農具であるモカシンをルーツにもち、1900年台初頭に誕生した革靴といえば「ローファー」。ワンアクションで足入れできる手軽さから「怠け者」と呼ばれ、長い間ラフなカジュアルシューズとして学生から高齢者まで幅広い世代に親しまれていた。そんなカジュアルアイテムに一石投じたモデルを展開して、瞬く間に人気を集め不動の地位を確立したのが「GUCCI(グッチ)」のホースビットローファー“1953”だ。今回はそんなローファーの新たな定番を生み出したグッチのホースビットローファーにフォーカスして、その特徴について紹介!
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馬具の製造から世界を代表するラグジュアリーブランドへと成長を遂げた「GUCCI(グッチ)」
今や世界屈指のラグジュアリーブランドとして服や香水、インテリアなど幅広くアイテムを展開しているグッチ。そんなブランドの歴史のスタートは1921年、イタリアのフィレンツェに開いた小さな鞄店から。創業者のGuccio Gucci(グッチオ・グッチ)氏の実家が馬具の製造をしていたことで、創業時はバッグの生産の側、馬具も手掛けていた。当時のイタリア人貴族や富裕層の顧客の多くは、乗馬を嗜んでいたことに目をつけたグッチは、品がよく、高級感ある乗馬用装身具を中心としたラインナップで、貴族たちにあっという間に広まり人気を博す存在に。そんな馬具をきっかけに、現在に続くラグジュアリーブランドとしてのポジションを確立したのだ。
グッチが誇る馬具のアイデンティティから生まれたのが「ホースビットローファー」!
馬具によってブランドの知名度を格段と引き上げたグッチは1950年代、馬具をデザインにかたどった「ホースビット」を使用したハンドバッグを発表。当時、乗馬用装身具で貴族や富裕層を相手にメキメキと知名度をあげていたため、瞬く間に人気商品に。そんな「ホースビット」のアイコンを靴に落とし込んで生まれたのが「ホースビットローファー」だ。1953年に誕生したことから「1953」というモデル名で展開されており、現在もなお高い支持を集め続けている。
現在では豊富なバリエーション展開があるホースビットローファーも、全てベースは1953!
今回紹介している1953モデルは、実は何度か廃盤の経歴がある。当時はその代わりとして、ホースビットローファーデザインはそのままに、サドルをなくし、華奢なシルエットに仕上げた「Jordan(ヨルダーン)」や、サドルに加えて、かかとの芯まで省くことで、ミュールのようなスタイルで履くことを可能にした「Brixton(ブリクストン)」など、仕様を多様化させた数々のモデルを輩出した。しかし、“1953”は不動の人気を集めており、再販の要望が絶えなかったという。そんな背景もあり、60周年の記念イヤーである2013年に再販・復刻。今ではまた「グッチのアイデンティティ」として変わらずラインナップされている。
その後、グッチの新たなクリエイティブ・ディレクターAlessandro Michele(アレッサンドロ・ミケーレ)氏の手により、2015/16年の秋冬には、ホースビットローファーにミックスカラーのファーライニングを採用するアレンジを取り入れたスリッパモデル「Prince town(プリンスタウン)」が発表され、世界的な大ムーブメントに。他にも「GG」マークの金具がアイコニックなダブルGモデルや、インターロッキングGモデルなど、様々なモデルが展開されている。以上のように1953は、あらゆるホースビットローファーの元祖として様々なアレンジモデルが展開されながら、世界中の洒落者たちから愛され続けているのだ。
グッチのビットローファーは定番デザインからシーズン物まで、多くの洒落者が愛用!
定番であり、アイコニックなその見た目から、日本はもちろん海外の洒落者の多くが愛用しているグッチのビットローファー。フォーマル過ぎないリッチな佇まいは、カジュアルスタイルの格上げから、ジャケットやスーツスタイルのハズしとしても重宝する。普段スーツを着ない方にもオススメできる革靴のひとつだ。