スイス腕時計界きっての航空時計の雄、ブライトリング。ライト兄弟が人類初の有人飛行に成功して以降、プロが使う計器としてパイロット達に愛用されてきたのがこのブランドの腕時計だ。空の男の命を預かるタイムピースは緻密に設計されており、その精巧な造形美はパイロットのみならず多くの男を魅了する。今回は、ブライトリングの魅力や特徴、人気のモデルについて紹介!
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ブライトリングとは
1884年創業のスイス腕時計ブランド、ブライトリングは「クロノマット44」や「ナビタイマー」など、”プロの使う計器”をコンセプトに、精度と高いタイムピースを数多く手がける。
ブライトリングの創業から3代に渡りクロノグラフに革命を起こす
スイスのジュラ山脈の麓にあるサンティミエという、小さな村に開かれた時計工房がブライトリングの始まりである。創業者のレオン・ブライトリング( Léon Breitling)はカーレース用の計器づくりにおいて成功を収める。1915年には、2代目のガストン・ブライトリング(Gaston Breitling)が世界初となる専用プッシュボタンを備えた腕時計型クロノグラフを開発。3代目のウィリー・ブライトリング(Willy Breitling)は、1934年にクロノグラフのリセットボタン機構を生み出した。親子3代にわたる計器づくりへの探究心が、現在のクロノグラフの原型を作ったのだ。
左から、ウィリー・ブライトリング(1913-1979)、レオン・ブライトリング(1860-1914)、ガストン・ブライトリング(1884-1927)
初代「クロノマット」「ナビタイマー」などの誕生で航空時計のパイオニアへ
1942年に回転計算尺を組み込んだクロノグラフ「クロノマット」を、1952年には世界初の航空計算尺付きクロノグラフ「ナビタイマー」を発表。これらのモデルは、あらゆる飛行計算が可能な航空計器として、各国空軍のサプライヤーとしての地位を確立。世界中のパイロットからも人気を集め、プロのための計器を作るブランドとして一躍有名になる。
低迷のブライトリングを救った、現会長アーネスト・シュナイダーの製品群
1974年、現会長であり、当時パイロット兼電子エンジニアであったアーネスト・シュナイダーがブライトリングを受け継ぐ。彼が1984年から1985年に発表した新型「クロノマット」とチタンケース仕様の「エアロスペース」、かつての名作を復活させた「オールド・ナビタイマー」などのモデルは、革新的な機能を備えた計器として人気を博し、クォーツショックで低迷していたブライトリングを救い出したとされている。
ブライトリングによる世界初の「100%クロノメーター化」宣言
計器のクオリティを追求し続けるブライトリングは、1999年に業界初の「100%クロノメーター化」を宣言。すべてのムーブメントを公認クロノメーター試験に合格させることに成功した。さらに2001年には通常のクオーツの10倍の精度を持つ「スーパークオーツ」を開発。2009年にはブライトリング初の独自開発クロノグラフムーブメント「キャリバー01」を発表した。創業から現在に至るまで、様々な航空関連事業を通じながら、最先端の技術開発を追求し続けるスイス屈指のクロノグラフブランド。それがブライトリングだ。
”パイロット目線”で作られるブライトリングの腕時計の魅力
パイロットウォッチの名門として名高いブライトリング。このブランドの時計づくりの歴史は、人類の飛行の歴史とともに歩んできたと言っても大袈裟ではない。一瞬の判断の遅れが重大な事故に繋がる空の世界において、文字盤の情報を瞬時に読み取れることはプロの計器の絶対条件。ブライトリングの優れた視認性や耐久性、計測機能はパイロット達から絶大な信頼を得ている。
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ブライトリング腕時計の魅力1「つまみやすいリューズとボタン」
パイロットが厚いグローブをはめていてもスムーズに操作できるよう、リューズやプッシュボタンには細かな刻みがつけられている。
ブライトリング腕時計の魅力2「激しい動きや気圧にも耐えるケース」
高品質な素材を使用して作られたケースは、耐久性や耐腐食性、さらには耐磁性にも優れ、丹念に磨き上げることで重厚な輝きを放つ。
ブライトリング腕時計の魅力3「70時間パワーリザーブを誇る自社開発ムーブメント」
100%クロノメーターを前提として、2009年に生まれたムーブメントはブライトリングの技術力が結集されている。ムーブメント製造のためだけにブライトリングでは工場が増設されており、そこで徹底した品質管理のもとに構成される部品の数は346個。その全てを、最先端テクノロジーと熟練した職人技によって組み上げる。毎時振動数28,800、約70時間のパワーリザーブを誇る高精度ムーブメント。この自社製ムーブメントに関しては5年保証を掲げることからも、ブライトリングの自信が窺える。
ブライトリング腕時計の魅力4「視認性を追求した文字盤」
プロの計器にとって、視認性を司るダイヤルは最も重要な部分であり、ブライトリングの腕時計の顔である。ダイヤルのベースとなる色付けには、「保護塗装」を用いて目に優しい輝きを生み出す。
さらにインデックスや目盛などは、用途に合わせて、植字加工、高精度プリント加工が使い分けられている。立体的なエンブレムには18Kゴールドやホワイトゴールドを使用し、装飾性にも余念がない。こうした手作業も含めたダイヤル制作には、50以上の工程で約3〜4ヶ月の歳月をかけて行われる。
その他にも、キズがつきにくく、高い高度の太陽光下においても反射光を99%カットする両面無反射コーティングを施したサファイアクリスタル製のガラス。さらにダイヤル面にも光の反射を抑えるギョーシェ彫りを施している。全てにおいて、プロフェッショナルが実用的に扱えるよう緻密な計算に基いて完成したデザインだからこそ、非の打ち所がない美しさを持ち、パイロットのみならず多くの人々に愛される製品が生まれるのだ。
ブライトリングのオーバーホールは正規店購入のほうが安い!?「クラブ・ブライトリング」とは?
腕時計の場合正規の直営店で購入するルートと並行輸入品や海外で購入するルートがあるが、ほとんどの場合並行輸入や海外品のほうが安く入手できることは広く知られた事実だ。しかし数年に一度の機会で必ずやってくるオーバーホール(分解してのメンテナンス)に関しては、正規ルートで購入した方が安く済むブランドが多い。ブライトリングの場合、特にこのオーバーホール料金の差が激しいのだ。
例えば定番モデルの「クロノマット44」や「ナビタイマー01」の場合、正規購入品の場合はオーバーホール料金が62,500円だが、並行輸入(海外)品の場合は125,000円となる。ブライトリングでは、国内正規品購入の優位性を確保するため、「クラブ・ブライトリング」というメンバーシップ制度を設けている。国内正規ルート購入者は、自動的にクラブ・ブライトリングのメンバー会員になれるのだ。
クラブ・メンバー会員には、専用メンバーズマガジン(年2回発行)が貰えたり、直営店での専用ラウンジ使用権が与えられるが、そういった特典の中のひとつがオーバーホールやメンテナンスの特別価格だ。ただし特別価格と言っても、他ブランドと比較した場合あくまで適正。単純に、正規品以外のオーバーホールが通常の2倍かかってしまうと考えるのが妥当だろう。
オーバーホールに出すタイミングとして、通常のもので3〜4年に1回、自社開発ムーブメント搭載モデルで5〜6年に1回というのがブライトリング公式の案内だ。モデルにもよるが、時計の本体価格は並行輸入品のほうが20〜30万円以上安い場合もある。オーバーホールを見越して先行投資として正規購入するか、安い並行輸入ルートを使うかは悩むべきところである。もちろんブライトリングの正規修理ではなく、信頼のおける修理屋にオーバーホールを託したり、アフターフォローの手厚い販売店で購入するのも選択肢のひとつだ。
ブライトリングの人気モデルを紹介
ブライトリング「クロノマット44GMT」
フラッグシップモデル「クロノマット44」のGMT搭載モデル。秒針をストップさせることなく、ローカルタイム表示針だけを動かすことができるという独創的な仕様となっている。柔らかな光を浴びる流麗な44mmケースは高級感に溢れ、精密なパーツを植字したバーインデックスとローマン数字インデックスなどは圧倒的な視認性と美しさを兼ね備える。さらに目でキャッチしやすい赤いGMT針が、デザイン面においても絶妙なアクセントとなっている。
ブライトリング「ナビタイマー01」
誕生から50年以上経過した今なお航空時計のシンボルとして君臨し続ける「ナビタイマー01」。世界初の航空計算尺付きクロノグラフであり、パイロット協会の公式時計としても認定されている。植字インデックスや赤い秒針の組み合わせなど、視認性とデザイン性を両立させるよう緻密に設計されている。
ブライトリング「アベンジャーII GMT」
人間工学に基いて設計された、ミリタリー志向のコレクション。お馴染みの赤いGMT針と、24時間目盛り、回転ベゼルの目盛りを活用することで、同時に3つの時間帯を知ることが可能。あらゆるフィールドにおいて、機能性、精度を発揮できるモデル。
ブライトリング「モンブリラン01」
世界初の計算尺付きクロノグラフを完成させた、1942年当時のコレクションと開発スピリットに敬意を表して誕生したモデル。ケースバックにはかつてモンブリランに建っていた工場が浮き彫りされている。オリジナルモデルのクラシックで洗練されたデザインはそのままに、40mmケースや赤いGMT針など現代のエッセンスも取り入れている。自社開発ムーブメントのCal.01を採用。