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トラックジャケットとは?歴史と大人のためのメンズコーデ事例を紹介

トラックジャケットとは?歴史と大人のためのメンズコーデ事例を紹介

時代の変化と共にあらゆるMIXスタイルが容認され、ファッションアイテムとしての市民権を確立した感があるスポーツウェア。なかでも「トラックジャケット」は季節の変わり目の春秋用アウターとして活躍を期待できる定番アウターだ。

日本では“ジャージ”と呼ばれるアスレチックウェア陸上競技・球技のアスリートの準備&待機服だった「トラックジャケット」

トラックジャケットという名称は、その言葉が示す通り「トラック競技」と深く結びついている。陸上競技や球技などの競技者が、試合前後に体温を保つために着るウォームアップ用のアウターを指し、スポーツウェアの中でも“準備と待機”に特化した存在だった。その目的上、着脱しやすいフルジップorハーフジップ仕様であることが前提となり、襟は風を防ぎながらも視界や顔周りの動きを妨げないスタンドカラー型に落ち着いていく。袖口と裾には伸縮性のあるリブが施され、競技者の手首や腰回りから熱が逃げにくいよう設計されていた。
(写真:1960年 ローマ五輪の陸上1,500mで金メダルを獲得した、豪 ハーブ・エリオット)

写真:AP/アフロ

素材に関しては、現在ではポリエステルやナイロンといった化学繊維が一般的だが、初期の段階ではコットンジャージーやウール混のニット素材も使用されていた。「ジャージ(jersey)」という言葉そのものは、19世紀ヨーロッパで使われていた伸縮性のある編み物の総称に由来し、日本ではその素材を用いた上下セットの運動着を「ジャージ」と呼ぶ習慣が根付いた経緯がある。つまり、「トラックジャケット」はアイテムの名前であり、「ジャージ」は元来、生地の呼称であって両者は本来同義ではない。ただし日本では学校体育や部活動と結びついた結果、両者の区別は長らく曖昧なままだった。

トラックジャケットの視覚的な特徴としては、前述のフルジップ・立ち襟・袖リブ・裾リブに加え、肩から袖へ走るラインテープ、胸元や背面へのロゴ配置が挙げられる。これはチームやブランドの識別、あるいはスポンサー露出を目的として発展した意匠であり、その延長で今日のストリートファッションにおけるシンボリックな役割も担うように。セットアップで着用される“トラックスーツ”は、選手入場や移動時の統一感を重視した公式ウェアとして普及し、そこから単体ジャケットのみが街着として自立していく流れが生まれた。では、ファッションアイテムとして認知されるにはどういった流れがあったのだろうか?その歴史的背景を紐解いていく。

1967年、アディダスがスポーツ服を“ファッション”に変えた瞬間ドイツの“皇帝” ベッケンバウアーの名を冠したトラックスーツの発売で大衆へ

トラックジャケットが確立する前、選手たちはウールや厚手コットンといった重めの素材からなる運動着を着用していた歴史がある。19世紀から20世紀初頭にかけてスポーツが余暇活動から競技文化へと変貌を遂げる中で、試合前後の体温管理や動きやすさを確保するための衣服改良が模索されていた。上下で統一された“スポーツコスチューム”から、徐々に分離した上衣が用いられるようになったのが、トラックジャケットの礎である。

状況が大きく動いたのは、合成繊維がスポーツウェアに本格導入された1960年代である。ポリエステルやナイロンの登場によって、軽量で乾きやすい新しいトレーニングウェアが誕生したのだが、その象徴的な存在が、アディダスが1967年に発売した「ベッケンバウアー・トラックスーツ」だ。サッカードイツ代表の名手で、“カイザー(皇帝)”と称されたフランツ・ベッケンバウアー氏をモデル名に冠したこのウェアは、ジャージー素材とジップアップの利便性を兼ね備え、競技者だけでなく一般消費者にも広く浸透していった。

翌1968年には、“プージャ”も誕生!プーマからはアイコンとなるトラックスーツ「T7」が登場

アディダスのトラックジャケットと並ぶ存在として知られるのが、プーマのT7。これも同時期に誕生しており、プーマは1968年に「T7」を発表。肩から袖にかけて約7センチ幅のラインを走らせたアイコニックなデザインは、サッカー選手のみならず後年の音楽シーンにも広がり、トラックジャケットのデザインコードを決定づけた。FacebookのPUMAオフィシャルページでは、T7のショートヒストリームービーが公開されている(画像はキャプチャ)。

1970年代、アメリカで興ったウェルネスブームジョギング文化の流行で街角まで用途が拡大

1970年代、アメリカや都市部でジョギングが健康志向ライフスタイルの象徴として広がった。この文化的転換が、トラックスーツおよびジャケットをスポーツ用途から日常着へと押し上げる原動力となった。軽く動きやすい設計を備えたトラックウェアは、競技場から街角まで用途を拡げ、スポーツブランド各社はさまざまなカラーやデザインを施したラインを投入した。こうしてトラックジャケットは街着としての地位を固め始める。
(ジョギングは国全体で興った一大ブームであり、当時のPeople誌では、リー・メジャースとファラ・フォーセット夫妻がジョギングする姿が表紙になり、「Everybody’s Doing It(みんなやっている)」との見出しが付いた)

1980〜90年代にはヒップホップやUKカルチャーと接続RUN-DMCにOasis、Jamiroquaiらの着用でサブカルファッションとしてのポジションを確立

1980年代に入ると、一気にファッション的性格が強くなる。RUN-DMCをはじめとするラッパーたちが、アディダスのスリーストライプス・トラックジャケットを着用することで、ヒップホップカルチャーが音楽と文化の記号へと昇華。彼らはアディダスのスニーカーなども好んで身につけることで、“音楽の制服”を形成し、ブランドとストリートの結びつきを深めた。

写真:Iconicpix/アフロ

また、英国では1990年代のブリットポップとサッカー文化が融合する文脈で、フレッドペリーやアディダスのトラックジャケットが若者文化の象徴となった。Oasisのノエル・ギャラガーは特に好んでアディダスのトラックジャケットを身につけ、ファッションアイコンとしても広く認知。2000年代はジャミロクワイのジェイ・ケイがそのアイコンとなるなど、このトラックジャケットと音楽の結びつきは現代に至るまで強く残っている。

2000年代にはラグジュアリーブランドのコレクションにも登場するようにアスレジャーの隆盛で、サブカルチャーファッションからマスファッションに

2000年代に入ると、アスレジャートレンドが台頭。スポーツ的機能を併せ持つ服が日常着として重用され、トラックジャケットやサイドラインパンツはその代表格となった。多くのデザイナーズブランドがオーバーサイズ化や異素材ミックスなどを導入し、トラックジャケットをラグジュアリー層へも拡張。バレンシアガグッチなどのブランドが、トラックウェアにモード的解釈を重ねたことで、機能服の域を超えた表現となった。これによって、ヒップホップやロック文脈でのサブカルチャー的な性格が強かったファッション性が、マスファッションに浸透。近年ではアディダスとグッチのコラボが象徴的である。

トラックジャケットを大人がコーディネートする際のポイントは?

トラックジャケットをコーデに取り入れることのメリットは、「レトロなスポーツテイスト」と「軽やかでリラックス感のあるルックス」を演出できるということ。しかもストレッチ性に優れていて軽量でシワになりにくいジャージ生地のため、外出先でもシワを気にせず脱ぎ着しやすく、朝晩と日中の気温変化が著しい季節の変わり目に最適なライトアウターとして機能する。ただ、スポーツ感がかなり強く幼く見えてしまうこともあるため、コーディネートの妙で大人っぽく仕上げていきたい。

写真:Splash/アフロ

トラックジャケットを着た大人のメンズコーデ1ブラック合わせでシックかつ都会的に

これぞアスレジャーといった出立ちの米俳優のジャレッド・レト。アディダスとグッチのコラボトラックジャケットを纏い、Onのスニーカーを履いた都会型スポーツスタイルだ。デザインの主張が強かったり、ポップな雰囲気が多いトラックジャケットだが、ブラックアイテムでシックにまとめれば大人っぽい落ち着きある印象に仕上がる。

写真:Backgrid/アフロ

トラックジャケットを着た大人のメンズコーデ2色選びとパンツのテイストに注目!

大人の男性がトラックジャケットを街着としてスマートに着こなすなら、ダークトーンをメインにシックでアーバンな雰囲気にまとめるのがおすすめだ。ブラックやネイビーなどのベーシックカラーであれば、手持ちのウェアとも合わせやすく、様々なMIXコーデを楽しみやすい。スラックスの合わせも、ドローコード付きのスポーティーな顔立ちのイージースラックスなら、ミックス感とリンク感をどちらも楽しめるうえ、子供っぽさを感じさせない大人ならではの着こなしに。

トラックスーツのコーデは上級者向け!

トラックジャケットやトラックパンツの単品使いはスポーティーな街着として有力な選択肢だが、トラックジャケット×トラックパンツのセットアップ、所謂“トラックスーツ”を街着として取り入れるには難易度が高く上級者向け。それなりにお洒落なルックに落とし込むには、UKドリルやブリットポップといったカルチャースタイルに振り切って雰囲気を出したり、街着っぽさを出す小物使い、こなれ感のある着こなしテクニックが必要となる。何の手立てのないまま安易にコーデに取り入れるだけでは、単なる運動着に見えてしまうので要注意。あくまでも街着としての説得力をトラックスーツに持たせつつ、体操着スタイルと差別化することが重要だ。

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