
トレンドに左右されない定番スタイルとして確固たる地位を築くアメカジ。ミリタリーやワーク、カレッジなどの文化的背景を持つスタイルをベースに、武骨さと実用性を兼ね備えた装いは、男らしさを引き出す着こなしとして長く支持されてきた。本記事ではアメカジを構成する代表的なスタイルを整理しながら、大人が取り入れる際のポイントを紹介する。
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スタイルの定義と成り立ちアメカジとは?
アメカジとは、アメリカンカジュアルの略称。ワークやミリタリー、カレッジ、ウエスタン、サーフなどを筆頭に実用性や文化的背景を持つ米国由来のスタイルが並ぶ。最大の特徴は「機能性に裏打ちされた服」という点。多くのスタイルは、もともと作業着や軍服などといった実用環境で着用されていた衣服がベースとなっており、耐久性や動きやすさに優れた設計が基本だ。それ故、取り入れるだけで自然と武骨でラフな印象が付随する。また、アメカジは単一のスタイルではなく、複数の文脈が混ざり合って形成されている点も特徴。デニムやチノパンといった日常着から、フライトジャケットやワークブーツのような専門性の高いアイテムまで、幅広い要素が横断的に存在する。
アメカジは、世界各国で独自の解釈を経ながら発展してきたスタイル。ここでは本題に入る前に、イタリア発の「パニナリ」と日本発の「渋カジ」といったアメカジから派生した2つのジャンルを紹介する。
イタリアで派生したアメカジスタイルミラノの若者がアメカジを再解釈して生まれた「パニナリ」
1980年代のイタリア・ミラノでは、米国文化への憧れを背景に「パニナリ」と呼ばれる若者文化が誕生した。単なる模倣に留まらず、シルエットや配色に都会的なバランス感覚を取り入れている点が特徴。モンクレールのダウンジャケットに淡いブルージーンズ、ティンバーランドのブーツといった装いが象徴であり、アメカジ由来のアイテムをヨーロッパ的な感性で再構築したスタイルだ。
日本で派生したアメカジスタイル渋谷に集う高校生から広がったストリート文化「渋カジ」
日本では1990年前後、渋谷を中心に「渋カジ」と呼ばれるスタイルが台頭した。発信源は都内の私立高校に通う男子学生たち。彼らは放課後に渋谷センター街へ集い、リーバイス「501」やアヴィレックスのフライトジャケット、ヘインズのTシャツといった米国由来のカジュアルアイテムを組み合わせた装いをしていた。そのスタイルはやがて全国的なムーブメントに。ブーム自体は90年代前半に収束したが、その後の国内トレンドに強い影響を与えている。
[引用:https://senken.co.jp/posts/newyear-special-post-2019-shibuyacasual(繊維研究新聞)]
ルーツや雰囲気の違いを紹介!アメカジコーデのキーワード5選
ここでは、アメカジコーデといったら見逃せないキーワードをコーデ事例とともに紹介。ひとくちにアメカジといっても、その中身は実に多彩だ。ルーツや雰囲気の違いを把握することで、着こなしの解像度はぐっと高まる。
アメカジコーデのキーワード1機能美が放つタフな雰囲気が魅力の「ミリタリー&ワーク」
軍服や作業着をルーツとし、アメカジの中核を成すミリタリー&ワーク。ミリタリーは、第二次世界大戦後に米軍のサープラス品がストリートへ流れたことをきっかけに一般層へ浸透した。スティーブン・マックイーンが映画『大脱走』(1963年)にて披露したA-2ジャケットの着こなしや、ロバート・デ・ニーロが映画『タクシードライバー』(1976年)で体現したM-65の着こなしを通して、武骨で機能的な装いとしてファッションへと昇華されていった。一方のワークは、ゴールドラッシュや鉄道建設の時代に生まれた労働着を源流とし、リーバイスやカーハートといったブランドを通して日常着として定着。産業化とともに広く普及した背景が、現在のタフで武骨なスタイルへとつながっている。
ミリタリー・ワークのいずれもコートやジャケット、シャツ、パンツ、ブーツまで幅広いアイテムが揃い、その武骨さを活かしたラフな装いはもちろん、現代ではドレスアイテムと組み合わせた都会的な着こなしも定番だ。
ミリタリー&ワークスタイルにこれから挑戦するなら、スタイルを象徴する定番品を押さえておきたい。カーハート「デトロイトジャケット」は、ダック地特有のタフな質感が武骨な雰囲気を演出してくれる。リーバイス®︎「501®」は、時代に左右されないストレートシルエットで様々なアメカジコーデに馴染む。さらにディッキーズ「874®」はワーク由来のタフな雰囲気のみならず、センタープレスによるきちんとした印象を付与してくれる。
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アメカジコーデのキーワード2クリーンで知的な印象の「カレッジ」
アイビーリーグ文化と結びついたカレッジスタイル。1965年に刊行された写真集『Take Ivy』が記録した学生たちの装いは、このスタイルの原風景として今なお参照され続けている。さらに、映画『卒業』(1967年)で描かれた若者像も、そのイメージ形成に影響を与えた。端正で若々しい雰囲気を備えたこのスタイルは、学生文化を背景にアメカジのジャンルのひとつとして定着していった。
カレッジスタイルは、ブレザーやボタンダウンシャツ、チノパン、ローファーといったキレイめなアイテムに加え、スタジャンやスウェットシャツ、ベースボールキャップなど学生文化に根ざしたカジュアルなアイテムでも構成される。アメカジの中でも比較的クリーンな印象が特徴であり、大人でも容易に取り入れられる点が嬉しい。昨今は、こうしたカレッジスタイルを現代的に再解釈したネオプレッピースタイルが注目されており、そちらもおさえておきたい。
カレッジスタイルを構成するうえで軸となるのが、伝統に裏打ちされたアイテムだ。ブルックス ブラザーズの「ブレザー」は、装い全体を引き締める基盤となる。同ブランドの「ボタンダウンシャツ」は、その汎用性の高さが魅力。さらにジーエイチバスの「ローガン」は、足元に品格を添えてくれる。
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アメカジコーデのキーワード3不良文化や反骨精神からスタイルが形成された「バイカー」
バイカースタイルは、ライダースジャケットを象徴とするアメカジの定番ジャンルだ。バイカーが道路を疾走するための防具として生まれたレザージャケットを軸に、Tシャツやデニム、ブーツなどを合わせた装いが基本となる。このスタイルは、映画『The Wild One』(1953年)でマーロン・ブランドが体現したことで広く知られるようになり、その後『Easy Rider』(1969年)に象徴されるカウンターカルチャーの広がりとともに、自由や反骨精神を体現するスタイルとして認知されていった。
Marlon Brando, 1953 : The Wild One (1953), Directed by Laslo Benedek, Shown: Marlon Brando (Johnny Strabler/Narrator)
Peter Fonda as Wyatt and Dennis Hopper as Wyatt shooting the smash success Easy Rider
26 June 1969
こちらの装いは、ライダースジャケットを軸にシンプルなインナーにデニムやブーツを合わせるだけで成立する。大人が街着として取り入れるなら、ギャラリー1枚目のようにラギッドな印象に寄せるのはもちろん、軽快かつクリーンな雰囲気を演出するならキレイめなインナーやスラックスを選ぶのもアリ。
そんなバイカースタイルを実践するなら、ショットの「613 ワンスター」は見逃せない。バイカーファッションの中核的存在だ。リーバイス®︎「517™️」は、ブーツとの相性を前提としたシルエットでバイカーらしいラインを形成する。さらにレッドウィングの「エンジニアブーツ」もバイカースタイルの足元に欠かせない定番品だ。
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アメカジコーデのキーワード4肩の力が抜けたラフな雰囲気まとう「サーフ」
サーフスタイルは、米国西海岸のサーフカルチャーを背景に発展したジャンルだ。映画『The Endless Summer』(1966年)が象徴するように、このスタイルは南カリフォルニア発のサーフカルチャーとともに広がっていった。また、このスタイルは西海岸のサーフカルチャーを背景に形成され、オーシャンパシフィックやハンテンといったブランドがその空気感を体現。さらにステューシーやヴァンズなどを通じてストリートへと拡張されていった。
The Endless Summer (1966) Documentary
Directed by Bruce Brown
Shown from left: Unidentified, Robert August, Mike Hynson
The Endless Summer (1966) Documentary
Directed by Bruce Brown
サーフスタイルは、開襟シャツやTシャツ、ショーツ、デニム、ヴァンズのスニーカーなどといったアイテムで構成され、肩の力が抜けたラフな雰囲気が魅力である。大人が街着として取り入れるなら、サーフスタイルを象徴するブランドのアイテムをミックスしたキレイめな装いを意識したい。
サーフスタイルを実践するなら、レインスプーナーの「アロハシャツ」、パタゴニア「バギーズ・ショーツ」、ヴァンズ「クラシックスリッポン」などをチェックしてほしい。レインスプーナーのアロハシャツは、リラックス感のあるシルエットと爽やかな柄使いで西海岸らしい空気を演出してくれる。パタゴニアの「バギーズ・ショーツ」は、軽やかな穿き心地と機能性でサーフ由来の実用性を体現。さらにヴァンズの「クラシックスリッポン」は、足元から全体を軽やかにまとめてくれる。
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アメカジコーデのキーワード5土臭さと華やかさを兼備する「ウエスタン」
米国西部のカウボーイ文化を背景に発展したウエスタンスタイル。メキシコ由来のバケーロ文化を源流に持ち、牧畜労働を背景に形成された実用的な装いを起点とする。 さらに1950〜60年代の西部劇黄金期において、ジョン・ウェインが映画『The Searchers』(1956年)や『Rio Bravo』(1959年)などで体現したカウボーイ像を通じて、古き良き米国の男らしさの象徴として定着していった。
DEAN MARTIN, JOHN WAYNE and RICK NELSON (RICKY) in RIO BRAVO (1959), directed by HOWARD HAWKS. Copyright WARNER BROTHERS. Credit: WARNER BROTHERS / Album
John Wayne, 1956 : THE SEARCHERS, John Wayne, 1956
こちらのスタイルは、フリンジ付きのジャケットやウエスタンシャツ、デニム、ウエスタンブーツ、ハットなど装飾性と実用性を兼ね備えたアイテムで構成される。土臭さに加え、どこか華やかで色気のあるムードを備えている点も魅力だ。そんなウエスタンスタイルを大人が街着として取り入れるなら、全身をウエスタンアイテムで固めるのは避けたい。個性的なアイテムが多いゆえ、過剰に寄せるとコスプレのような印象に傾いてしまう恐れがあるためだ。
ウエスタンスタイルを実践するなら、ダブルアールエルのデニムシャツやトニーラマのウエスタンブーツ、エイチティーシーのスタッズベルトをチェックしてほしい。いずれもウエスタン由来の土臭さと装飾性を兼ね備え、着こなしに独特の色気と存在感をもたらす。一点取り入れるだけでもスタイルの方向性を明確にし、ウエスタンの空気感を表現できる。
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アメカジコーデへの疑問を打破!アメカジコーデに関するQ&A
Q1. アメカジとアメトラの違いは?A:アメカジはラフなカジュアルスタイル、アメトラはキレイめなドレススタイル
アメカジはワークやミリタリーなど、実用性を起点としたカジュアルスタイルの総称であるのに対し、アメトラはアイビーリーグに端を発する伝統的でドレッシーな装いを指す。前者はデニムやワークブーツといった武骨なアイテムが中心となり、ラフで男らしい印象を持つ。一方で後者はブレザーやシャツ、スラックス、ローファーといったアイテムで構成された品格のあるドレススタイルだ。両者はルーツも見え方も異なるが、カレッジスタイルのように両者の中間に位置するスタイルも存在するため、文脈を理解して使い分けることが重要となる。
Q2. ジーンズやブーツの“経年変化”はどこまで許容される?A:“汚れ”ではなく“経年変化”を見極める
色落ちやアタリといった経年変化は問題ないが、単なる汚れやくたびれた状態は絶対にNG。ヴィンテージらしさはあくまでアイテムの表情として取り入れ、インナーやシューズなど別のアイテムで清潔感をしっかりと補いたい。
Q3. 有名なアメカジブランドは?A:リーバイス、カーハート、ディッキーズ...ジャンルごとに多数のブランドが存在!
アメカジは単一のブランドで語れるものではなく、ジャンルごとに象徴的なブランドが異なる。デニムならリーバイス、リー、ラングラーの3大ブランドが定番であり、ワークウェアならカーハートやディッキーズなどが代表格だ。より上品なムードのカレッジ、プレッピー文脈ではラルフ ローレンやJ.クルー、などが存在感を放つ。そして、ミリタリーならアヴィレックスやショット、アルファ インダストリーズ、サーフならステューシーやヴァンズ、などが象徴的。さらに、ウエスタンやカントリー寄りの文脈ではダブル アール エルやロッキー マウンテン フェザー。ブーツならレッドウィングやティンバーランドも欠かせない。




































































