローファーを作ったブランドとして知られているアメリカの老舗シューズブランドG.H.BASS(ジーエイチバス)。マイケルジャクソンも愛用していたとされているコインローファーが有名だが、タッセルローファーも人気銘柄の一つだ。こちらは、小ぶりなタッセルでミニマルな表情に仕上げられた定番モデルLARKIN。G.H.BASSのシャープなラウンドトゥやアイコニックなモカシン縫いは、タッセルデザインと好相性だ。コインローファーとはまた違った上品なデザインを楽しめる。
おすすめタッセルローファー10Berwick「4340」
高いクオリティかつ手の届きやすいリーズナブルな価格で人気を集める、スペインの革靴ブランドBerwick(バーウィック)。バーウィックのタッセルローファーはスペイン靴ながら、元祖オールデンのタッセルローファーを意識して作られており、アメリカらしいムードを漂わせるボリュームのある逸品だ。アッパーはポリッシュドバインダーカーフを使用しており、まるでコードバンかのような高級感あふれるツヤ感を見せる。
↓過去に公開したタッセルローファーの記事はこちら。

































