ゼニス(ZENITH)の魅力と定番モデルを紹介!

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ゼニス(ZENITH)の魅力と定番モデルを紹介!

「エル・プリメロ」を代表するエレガントなデザインが人気のゼニス(ZENITH)。美しい外観だけでなく、創業時から続く自社一貫製造の職人気質な一面も注目すべきポイントである。今回は、スイスの名門腕時計ブランド、ゼニスの知られざる魅力を紹介する!

ゼニスとは

1865年創業。150年を超える歴史を持つ、スイスでも屈指の老舗名門ブランド「ゼニス(ZENITH)」。設立当初から自社一貫製造による時計づくりにこだわり、自動巻きクロノグラフ「エル・プリメロ」などの作品で時計界をリードしてきた。1970年代のクオーツショックでは、他のスイスブランド同様機械式時計の製造を断念する事態に追いやられるが、1984年に復活を遂げる。現在も「エル・プリメロ」や「エリート」を中心に、多彩なムーブメント開発とコレクションでトップブランドとしての地位を固めている。

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ゼニスは「マニュファクチュール」という概念を生み出したブランド

1860年代当時の一般的な時計製造は、職人たちが近辺の工房や自宅にて、それぞれ別々に作業を行っていた。ゼニス創業者のジョルジュ・ファーブル=ジャコ(GEORGES FAVRE-JACOT)氏は、時計とは複雑なメカニズムを構成する部品が同時に作動するものであるにもかかわらず、分業で製造されている現状に疑問を抱いていた。

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これまでにない優れた精度の最高級の腕時計を作ることを野望に持ち、それを実現するためには製造体系を大きく変える必要があること理解していたジョルジュ・ファーブル=ジャコ氏。1865年、彼は弱冠22歳でスイスのル・ロックルに、光がいっぱいに差し込む明るい巨大な建物を建設する。そこでムーブメントの部品からエナメルの文字盤、ケースの製作まで、時計製造にかかわるすべてを職人たちに行わせた。歴史上、初めてとなるマニュファクチュールの誕生である。

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ひとつ屋根の下に全ての工程を集約させるこのような製造体系は、正確な時間を把握したいという、当時の人たちの強いニーズに応える腕時計の開発に大きな前進をもたらした。ロレックスやオメガ、パネライなど、今でこそ自社工場でムーブメントを製造するマニュファクチュール体制が一種のブランドステータスとなっているが、その礎を築いたのがゼニスである。
ル・ロックルのゼニスファクトリーは現在では歴史的建造物に指定されている。創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコ氏の頭文字「G.F.J」が壁面に刻まれたこの建物は幾度も建て増しされており、従業員を探し出すのに3日間かかったという伝説的なエピソードも残されている。複雑な内部構造のファクトリーでは、今なお技術者たちによってイノベーションを起こすための研究開発が行われているのだ。

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ゼニスが開発した世界初の自動巻きクロノグラフ「エル・プリメロ」

ムーブメントの名前でもあり、モデル名でもある「エル・プリメロ」。1969年に発表された初代エル・プリメロムーブメントは、世界初の一体型自動巻きクロノグラフとして大きな話題を呼んだ。

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初代「エル・プリメロ」ムーブメント(1969)

ゼニスの「エル・プリメロ」は、今もなお”量産型クロノグラフとして世界最高峰のムーブメント”

驚くことにエル・プリメロは誕生から40年以上経った今でも、量産型クロノグラフとして世界最高レベルのムーブメントと呼ばれている。複雑なメカニズムを搭載したこのムーブメントは、毎時36,000回の高速振動を誇る。多くの時計が28,800振動(1/8秒単位の計測)というスペックに留まるなか、1/10秒単位の計測が可能な3,6000振動は頭ひとつ飛び抜けた性能である。さらに、通常は振動数が増えれば増えるほどパワーリザーブが短くなるという短所があるが、卓越した技術力によって50時間を超えるパワーリザーブを実現。エル・プリメロは、ハイビートと長時間パワーリザーブの両立に成功したムーブメントなのだ。
このスペックは、決して現在のアップデートされたものではなく、45年前の初期バージョンの頃から備えていたもの。いかにゼニスのムーブメント開発が時代を先取りしていたかがおわかりになるだろうか。

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エル・プリメロを存続させたゼニスの”謙虚な英雄”シャルル・ベルモ氏

ゼニスがエル・プリメロを発表した1969年は、タグ・ホイヤー・ブライトリング・ハミルトンが共同開発した自動巻きクロノグラフ「キャリバー11」を発表したり、オメガのムーンウォッチ「スピードマスター」がアポロ計画に使用されるなど、腕時計にまつわる話題が尽きることのない激動の年だ。そして1969年12月25日、セイコーが世界初のクオーツ式腕時計「アストロン」を発表したことにより、時計界に革命が起こる。1970年代、革新的技術であったクオーツは、これまで唯一無二と思われていた機械式の腕時計を完全に淘汰した。いわゆる「クオーツショック」である。

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ゼニスの親会社であったアメリカ企業のゼニス・ラジオは1975年、エル・プリメロを始めとする機械式時計の生産を終了し、製造をクォーツウォッチに限ることを命じた。この決定により、大量の図面や金型などの道具が、1世紀もの伝統とともに売却、破棄されることとなったのだ。

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「エル・プリメロ」ムーブメントの設計図

エル・プリメロの開発に原案から携わり、クロノグラフムーブメントの製造を専門としてきた工房の技術責任者シャルル・ベルモ(Charles Vermot)氏は、この命令に反することを決意。重さ1トン以上、150個にも及ぶ金型、図面、カム、切削工具を靴箱にしまい、こっそりと隠したのだ。それらひとつひとつの部品と道具にラベルを貼り、製造工程は細かくファイルに記録。マニュファクチュール隅の屋根裏部屋に保管された。

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シャルル・ベルモ氏が道具を隠した屋根裏部屋。2016年に初めて一般公開された。

1978年、ゼニスはスイスの金融投資グループディキシーに再び買収され、スイス資本に復帰。やがて時代が改めて機械式時計の価値に目を向けだしたこともあり、機械式時計の製造を復活させる。しかし、その原型や設計図、道具はなく、解雇や定年退職によってノウハウを持った時計技師たちも職を離れていたため、再生することは容易ではないはずだった。この状況を予見していたかのように1984年、シャルル・ベルモ氏は9年間大切に保管してきたいくつもの大きな木箱を経営陣に見せた。これにより、ゼニスは伝統の技術を失うことなく、クロノグラフの製造の再開を可能としたのだ。

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優れた機械機構がきっとある日電池(クオーツ)に打ち勝つ日が来ると信じたシャルル・ベルモ氏。ゼニスは彼を破却の危機からブランドを救った「謙虚な英雄」として敬意を評し、2010年に世界限定1975本の記念モデル「エル・プリメロ36000VpH・シャルル・ベルモ・トリビュート」を発表した。

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ロレックス「デイトナ」に搭載されていたエル・プリメロ

時代を先取りする技術で1969年に誕生し、シャルル・ベルモ氏が守り抜いたエル・プリメロは、スイス時計メーカーの中でも羨望の存在だった。多くのメーカーがその性能を欲し、エル・プリメロのムーブメントはタグ・ホイヤーやパネライ、ルイヴィトンやウブロなどの主要コレクションに採用されていたのだ。中でも、ロレックスの人気モデル「デイトナ」にエル・プリメロが搭載されていたことは時計ファンのあいだでも有名。

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エル・プリメロのムーブメントは、1988年〜1999年まで発売されていた先代のデイトナ(Ref.16520)に搭載されていた。卓越した技術力を持つマニュファクチュールであるロレックスを持ってしても、クロノグラフムーブメントにおいてゼニスのクオリティに及ばないことを認めていたのだ。2000年以降の現行デイトナ(Ref.116520)にはエル・プリメロベースのロレックス自社ムーブメントが採用されることとなったが、先代デイトナの人気は衰えることがなく、現在では100万円以上の値段がつくプレミアモデルとなっている。

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デイトナ(Ref.16520)に搭載されたエル・プリメロのムーブメント。ちなみにロレックスの要望により、振動数は本来の3,6000回から2,8800回に下げられている。

全26種類の自社ムーブメントと207モデルのコレクション

ゼニスはこれまでの長い歴史の中で、600を超える様々なムーブメントを製造してきた。現在でも、クロノグラフ用の「エル・プリメロ」と、薄型3針モデル用の「エリート」を中心に、計26種のムーブメントを揃えている。世界初の作品は自動巻きクロノグラフだけでなく、パワーリザーブ表示や高速振動キャリバー、脱進機が常に水平位置に保たれるジャイロスコープ モジュールなどを最初に手がけたのも他ならぬゼニスである。300を超える特許を持つこのブランドのムーブメントは、常に時計づくりの歴史を開拓し続けているのだ。

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そして展開するモデル数も随一である。エル・プリメロとエリートを2本柱に、ハイレンジモデルや限定モデルを加えるとその数は207モデルにまでのぼる。主力モデルのエル・プリメロの時計1つの製作には、300人の熟練した職人たちによって、18種類もの金属を使用し、2500あまりの生産工程で作られる。その製作期間は平均でおよそ9ヶ月を要する。また、今でこそムーブメントを文字盤から鑑賞できるスケルトンスタイルの腕時計を見かけることも少なくなくなったが、このオープンワークデザインをいち早く取り入れたのも1969年当時のゼニスである。

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最高価格のモデルは「アカデミー クリストファー・コロンブス ハリケーン グラン・ボヤージュⅡ」。超高精度のジャイロスコープモジュールが搭載されており、芸術品のような仕上がりとなっている。値段は驚愕の3,600万円。

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ゼニスの定番モデルを紹介

ゼニス「エル・プリメロ クロノマスター・パワーリザーブ(EL PRIMERO:CHRONOMASTER POWER RESERVE)」

9時位置にスモールセコンド、6時位置にパワーリザーブインジケーターを設けたエル・プリメロの中でも人気の高いモデル。サンレイ装飾を施したシルバー文字盤にムーブメントの心臓部が見えるオープンデザインというエル・プリメロの王道デザインは長年愛用しても飽きることはない。

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ゼニス「エル・プリメロ シノプシス(EL PRIMERO:SYNOPSIS)」

伝統のオープンワークデザイン以外は3針のみというエル・プリメロの中ではシンプルなモデル。シルバーの文字盤に浮かぶインデックスと針は、ゴールドプレート加工のファセットカットを施されており高級感抜群。シンプルながらも毎時3,6000振動とパワーリザーブ50時間以上のパワフルな機能はそのまま。

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ゼニス「エル・プリメロ クロノマスター・グランドデイト(EL PRIMERO:CHRONOMASTER GRANDE DATE)」

2時位置にビッグデイト表示、そして6時位置にムーン&サンフェイズが配されたラグジュアリーモデル。ディープブルーのカラーが、文字盤に配された様々なギミックの存在感を引き立てている。

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ゼニス「エリート ウルトラシン(ELITE:ULTRA THIN)」

エル・プリメロと対をなすゼニスのもう一つのフラッグシップモデル「エリート」。厚さわずか8.30mmのウルトラスリムケースがドレス感を際立たせる。アプライドアワーマーカーをあしらったボックス型文字盤がさり気ないお洒落さを演出。振動数は毎時28,800回とエル・プリメロよりは落ちるが充分に高水準。パワーリザーブはエル・プリメロと同じ50時間を誇る。

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ゼニス「エリート ウルトラシン(ELITE:ULTRA THIN)」

同じエリートのシリーズでもこちらは全く異なる表情を見せる。ラッカー仕上げのホワイト文字盤にブラック転写されたアラビックインデックスがこの上なくクラシック。ロジウムプレートにファセットカットを施した針も美しい。

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