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山岳民、郵便配達員、消防士。働く男の実用靴を現代的にモディファイしたシューズ3選

山岳民、郵便配達員、消防士。働く男の実用靴を現代的にモディファイしたシューズ3選

靴の魅力は、素材やデザインだけで決まるものではない。もともと誰が、どんな目的で履いていたのか。その背景を知ることで、一足の見え方も変わってくる。今回注目したのは、山岳地帯の人々、郵便配達員、消防士の足元を支えてきた実用靴をルーツに持つ3足。仕事に求められる機能から生まれたデザインを、現代的な素材やディテールでモディファイした革靴で、いつもの着こなしにひとひねり加えたい。

BOTTEGA VENETA「ハドック レースアップシューズ」チロリアンシューズの素朴な姿を、イントレチャートでラグジュアリーに

チロリアンシューズのルーツは、オーストリアとイタリアにまたがるアルプス山脈のチロル地方にある。山岳地帯で暮らす人々の実用靴として発展し、つま先を包み込むようなモカ縫いや、丸みを帯びたトゥ、厚みのあるソールなどが特徴だ。農夫や木こりたちが山道を歩く際の足の保護や安定した歩行を考えた構造が、チロリアンシューズ特有の武骨なフォルムを形作ってきた。現在では街履きとして広く親しまれているが、その素朴なデザインには山岳地帯の暮らしに根差した機能美が宿っている。

ボッテガ・ヴェネタの「ハドック レースアップシューズ」は、そんなチロリアンシューズを思わせるフォルムを、メゾンが誇るレザーの編み込み技法「イントレチャート」でモディファイ。一般的なチロリアンシューズに見られる一枚革のアッパーとは異なり、スムースカーフレザーを全体に編み込むことで、素朴な実用靴をラグジュアリーな表情へと変貌させている。編み目が生む立体的な陰影に加え、高さ4.5cmのラバー製フラットフォームも特徴的。足元にしっかりと存在感を与えながら、メゾンならではの繊細な職人技を堪能できる一足に仕上げた。

編集部 泉
チロリアンシューズというと、どこか牧歌的なイメージがありますが、イントレチャートに置き換えるだけでこれだけモダンな印象に変わる。編み込み自体に十分な存在感があるので、装いはシンプルにまとめるのが良さそうです。

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J.M. WESTON「Fireman Boot」フランスの消防士が履いたブーツに、メゾンの名作が持つ品格を融合

炎や煙、瓦礫などの危険にさらされる消防士の足元には、一般的な革靴とは異なる堅牢さと保護性能が求められる。フランスの伝統的な消防士用ブーツも、足首まで覆う丈や丈夫なアッパー、安定した歩行を支えるソールなど、過酷な作業環境を想定した設計が特徴だ。見た目の華やかさよりも、現場での安全性と実用性を優先した無駄のないフォルム。そんな消防士のブーツに着想を得て、現代的なファッションシューズへと再解釈したのが、フランスの老舗シューメーカー、ジェイエムウエストンだ。

「Fireman Boot」は、フランスの伝統的な消防士用ブーツをデザインソースに、メゾンのアイコンシューズ「#677 ハント」に着想を得たフォルムを掛け合わせた一足。アッパーには耐候性に優れたブラックのアウトドアカーフレザーを使用し、悪路での歩行も想定したオールテランラバーソールを採用している。さらに、コバに切り込みを入れたノッチドウェルトや、堅牢なグッドイヤーウェルト製法など、靴作りに定評のあるメゾンならではの仕様も見逃せない。消防士の足元を支えた実用靴のタフさに、フランスの高級革靴が持つエレガンスを融合。仕事靴に由来する武骨さを残しながら、大人の街着に馴染むブーツへと仕上げた。

編集部 泉
消防士のブーツがデザインソースというだけでも男心をくすぐりますが、そこにジェイエムウエストンの名作ハントのフォルムを取り入れているのが魅力的です。ワークブーツらしい重厚感はありながら、決して野暮ったく見えません。

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N.HOOLYWOOD COMPILE × Danner「POSTMAN SHOES」郵便配達員のためのサービスシューズを、タフな街履きにアップデート

ポストマンシューズは、アメリカの郵便配達員が履いていたサービスシューズに由来する革靴。長時間にわたって街を歩き、郵便物を届ける仕事では、足への負担を抑える履き心地と耐久性が欠かせない。そのため、装飾を抑えたプレーントゥのアッパーに、歩行を支えるラバーソールを組み合わせたシンプルな設計が定着した。なかでもダナーのポストマンシューズは、アメリカの郵便配達員用に生まれたサービスシューズを原型に、日本で約30年にわたって生産されてきたロングセラーモデル。制服に馴染む控えめな見た目と、歩く仕事を支える機能性を兼ね備えた名作だ。

エヌハリウッド コンパイルとダナーによる「POSTMAN SHOES」は、そんな名作の実用的なデザインを受け継ぎながら、武骨なディテールを加えてモディファイした一足。オリジナルのすっきりとした印象に対し、頑丈なステッチと外側に大きく張り出したコバ、ロウ引きのシューレースを組み合わせることで、ワークブーツを思わせる力強さをプラスしている。アウトソールには、凹凸のあるVibram製フラットタンクソールを採用し、アッパーには上品な光沢を放つガラスレザーを使用。さらに、アメリカ合衆国郵便公社(USPS)のタグを日本仕様にアレンジして配するなど、原型への敬意を感じさせる遊び心も。クラシックな仕事靴に、エヌハリウッドらしい感性を落とし込んだモデルだ。

編集部 泉
ポストマンシューズの魅力は、何といってもシンプルで合わせる服を選ばないこと。このモデルはその長所を残しながら、張り出したコバやタンクソールでほどよく個性を足しているのが良いですね。ガラスレザー特有の光沢もあるので、カジュアルに寄りすぎないのもポイント。太めのチノパンやジーンズにはもちろん、ウールスラックスの足元に合わせて少し武骨さを加えるのも面白いと思います。

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