スーツが売れない時代といわれる昨今。2016年2月に始動して以来、月を追うごとに売り上げを伸ばし上期対比(%)2ケタ増の売り上げを記録する”ユニバーサルランゲージ メジャーズ”。飽和状態と言われてきたオーダースーツ市場において新規参入組ながら、なぜここまで売れているのか?その秘密を探るため、立ち上げ当時から現在に至るまでユニバーサルランゲージ メジャーズの中核を担ってきた笠原隆史氏、田路哲也氏にインタビュー!
縮小するスーツ市場の中に見出した勝機「自分だけの一着を求める消費者」の動向
男前研究所
ユニバーサルランゲージ メジャーズ が始動してから丸一年ほど経ちましたが、売上とか評判は実際のところいかがですか?
ULメジャーズ 田路さん
おかげさまで、月を追うごとに売上が伸びております。数値的には上期対比(%)で2ケタ増と非常に好調ですね。人口減少やビジネスカジュアルスタイルの浸透により、スーツ市場自体は縮小傾向ではありますが、実はその一方で”自分だけのこだわりのスーツが欲しい”という感度の高い男性が都市圏を中心に増えており、オーダースーツ市場自体は伸びているんです。そんな追い風を味方につけながら、お客様に選んで頂いているのは喜ばしいことです。
男前研究所
なるほど。来店者における、オーダー経験者と未経験者の比率はどのくらいでしょうか?
ULメジャーズ笠原さん
おおよそですが、ご来店のお客様のうち6割がオーダー経験のある方、残り4割が初めてオーダーを検討される方といった具合です。従来のオーダースーツは敷居が高く入りにくかったという方も、いわば”カフェ感覚”で気軽にお立ち寄りいただいています。開放感・明るさを意識した店舗設計も功を奏していると思われます。
競合ひしめくオーダースーツ市場に乗り出した背景。
男前研究所
ちなみにいわゆるカスタムオーダースーツといえば、町の紳士テーラーショップからオーダースーツ専門のチェーン店、百貨店の紳士服売り場まで既存市場にもプレイヤーが数多く存在しますよね。競争が激しい分野である気もしますが、あえてそのような業界に参入されたのは一体なぜでしょうか?
ULメジャーズ笠原さん
オーダースーツ市場の国内シェアを奪うというよりも、カスタムオーダー市場を活性化させることで全体のパイを広げていくという方向に会社の戦略上は位置付けております。というのも、オーダースーツのニーズが右肩上がりであるのに対して、現在国内の縫製工場や職人は減少傾向で供給できるカスタムオーダースーツの数に限りがある状況です。そこで弊社の強みである技術水準の高い中国の自社工場の生産能力を武器にオーダー市場に参入することで、日本市場に供給されるオーダースーツの量を増やしていく狙いがありました。
ULメジャーズ笠原さん
熟練の職人たちが300超の工程を経て丁寧に仕上げていくカスタムオーダースーツは必ずお客様に受け入れて頂けるはずだと考えたのです。しかしながら、その戦略がうまくワークするか?すなわちお客様に受け入れて頂く余地はあるのかを判断するため、私自身あらゆるショップで実際にスーツを作ってみるという現場リサーチを行いました。
既存のオーダースーツ店リサーチで見えた、従来のオーダースーツの限界
男前研究所
実際にリサーチされて感じたことは?
ULメジャーズ笠原さん
まず、基本的にカスタムオーダーの場合、重要となる生地の選択について..スワッチといわれる生地の小片見本を見て選ぶ必要があるのですが、仕上がりのイメージが湧きにくいと率直に感じました。スーツを生業とする我々プロでもそう感じるのですから、特に初めてスーツをオーダーされる方にとってはかなりハードルが高いのではと考えました。
男前研究所
確かに従来のオーダースーツの場合、スーツをオーダーする側の顧客に想像力や経験が求められますよね。「オーダー1着目でイメージ通りの理想的なスーツが仕上がると思わないほうが良い。失敗を重ねながら理想形を追求するのがスーツオーダーの心得だ。」なんて言葉を聞いたことがあります。
独自開発、業界初の「バーチャルフィッティングアバターシステム」とは?
ULメジャーズ笠原さん
そうなんです。そこで開発したのが業界初のバーチャルフィッティングアバターシステムです。お客様の顔をスキャンし、体型、生地、スーツモデルを設定することでスーツを着用したイメージを3Dで360度確認できるためオーダー経験、未経験を問わずご好評頂いております。
男前研究所
実際にお客様の具体的な反応・反響はいかがですか?
ULメジャーズ笠原さん
カップルでお越しの方が楽しみながら相談している姿はよくお見受けします。また、ネイビー無地スーツをオーダーしようと来店された方が、最終的にはグレーのウィンドーペンのスーツをオーダーされたり、次回オーダーするスーツのイメージを確認されたり..タブレット上のアバターを自分で操作する純粋な楽しさと着用イメージを視覚的に確認できる実用性がウケているようです。
オーダースーツはカスタムするほどバランスが崩れる。対応策は”モデル数の豊富さ”。
男前研究所
なるほど。その他、既存のオーダースーツ店を訪れて気づかれたことはありますか?
ULメジャーズ笠原さん
モデルバリエーションの少なさを感じました。2〜3モデル程度の展開が多く、どんなに多くても4モデル程度と調査の中で認識しています。そのモデルをベースにを自分の体型や理想とするシルエットに合わせて箇所ごとに寸法をオーダーするといった具合です。
男前研究所
モデル数の少なさについて、問題意識を持たれた理由をお聞かせ頂けますか?
ULメジャーズ笠原さん
カスタムオーダーの場合、原型となるモデルがいわば完成系・理想形だと言われています。すなわち要望に応えながら、カスタムするほどバランスが崩れていくというリスクをはらんでいるんです。例えばウエストラインを絞ったグラマラスなジャケットを作ろうとした場合、ウエストを絞りすぎてしまうと全体のシルエットが崩れてしまう。逆にバランスを崩さない範囲内でオーダーする場合には、イメージ通りのシルエットにはならない..というケースが起こりがちです。
男前研究所
実は、僕もその失敗を経験した人間です。ラペル幅を広げたり、肩パッドを抜いたり色々とやりすぎてしまいました。部分的にはオーダー通りなのですが、全体としてはバランス感に欠けたスーツになってしまいました。それ以来、正直カスタムオーダーからは足が遠のいています..
ULメジャーズ笠原さん
実際に接客対応の中でお話を聞いていても、そういう”苦い経験”をお持ちの方は非常に多いです。そこでユニバーサルランゲージ では、南イタリアのスーツスタイルをイメージしたナポリモデル、構築的なブリティッシュモデル、両者の中間的なミラノモデル、最もタイトなモードモデルなど業界的には非常識とも言えるトータル8モデルを展開しています。
男前研究所
ベースモデルの選択肢が多い分だけ、原型をできる限りとどめながらバランスの良いスーツが作れるというわけでしょうか?
ULメジャーズ笠原さん
その通りです。さらには体型タイプにあわせて4サイズ(YA、A、AB、BE体)の展開をしていますので、28種類のベースからお選び頂くことができます。それによってバランスを欠くことなく希望のスーツをお作り頂けるというわけです。その上、着心地や寸法調整に用いるゲージ服も3号寸から9号寸まで店舗に置いてありますので、実際のフィッティングを体感しながら納得のいく微調整を行うことができます。
男前研究所
それは素晴らしい。通常のカスタムオーダー店だと、だいたいA6(48)サイズのゲージ服が1着ずつ置いてあるのが一般的ですよね。良くも悪くも、実際にできあがったスーツの着用感、サイズ感がわからないのがこれまでのカスタムオーダーでした。
ULメジャーズ笠原さん
そうですね。納得のいくオーダーをしやすい環境を整えることで、”お客様の経験値不足”や”スタッフとお客様の認識のズレ”による出来上がりのブレを最小限にとどめるのが狙いです。
オーダー市場新規参入組「ユニバーサルランゲージ メジャーズ」。気になるスタッフ教育・研修は?
男前研究所
ちなみにユニバーサルランゲージさんは、オーダー市場新規参入組ですが、店舗スタッフの教育についておうかがいできればと思います。オーダーの命でもある採寸やモデル、ディテール提案について社内研修・OJTなど注力している点があれば。
ULメジャーズ笠原さん
そうですね、社内研修は頻繁に実施しています。スタッフ側が発注しやすいよう発注システム面でもカバーしています。また、オーダースーツにおいては「人との出会い(良い販売員との出会い)が重要」ということをしつこいくらいに繰り返し伝えています。販売スタッフの対応が、弊社だけでなくオーダースーツ全体のイメージを決定づけるというくらいの責任を感じてもらえるように。もちろん、重要な採寸テクニックも含んだ研修を2~3日、みっちりと缶詰状態で実施しています。
イタリアスタイルのモデルが圧倒的な人気。
男前研究所
既製品と違いオーダースーツの場合、スタッフさんのヒアリングや提案のレベルが商品自体の質に直結しますもんね。ちなみに、よくオーダーされる人気のモデルはどのあたりでしょうか?
ULメジャーズ笠原さん
圧倒的にナポリモデルが人気で、お客様の50%がこちらをチョイスされています。従来のカスタムオーダースーツショップには南イタリアらしい色気を出しながらも軽やかな仕立てのモデルがほとんどなかったことも相まって想定以上に支持されていますね。続いての人気が、ミラノモデル。こちらはナポリモデルをやや構築的に仕上げたスタイルのモデルです。続いて、ブリティッシュモデル。こちらはその名の通り英国スーツをイメージした非常に構築的なモデルとなっています。スリムシルエット、ナローラペルなど、細身のスーツをお求めの若いお客様にはモードモデルも支持頂いています。
オプション無料の「クラシックディテールパック」とは?
男前研究所
なるほど。ちなみにカスタムオーダーと言えば、オプションを追加していくと想定外の金額まで跳ね上がってしまうようなことは珍しくありません。せっかくオーダーするならディテールにもこだわりたいという男性がほとんどだと思われますが、オプションについて教えて頂けますか?
ULメジャーズ笠原さん
実は、クラシックディテールパックという仕組みをとらせて頂いておりましてこちらに含まれるオプションはなんと無料です。
男前研究所
クラシックディテールパックの内容はどのようなものでしょうか?
ULメジャーズ笠原さん
AMFステッチ、袖口の本切羽、お台場仕立て、胸ポケットバルカ仕様、本水牛/本ナットボタン、上襟裏髭折り返し、パンツのVスリット、ベルトステイループ、尻シック、D菅仕様がすべてベース料金の中に標準付帯しています。もちろん、オプションをはずすこともできますが、99%のお客様がオプションをつけられています。他社でオーダーすると1.5万〜2万円程度するオプションが無料なので、スタッフとしても積極的におすすめしています。実はその他の有料オプションもありますが、裏地変更する方がいらっしゃるくらいで、無料のクラシックディテールパックのみでオーダーされるお客様がほとんどです。
大量仕入れを背景にリーズナブルに提供される生地
男前研究所
オーダー経験者なら、この”大判振る舞い”には確実に驚くでしょうね。ちなみにスーツと言えば肝心の生地はいかがでしょうか?
ULメジャーズ笠原さん
多くの選択肢からお選び頂けますが、大きく分けてドーメルなどに代表されるコシがありシワにもなりにくい重厚な英国生地、ロロピアーナなどに代表されるしなやかで艶のあるイタリア生地、御幸毛織に代表される日本の気候風土にマッチした機能性をもつ日本生地の展開がございます。オリジナルの日本生地でスーツを作る場合、¥39,000〜、イタリアを代表するゼニアになりますと¥99,000〜から展開されます。(生地詳細はコチラ)
男前研究所
スーツのモデルにも都市名が付けられていたりするので、スーツのイメージに合わせて生地を選ぶのも面白そうですね。どのあたりの生地が人気が集まっていますか?
ULメジャーズ笠原さん
イタリア生地の中では比較的手頃な「REDA」「カノニコ」あたりがボリュームゾーンですね。スーツのトータル金額、5〜6万円台のイメージです。さらに予算がある方には、スーツのトータル金額、8〜9万円台くらいでお作り頂けるロロピアーナのフォーシーズン、スーパー130’sあたりが人気です。
男前研究所
かなりリーズナブルな価格設定ですね。
ULメジャーズ笠原さん
グループの強みを活かして大量仕入れしていますので、他のカスタムオーダー店に比較すると平均して数万円ほど安い価格設定を実現しています。この内容に対する価格設定にはお客様に大好評頂いております。
もちろんオーダースーツの世界は奥行きがあり、大枚を叩いてフルオーダーすれば素晴らしいスーツが作れることは事実ですが、この価格帯の中では世界一のスーツを提供しているという自信があります。
もちろんオーダースーツの世界は奥行きがあり、大枚を叩いてフルオーダーすれば素晴らしいスーツが作れることは事実ですが、この価格帯の中では世界一のスーツを提供しているという自信があります。
おすすめ人気のスーツモデル・生地の組み合わせは?
男前研究所
素晴らしい自信ですね。スーツのモデル・生地の組み合わせとして人気なのは?
ULメジャーズ笠原さん
一番人気があるのは、ナポリモデルにブルー〜ネイビー系ロロピアーナ生地の組み合わせですね。例えば、タイやベルト、シューズにブラウン系を選んでクラシコイタリア定番のアズーロ・エ・マローネを楽しんでいただけます。中庸なミラノモデルに関しては、カノニコ・レダを合わされるお客様が多い印象です。こちらは無地、ストライプを基本に少し冒険してウィンドーペンを選ばれる方も増えています。ブリティッシュモデルについては、わかりやすく重厚なドーメルのチャコールグレー生地やグレンチェック生地をあわせて英国紳士ライクな着こなしを志向される方が多くいらっしゃいます。
スーツ業界にイノベーションを起こす。ユニバーサルランゲージ メジャーズ、今後の展開とは?
男前研究所
なるほど、生地やモデルなど100万通りのバリエーションがあるので納得いくまでこだわって選びたいですね!
ちなみにユニバーサルランゲージメジャーズの今後の展開をお聞かせ頂けますか?
ちなみにユニバーサルランゲージメジャーズの今後の展開をお聞かせ頂けますか?
ULメジャーズ 田路さん
2017年2月現在、ユニバーサルランゲージ メジャーズが4店舗、ユニバーサルランゲージ併設2店舗、ザ・スーツカンパニー7店舗でカスタムオーダーをお楽しみ頂くことができます。今後はオーダーのみを展開する店舗のオープンも視野に入れています。 また、好評を博しているバーチャルフィッティングアバターシステムについて、店舗だけではなくスマホ上で閲覧が出来て、さらにオーダースーツの注文ができるような展開も検討しています。
男前研究所
「ビジネスマンの方が通勤電車の中でスーツをオーダーする」という光景も今後は見られるかもしれませんね。
ULメジャーズ 田路さん
そうですね。体型やお顔の画像についてはセンシティブな個人情報ですので、そのあたりをクリアして何とか実現にこぎつけたいと思います。ただし良いスーツを造り上げるためにはお客様とスタッフとのコミュニケーションが最も大切です。デジタルな面とヒューマンな面の両方をうまくミックスさせながら、”スーツの購入”にイノベーションを起こすつもりでグループの総力をあげて参ります。
▶︎「ユニバーサルランゲージ メジャーズ」についてもっと知りたい方は、コチラ!
男前研究所
笠原さん、最後に読者の方にメッセージがありましたらお願い致します。
ULメジャーズ笠原さん
オーダー未経験の方はもちろん、カスタムオーダーで失敗したという方まで、ぜひユニバーサルランゲージ メジャーズにお気軽にお立ち寄りください。お気に入りの一着をお作りいただけるようスタッフ一同、全力でお手伝いさせていただきます!