世界最古にして3大ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)の魅力と定番モデルを紹介

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世界最古にして3大ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)の魅力と定番モデルを紹介

創業260年という途方もなく長い歴史を持つ時計ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。マルタ十字をシンボルに持つ腕時計には、あらゆる時代をくぐり抜けてきたこのブランドにしか出せない高貴な雰囲気がある。今回は、世界中の時計ブランドの中でも3本の指に入る老舗メゾン「ヴァシュロン・コンスタンタン」の魅力について紹介!

ヴァシュロン・コンスタンタンとは

1755年の創業から一度も途切れることなく現在に至った世界最古の時計ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)。単に歴史が長いだけでなく、パテック・フィリップ(Patek Philippe)、オーデマ・ピゲ(Audemars Piguet)と並んで世界3大時計ブランドと称される名実ともに最高峰の時計メゾン。シンプルなドレスウォッチからラグジュアリーなスポーツモデルまで、持ち味を生かしたコレクションで時計界をリードしている。

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「Vacheron Constantin」の読み方

一見しただけでは読み方に戸惑ってしまうVacheron Constantinのブランド名。現在はフランス語読みの「ヴァシュロン・コンスタンタン」が一般化されている。ただし、英語読みやドイツ読みでは「バセロン・コンスタンチン」の発音が近く、以前は日本の時計雑誌でも「バセロン・コンスタンチン」として紹介されていた。リシュモングループ傘下に入ってから表記が改められはじめ、日本では2002年頃から公式サイトや時計雑誌を含め「ヴァシュロン・コンスタンタン」と読まれるようになった。

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ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史

時計産業発展期におけるジュネーブで創業したヴァシュロン・コンスタンタン

1755年9月17日、時計産業が盛り上がりを見せていたジュネーブにて開かれた小さな時計工房が始まり。当時24歳だった時計職人のジャン=マルク・ヴァシュロン(Jean-Marc Vacheron)氏がこの年に制作した懐中時計は、アラベスク装飾を施した美しいムーブメントが搭載されていたと言われている。美的感覚に優れた芸術的なヴァシュロン・コンスタンタンの時計づくりは、260年前のこのときから根付いているのだ。

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創業者ジャン=マルク・ヴァシュロン氏

3名の偉人がヴァシュロン・コンスタンタンをトップブランドへと導いた

ヴァシュロン氏の技術と意志は息子のアブラアム(Abraham)氏、さらに孫のジャック・バルテルミー(Jacques Barthelemy)氏へ脈々と受け継がれた。繊細かつ大胆なアイデアを持ち、ミニッツリピーターなどの複雑時計制作の才に長けたバルテルミー氏は、現在のヴァシュロン・コンスタンタンの礎を築いたとも言われる人物。彼がスイスからフランスへと順調に販路を開拓し、さらにイタリアへと進出したとき、優れた営業マンのフランソワ・コンスタンタン(Francois Constantin)氏と出会う。その手腕に魅了されたバルテルミー氏は即座にコンスタンタン氏を共同経営者へと迎え、「ヴァシュロン&コンスタンタン」が誕生。コンスタンタン氏は、フランスやイタリア、アメリカ、メキシコ、キューバからアジアに至るまで世界各国を行商。類まれなるビジネスセンスで瞬く間にヴァシュロン・コンスタンタンを国際的なブランドへと成長させた。
さらに1839年に経営に参加した機械技師ジョルジュ=オーギュスト・レショー(Georges-Auguste Leschot)氏が、「パンタグラフ」を始めとする製造効率とクオリティを高めるいくつもの工作機械を発明。創業者ヴァシュロン氏に、フランソワ・コンスタンタン、ジョルジュ=オーギュスト・レショーの両氏を含めた3人が、ヴァシュロン・コンスタンタンを世界最高峰の時計メゾンへと成長させた立役者として語られている。

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左から、ジャン=マルク・ヴァシュロン氏、共同経営者フランソワ・コンスタンタン氏、時計師ジョルジュ=オーギュスト・レショー氏

現在まで続くケ・ド・リルのブティック

1875年にはローヌ川の中洲ケ・ド・リルに新社屋を設立。1906年には、ブランド初となるブティックをこの建物の1階にて開業。創業200周年を迎えた1955年には、世界で最薄となる厚さ1.64mmの機械式ムーブメントを発表した。1970年には社名から”&”を省き、現在の「ヴァシュロン・コンスタンタン」とした。260年ものあいだ時計業界のトップを走る続けるこのブランドは、今なお美しさと機能を極めたコレクションを手がけ続けている。

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ジュネーブの著名な建築家ジャック・エリゼ・ゴスが手がけたケ・ド・リルの社屋。設立から140年が経つ現在も本店ブティックと遺産管理室として機能する、ブランドの歴史を象徴する建物。

ヴァシュロン・コンスタンタンのロゴ”マルタ十字”

”マルタクロス”とも呼ばれるヴァシュロン・コンスタンタンのロゴは、1880年に商標登録された。キリスト教の騎士修道会、聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)が掲げたとされるマークで、4つの扇形紋章を結合させた8つの角が特徴。ヴァシュロン・コンスタンタンは、香箱のカバーにかつてつけられていた部品のデザインが似ていたことからマルタ十字のロゴを採用。ブランドの誇りを体現するシンボルマークとして、文字盤やリューズ、ラグなどに用いている。

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ヴァシュロン・コンスタンタンの技術力を証明する複雑機構ウォッチ

1790年に初めて複雑機構の壁時計を制作して以来、長い歴史のなかで技術を研ぎ澄ませてきたヴァシュロン・コンスタンタン。1884年には表裏両面に文字盤が配されたダブルフェイスのポケットウォッチを制作。一方の文字盤には高度な技術を要するパーペチュアルカレンダーが備えられていた。

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初の複雑時計。見事なエングレーヴィングが施され、裏面には”Vacheron A GENEVE”の文字が記されている。壁時計は当時の流行だったが、カレンダー機能が搭載されたものは極めて稀。

1929年には、スイスで暮らすエジプト人たちがエジプト国王ファード1世に贈ったグランドコンプリケーションウォッチを手がける。クロノグラフ、永久カレンダー、ミニッツリピーター、グランソネリとプチソネリを組み合わせた懐中時計は、この時代に実現可能だった全ての技術が詰められている。また、ただ複雑機構を組み込むだけでなく、ケースバックをエナメルで描いた王室の紋章で飾るなど、創業以来伝わる美に対するこだわりも感じさせる。

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そして2015年、創業からちょうど260年を数えるこの年に、ヴァシュロン・コンスタンタンは史上で最も複雑とされる懐中時計「リファレンス57260(Reference 57260)」を発表した。3名の時計師チームが8年もの歳月をかけて完成させたリファレンス57260は、2800以上の部品が組み込まれており、57種類の複雑機構を搭載。カレンダー機能だけでも、7種類のパーペチュアルカレンダー、8種類のユダヤ暦カレンダー、9種の天体カレンダー、ヨム・キプール(贖罪の日)日付表示カレンダーという詰め込みぶり。分厚く重厚なケースを含め、中に詰められた機構は全てジュネーブシールにて検査され、認定されている。

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ヴァシュロン・コンスタンタンのアイコン的ドレスウォッチ「パトリモニー」

現在のヴァシュロン・コンスタンタンを代表するドレスウォッチ、「パトリモニー」は2004年に登場した。1957年に手がけていたモデルから着想を得た2針モデルや、シックな印象の3針モデル、見た目からは想像できない複雑機構を備えたコンプリケーションモデルまで、幅広いラインナップを展開。

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どのモデルも共通して「3」、「6」、「9」、「12」時のインデックスは存在感のある楔形。これはブランドのシンボルであるマルタ十字を表現している。オーソドックスなラウンドウォッチも、ヴァシュロン・コンスタンタンの手にかかれば最高峰の気品を携えるのだ。

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技術力を結集させたコンプリケーションウォッチ「トラディショナル」

260年の歴史で培った技術力が、最も注ぎ込まれていると言える「トラディショナル」コレクション。トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーターの3大複雑機構を搭載したグランドコンプリケーションや、ワールドタイマー搭載のミディアムコンプリケーションモデル、2針+スモールセコンドの自動巻きモデルなど、機構の選択肢が最も多いのもこのコレクションの特徴。価格帯もモデルによって300万円〜8000万円超えという幅広さだ。

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ベゼルにヴァシュロン・コンスタンタンの意匠を感じる「オーヴァーシーズ」

唯一のスポーツウォッチコレクション。1996年に初めて登場し、クロノグラフ搭載モデルを筆頭に、ステンレススチールケースのものからピンクゴールド製のものまで多彩に展開。それまで以上に幅広い顧客層にブランドが支持される要因となったモデルとなった。

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「オーヴァーシーズ」が愛される最大の理由とも言えるのがインパクト抜群のベゼル。8つの凹凸はマルタ十字を表している。ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計にしかできないデザインだ。

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ヴァシュロン・コンスタンタンのマニュファクチュール

ヴァシュロン・コンスタンタンは、ジュネーブとジュウ渓谷に2つのファクトリーを構えている。2015年に増築されたジュネーブの本社件アトリエでは、ムーブメントの組み立てやエングレービング、部品の最終仕上げが行われる。

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2004年8月9日に完成たファクトリー。マルタ十字を半分に切ったブランドを象徴する建築デザインは、スイス人の建築家ベルナール・チュミによって手がけられたもの。

ジュウ渓谷のほうは元々3つの小さなアトリエに分かれていたが、2013年に新たに完成した「アトリエ・ヴァシュロン・コンスタンタン・ヴァレ・ド・ジュウ」に統合。最新の工作機械による部品製造やパーツの面取り、手作業による仕上げが行われる。

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全ての時計がジュネーブシールの基準をクリア

それぞれ最先端の技術を所有する2つのファクトリーで製造されたヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計は、品質テストの最高峰であるジュネーブシールの認定を受ける。ムーブメントの各部品から素材、装飾部品や外装、ケースの素材に至るまで、一週間にわたって厳しい検査基準が設けられる。7日間の期間内に、表示時刻の偏差が1分を超えると不合格になるという厳格さは、多くの一流メーカーが行うスイスクロノメーター規格よりも遥かに上を行く。ヴァシュロン・コンスタンタンはすべての製品でこのジュネーブシールを取得するため、万全の体制で時計製造を行っているのだ。

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ヴァシュロン・コンスタンタンの定番モデルを紹介

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー (Patrimony)」

ドレスウォッチの王道にして最高峰「パトリモニー」。こちらはデイト表示すらも排した極めてシンプルな2針モデル。極限まで針をスリム化することでダイヤルに大きな余白を残している。マルタ十字を表現する上下左右のインデックスの美しさもさることながら、小さなドットインデックスにも鏡面磨きを施すという非の打ち所がない仕上がりとなっている。

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ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・クロノグラフ(Traditionnelle Chronograph)」

ブランドの技術力を結集した「トラディショナル」コレクションのクロノグラフモデル。2カウンターのクロノグラフというオーソドックスなデザインだからこそ、ヴァシュロン・コンスタンタンならではの気品と風格が漂う。シースルーバック仕様のケースから複雑機構のムーブメントを思う存分楽しめる設計となっている。

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ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ・オートマティック(Overseas Automatic)」

”海を渡る”というコンセプトの元に作られたヴァシュロン・コンスタンタン唯一のスポーツウォッチコレクション「オーヴァーシーズ」。150mという充分な防水性能に加え、耐久性の高いステンレススチールケースによってアクティブに使用できる一本。マルタクロスを想起させるベゼルデザインが愛好家たちの心を鷲掴みにする。

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