実用性と効率性を求めた武骨な生地やシルエットが男らしさを格上げしてくれるミリタリージャケット。年代や国によって様々な個性があり、コレクション的観点でも男たちを魅了してきた。今回はそんな男心くすぐるミリタリージャケットの中でも、トレンド的視点で狙い目であり、まだ定番化しておらず他と被りにくい魅力を備えたおすすめモデルを3つ紹介!
ミリタリージャケットがファッションになるまで:1940~60年代 安くて丈夫という理由で労働者層の間で着用されるように
ファッションにおいて定番となっているアイテムだが、そもそも軍の余剰品がファッションとして取り入れられるまでには、どのような流れがあったかをご存じだろうか。第二次世界大戦後、大量の余剰品が格安で放出されたことが、一般人がミリタリーアイテムを取り入れるようになったきっかけと言われている。安くて丈夫なミリタリーアイテムは、特に労働者層の間で人気を博していた。
現代ではファッションアウターとして定番の地位を確立しているモッズコート。60年代ではイギリスの不良であるモッズ(モダンズ)がスクーターに乗る際、中に着ていた高級なスーツを汚さないように着用していた歴史があります。
Peter Marlow/Magnum Photos/アフロ
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ミリタリージャケットがファッションになるまで:1970~90年代 サブカルチャーとの繋がりを機に、ファッションアイテムとして浸透していく
ミリタリージャケットがファッションアイテムとして根付いたのは、1970〜1990年代のこと。ミリタリージャケットのファッション化は、当時の若者文化やサブカルチャーと深く結びついている。この時期、ファッションにおける「自己表現」や「反権力のメッセージ」が非常に重要視されていた。その時代の中で、軍事目的で作られたという背景や、武骨なデザイン、機能性を兼ね備えたミリタリーアイテムは、そのメッセージを表現するのに最適なアイテムであった。特に、パンクやヒップホップ、グランジといったサブカルチャーの中心にいた若者たちは、社会や権威に対する反発心をファッションで表現する手段として、ミリタリージャケットを取り入れた歴史がある。そんなムーブメントやスタイルに憧れた若者が着用を広めたことで、ミリタリージャケットはその思想を徐々に失い、ファッションとして定着。現代ではリアルミリタリーウェアでは製造されていなかったカラーリングや、ミリタリージャケットからインスパイアを受けたファッションアウターなど、様々なミリタリー風ジャケットが出回っている。
70年代では元「Beatles」のジョン・レノン、80年代ではパンクバンドの「The Clash」のメンバーや「Joy Division」のイアン・カーティスなど。さらに90年代なら「Blur」のグレアム・コクソンがミリタリージャケットを各々のスタイルで着こなしていました。以上で挙げたアーティストは個人的にお気に入りで、普段から参考にしています。ちなみに下の画像は、7~80年代のパンクバンド「Eater」のメンバーがミリタリーのオールインワンを着用している写真で、当時のシーンの雰囲気を感じられます。ピンタレスト等でも当時のアーティストがミリタリージャケットを着用している写真を見ることができるので、気になる方は是非チェックしてみてください!
Peter Marlow/Magnum Photos/アフロ
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2024秋に狙い目のミリタリージャケットとは?
短丈アウターのトレンドが続く2024年。さらにヴィンテージブームから古い年代物のミリタリージャケットは球数が少なくなり、普段使いするには抵抗を感じるほどの価格の高騰が目立つ(そもそもレア物は偽物の可能性も大!?)。そんななかで、この秋狙い目のミリタリージャケットとして推したいのが、短丈で年式の新しいミリタリージャケットだ。年式の新しいミリタリージャケットは、価格が高騰し切っていないため手を出しやすいというだけでなく、古い年式のアウターと比べて機能面が向上しており、デザインも洗練されたものが多いという魅力がある。トレンド視点を取り入れながら、他と被りにくい秋アウターが欲しいという方は、ぜひ参考にしてみて欲しい。
レイヤードのしやすさやスタイルアップ効果を望めるといったメリットがあり、ますます短丈アウターの人気が高まっている昨今。それに伴ってミリタリージャケットでも丈が短いものは高騰が続いています。例えば、スウェーデン軍の名作とされるモーターサイクルジャケットはもともと高額なアイテムでしたが、現在では5~6年前と比べて約200%の高騰が起きています。一方で、今までミリタリージャケットの定番であったジャングルファティーグジャケットやM47ジャケットなど、ミドル丈のジャケットは人気が落ち着き、体感では相場が2~3年前の最盛期より30%ほど下がっています。
この秋に着たいミリタリージャケット①「都会的なネイビーと落ち感のあるシルエットの洗練されたジャケット」ROYAL CANADIAN AIR FORCE JACKET
カナダ空軍で1990年代初頭まで採用されていたフライトジャケット。このモデルは、隣国のアメリカ軍のものと大まかなディテールは共通しているが、独自の特徴がいくつか存在する。まず目を引くのは、他の軍では見かけないグレイッシュなネイビーの色合い。また、バブアーのスぺイジャケットのように裾のリブが排除されているため、野暮ったさがなく、より都会的な印象に着こなしやすい。ショルダー部分のエポレットや両腕のパイロットポケットなど、リアルな軍用品ならではの機能的ディテールを備えている点も、ミリタリージャケットのらしさを際立たせていて◎
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この秋に着たいミリタリージャケット②「荒天でもおしゃれを楽しめるハイテクアウター」JACKET,EXTREME COLD/WET WEATHER(ECWCS GENⅢ)ECWCS CLASS3 OCP
米軍ECWCSのGenⅢ(ジェンスリー)は、7種類のトップスと5種類のボトムから構成され、さまざまな気候やシチュエーションに対応するレイヤリングシステムとして知られている。そのなかで、極寒や雨など湿った気候に特化したこのジャケットは、ゴアテックスアウターのような重量感が少ないにもかかわらず、同等の耐風・耐水効果を誇る逸品だ。長すぎない着丈に設計されたコンパクトなシルエットは、洗練された都会的なスタイルによく似合う。
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この秋に着たいミリタリージャケット③「高級感と実用性が融合した英国のクラシックムード漂う1着」RAF MK-3 コールドウェザージャケット
イギリス軍の名作ジャケットとして名高いMK-3ジャケット。1960年代から2010年代までという長い期間で採用されていたことからも、完成度の高さがうかがえる。裾にリブがない短丈仕様と、コットンギャバジンの光沢感ある生地を採用した佇まいは、まるでデザイナーズブランドのコレクションから取り出したピースのような高級感を感じる。裏地にはコットンポプリン生地が使用されており、滑らかで肌触りの良い着心地を実現。Tシャツの上にばさっと羽織って着こなしてもサマになる、デイリーユースにぴったりのアウターだ。
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