日本ではあまり耳馴染みのない「ドリズラージャケット」。日本では和製英語である他の名称で呼ばれており、それを聞けばピンとくる方も多いはず。
日本では多くが“スイングトップ”呼び!「ドリズラージャケット」とは?
ドリズラージャケットという名前に馴染みがなくても、“スイングトップ”という名称なら一度は耳にしたことがあるのでは?スイングトップというのは和製英語で、この手のデザインのジャケットを、日本のブランド「VAN」の創業者である石津謙介氏が国内に持ち込んだ際に名付けたのだそう。この“スイング”というのは、ドリズラージャケットの元がゴルフ用ジャケットであったことから、“ゴルフのスイング”に因んだとされている。そんな経緯があり、日本ではこういったタイプのジャケットが総称的にスイングトップという名前が根付いた。
そして肝心のドリズラージャケットとは、アメリカのファッションブランド「McREGOR(マックレガー)」のショート丈アウター「ドリズラー」のことを指す。英国製のゴルフジャケットをマックレガーが輸入し、それをアメトラ的に解釈しておしゃれなスポーツウェアとして展開したのが始まりとされている。1945年に発表された当時は、英国製のアイテムがルーツであることから「スコティッシュドリズラー」という名前が付けられていた。
英語では「ハリントンジャケット」呼びがメイン!BARACUTAのG9が代名詞
ちなみに、「ハリントンジャケット」も同様のデザインのジャケットを指す呼び名。これはイギリスのブランド「BARACUTA(バラクータ)」のショート丈アウター「G9」が元祖である。G9の“G”はGOLFの頭文字から取ったもの。どちらもゴルフジャケットであり、日本ではこれらを総称してスイングトップと呼んでいるわけだ。
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ドリズラー(=drizzler)の意味
ドリズラーとは、英語で“霧雨”、“小雨”が降ることを表す言葉の「drizzle」からきたもの。つまり、小雨が降る中で着用することを想定して作られた野外用のアウターだということだ。
映画やドラマでも存在感を放つマックレガーのジャケット米ドラマ『逃亡者』でデビッド・ジャンセンが着用したことで日本でも人気アイテムに!
1963年から1967年にアメリカABC系列で放映され、高視聴率を獲得したテレビドラマ『逃亡者』。主演を務めたデビッド・ジャンセンが劇中の衣装としてマックレガーのドリズラージャケットを着用していたことで、日本語版が放映された後に日本でも人気が高まった。
マックレガーといえば『理由なき反抗の』ジェームズ・ディーンの姿も脳裏に浮かぶ
『理由なき反抗』でジェームズ・ディーンがLeeのジーンズに合わせていたのが、マックレガーのアンチフリーズジャケットだ。鮮烈な赤いジャケット姿のジェームズ・ディーンがすぐに頭に浮かぶ方も少なくないだろう。このジャケットはドリズラーとはまた別のモデルだが、デザインが似ていることから、当時「ジェームズ・ディーンが着ていた赤いジャケットはドリズラーだ」という説も挙がっていた。ちなみに、同作に登場する不良グループの脇役男性は、アンチフリーズジャケットではなくドリズラージャケットを着ていたことが分かっている。
マックレガーの元祖「ドリズラージャケット」の特徴は?
マックレガー「ドリズラージャケット」の特徴①低めで首の付け根のラインに沿う「ステンカラー」
ジャケットの“顔”とも言える襟まわりは、小ぶりなステンカラー仕様で低めに設計されている。低いラインで首の付け根に沿うようなデザインが、ドリズラージャケットの特徴的な顔を演出。
この襟はチンストラップでスタンドカラーにアレンジすることも可能で、印象をチェンジするだけでなく風除けとしての機能的側面も併せ持つ。襟を下げている時はアジャストボタンで襟裏にしまえる仕様だ。
マックレガー「ドリズラージャケット」の特徴②丸みを帯びたラインのダブルステッチで存在感を増した「ウエストポケット」
ウエストに配置された大きめのポケットは、逆玉縁ポケットで口に蓋がされたような見た目。そしてその周囲をダブルステッチで大きく囲むことで、存在感のあるパッチポケットのようなデザインに仕上げている。ステッチはカドを作らない丸みを帯びたラインで、カジュアルなテイストを貫いている。
マックレガー「ドリズラージャケット」の特徴③ジップマックレガーのエンブレムチャームが付いた「ダブルジッパー」
フロントは上下両開きのダブルジッパー仕様で、ジップヘッドにはマックレガーオリジナルのエンブレムチャームが付けられている。小さなディテールだが存在感はバツグン。類似品が多く出回る現代において、オリジナルのドリズラージャケットであることを証明している。
マックレガーのドリズラージャケットは様々なセレクトショップが別注アイテムを展開しており、モデルによって素材などが異なる。ブランド公式サイトにてオリジナルモデルの特徴を詳しく解説したページがあるので、そちらもぜひチェックしてみてほしい。