
一般的に認知されているセットアップスーツだけでなく、ワークウェアやジャージなど上下揃いの服を総称するセットアップ。ドレスからカジュアル、スポーツからワークまで様々なスタイルを最速でコーディネートし、上下別々の単品アイテムとしても着回せる。今回は「セットアップコーデ」にフォーカス!
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英国王 チャールズ2世による「スリーピース」の革命衣服の簡略化によって生まれたスーツの原型
現代のスーツ、およびセットアップの概念を語る上で欠かせないのが、1666年の英国王チャールズ2世による宣言である。 当時、宮廷の服装はフランス風の過剰な装飾に支配されていた。これに対し、王は「ベスト(当時は袖付きの長い胴着)」の着用を義務付け、衣服の簡素化を断行した。これが上着・ベスト・ズボンの3点を組み合わせる「スリーピース」の原型となり、現代のセットアップへ続く「統一感のある装い」の第一歩となったのである。 (出典:British Museum / Charles II’s Dress Reform)
昔の“ダル着”が現代のビジネスウェアに?セットアップの先祖となるラウンジスーツが登場
セットアップの直接の先祖である「ラウンジスーツ(Lounge Suit)」が登場したのは1850年代である。 それまでの正装であった膝丈の長いフロックコートを切り詰め、動きやすさを追求したこの服は、当初「カントリーサイドや室内(ラウンジ)でくつろぐための非公式な服」として冷遇された(出典:V&A Museum)。 しかし、この「リラックス」と「機能性」を追求する精神こそが、現代のセットアップの核心である。かつてはパジャマ同然と見なされたラウンジスーツが、やがて世界標準のビジネスウェアへと成り上がった事実は、服飾史における最大のパラドックスと言えるだろう。
対になったスーツを崩すという革命稀代のファッショニスタ、ウィンザー公による「セパレート」という考え方の確立
20世紀に入り、セットアップの自由度はさらに加速する。時の皇太子、ウィンザー公(エドワード8世)は、厳格なドレスコードを解体した。 彼は上下揃いのスーツをあえて崩し、異なる生地のジャケットとパンツを組み合わせる「オド・ジャケット(スポーツジャケット)」のスタイルを好んだ(出典:Gentleman’s Gazette)。 「対(つい)であるものをバラして着こなす」という行為は、この時、反逆ではなく「洗練された個性の表現」へと昇華された。現代において我々がジャケットとデニムを合わせたり、パンツをチノに変えたりする楽しみは、100年前の彼が既にその正当性を証明しているのである。
インテリジェントな選択肢として根付いたセットアップ
2000年代以降、日本のマーケットでは「スーツ」と「セットアップ」が明確に別個のカテゴリーとして定着した。現代のセットアップは、最初から「セパレート使い」を計算に入れて設計されている。パッカブル、ストレッチ、ウォッシャブルといった高機能素材の導入、あるいはドロップショルダーのようなリラックスシルエットの採用は、チャールズ2世から続く「簡略化」の究極の形だ。もはやセットアップは「スーツの代用」ではなく、歴史の重みを背負いながら現代の利便性を享受する、最もインテリジェントな選択肢なのである。
シャツタイプやスポーツアウターのセットアップもカジュアルな着こなしがハマるセットアップコーデ
セットアップは通常のスーツと見た目に明確な違いがあるわけではないが、比較的カジュアルなデザインが多いため、コーディネートもインナーにカットソーやニットを着込むようなラフな着こなしがハマる。もちろんタイドアップするのもアリだが、リラックスしたシルエットのデザインが主流になっている昨今、見た目も着心地も楽に着たい。
また、セットアップはテーラードジャケットタイプのものに限らない。上下共布で作られたものを総称して「セットアップ」と呼ぶため、上がシャツジャケットやデニムジャケットのもの、マウンテンパーカーやトラックジャケットのスポーティーなセットアップもある。
今さら聞けないセットアップの初歩セットアップの選び方、着こなしを考える上での基礎知識
Q1. セットアップとスーツの決定的な違いは何か?A.「上下バラバラでの着用(セパレート)」を前提に設計されているか否か
スーツは基本的に上下セットで着用することを前提に、光沢のある繊細な生地や構築的な仕立てを用いている。対してセットアップは、カジュアルな素材感や芯地を省いたアンコン仕立てが多く、ジャケット単体、パンツ単体でも他のアイテムと容易に組み合わせられるのが特徴である。売り場ではスーツはひとまとめで売られ、セットアップはそれぞれに値札がついており別売り。セットアップの場合はパンツだけワンサイズ小さくするなど、上下でサイズを揃えずに買ってもOKというのが嬉しい。
Q2. セットアップを私服で着ると「仕事着感」が出てしまう。回避策は?A. インナーと足元の「崩し」が鍵
インナーと足元の「崩し」が鍵となる。シャツではなくTシャツやニット、フーディを選び、足元にスニーカーやサンダルを合わせることで、ドレスダウン(カジュアル化)が完結する。歴史的に見れば、セットアップの祖先であるラウンジスーツも「くつろぎ着」であったことを忘れてはならない。
Q3. セットアップのメリットは?A. 簡単かつ即コーデが完成する上に完成度も高い“お得感”
セットアップは上下のコーディネートが考えなくても決まっているようなものなので、楽でありながら、共布でできた統一感のあるスタイルが服装の完成度も上げてくれる“お得感”がセットアップ最大のメリットだと言える。それでいてセットアップを着こなせると、おしゃれな雰囲気も同時に獲得できるからすごい。
Q4. 初めてのセットアップ、選ぶべき色と素材は?A. 汎用性を重視するなら、ネイビーまたはチャコールグレーのウール、あるいは高機能ナイロン系素材
使い勝手を重視するなら、色はネイビーかチャコールグレーが鉄板。素材は上品な路線でウールか、スポーティーでカジュアルな路線でテアトラが展開しているようなナイロン素材のハイテク系セットアップも意外と使いやすい。これらのベーシックカラーはセパレートした際にも手持ちの服と合わせやすく、オン・オフ問わず活用できるため投資対効果が極めて高い。
以下は2019年に公開された内容となっている。
スーツ型セットアップはスニーカー合わせの大人メンズコーデを表現する際の最適解
テーラードカラーのジャケット、センタークリース入りのスラックスを合わせたセットアップは、上品なメンズのスニーカーコーデを表現する際の最適解。インナーにTシャツをセットしてクリーンな白スニーカーを合わせるだけで、洗練されたスーツ×スニーカーコーデが完成する。
チルコロのセットアップはラクと品を備えた秀作。大人メンズコーデにもぴったり
カットソー素材で布帛相応の仕立て栄えを実現することで、洒落者を筆頭に一気に話題を集めたチルコロ。セットアップの仕上がりも秀逸で、着心地ラクちんながら、品のあるムードを演出できる。ブランドのディレクターも愛用しており、見た目は布帛のセットアップそのもの。近くで見ないとわからないほどの完成度の高さに、初見で驚く御仁も多いのだとか。無地はもちろん、こちらのスナップのようなグレンチェック柄も展開している。
セットアップはスタイルが完成しているから、柄アイテムを合わせてもクールにメンズコーデがキマる!
上下のテンプレートがあるため、着るだけでスタイルがほぼ完成するのはセットアップの特徴のひとつ。合わせるアイテムで統一感を気にする必要が無いため、こちらのコーデのような柄アイテムの合わせでも違和感のないメンズコーデを表現できる。
機能素材のセットアップでアクティブなメンズコーデを表現
ポリエステルやナイロンをはじめとした機能素材のセットアップは、アクティブなスポーティコーデを表現するのにもうってつけ。一般的なウールスーツではNGなサンダル合わせも違和感なくキマるほど、カジュアルなアイテムと相思相愛な関係だ。スーツスタイルのかっちりとした雰囲気というよりも、アクティブな遊び心を重視するならこんなセットアップが狙い目だ。
スキッパーポロをセットアップに合わせて、開放感のあるリゾートコーデに
セットアップスーツのインナーにスキッパーポロをセットしてリゾートテイストを演出したコーデ。織り柄やウエストポケットのパッチ仕様で適度にカジュアル感を演出したセットアップスーツだからこそ、インナーにカジュアルなアイテムを合わせても馴染みの良いスタイルに仕上がる。
カジュアル感のあるセットアップスーツなら、フォーマルな“黒”も使いやすい!
スーツと比べてカジュアル感のあるセットアップなら、昨今注目を集める黒の取り入れも簡単。インナーに無地の白Tシャツを合わせれば、こなれ感のあるモノトーンコーデに。ポケットチーフやベルトなど、小物を意識的に取り入れなくてもキマる気楽さも高ポイントだ。
生地の風合いが特徴的なセットアップスーツでメンズコーデのこなれ感は倍増
カジュアル路線のセットアップは、ディテールやシルエットはもちろん、生地で遊び心を取り入れたデザインも多い。大胆にウォッシュ加工を取り入れたような風合いのセットアップスーツなら、グッとこなれ感のあるメンズコーデに。男らしさを上げるミリタリー系の色味でまとめれば、イマドキ感も演出した高感度な装いを表現できる。
シンプルスタイルもサマになるセットアップコーデ
無地のアイテムで全身をまとめたシンプルコーデ。スタイルが決まっているセットアップコーデなら、こんな洗練された印象に仕上げるのもオススメだ。足元にはボリューミーなスニーカーをセットして高感度に。
パンツのシルエットでメンズセットアップコーデの印象は変わる!
腰元にたっぷりとゆとりを持たせたパンツシルエットのセットアップを取り入れた御仁をキャッチ。インナーにTシャツをセットした鉄板コーデながら、どこか余裕のあるこなれ感が漂うのはパンツのシルエットにひとクセ忍ばせているため。印象を決めるのはジャケットの場合が多いため、ついついパンツは後回しにされがちだが、ときにはボトムス基準でセットアップをチョイスしてみるのもグッドだ。
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