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クロケット&ジョーンズの「チェルシー」も当てはまる、イギリス王室が生んだサイドゴアブーツとは?
チェルシーブーツという名前に親しみがある方も多いかもしれないが、これは実は愛称のひとつであり、サイドゴアブーツという呼び名が正式名称だ。サイドゴアブーツとは、その名の通りブーツの筒のサイド部分に伸縮するマチ(ゴア)が付けられた、主にショート丈のブーツのことを指す。オールラバーのレインブーツタイプが登場したり、レザーブーツでもグリップ力の高いラバーソールを使用したりと機能的なアイテムが多いことから、現代ではカジュアルアイテムとしてポジショニングされているサイドゴアブーツ。しかし、もともとはイギリス王室にまつわるドレスシューズが由来とされている。
誕生のきっかけは、1830年代に出されたイギリスのヴィクトリア女王の要望。それにより、シューレースなしで着脱ができる、レディースパンプスよりも足にフィットするドレスシューズとして、サイドゴア仕様のショートブーツが開発された。完成した品はそれまでになかったデザイン性と機能性の高さで、ヴィクトリア女王の夫であるアルバート公の目にもとまったことから、ヒールが低くレディースブーツよりも丈がやや長い設計のメンズ用サイドゴアブーツも誕生。当時のメンズファッションアイコンでもあったアルバート公が公務でも身につけていたことで、イギリス中で人気に火がつき、“アルバートブーツ”という愛称で呼ばれるほどのトレンドアイテムと化した。現在流通しているサイドゴアブーツの多くは、このアルバートブーツの意匠を継いだデザインとなっている。
サイドゴアブーツはあの坂本龍馬も履いていた!
1830年代に誕生したサイドゴアブーツは、海を渡ったアメリカでも「コングレス(議会)ブーツ」という通称で人気を集め、イギリスから世界各国へと流通が広がり、その人気はますます上がっていった。その波は日本にも届いており、坂本龍馬のもっとも有名な写真において龍馬が袴に合わせて履いている靴もサイドゴアブーツだ。鎖国から間もない日本でも着用されるほど、世界中で認知度が高く愛されていたことが分かる。
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サイドゴアブーツが“チェルシーブーツ”と呼ばれるわけ。
そんなサイドゴアブーツがファッションアイテムとして幅広い層に認知されるようになったのは、実はここ数十年の話。その始まりは1960年代にイギリスの首都、ロンドンにあるチェルシー地区の若いアーティストたちがサイドゴアブーツに注目したことがきっかけだ。それまでフォーマルシューズとして着用されていたサイドゴアブーツが一気に若年層に広がったことで、反骨を示すようなロックアイテムとして流行し、「チェルシーブーツ」として一躍有名に。愛用していたアーティストの中でも、もっとも有名であるチェルシー出身アーティストのビートルズは、メンバーがユニフォームのように履いており、多くのMVやアーティスト写真にもサイドゴアブーツを着用した姿が多く残っている。その名残もあって、今もサイドゴア仕様のブーツは「チェルシーブーツ」と呼ばれている。
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