ローファーの歴史はここから始まった!G.H.BASSが開発した世界初のローファー「Weejuns(ウィージャンズ)」とは
世界で始めてローファーを作ったシューズブランドとして有名なG.H.BASS。ローファーのルーツには諸説あるが、ノルウェーの靴職人がこのデザインで作成した靴が有力なもののひとつ。「Aurland moccasin」と呼ばれたそのノルウェーモカシンはヨーロッパ諸国に輸出され、当時ヨーロッパに滞在していたアメリカ人にも注目された。G.H.BASSの創業者ジョージ・ヘンリー・バス氏は、シールレザー(アザラシの革)のノルウェーモカシンを雑誌編集者から贈られたことをきっかけに、開発に着手。野原で使用されるノルウェーのスリッパータイプのモカシンが名前の由来となり「WEEJUNS(ウィージャンズ)」という名で発売した。この1936年に誕生したウィージャンズこそが、世界最初のローファーといわれている。
ちなみに、履き口が広く、紐もなく、着脱が簡単なことから「怠け者(Loafer)」が由来とされている「ローファー」という商標は、元々はNYシューズブランドのNettleton(ネトルトン)が1937年に取得したもの。G.H.BASSはウィージャンズの商品名で販売していたが、現在ローファーと呼ばれているシューズのデザインは、BASSのウィージャンズのことを指す。
G.H.BASSのWeejunsはキングオブポップと称されるマイケル・ジャクソンも愛用したローファーの名作
当初、アメリカでは夏の室内靴として使用されていたローファーだが、1950年代に急速に浸透。特にアイビー・ルックの重要なアイテムとして認識されるかたちで大流行した。アメリカの学生が1セント硬貨(ペニー)をG.H.BASSのウィージャンズのサドルに差し込んだことがきっかけで、「ペニーローファー(コインローファー)」という呼び名が生まれたという説もある。日本では1960年代にアパレルメーカーのヴァンヂャケットが持ち込むことで一世を風靡。1970年代から1980年代には、あのマイケル・ジャクソンがG.H.BASSのウィージャンズを履いて名曲「スリラー」のミュージックビデオに登場。ローファーに白いソックスを合わせるというマイケルの着こなしが新しいスタイルとして流行を呼び、それを機にセカンドウェーブとして再び大ヒットをもたらした。
G.H.BASSのローファーはその後、アメリカや日本ではカジュアルファッションだけでなくスーツにも合わせられる革靴として定着していく。現在、生産拠点こそ米国外になったものの、長い歴史が培った技術と靴へと向かう精神は今なお健在。今ではあらゆるシューズメーカーがローファーを展開しているが、G.H.BASSのウィージャンズはその元祖なのである。
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