宝飾時計の定番、ショーメ(CHAUMET)の魅力と定番モデルを紹介

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宝飾時計の定番、ショーメ(CHAUMET)の魅力と定番モデルを紹介

フランス5大宝飾ブランドのひとつとして名高いショーメ(CHAUMET)。ジュエラーらしい高級感を備えたこのブランドの腕時計は、純粋な時計メーカーにはない独創的な雰囲気を放つ。今回は、ラグジュアリーウォッチの代表格「ショーメ」の魅力について紹介!chrono24

ショーメとは

1780年創業の宝飾ブランド、ショーメ。フランスの5大ジュエラーのひとつとして名を連ねており、1613年創業のメレリオ・ディ・メレー、1827年創業のモーブッサン、1858年創業のブシュロン、1906年創業のヴァン・クリーフ&アーペルとともに「グランサンク(Les Grand Cinq)」と称されている。皇帝時代からフランス王室御用達ブランドとして多くの宝飾品を手がけつつ、ラグジュアリーな時計を展開。1999年にLVMHグループ傘下に入ると、よりハイレベルな時計製造に傾倒。スイス顔負けの機能性と、フランスらしい高級感を併せ持つコレクションで人気を博している。

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ショーメ創業の歴史

500年以上も前から卓越した宝飾職人のいる場所であるパリにて、1780年に創業したショーメ。貴族の家に出入りしていた宝石職人マリ=エティエンヌ・ニト(Marie-Etienne Nitot)氏が、パリのサントノレ通りに店を構えたのがこのブランドの始まりである。すでにパリにおいて名を馳せた職人であったニト氏は、設立してまもなくマリー・アントワネット王妃の宝石商を務め、貴族階級の人たちから支持を集めていた。

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創業者マリ=エティエンヌ・ニト氏

ナポレオン・ボナパルトを魅了したショーメのジュエリー

フランス皇帝のナポレオン・ボナパルトは、ショーメの歴史に深く関わる人物。ショーメが開業して間もない頃、店の前で通りかかった馬車馬が突如暴れだした。店主のニト氏が決死の思いで手綱を取って暴れ馬をなだめ、助け出したのが当時まだ青年将校のひとりであった若き日のナポレオン1世だった。休息するためにニト氏の店に招き入れられたナポレオン1世は、その美しい宝飾品の数々に魅了された。このことがきっかけで、1802年には初代皇帝の公式ジュエラーとして、王室御用達ブランドに認定。ニト氏はフランス王室に伝わる140カラットの”リージェントダイヤモンド”を使い、ナポレオンの執政用の宝剣を制作した。

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宝飾品とは、政治的な権力を示すものであり、フランスを再び高級品やファッションの中心にしたいと考えていたナポレオン。創造の才に溢れたニト氏は、そんな皇帝の構想に大きく貢献。宝剣の他にも、ナポレオンと后妃ジョゼフィーヌの戴冠式で使用する宝冠を制作した。さらには、のちの后妃マリー=ルイーズとの婚礼の際に贈る結納ジュエリーなど、権威を象徴する豪華な宝飾品を多く手がけている。ショーメで初となる腕時計も、皇后ジョゼフィーヌの義理の娘、バイエルン王国王女アウグステのために制作されたもの。

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ショーメ初の腕時計。ブレゲ製ムーブメントを搭載し、ゴールド、エメラルド、パールで構成された豪華絢爛な一対の時計。(1811年頃ニト氏制作)

ナポレオンのローブを飾り、皇帝の紋章のひとつとして定められていたミツバチ。ミツバチはショーメのコレクションにたびたび登場し、ブランドを象徴するモチーフであることも、因果を感じずにはいられない。

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ショーメのブランド名の由来

ナポレオンが失脚し皇帝時代が終焉を迎えたあとも、ニコ氏の後継者たちは時代を反映した宝飾品の数々でフランスを代表するメゾンとなっていた。1885年に経営を受け継いだジョセフ・ショーメ(Joseph Chaumet)氏は、1907年に店舗をパリのヴァンドーム広場12番地に移す。現在まで続いているこの広場の建物は、ポーランドの音楽家ショパンがマズルカを作曲し、その短い生涯を終えたアパートとしても有名。ショーメの入り口の上方には、この家でショパンが死を迎えたことを伝えるプレートが今でも掲げられている。

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また、ジョセフ・ショーメ氏は店舗の移転に伴い自身の名前をブランド名に冠した。一流とされる多くの老舗ブランドが創業者の名前をつけているなか、7代目となる人物の名前が使用されている例は稀である。

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7代目経営者ジョセフ・ショーメ氏。「ティアラの巨匠」とも呼ばれていた。

ショーメが築いた”アール・デコ”スタイルとは

1920年代半ばから1930年代にかけて世界的に流行した装飾様式”アール・デコ”。このスタイルを確立したのがショーメとされている。父ジョセフ・ショーメ氏から経営を引き継いだマルセル氏は、これまでにいない宝石デザイナーだった。ボーイッシュな見た目にフェミニンなシルエット、そしてシンプルな幾何学模様をジュエリーに取り入れる。マルセル氏の前例のないスタイルは1925年パリ万国装飾美術博覧会で絶大な評価を獲得。貴石と半貴石の使用、黒と白の色使い、素材による大胆なコントラストなどを特徴としたエキゾチックなアール・デコスタイルは瞬く間にヨーロッパから世界へ広がり、エンパイア・ステートビルやロックフェラーセンターなどニューヨークの摩天楼を生み出した。現在においても、フランクミュラーのトノー型ケースなど、才気あるデザイナーたちに多大なインスピレーションを与えている。

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LVHMグループ参入を機に本格時計市場へ進出したショーメ

ナポレオン時代に最初の腕時計を製作したあともラグジュアリーな時計を手がけてきたショーメ。そのコレクションは、触感時計やジャンピングアワー、クロノグラフといった革新技術と、ダイヤモンドやマザーオブパール、エナメル装飾を組み合わせた独創的なものだった。

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ナポレオンのモノグラムをあしらった贈呈ウォッチ(1813年ニト氏作)

現代的な腕時計の製造に注力し始めたのは1995年のこと。装飾的なカフウォッチ「ケイシス」を発表すると、翌1996年にはメンズ向けの「スティル・ドゥ・ショーメ」をリリース。現在でも高い人気を誇るモダンなスポーツウォッチ「クラスワン」は1998年に誕生した。そして1999年、ショーメはタグ・ホイヤーやウブロ、ゼニスなどを擁する巨大コングロマリット「LVHMグループ」の傘下に入る。時計製造やマーケティングにおいて大きな力を持つLVHMグループをバックボーンに得たショーメは、2003年にメンズコレクションの「ダンディ」シリーズを展開するなど、本格的に時計市場に参入することとなった。

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ショーメが手がけるメンズ時計「ダンディ」

2003年に誕生して以降、現在ではメンズコレクションの主力製品として君臨する「ダンディ」シリーズ。伝統的な時計作りのノウハウと大胆なスタイルを融合させた、クッション型ケースが特徴。ベーシックモデルでは、リージェントダイヤモンドにインスピレーションを得たダイアルに1920年代風のバヤデールストライプをパターンの組み合わせたデザイン。

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さらに、スイス時計顔負けの複雑機構を備えたモデルも存在する。瞬時に時刻表示を切り替える”ジャンピングアワー”を12時位置の小窓に搭載。

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縁のある音楽家、ショパンへのオマージュを捧げたモデルには「メトロノミック・セコンド」を搭載。ショパン氏が奏でる旋律に呼応するかのごとく、スモールセコンドの針がメトロノームのように往復振動する。この極めて精緻な複雑機構を持つムーブメントを手掛けたのは、スイスの有名マイスターであるジャン=マルク・ヴィーダーレヒト氏。卓越した技巧をもつ名職人とショーメが手を組んだ、まさに芸術作品と言える腕時計だ。

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美しいブルースティールの針が1秒間隔で往復移動する

ラグジュアリーとダイナミックを融合させた「クラスワン」

残念ながら現在はレディースラインが中心となり、メンズモデルは並行輸入でしか入手できない「クラスワン」シリーズ。しかしこの腕時計は、男が堂々と身につけることができるジュエリーとして非常に魅力溢れるスポーツウォッチだ。力強いベゼルやクロノグラフには、ジュエリーブランドらしからぬ男らしさを発揮。それでいてラグジュアリーな要素もちりばめられている。ナポレオン皇帝がこの時代に生きていたら、きっと戦場に携えていったであろう腕時計だ。

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宝飾ブランドの誇りが込められたショーメの時計製造

世界を代表する宝飾ブランドだけあって、時計デザインに対するこのブランドのこだわりは並々ならないものがある。ショーメのデザイナーはヴァンドーム広場にあるクリエーションスタジオで、様々なモデルの構想を練る。身につけた人の感動を呼び起こすために考えを巡らせ、フォルムや素材の特徴、立体の滑らかさや光加減まで追求。優秀なデザイナーによって描かれたこれらのデザインはスイスのアトリエに送られ、最先端のモデリングテクノロジーを用いて試作品が制作される。ひとつの新しいモデルを制作するまでに、1年以上の時間をかけるのだ。

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ショーメの腕時計に搭載されるムーブメントはすべて、スイスの一流マニュファクチュールで製造されている(ETA社製とも言われているが明言はしていない)。時計づくりの本場スイスで作られる高精度ムーブメントに、ショーメらしい外観上のこだわりが施される。中でもブルースティールのネジはショーメ・ウォッチの特徴。

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ケースやブレスレットのボリューム、ダイアルの加工技術や針のカッティングなどは、宝飾職人たちの誇りの賜物。一流ジュエラーらしい、綿密で限りなく繊細な技術によってショーメの宝飾時計は完成する。

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ショーメの定番モデルを紹介

ショーメ「ダンディ クロノグラフ(Dandy Chronograph)」

メンズコレクションのフラッグシップモデル「ダンディ」シリーズ。バヤデールストライプパターンのダイアルがアンティークな雰囲気。それでいてサンレイサテン仕上げのため贅沢な輝きを放っている。時針と分針には蓄光塗料による夜光表示加工が施されている。ブルーのクロノグラフ秒針が絶妙のアクセント。

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ショーメ「ダンディ GMT(Dandy GMT)」

2タイムゾーンのGMT機能を備えたモデル。世界時間を示すインナーベゼルと主要都市の文字列は機能とデザインを両立。細部に至るまでこだわりが詰められており、「12」の数字とインデックスには両端に夜光表示加工が施されている。42時間パワーリザーブと50m防水という、機械式時計の水準を充分にクリアした性能を備える。

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ショーメ「ダンディ エディション アーティ(Dandy Edition Arty Limited Edition)」

2011年に発表された独創的なモデル。従来のダンディとは違い、芸術度の高いダイアルやオニキスのカボション入りリューズがラグジュアリーな印象。ケースデザインに合わせた、エナメル加工のブラックレザーとブルーサテンのタキシードストラップも高級感たっぷり。シースルーバックの裏蓋からは美しいデザインのムーブメントを臨むことが可能。フランス5大宝飾ブランドの真骨頂が垣間見える逸品。

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ショーメ「クラスワン クロノグラフ(Class One Chronograph)」

ショーメの名作ダイバーズウォッチ「クラスワン」シリーズ。大型で分厚い45mmサイズのケースは、ブラックカラーのPVD加工が施されることによって存在感溢れるフォルムとなっている。ウェーブ柄をベースにした文字盤が芸の細かさを感じさせる。スモールセコンドのブルーカラーが漆黒のボディに対して挿し色となっており、まるで深海のような美しさを演出している。

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ショーメ「クラスワン(Class One)」

ベーシックなホワイトのモデル。ダイアルにはしっとりとした光沢が宿されており、スポーティな中にもゴージャスかつエレガントな印象を与える。いかにもダイバーズモデルらしいラバーストラップでラグジュアリーなケースとのギャップを演出。裏蓋はハーフシースルーバック仕様という珍しいデザインを採用。日常使いにおいて申し分のない100m防水を備える。

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