世界3大時計ブランド、オーデマ・ピゲ(AUDEMARS PIGUET)の歴史と定番モデルを紹介

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世界3大時計ブランド、オーデマ・ピゲ(AUDEMARS PIGUET)の歴史と定番モデルを紹介

スイスの名門時計メーカーであり、世界3大時計ブランドにも数えられるオーデマ・ピゲ。常識を打ち破る数々の魅力的な腕時計を展開しており、なかでも「ロイヤルオーク」は世界中のエグゼクティブを魅了する憧れのアイコンだ。今回は、オーデマ・ピゲの魅力と定番モデルを紹介する!monochrome-watches

オーデマ・ピゲとは

スイス・ジュラ山脈のル・ブラッシュで創業し、現在も同じ地に拠点を置く老舗メーカー、オーデマ・ピゲ(AUDEMARS PIGUET)。創業当初から続く超複雑時計開発の分野においてスイスで屈指の地位を確立。さらにスポーツウォッチの新しい可能性を見出した「ロイヤルオーク」で時計ブランドの最高峰に登り詰める。パテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)、ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)と並び、世界3大時計ブランドと称されている。

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オーデマ・ピゲの歴史

2人の天才時計技師によって始まったオーデマ・ピゲ

1875年に創業して以降、140年に渡り途切れることなく家族経営を続けてきた名門時計ブランド、オーデマ・ピゲ。時計師の家に生まれ、クロノグラフやミニッツリピーターなどの複雑機構を得意とする天才技師ジュール=ルイ・オーデマ(Jules-Louis Audemars)氏と、2歳年下の幼馴染みで技術力はもちろん営業力や経営の才に長けたエドワール=オーギュスト・ピゲ(Edward-August Piguet)氏の二人が手を組んで時計を制作したのが始まり。


左:ジュール=ルイ・オーデマ氏(1851-1918)/右:エドワール=オーギュスト・ピゲ氏(1853-1919)

本格的なブランドの立ち上げ

1881年、創業者の二人は自分たちで造り上げた時計を自分たちの名前で売るべく、ブランドを設立。二人の名をブランド名とするため、共同出資での会社登記。出資に見合う資金のなかったジュール氏は、現金の代わりに18点の自作時計を出資金とし、正式に「オーデマ・ピゲ」が誕生した。

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複雑機構搭載のポケットウォッチ開発にのめり込んだオーデマ・ピゲの創業期

19世紀末の時計界は、ミニッツリピーターやパーペチュアル(永久)カレンダーのような複雑機構を、競い合うようにして懐中時計のムーブメントに組み込んでいた。オーデマ・ピゲの二人の創業者も例外ではなく、芸術品のような複雑時計や、女性用の宝飾時計を多く手がけていた。中でも1899年に販売された「ユニヴェルセル」として知られるモデルは、パーペチュアルカレンダーやミニッツリピーターをはじめ、グランド&プチソヌリに30分積算計搭載クロノグラフ、リセット機構付きの5分の1秒フドロワイヤントやスプリットセコンド、デッドビートセコンドなど、複雑な機構を詰め込めるだけ詰め込んだ非常に革新的な懐中時計だった。

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オーデマ・ピゲは「小型化、薄型化」を追求する時計メーカー

創業者の引退後も、オーデマ・ピゲの時計開発への情熱は受け継がれる。小型化や薄型を追求するオーデマ・ピゲは、1921年に世界で最も薄い、厚さわずか1.32mmの懐中時計を開発。腕時計時代に突入したあともその開拓精神は衰えず、1938年には厚さ1.64mmの極薄手巻き式ムーブメントを開発。1950年代に入ると、ついに複雑機構の小型化に成功。閏年を表示する初めてのパーペチュアルカレンダー搭載腕時計を1957年に完成させた。さらに1967年には世界で最も薄いセンターローターの自動巻きムーブメント「Cal.2120」を開発。世界一の薄さを誇るこのムーブメントは、複雑機構の追加などを可能とし、腕時計開発の可能性を大きく広げた。

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世界初の閏年表示つきパーペチュアルカレンダー機構搭載の腕時計。1957年に製作され、1969年に販売。

”世界3大時計ブランド”としてオーデマ・ピゲは現在も技術発展に挑戦

1972年には初代「ロイヤルオーク」を発表。高級機械式時計の常識を打ち破ったこのモデルはオーデマ・ピゲを現在の地位に押し上げたモデルであり、このブランドの代名詞とも言える作品となった。ロイヤルオークで大きな成功を収めたあとも、伝統的な複雑機構の開発に果敢に挑戦。1978年には「Cal.2120」の採用によって、パーペチュアルカレンダーとして異例の薄さを誇る7.8mmの腕時計を開発。1986年には、直径7.2m、厚さ:5.3mの世界最小トゥールビヨン搭載腕時計を発表し、世界中を驚かせた。2006年には潤滑油を不要とする新機構「APエスケープメント」を、翌2007年には超軽量で高い硬度を誇る新素材「フォージドカーボン」を発表するなど、現在においても独自の技術革新に基づく名作で時代を開拓する。

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世界最小トゥールビヨン搭載腕時計(1986年)

オーデマ・ピゲ永遠の定番!ラグジュアリースポーツウォッチ「ロイヤルオーク」

1972年、当時のオーデマ・ピゲ最高経営責任者であったジョルジュ・ゴレイ氏は、この年のバーゼルワールドで今までにない腕時計を発表したいと考えていた。そこでゴレイ氏は、新製品のデザインをジェラルド・ジェンタ氏に依頼。のちにパテック・フィリップの「ノーチラス」やブルガリの「ブルガリ・ブルガリ」、ロレックスの「オイスタークオーツ」やカルティエの「パシャ」などのデザインを手がけることとなる伝説のデザイナーだ。こうして誕生したロイヤルオークは、当時金無垢仕様が当たり前だった高級時計にステンレススチールを採用し、世界を驚愕させた。

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左がジェラルド・ジェンタ氏のデッサンで右が実際の初代モデル。ほぼデザインどおりの仕上がり。ジェンタ氏はたった一日でロイヤルオークをデザインしたと言われている。

直径39mmというケースサイズも当時の基準からすると類を見ない大きさで、”Jumbo(ジャンボ)”の愛称として親しまれた。八角形のベゼルというだけでも画期的だが、そこに打ち込まれた8本の六角形ビスはこれまでの常識を覆すものだった。このビスは単なる飾りではなくケースバックまで貫いており、防水性と堅牢性を高めている。腕時計を象徴するこのケースデザインは、イギリスのプリンス・コンソート級装甲艦、ロイヤル・オーク(HMS Royal Oak)の舷窓からインスピレーションを受けており、モデル名にも採用された。舷窓から着想を得たデザインの腕時計と言えば、ウブロの「ビッグ・バン」などが挙げられるが、歴史の長さはロイヤルオークの方に軍配が上がる。

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オーデマ・ピゲのロイヤルオーク(左)とウブロのビッグ・バン(右)、どちらも「舷窓」をデザインのルーツとしている。

ケース一体型のブレスレットや、ギヨシェ彫りによって施されたタペストリー模様のダイヤルもこのモデルの大きな特徴。ジェラルド・ジェンタ氏のデッサンからほとんど変更されることなく仕上がった初代モデル。デザインの段階で、既に細部まで考え抜かれていたことが窺える。

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クオーツショックの直後に誕生したにもかかわらず、機械式時計の重要性を充分にアピールしたロイヤルオーク。「鋼へのオマージュ」というキャッチフレーズと共に、”ラグジュアリースポーツウォッチ”という新境地を開拓した。現在では初代モデルを復刻したモデルの他に、ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダーを搭載したコンプリケーションモデル、インナーベゼルやクロノグラフ搭載のダイバーズモデル、イエローゴールド仕様のモデルなど、多彩なコレクションでブランドの人気を牽引している。

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オーデマ・ピゲの世界最高峰の腕時計ができるまで

ハンドスケッチによるデザイン

ジェラルド・ジェンタ氏が手がけたロイヤルオークがそうであったように、オーデマ・ピゲの腕時計は全てフリーハンドによるスケッチから生み出される。デザイナーはアーティストでありながら、芸術性だけでなく将来的に必ず直面するムーブメントの技術的制約について考慮することも求められる。デッサンの段階でデザイナーと技術開発部門が密に連携することにより、デザインの考案に技術的視点を取り入れるのだ。

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コンピュータでのデザインとプロトタイプの作成

仕上がったラフスケッチをもとに三次元モデリングを行い、カラーや素材感、光の反射効果などの仕上がりを考慮する。より現実に近いかたちでディティールを把握したのち、専門家によってワックスを使用したプロトタイプを作成。マニュファクチュール段階で直面するであろう技術的課題をクリアにし、その上でさらに貴金属素材でのプロトタイプを制作する。こうして全てのディティールを完璧に確認してようやく時計の製造が始まるのだ。

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熟練職人によるムーブメントや文字盤の製造

二針のキャリバーから複雑機構を搭載したグランドコンプリケーションまで、オーデマ・ピゲは創業時からムーブメントのメカニズムを追求。小さな部品の加工から最終的な装飾まで、いくつかの工房にわかれて専属の職人が作り上げる。

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オーデマ・ピゲを象徴するギヨシェ加工のプチ・タペストリーやグランド・タペストリー装飾の文字盤は、本社内の工房にて行われる。他の追随を許さない精巧さが必要とされる独自の製造工程は12に及び、ひとつの文字盤に7時間を要する。もっともドレスライクで”コマ”の小さいプチ・タペストリーの文字盤は、ひとつの模様がたったの2mmという緻密さが求められるのだ。

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左から、プチ・タペストリー、グランド・タペストリー、メガ・タペストリー

平均一ヶ月を要する組み立て作業

デッサンから始まった腕時計制作は、数百個のパーツから成るムーブメントや精巧に装飾された文字盤など、マニュファクチュールでの製造工程を完了させるまで数ヶ月もの時間をかける。さらにそこから最終工程であるケーシングに、平均一ヶ月もの手間と情熱を注いで1本のオーデマ・ピゲの腕時計が完成するのだ。

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オーデマ・ピゲの定番モデルを紹介

オーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク オフショア(Royal Oak Offshore)」

ラグジュアリースポーツウォッチであるロイヤルオークを、さらにスポーティで、よりタフに仕上げた「オフショア」シリーズ。重厚な44mmケースによって、マッシブで力強い印象となっている。ベゼルやリューズ、プッシャーにはブラックセラミックを採用。ベゼルを黒にすることで、象徴的な六角形ビスのシルバーがより際立っている。

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オーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク オフショア ダイバー(Royal Oak Offshore Diver)」

おなじみの八角形ステンレススチールケースにブラックのインナーベゼルを搭載したロイヤルオークのダイバーズモデル。ブラックセラミックのねじ込み式リューズに300m防水という本格的な仕様。光沢を放つ黒のメガ・タペストリー文字盤が高級感と力強さを感じさせる。シースルーバック仕様の裏蓋からは22Kゴールド製ローターの自社開発ムーブメント「Cal.3120」を望むことが可能。ゴールドの美しさだけでなく、50時間パワーリザーブという高性能を備える。

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オーデマ・ピゲ「ミレネリー4101(Millenary)」

2000年のミレニアムイヤーに登場して以降、ラグジュアリーなデザインの腕時計としてオーデマ・ピゲの主力コレクションに名を連ねる「ミレネリー」。オーバルシェイプのケースに、表裏をひっくり返したように設計された自動巻きムーブメント「Cal.4101」を搭載。独創的な三次元空間を見事に演出したスケルトン仕様の文字盤から、脱進機の立体的な動きを存分に堪能できる。8つのおもりを備えたホワイトゴールドのジャイロマックステンプを搭載するなど、見た目はもとより精度にもこだわりを感じさせる。

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オーデマ・ピゲ「ジュール・オーデマ エクストラシン(Jules Audemars Extra Sinn)」

創業者のひとり、ジュール・オーデマの名を冠したモデル。オーデマ・ピゲが誇る2.45mmの超薄型ムーブメント「Cal.2120」を搭載し、ケースの厚みもわずか6.7mmという極薄時計。ピュアなラウンドケースに端正な2針が輝く、気高さを感じるドレスウォッチ。

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