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一枚羽織って一枚上手。抜け駆けする男のシャツジャケット4スタイル

一枚羽織って一枚上手。抜け駆けする男のシャツジャケット4スタイル

秋の装いは、シャツジャケットを一枚羽織るだけで面白くなる。テーラードジャケットほど構えず、シャツほど素っ気なくはない。その中間にあるからこそ、着こなしには選ぶ人の美意識が出る。今回は4ブランドのスタイルを手がかりに、シャツジャケットを一枚上手に着こなすための視点を探る。

GIORGIO ARMANI質感の異なる黒を重ね、立体グラデーションを描く

絵画の明暗法が光と影の差によって平面に奥行きを生むように、この装いでは黒の中に明暗の階調をつくった。ベルベットの艶、マットなインナー、パンツに走る縦の陰影、メタルボタンの点のような輝き。色相はほとんど動かしていないのに、光を吸収する面と反射する面が重なることで、ワントーンが立体的に見えてくる。オーバーサイズのシャツジャケットと幅広のパンツを合わせたゆるいシルエットも、黒をひとつの塊にせず、複数の面として見せるのに効いている。いたずらに色を加えるのではなく、ダークカラーの中に明暗の階調と質感の差をつくる。色数を抑えながら単調に見せない、明快な方法だ。

ジョルジオ アルマーニのシャツ75万9000円、カットソー16万8300円、パンツ25万3000円、鞄49万5000円、靴29万7000円(ジョルジオ アルマーニ ジャパン 03-6274-7070)

抜け駆けする男の一着「艶やかなベルベットに、骨太なディテールを」GIORGIO ARMANI メタルボタン スムースベルベット オーバーサイズシャツ

肩を落とし、身幅や袖にもゆとりを持たせたオーバーサイズシャツ。中綿を入れることで薄手のシャツとは異なる厚みを持たせ、アウトラインを保ったままアウターとして着られるフォルムに仕上げている。表地はなめらかなスムースベルベット。光を受ける角度によって黒の濃淡が揺らぎ、面積の大きな身頃そのものが表情になる。そこへ、左右の胸元に武骨なメタルボタン付きのフラップポケットを配置することで、艶のある素材が必要以上にドレッシーへ傾かないのも面白い。優雅さとタフさを同じ一着の中で拮抗させたシャツである。

GIORGIO ARMANI メタルボタン スムースベルベット オーバーサイズシャツ

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BRUNELLO CUCINELLI淡色をつなぎ、ブラウン小物で秋の深みを足す

装いに秋冬らしさを演出する方法は、深みのある暗色を取り入れることだけではない。色を明るく保ったままでも、素材選びや小物使いによって季節感はつくれる。ここではグレイッシュなダークグリーンのフランネルオーバーシャツに白のカットソー、アイボリーのパンツを合わせ、淡いニュートラルカラーで全身を構成。フランネルの柔らかな表面感に、ブラウンレザーのバッグとローファーを組み合わせることで、配色の軽やかさを損なわずに秋冬らしい深みを加えた。その見え方は、石壁や漆喰、乾いた土のような淡い色が重なり合う南欧の古い街並みにどこか似ている。色そのものは穏やかでも、異なる質感が重なることで景色には奥行きが生まれる。淡色を保ったまま、質感の重なりによって季節を深める。そんな秋冬の色使いもある。

ブルネロ クチネリのシャツ28万4900円、カットソー9万5700円、パンツ29万7000円、サングラス11万8800円、鞄95万9200円、靴21万7800円(ブルネロ クチネリ ジャパン 03-5276-8300)

抜け駆けする男の一着「実用的なディテールを、フランネルで柔らかく」BRUNELLO CUCINELLI スプレッドカラー&チェストポケット付き バージンウールフランネル オーバーシャツ

すっきり開いたスプレッドカラーと、ワークウェアを思わせる左右のフラップ付きチェストポケット。ドレスと実用、性格の異なる要素を、バージンウール100%のフランネルが柔らかくつないでいる。身体に沿わせすぎず、かといって大きく離れすぎないシルエットも絶妙で、Tシャツや薄手のニットを重ねてもフォルムが崩れにくい。シャツの軽さとアウターの存在感、その中間にきれいに着地しているからこそ、着こなしの振れ幅も広い。機能的なディテールを強く見せるのではなく、素材の柔らかさによって穏やかに見せる。そのさじ加減に、この一着の品の良さがある。

BRUNELLO CUCINELLI スプレッドカラー&チェストポケット付き バージンウールフランネル オーバーシャツ

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LARDINIセットアップの秩序だけ残し、スーツの緊張を削ぐ

近代以降の男性服の歴史において、上下を同じ生地で揃えることは、装いに秩序を与える方法のひとつとして機能してきた。今回のスタイリングでは、その“揃える”という効果だけを残し、スーツを連想させる記号をひとつずつ外した。テーラードジャケットではなく短丈のシャツブルゾン、ドレスパンツではなくドローコードパンツ、足元は革靴ではなくボリュームのあるスニーカー。それでも杢グレーの共地が全身をひとつにつなぐため、ラフには見えても散漫にはならない。服の文法を壊すのではなく、文法だけ借りて語彙を入れ替える。上下を揃えることで生まれる統一感だけを残し、セットアップを休日の服へと置き換える発想だ。

ラルディーニのシャツ21万4500円、パンツ10万6700円、フィリッポ・デ・ローレンティスのニット3万6300円、リフージオのサングラス7万5900円(トヨダトレーディング プレスルーム 03-5350-5567)

抜け駆けする男の一着「短丈と多ポケットで、セットアップの輪郭を明らかにする」LARDINI シャツブルゾン

シャツ型デザインをベースに、胸元と腰にポケットを配し、ブルゾンとしての機能的な表情を加えた一着。着丈をコンパクトに設定しているため、身幅にゆとりがあっても重心が下がらず、同素材のパンツと合わせたときにも上下の比率がすっきり見える。表地はウール52%、コットン48%。素材の表情は穏やかでも、短丈とポケット配置によって輪郭はぼやけない。テーラードジャケットほど構えず、シャツほど軽すぎない。この中立感こそ、セットアップを休日の服として成立させる鍵だ。

IM MEN色を大きな面で切り、プリーツで縦のリズムをつくる

こちらのスタイリングでは、シャツとワイドパンツが描くゆったりとしたフォルムを際立たせるため、色数を絞り、上半身のチャコールグレーと下半身のライトグレーを大きな二つの面として構成した。発想のベースに置いたのは、限られた色と明快な面構成で、少ない要素から強い視覚効果を生み出したモダニズムのポスターだ。細かな色合わせで情報を増やすのではなく、大胆なコントラストによってシルエットそのものを一瞬で伝える。そこへワイドパンツのサイドに走る複数のプリーツが縦方向の陰影を加え、広い淡色面に細かなリズムをつくる。大きな色面と繊細な陰影。そのスケール差によって、ミニマルでありながら単調ではないスタイルを狙った。

アイム メンのシャツ6万1600円、ニット4万6200円、パンツ5万5000円、靴6万6000円(イッセイ ミヤケ 03-5454-1705)ヴァシュロン・コンスタンタンの時計690万8000円(ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755)

抜け駆けする男の一着「シワをデザインし、黒に表情を」IM MEN DOUBLE WEAVE CREPE

コットン100%の二重織り素材を使用した「DOUBLE WEAVE CREPE」。ふっくらとした風合いと、二重織りによって生まれる自然なシワ感そのものを意匠として生かし、均質になりがちな黒の表面に細かな凹凸と陰影をつくっている。レギュラーカラーとフロントボタンを軸にしたベースのデザイン自体はミニマルだからこそ、素材の膨らみやシワ、身体の動きによる揺らぎが前に出る。両脇のスリットも裾の動きを助け、前を開けて羽織ったときには黒い面が固定されず、歩くたびに形を変える。装飾を足すのではなく、素材そのものの表情で見え方を設計した一着だ。

IM MEN DOUBLE WEAVE CREPE

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