”時の建築家”、エベルの魅力と定番モデルを紹介

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”時の建築家”、エベルの魅力と定番モデルを紹介

スイス屈指の実力派時計ブランド、エベル(EBEL)。”時の建築家”というコンセプトのもとに手がける、繊細で独創的なデザインの腕時計が持ち味だ。今回は、アートな要素を備える「エベル」の魅力と定番モデルについて紹介する!!

エベルとは

“時の建築家(The Architects of Time)”を標榜するスイスの一大時計メーカー、エベル。男性社会の色が強い時計界において、夫婦での創業という珍しいスタンスを取ったブランドである。夫の技術力と妻のデザインセンスを融合させた作品は数々の賞を受賞。最盛期の人気はロレックスを凌駕するほどのものだった。残念ながら時計以外の事業で失敗し、西暦2000年前後は低迷するも、2004年にリスタート。「エベルウェーブ」や「エベルクラシック」など創業以来の独創的なデザインを復活させ、その魅力を世界に再認識させた。

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エベルの歴史

創業夫婦の才能を融合し、数々の賞に輝いたエベル

時計製造の聖地、ラ・ショー・ド・フォンにて1911年7月15日に設立されたエベル。創業者はユージン・ブルム(Eugene Blum)と妻のアリス・レヴィ(Alice Levy)。ブランド名の「EBEL」は、創業夫婦の「ユージン・ブルムとレヴィ(Eugene Blum Et Levy)」の頭文字から名付けられた。ユージンは精度の向上や品質の高さを追求する技術面を担当し、アリスは腕時計の美しさにフォーカス。柔らかく優しい形の優雅さを主張し、大胆で独特でありながらも時代を超越したデザインへのアプローチを試みた。ほぼ全ての時計ブランドが男性創業者であるなか、エベルは男女それぞれが持つ長所に敬意を払い、パートナー同士才能を補填しあいながら成長する珍しいブランドだった。まだまだ懐中時計が主流だった1912年、エベルは早くもブランド初となる腕時計を完成。1914年にはアリス・レヴィのデザインが認められ、第1回スイス・ナショナル・エキシビジョンにて金メダルを獲得。さらに1925年パリの装飾芸術博覧会にてグランプリを受賞した。

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創業者の夫・ユージン・ブルムと妻・アリス・レヴィ

2代目経営者によってブランドの信頼を確固たるものに

1929年、創業夫婦は息子のチャールズ(Charles Eugene Blum)を経営陣に招き、家族経営としての地盤を固めた。チャールズは、腕時計のイメージをこの上ない贅沢品とすることを使命とし、それに見合う品質と精度をエベルの腕時計に求めた。翌年に開催されたバーゼルフェアでは高いクオリティのコレクションを幅広く発表し、注目を集める。第二次世界大戦が始まると、その精度が信頼され、1939年から1945年までのあいだ英国空軍専用の時計を制作した。終戦後は本来のデザイン性に富んだ腕時計が評価され、1964年にはローザンヌでのスイス博覧会でグランプリを受賞。

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2代目経営者チャールズ・ユージン・ブルム

“時の建築家”の始まり!ロレックスに追随する人気を誇ったエベル

創業者の孫にあたるピエール・アラン・ブルム(Pierre Alain Blum)が入社したのは1970年のこと。エベルを世界的な存在へと発展させたのは、他でもない彼である。1977年、ケースとブレスレットが一体化した「スポーツクラシック」を発表。六角形のケースからブレスへと続く流麗な”波状”ラインは、現在のコレクションにも受け継がれるエベルの象徴的デザインである。この波状デザインとともに、現在ではすっかりブランドイメージとして定着した”時の建築家(The Architects of Time)”のスローガンは、1980年に打ち出された。
1982年にはクロノグラフ時計のトレンド再燃を予期したかのようなクロノスポーツコレクションを発表。1984年には代名詞である六角形ケースに、複雑機構のパーペチュアルカレンダーを組み込んだモデルに挑戦。3週間以上かけたと言われるパーペチュアルカレンダーモデルは、時速36,000回という世界最高レベルの周波数を誇った。3代目ピエールのカリスマ的リーダーシップによってエベルは大きく成長を遂げ、一時期フランス、ドイツではあのロレックスを抜き、シェアがトップになるほどだった。

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1977年に発表された「スポーツクラシック」。以後、このウェーブ状ブレスレットと六角形ケース、ケースに打たれた丸型ビスがエベルのアイコン的デザインとなった。

LVMHグループの買収によりエベル暗黒期へ

世界的に見ても10本の指に入る大メーカーとして成功を収めたエベルだが、その破竹の快進撃に歯止めをかけたのもリーダーのピエールだった。投機に傾倒したピエールは1990年ごろに株式で約1億ドルの損失を出し、ブランドはたちまち窮地に立たされる。結果的にはこれが原因でエベルの全ての株式を中東の投資会社へ売却。ユージンとアリスの夫婦から始まったブルム家の家族経営はあっけなく終焉を迎えることとなった。その後、フランスとドイツで大きくシェアを持っていたエベルは、1990年代後半に勃発した時計業界再編で格好の標的となる。リシュモングループとLVMHグループによる激しい争奪戦の末、LVMH傘下ブランドとなったエベル。スポーツダイナミックを表現したドレスウェーブコレクション(1996年)、サンスクリット語の”真実”をイメージしたサティヤコレクション(1999年)、EBELの”E”をブレスレットデザインに落とし込んだE-TYPEコレクション(1999年)などを発表した。しかし、買収前のスタッフを追い出し、LVMHから送られた首脳陣によって手がけられたこれらのモデルは本来のエベルの腕時計とは程遠いものだった。デザイン、そしてクオリティ維持において迷走したエベルは、かつての栄光が見る影もないほどシェアを落とすこととなったのだ。

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幾何学デザインとEBELの”E”にインスピレーションを受け、1999年に発表されたE-TYPEコレクション。

創業から伝わるデザインセンスで再起に成功したエベル

2003年、アメリカ資本の一大時計グループである”モバードグループ”が、LVMHからエベルを買収。長らくブランドを離れていた旧来のスタッフを再び迎え入れ、翌2004年に「原点回帰」を宣言。エベルの復活劇が始まった。自社ムーブメント「1911」を主軸にした「1911 BTR(ビヨンド・ザ・ルーツ)」シリーズなどを発表。現在では、エベルの独創的なデザインを継承した「エベルクラシック」や「エベルウェーブ」などのコレクションで最盛期の輝きを取り戻している。

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創業100年を記念し、2011年に発表されたエベルクラシックの特別モデル。

創業以来のアイデンティティを継承する「エベルクラシック」

「これぞエベル!」といった意匠が凝縮されたクラシックコレクション。波状デザインのブレスレットに、六角形ケースには丸型ビスが打ち込まれている。丸型ビスをデザインに採用した腕時計と言えば、オーデマ・ピゲの「ロイヤルオーク」やウブロの「キングパワー」などが挙げられるが、ゴツくて頑強なこの2モデルに比べ、エベルクラシックは薄く繊細な印象。ドレスウォッチのような側面を持つ仕上がりとなっている。

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2011年発表のブランド創業100周年記念モデルをベースに開発した「エベル100」は、よりドレス志向な一本。リーフ型の時分針が特徴的。オーソドックスな中にもエベルらしいデザインセンスが垣間見える。

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新時代のエベルを象徴するモデル「エベルウェーブ」

象徴的な波状ブレスレットはそのままに、ケースや文字盤デザインを大胆に再考。最新のメンズラインではこのウェーブコレクションが最も多く展開されており、その力の入れ具合が窺える。
ケースはおなじみの六角形だがベゼルはなし。単なるラウンドケースではなく、エベルならではのDNAを確かに残した色気のあるディティールとなっている。

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エベルらしさ満載のスポーツウォッチ「エベルスポーツ」

繊細なモデルばかりがフィーチャーされがちなエベルだが、40mmオーバーの男らしいスポーツモデルもお手のもの。コンセプトに合わせるかのように時分針やダイヤルデザインも一際無骨なものに。打ち付けられた6本のビスも力強く輝く。

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ダイヤル中央に象徴的な「ウェーブ」を配したスポーツモデルも。ややポップ調なフォントを採用した「12」「3」「6」「9」のインデックスが、パワフルな外観との見事な対比を演出している。

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まさに時の建築家!ブランドを象徴する建造物「メゾン・エベル」とは

エベルが創立75周年を迎えた年にあたる1986年、「ヴィラ・トゥルク」という一棟の建物を購入して大きな話題を呼んだ。この建造物は、スイスの有名な建築家であり、バウハウスの巨匠としても名高いル・コルビジェが手がけた最も有名な作品。時計製造の地として知られるラ・ショー・ド・フォンだが、実はこうした建造物やヌーボー建築の宝庫としてもこの地は有名。トルコ旅行の影響を受けて制作したとされるル・コルビジェのこの建物は、そんなラ・ショー・ド・フォンのなかでも指折りの名所である。

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ル・コルビジェ自身が”アートと建築の真の融合”と説明したその内装は、大きな窓から自然光がリビングルームに差し込む開放的な設計。この建物は「メゾン・エベル」として、現在でもエベルのPRセンターとして観光客に解放。「The Architects of Time(時の建築家)」を掲げたブランドとして、ヴィラ・トゥルクはまさにシンボルである。

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エベルの定番モデルを紹介

エベル「エベル・ウェーブ(EBEL Wave)」

伝統のウェーブブレスレットを継承しつつ新たなデザインを開拓する「ウェーブ」コレクション。ホワイトの文字盤に3針と日付表示というシンプルなデザインだが、ステンレスとイエローゴールドの素材がこの上なくラグジュアリーな印象。必要最小限の機能の中に、特徴的なロゴや独特のインデックスデザインなどエベルだからこそのセンスが光る。流麗なフォルムのケースデザインもこのブランドならでは。

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エベル「エベル・クラシック(Ebel Classic)」

1977年に誕生した代表作「スポーツクラシック」のコンセプトを正統に継承するコレクション。シルバーのダイアルに浮かび上がるローマ数字のインデックスがモデル名の通りクラシックな雰囲気。一体となったケースとブレスレット、そして波状デザインや丸型ビスなど、このブランドのアートな部分をとことん堪能するには最適のモデルである。

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エベル「エベル100(Ebel100)」

ブランド創立100周年記念モデルからインスピレーションを受けて誕生したコレクション。他のどのモデルよりもドレスライクで使い勝手の良い一本だ。リーフ型の時分針からは高いセンスが窺える。さらにその時分針と同軸に配されたブルースティールの秒針が、モダンなブラックのダイアル上で絶妙な存在感を放っている。スイスの技術力を結集した自動巻きムーブメントを搭載。レザーストラップとも好相性。

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エベル「エベル・スポーツ(Ebel Sport)」

時の建築家が手がけるスポーツウォッチ。ステンレススチールのケースとブレスで高い耐久性能を備える。伝統のデザインを踏襲しつつ、スポーツモデルらしいパワフルで力強い雰囲気を表現しているあたりがさすがといったところ。スポーツとエレガンスを見事に融合させた逸品。

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エベル「エベル・ベルーガ(EBEL Beluga)」

優しい曲線が魅力を放つベルーガコレクション。耐久性の高いステンレススティールケースを採用しており、流麗なケースにそって美しい輝きを放っている。見事なコントラストを描く文字盤に、ローマ数字のインデックスがクラシックな雰囲気を醸し出す。余計な装飾を排し、”EBEL”のロゴのみを冠したシンプルなデザインだが、その分ブルースティールの時分針がアクセントとして際立っているあたりもセンスの高さが窺える。

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