
ワイドパンツが当たり前になった今、ランウェイでは細身のシルエットが再び目を引く。ところが、クラシックドレスの世界ではむしろワイド化が進行中。異なる方向へ動く潮流が交差する2026年秋冬、次に選ぶパンツには何を求めるべきなのか。トレンドの潮目を読み解きながら、イマ狙うべきパンツを探っていく。
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2026年秋冬、パンツのシルエットに何が起きている?細身へ向かうモード、ワイド化するクラシック。パンツのトレンドは今、転換期にある
2026年秋冬のメンズファッションでは、パンツのシルエットに興味深い変化が起きている。ここ数年、オーバーサイズが支持されてきたモード・コンテンポラリーの世界では、プラダやディオールなどが、細身のパンツを取り入れたシャープなシルエットを提案。身体の輪郭を意識したスタイルが、再び存在感を増している。その一方、長らくスリムなテーパードパンツが定番だったクラシックドレスの世界では、ワイド化が進行中。ブリオーニやキートンもワイドシルエットのボトムスを提案している。BEAMS(ビームス)の中村達也氏もMR BEAMSにおいて2026年秋冬の注目アイテムにワイドパンツを挙げており、裾幅にゆとりを持たせたトラウザーズの展開が広がっている。
つまり、モードでは太いパンツから細いパンツへ、クラシックでは細いパンツから太いパンツへ。それぞれ異なる出発点から、逆方向への変化が起きているというわけだ。もちろん、モードのすべてが細身に回帰しているわけでも、クラシックが一斉にワイド化しているわけでもない。極太パンツが時代遅れになったと判断するのも早計だろう。むしろ今は、細身にもワイドにも選ぶ理由がある、トレンドチェンジの過渡期。パンツの太さに絶対的な正解がないからこそ、次に選ぶ一本には、より明確な意思を持ちたい。
太さではなく、縦のラインで魅せるイマ狙いたいのはセミワイドストレートのパンツ
選択肢が豊富な今、OTOKOMAE編集部が推したいのはセミワイドストレートだ。それは、細身と極太の中間だからという消極的な理由ではない。注目したいのは、パンツの美しさを判断する視点の変化だ。ワイドパンツが浸透したことで、腰回りや太ももに余裕のあるシルエットは、もはや特別なものではなくなった。一方、モードにおける細身回帰は、誇張されたボリュームとは異なる、シャープな輪郭の魅力を改めて意識させる。こうした状況下で、新たに一本を選ぶなら、パンツをひたすら太くすることでも、かつてのスリムフィットに戻すことでもない。十分な量感を確保しながら、腰から裾までのラインを美しく整えることに目を向けたい。その有力な選択肢が、セミワイドストレートというわけだ。具体的には、腰回りと太ももにゆとりを持たせつつ、膝から裾を過度に絞らず、ストンと落としたシルエットが理想。布地が脚に張り付くことなく、かといって横方向に大きく広がりすぎない。すっきりとした縦のラインが生まれ、今季存在感を増している構築的なジャケットやロングコートにもよく映える。
そんなセミワイドストレートを選ぶ際、裾幅はひとつの参考になる。例えば、パンツ作りに定評のあるBERWICHの「LUCANO LONG」は、サイズ44で裾幅23cmの仕様を展開。ワイドストレートに分類されるモデルながら、余分な広がりを抑えた端正なラインが印象的だ。ただし、裾幅23cmが正解というわけではない。わたり幅や膝幅とのバランス、生地のハリや落ち感によっても見え方は大きく変わる。加えて意識したいのが、股上とウエスト位置。特にジャケットを着る場合、パンツのウエスト位置が低すぎると、前ボタンを閉じた際にジャケットの裾の間からシャツがのぞき、上下のつながりが損なわれることがある。股上に適度な深さがあり、自然な腰位置で穿けるパンツなら、こうした問題も解消しやすい。最後は靴を履いた状態で丈を調整し、裾が軽く靴にかかる程度に整えたい。トレンドの転換期だからこそ、極端な太さで主張するのではなく、シルエットそのものの完成度で魅せる。それが今、セミワイドストレートを推す理由だ。
続いてはパンツ作りに強いブランドから、イマの気分に刺さる推しアイテムを紹介!
推しセミワイドパンツ1「ノープリーツでも美しいシルエットを魅せる」BERWICH「LUCANO LONG」
イタリアのパンツブランド、ベルウィッチが展開する「ルカーノ ロング」は、アメリカ軍のチノパンツを着想源とするワイドストレート。いま勢いがあるパンツブランドとして業界でも多方で名前が挙がるベルウィッチだが、その中でも特に人気を集めているモデルだ。特徴は、ノープリーツのすっきりとした腰回りと、裾まで自然に落ちるライン。裾幅はサイズ44で23cm。ワイドでありながらボリュームを誇張しすぎず、ジャケットにもなじむ端正な佇まいに仕上がっている。ウールならではの落ち感も相まって、立ち姿の美しさが際立つ一本だ。
推しセミワイドパンツ2「生地のハリがシルエットの美しさを引き出す」NEAT「The Gabardine Straight」
日本のパンツ専業ブランド、ニートが2026年秋冬に展開する新型「The Gabardine Straight(ザ ギャバジン ストレート)」。厳選したメリノウールを高密度に織り上げたギャバジン素材を採用し、適度なハリとしなやかさを両立している。サイズ46の裾幅は約24cm。腰回りから裾までゆとりを保ちながら、生地の特性によって輪郭を美しく描く設計が魅力だ。単純に布地を増やすのではなく、素材とパターンの相乗効果によって、直線的なシルエットの美しさを引き出した一本。
推しセミワイドパンツ3「腿〜膝周辺のシルエット調整でワイド感を適度に」TANGENT「PATT」
英国陸軍のオフィサーパンツをベースに、ドレスパンツとして再構築したタンジェントの「PATT(パット)」。ワンプリーツ、太めのベルトループ、サイドアジャスターなど、ミリタリー由来のディテールが特徴だ。裾幅はサイズ46で24.5cmと比較的広めながら、わたり幅と膝幅を巧みに調整することで、過剰な膨らみを抑えたストレートシルエットを実現。秋冬らしいウールフランネル素材のモデルは、柔らかなドレープも魅力的だ。武骨な出自とテーラリングの端正さが共存する一本は、今のパンツ選びにおける好例といえる。
推しセミワイドパンツ4「クラシックなワイドスラックスを洗練させた提案」BERNARD ZINS「H8」
フランスの老舗パンツブランド、ベルナール・ザンスが展開する「H8(エイチエイト)」は、1970〜80年代にパリのセレクトショップが別注したモデルを復刻したもの。深い股上と2インプリーツによって腰回りに豊かなボリュームを確保しながら、裾までストンと落ちるワイドストレートシルエットが特徴だ。2026年秋冬に展開されるウールハウンドトゥース素材のモデルは、サイズ40で裾幅約24cm。今回の中ではクラシックなワイド寄りの選択肢だが、太さを感じさせながらも決して野暮ったくならないラインは見事。生地の重みと美しいドレープを生かした、クラシックドレスならではの完成度を堪能できる。











































