
ヴィンテージやストリートの熱狂が落ち着き、服好きの視線は「無地でどう差をつけるか」へ移っている。クワイエットラグジュアリー以降のムードが求めるのは、ロゴやグラフィックの強さではなく、素材、形、仕様で魅せる服だ。そこに重なるのが、フィットネスカルチャーの台頭。見せびらかすためではなく、自分の身体を更新している男に似合う服が、今の気分となりつつある。
その2つの流れが交差する場所にイットアイテムとして浮上したのが、ヘンリーネックだ。クルーネックより首元に抜けがあり、シャツほどかしこまらない。無地でも顔まわりに奥行きが出て、鍛えた筋肉もあくまで自然にフィットして見える。2026年に向けて、低価格帯ブランドや新興D2Cまでもが、こぞってヘンリーネックを打ち出している。
ただし、表面的な前立てだけを付けた「それっぽい服」では、大人の日常着として物足りないと考えている方は少なくないはず。そこで提案したいのが、ヘンリーネックの骨太な背景を、山形のニット技術で再解釈した「WADE(ウェイド)」。Tシャツ以上、シャツ未満。男の日常に最も出番の多い領域を、ヘンリーネックニットで更新できる。
過去トレンドから振り返るなぜ今、ヘンリーネックがアツいのか?
ここ数年の春夏は、ヴィンテージやストリートがメンズファッションの中心にあった。ボディの色落ち、プリントのかすれ、加工のリアリティ。服選びの焦点は、シンプルなクルーネックTシャツの上にどんな物語を乗せるかに置かれていた。だが、現在の潮流は異なる。シンプルな服装が支持を集めるなかで、差が出るのは装飾ではなく設計だ。首元の開き、生地の風合い、シルエット。派手さを削ったぶん、細部の精度がそのまま品格につながる。
ヘンリーネックが今の気分に合う理由は、まさにそこにある。カットソーの気軽さを保ちながら、ボタン付きの前立てによって首元に陰影が生まれる。さらに、身体作りへの意識が高まる現代の男性像とも相性がいい。鍛えた胸板や肩まわりを強く主張するのではなく、首元の抜けでさりげなくアピールできるのもポイントだ。
クラシックなヘンリーネックへの敬意を「WADE」の着想源は1960年代のイタリア映画
「WADE」は、1960年代の某・イタリア映画の劇中で着られていたヘンリーネックシャツを、現代で着られる大人服としてどう磨き直すか。そこから企画が始まった。そもそもヘンリーネックは、もともと英国の漕艇ユニフォームをルーツに持つとされる服だ。襟を省き、前立てで通気性を確保する構造は、運動量の多いローイングウェアとして理にかなっていた。やがて高温環境で働く人々のワークウェアとしても広がり、映画の中ではタフな男の象徴として記憶されてきた。そのなかでイタリア映画の俳優が着こなすヘンリーネックスタイルは、男らしい強さのなかにどこか品を感じる印象。その落とし込みを最新技術でどう表現するかに重点を置いて生産されている。
わかりやすく男らしい肉体美を打ち出す目的なら、薄手カットソーのタイトなヘンリーネックTシャツという選択肢は十分にアリだ。しかし、今作のヘンリーネックはニットセーターがベース。理由は、高温多湿な日本の夏に適した快適さを備えながら、Tシャツでは出せない品の良さを両立できるから。キレイめなセーターとしても着られ、武骨なヘンリーネックトップスとしても成立する「WADE」は、映画的な男らしさをそのまま引用するのではなく、日本の気候と現代の生活に合う服へブラッシュアップした1着だ。
「強撚コットン」&「和紙」のワッフル編み心地良いドライタッチと清潔に着られる機能性に特化した編み地
「WADE」の着心地を決めているのは、強撚コットンと和紙を組み合わせた糸使いだ。強撚コットンは、糸に強く撚りをかけることで、さらりとした肌離れとほどよい反発感を生む。汗ばむ時期でも生地が肌にまとわりつきにくく、ニットでありながら重たく見えない。そこに加えたのが、日本製リネンとも呼ばれる和紙素材。和紙は軽く、ドライタッチで、夏場に求められる清涼感と清潔感を備える。
編地はワッフル。凹凸のある表面が肌との接地面を減らし、空気を含むことで快適な着用感を生む。素材の陰影で見た目にも奥行きが出るため、無地でありながら単調にならない。薄すぎるヘンリーネックは下着感が出やすく、厚すぎるニットは春夏には重い。「WADE」はその中間を狙い、1枚で着ても頼りなく見えない肉感に着地させている。
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極限まで装飾を排除比翼仕立てがヘンリーネックを大人顔に変える
一般的なヘンリーネックは、ボタンと前立ての存在感が強く出る。そこが魅力である一方、カジュアル感や肌着感につながることも少なくない。「WADE」では、前立てを比翼仕立てにすることで、ヘンリーネック特有のラフさを残しながら、顔まわりをミニマルな仕上がりに。ニットならではの利点も大きい。高度な成形編みの技術により、布帛のように縫い代が重なって厚くなるのを避け、裁ち端のように薄く、すっきりと仕上げられている。前立てまわりの厚みを抑えることで、首元に余計なボリュームが出ない。結果として、上半身全体の印象がシャープに見えるという算段だ。
ボタンを開けたときのVゾーンの深さにもこだわりがある。深すぎれば艶っぽさが過剰になり、浅すぎればヘンリーネックの抜けが出ない。「WADE」は、開けても品を損なわない深さに調整されているため、1枚で着たときのバランスが良い。
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必要なのは抜け感だけ天幅と着丈の調整でだらしなく見えない
大人のヘンリーネックで重要なのは、抜け感とだらしなさの線引きだ。「WADE」は天幅が狭めに調整されており、首元が横に逃げすぎない。開放感はあるが、ルーズには見えない設計だ。着丈はヒップに軽くかかる程度。スラックスにもスウェットパンツにも合わせやすい長さとなっており、タックアウトで自然に決まり、腰まわりの収まりも良い。
日本のニット産地で培われた技術を注ぎ込む山形のニット専業工場で編み立てたからこそ実現できる仕様に注目
「WADE」の生産を担うのは、山形県で70年以上ニット専業のものづくりを続ける米富繊維。ニットは、糸、編み地、テンション、仕上げのわずかな違いが着心地と見え方に直結する。だからこそ、単に「国内生産」という言葉だけではなく、ニットを専門に扱い続けてきた工場の技術が重要になる。
和紙を混ぜた糸を、ワッフル編みで適度な厚みに仕上げる。さらに、ヘンリーネックの前立てを比翼でミニマルに見せる。これらは糸の特性を読み、編み地の張りと落ち感を調整し、着たときに美しく見えるところまで詰められる経験と技術があってこそ実現できる仕様だ。「WADE」を選ぶことは、日本のニット技術への敬意をまとうことでもある。





















