ジャケパンスタイルと一言に言ってもテイストの幅は広い。こちらの記事で紹介したようなコンサバ感のある装いも良いが、「もっと攻めたスタイルに挑戦したい」という男性も少なくないのでは?今回は筆者が参考にしたいと思った要素を含む着こなしスナップを挙げながら、そのエッセンスを紹介する。
攻めのジャケパン着こなし1イマドキカジュアルを志向するならオーバーサイズが効く
上スナップのように長い歴史を持つドレスウェアをクラシックに着こなす男性は正統派な格好良さを持つ。一方でそのスタイルを大胆に崩してクールな装いを目指すという真逆と言っても過言ではない方向性の着こなしもまた格好良いと思う。下スナップの男性は、オーバーサイズのジャケットにバギーデニムとカジュアル感の強いニューバランスの白スニーカーを合わせた装いで我々の前に現れた。低めの位置に起点をもつゴージラインが急角度に落ちるディテールも今のトレンドを顕著に反映している。
攻めのジャケパン着こなし2イケイケのミュージックスターのようなギラつきを感じさせるスタイル
普段はストリートスタイルのファッションに身を包んだヒップホップスターが時折見せるスーツやジャケットでバチっとキメたあの感じに心惹かれる男性も少なくないのでは?彼らの着こなしは、クラシックなセオリーにおとなしく従うものではなく、クリエイティブなセンスや自分らしさ、野心などが前面に押し出されたスタイル。例えば下スナップのように、インパクトのあるアイウェアやシューズ、ゴツいシルバーアクセ、インナーへのタンクトップ合わせなど、随所にクリエイティブなアイデアが散りばめられている。
攻めのジャケパン着こなし3次なるトレンドのグランパコア的なアイテムを取り入れる
ノームコアに続く世界的なトレンドとしてこれから益々注目を集めるであろうキーワードのひとつが「グランパコア」だ。祖父のクローゼットから取り出してきたような服を拝借して着ているかのようなスタイルを意味する。このアイデアを取り入れるなら、例えば下のような着こなし方はいかがだろうか?タンクトップにルーズな色落ちジーンズのコンビは、まさにZ世代の定番スタイルだが、さらりと羽織ったチェック柄のジャケットはいかにも祖父のクローゼットに眠っていそうな1着。まさに孫と祖父の服装がリミックスされたようなスタイルが新鮮で格好良い。ちなみに、グランパコアについては、2024年に流行ると噂の「グランパコア」とは? という記事で詳しく解説しているので気になった方はぜひご一読いただきたい。
攻めのジャケパン着こなし4多彩な色味を取り入れる
OTOKOMAEのスナップでもお馴染みの西口修平氏と言えば、ドレスウェア業界を代表する影響力を持つ実力者。ドレスウェアを取り入れながらも、攻めや遊びの要素を織り交ぜて、常に我々に新鮮な学びを与えてくれる存在。着こなしの原則として色数を抑えるというセオリーがあり、ジャケパンの着こなしにおいては特にそれを遵守するのが定石だが、大胆にもマドラスチェックのシャツとネクタイを合わせて我々の前に姿を現してくれた。非常に難度の高い着こなしではあるが、色柄を巧みにリンクさせていることもあり「遊びのエッセンスを加えるためにあえてやっている」のが伝わるのが、この着こなしが他者から認められる大きな要因になっていると思われる。まさにジャケパンの着こなしの「守・破・離」を体現したようなこのアイデア、ぜひ取り入れてみてはいかがだろうか。西口氏が身につけているようなアイテムそのものや、類似したアイテムはビームスFで入手できることが少なくないので気になった方はぜひこのスナップを携えてビームスFに足を運んでみてほしい。
攻めのジャケパン着こなし5紺ブレを軸にしたアメトラを大きくアレンジする
芸術作品や建築物と同様に、ファションスタイルにも様式美の類が存在する。紺ブレザーを基軸に構築されるアメリカントラッドは、そのうちのひとつだ。そんなアメトラスタイルに確実にインスピレーションを受けながらも、その様式美をクリエイティブにアレンジして我々の前に現れたのが、ウェルドレッサーとして世界的に認知されるニック・ウースター氏だ。ブレザーのエルボー部分がパックリと割れていたり、チノパンはフルレングスではなくショート丈だったり、インナーはボランダウンシャツではなく粗いメッシュニットだったりと、よく見ると普通なところが皆無。奇抜なアイテムや着こなしを取り入れたとしても、ベースとなる様式美的なスタイルがあれば、それが支えとなって着こなしを成立させてくれる大きな力となる。