
スポーツやストリートカルチャーとのつながりが強いコーチジャケット。どんな背景に生まれ、今のファッション的ポジションを確立するまで至ったのか。今回は、コーチジャケットの起源からカルチャーヒストリーを追いながら、おすすめブランドのアイテムを紹介!
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コーチジャケットの起源と役割アメフトの監督(コーチ)がベンチで風雨を凌ぐためのアウター
コーチジャケットはその名の通り、かつてはアメリカンフットボールのフィールドで、ベンチに座る監督(コーチ)たちが風雨を凌ぐために羽織っていた機能着である。その起源は1950年代から60年代にかけてのアメリカンスポーツ界にあり、当時は「サイドラインジャケット」とも呼ばれていた。選手が着用するウール製のスタジアムジャンパーに対し、常に動き回り戦術を指示するコーチ陣には、軽量で撥水性に優れたデュポン社のナイロン素材が最適だったのだ。1960年代にチャンピオン社などが、スナップボタンと裾のドローコードを備えた現在の原型を完成させたが、このジャケットは単なる防寒着ではなく「階級の象徴」でもあった。背面に大きく刻まれたチームロゴは、スタジアムにおいて「誰がリーダーであるか」を証明するユニフォームだったのである。この「現場の指揮官が着る服」というオリジンが、後にストリートで独自の解釈を生む伏線となった。
グラウンドからストリートへN.W.A.がギャング抗争の時代に刻んだ「黒のコーチジャケット」というアイデンティティ
コーチジャケットをファッションの領域へと決定的に引き摺り下ろしたのは、80年代後半の西海岸ヒップホップシーンである。なかでもN.W.A.のメンバーが地元チーム「ロサンゼルス・レイダース」のコーチジャケットを揃いで着用したことは、ストリートファッション史における転換点となった。血生臭いギャング抗争が続く街で、特定の勢力を示す赤や青を避け、中立かつ力強い「黒」を身に纏う。彼らにとってのコーチジャケットは、指導者の服という本来の意味を塗り替え、ストリートの結束力と反骨精神を象徴する「戦闘服」へと進化したのである。また、パブリック・エナミーのチャックDらも、Starter社製のナイロンジャケット(スタジャン型を含む)を「過酷なツアーの汗にも強く、翌日には元通りになるギア」として愛用しており、当時のヒップホップシーン全体で「ナイロン製のスポーツウェア」がタフな男の象徴として定着していった。
コーチジャケットではないが、同様にナイロン素材のジャケットでスポーツを出自とするスタジアムジャンパーを好んで着ていたのがパブリック・エナミーのチャックDだ。彼もN.W.A.と同じくレイダースのジャケットを着ており、この服を誰よりも「合理的」に愛していた。サザビーズのオークションに出品された彼の私物ジャケットに寄せられたコメントは、その本質を突いている。「(ステージでのパフォーマンスにおいて)スポーツギアは不可欠だった。俺が着ていたStarterのジャケットは、シャツも着ずに素肌の上に羽織っても汗を処理でき、脱いで丸めておいても、翌日にはまた元通りになっていた。だから俺はこれを着続けたんだ。」単なる見栄えではなく、過酷なツアーや連夜のステージを生き抜くための「タフな道具」としての選択。このストイックな機能美こそが、コーチジャケットをはじめとしたナイロン製のスポーツアウターが持つ「男の道具感」の正体である。
コーチジャケットに使われる素材は主にポリエステルやナイロンなどの化繊で、防風性や耐水性に秀でていて軽やかな着心地が特徴。また、首元はシャツ襟のようなデザインでフロントはスナップボタン、そして裾にはドローコードが配されており遮風性を高めた機能的なデザインを採用しているケースが多い。中にはポケット口にドットボタンやファスナーをあしらうことで、より機能性を高めたものも。基本的には春や秋のライトアウターといったポジションだが、裏地にフランネルやフリースなどを配した防寒性に優れたものも秋冬には展開される。ちなみにコーチジャケットとは和製英語。英語圏では基本的にウィンドブレーカーとして認知されている。
続いては、編集部がオススメする注目のコーチジャケットを紹介!
コーチジャケット おすすめ1Stussy「Cruize Coach」
前述したヒップホップグループ「N.W.A」がよく着用していたと言われているのがステューシーのコーチジャケット。80’sのメンズファッションらしい派手なプリントを施したものが当時は良く見られたが、ピックアップしたのは控えめなデザインの1着。胸元には白地、背面には黒地でロゴが配置されており一目見ればステューシーと分かるほどアイコニックな仕上がりに。人気が高いだけあり、柄・カラーのバリエーションも豊富に展開されているから気に入るモデルが見つかるはずだ。
コーチジャケット おすすめ2Carhartt WIP「NOTUS COACH JACKET」
アメリカを代表するワークウェアブランドのひとつ、カーハートよりピックアップしたのは、ワークジャケットとコーチジャケットをミックスしたかのようなデザイン。同ブランドが得意とする、ならではのワークテイストは周囲との差別化を図るのにピッタリだ。
コーチジャケット おすすめ3HUF「ESSENTIAL COACH」
ハフは2002年にアメリカ・サンフランシスコでスタートした、コンテンポラリースケート&ライフスタイルブランド。そんなハフで定番として展開しているのが、トリプルトライアングルとロゴを背面にあしらったグラフィカルなコーチジャケットだ。ラグランスリーブを採用したデザインに、シャイニーなナイロンの表情が相まってスポーティーな雰囲気たっぷりに仕上がっているのが特徴的。実はコスパも良く、税込み1万円以内というお手頃価格を実現しているのも嬉しい限り。
コーチジャケット おすすめ4Champion「コーチジャケット アクションスタイル」
スウェット製品で有名なアメリカスポーツブランド、チャンピオンもコーチジャケットを展開。ブランドロゴを胸元と袖口にあしらったベーシックデザインが特徴だ。裏地はスレーキ仕様のため着心地が良く、しかも表地には撥水加工が施されているため機能性もバツグン。様々なカラーバリエーションを取りそろえているが、ボタンの色味まで統一した深みのあるグリーンカラーなら大人コーデにも取り入れやすいだろう。
コーチジャケット おすすめ5AMI PARIS「ナイロン AMI DE COEUR スタッズボタンジャケット」
アミ パリスからピックアップしたこちらは、ナイロン製コーチジャケットにしては珍しいマットで高級感漂う質感が特徴。左胸には、「アミ ドゥ クール」のロゴを配置。メタル製のスナップボタンなど細部までラグジュアリーに昇華されており、ストリート由来の軽快さと大人の品格を両立している。リラックスしたシルエットは、フーディーからシャツまで幅広いレイヤードに対応し、羽織るだけで都会的なスタイルを完成させる一着だ。

























