
世界最高峰のメンズファッション見本市「ピッティ ウオモ 109」が幕を閉じた。かつて「ピッティ・ピーコック」と呼ばれた華美なファッショニスタたちが会場を席巻した10年前と比べ、現在の景色は劇的な変貌を遂げている。本稿では、10年前と現在のピッティ ウオモを振り返るとともに、最新のピッティ ウオモで見えた潮流から、我々がこれから向き合うべき「未来の装い」のあり方を考察する。
スポンサーリンク
「アスレジャー」「ラグジュアリー・ストリート」価値観が大きく変わりはじめた「Pitti Uomo 89」
まずは10年前の2016年1月に開催された「Pitti Immagine Uomo 89」を振り返る。第89回に掲げられたメインテーマは”PITTI GENERATION(S)”。若者がクラシックな服を着こなし、年配者がストリートやモードを大胆に取り入れる。そんな世代が交差するスタイルにフォーカスされていた。ゲストとして招待されてランウェイを披露していたのは「Juun.J」と「Adidas Originals by White Mountaineering」というストリート、テックのイメージが強いブランド。「ピッティ ウオモ=クラシコイタリア」のイメージが今まで以上に強かった当時、これらのブランドのショーをピッティ ウオモで披露することは業界に衝撃を与えた。
来場者のスタイルもスーツ・ジャケパン一辺倒から、徐々にハイテクスニーカーやスポーティーな素材を取り入れたドレスMIXスタイルが浸透。M-65やMA-1といったミリタリーアイテムを、上質な素材でエレガントにアップデートするといったアプローチも目立った。この回をきっかけに、その後はRaf SimonsやGosha Rubchinskiy(第90回)、OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH(第92回)といったストリートを席巻するデザイナーがピッティ ウオモのゲストとして招待され、ストリートファッションがトレンドとして注目されていった。
多様なスタイルが整理された現代ファッション最新のPitti Uomo 109は成熟期に突入!?
2026年1月に開催されたPitti Uomo 109のテーマは「MOTION」。これはファッションの本質は、常に変化し続けることにあるというメッセージだ。過去を再解釈しながら「現在」を映し出し、同時に「明日」の姿を予感させる。この絶え間ないエネルギーと驚きこそが、ファッションを突き動かす原動力となっている。10年前の情熱的なテーマとはまた一味違う、より哲学的で本質的なファッションスタイルにフォーカスされる回となった。
Mandatory Credit: Photo by Lisa Guglielmi/LiveMedia/Shutterstock (16332307f)
General view of Pitti Immagine Uomo 109
Pitti Immagine Uomo 109, Fortezza da Basso, Florence, Italy – 15 Jan 2026
実際に現地で来場者のスナップを撮影し、トレンド観測を行ったが、過去の“ロゴドン”や“ダッドスニーカー”といったわかりやすい「次はコレが流行る!」といったトレンドは見当たらなかった。ただ過去回よりもサイズ感・シルエットが微妙に異なっていたり、アイテム同士の組み合わせに新鮮味があったりと、変化があったのは確かだ。「MOTION」というテーマの通り、現在はファッションの本質である「動き」としっかりと向き合う成熟期のような段階にあるのかもしれない。ちなみに、トレンドに関する詳細レポートは#ピッティウオモを付けた別記事でも随時紹介しているため、気になる方はぜひチェック頂きたい。
この投稿をInstagramで見る
トレンドの見極めが難しい2026年「ニュアンスシンプル」という視点から最新コーデを真剣に考える
パンデミックを経て「ロゴドン」「ストリート」「ヴィンテージ」「ゴープコア」「ノームコア」「ストリートシック」「Y2K」「クワイエット・ラグジュアリー」といったトレンドキーワードが出てきては消え、2026年を迎えた現在。次に注目されるファッションスタイルは何だろうか。直近のピッティ ウオモでは、それぞれが「クワイエット・ラグジュアリー」に通ずるようなシンプル路線を維持しながらも、重ね着や柄物の取り入れ、配色の工夫によって新しいスタイルを模索しているように筆者は感じた。ここからはそんなコーデを抽象的な表現だが「ニュアンスシンプル」と名付けて、その具体例となるスナップを紹介していきたい。
2026最新ニュアンスシンプルコーデ1シャツをミドルアウターとして扱う
ニットの上にコートをバサっと羽織ったような、エフォートレスなスタイリングが注目を集めていたここ数年。今回のピッティ ウオモでは、ニットとコートの中間にもう1点加えたレイヤードスタイルが目立った。その中でも新鮮味を感じたのが、ブロードやオックスフォードのような薄手シャツをミドルアウターとして取り入れたスタイリング。例えばこちらのスナップでは、ネイビーコートにシャツを合わせ、インナーはTシャツのみ、、、かと思いきや実はハイゲージのニットまで重ね着している。「元々シャツは下着」という従来のイメージを覆すプチ挑戦的な着こなしだ。
2026最新ニュアンスシンプルコーデ2いつもの重ね着にテック要素をプラスオン
意外性を狙った重ね着の事例は他にもある。こちらの男性は、洒落者の御用達であるデニムジャケットのインナー使いだけでなく、テックな素材感のマウンテンパーカーまで重ね着に取り入れ。着膨れが目立ちにくいオーバーサイズのコートだからこそ成立させられるネオレイヤードスタイルの好例だ。無地アイテムのみで構成したシンプルなスタイルながら、重ね着の妙で他とは一味違う個性を演出した姿は、まさにニュアンスシンプルと言える。
2026最新ニュアンスシンプルコーデ3色のちゃっかリンクで洒落見えを狙う
黒軸のコーディネートにシックなトーンの青シャツを差し込んだスタイリング。よく見るとMA-1のシガーポケットに縫い付けられたタグがブルーとなっており、青シャツとちゃっかり色をリンクさせているのがわかる。10人が見て、1人が気付く程度のさりげないこだわり。そんな気付かれにくいアレンジを楽しむ洒落者の姿が、今回のピッティ ウオモでは散見された。
2026最新ニュアンスシンプルコーデ4ショート丈&ショート丈のレイヤード
ショート丈アウターの人気は依然として続いている。そんなショート丈アウターコーデに新鮮味を与える一手として注目したいのが、ショート丈&ショート丈のアウターレイヤードスタイル。MA-1にデニムジャケット、カウチンニットにGジャンとキルティングベストなど、ショート丈縛りで大胆にレイヤードを楽しむ試みもまた一興だ。
2026最新ニュアンスシンプルコーデ5編み柄ニットに柄シャツで遊び心を
柄&柄の着こなしも、ニットの編み柄を絡めると主張がほど良く抑制されて、ニュアンスのあるコーデを楽しみやすくなる。そんな新たな着こなしの可能性を教えてくれたのがこちらのコーディネート。ケーブル編みのセーターのインナーにストライプシャツを取り入れて大胆に裾を見せるというクリエイティブなレイヤードが興味深い。
これから買い足すなら?ミドルレイヤーに使えるアイテムが狙い目!
冬シーズンも後半戦を迎え、春夏に向けての展開が徐々に増えていくタイミングの1月中旬。これから買い足すなら即戦力になるのはもちろん、春シーズンも活躍を期待できるミドルレイヤーに使えるアイテムが狙い目となるだろう。上で紹介してきたスナップを参考にするなら、オックスフォードやブロードのシャツ、ショート丈のデニムジャケット、マウンテンパーカーあたりをチェックしたい。ここからはイマ買えるおすすめ品を紹介していく。
ミドルレイヤーに使えるおすすめアイテム1GENTLEMAN PROJECTS の BARON
イタリアンカラーをベースに型紙をアレンジし、気分に合わせて「セミワイドカラー」と「オープンカラー」2通りの着こなしを楽しめる新感覚の襟型が特徴のBOXカジュアルシャツ。アウター感覚で着こなせるバランスで、インナーにハイゲージニットを着込めるゆとりのある設計が魅力だ。生地は兵庫県播州地域の工場にて、織機の回転数からこだわり、ゆっくりと丁寧に高密度で織り上げたオックスフォード。
ミドルレイヤーに使えるおすすめアイテム2BEAMS PLUS の Digger Jacket 62 Twill
日本以上に海外からアツい支持を集めているBEAMS PLUSより、1940年代のヴィンテージカウボーイジャケットをベースにした「Digger Jacket」をピックアップ。当時の仕様であるシンチバックや、随所に施されたリベット使いなどが再現されたデザインが魅力だ。程よく短丈で、あらゆるアウターとのレイヤードを楽しみやすい仕上がり。
ミドルレイヤーに使えるおすすめアイテム3Arc'teryx の アトム SL フーディ
Arc’teryxの化繊インサレーションシリーズ「アトム」は、ブランドを象徴するアイテムのひとつ。「アークテリクス全社員が必ず1枚は持っている」とも言われる定番ウェアだ。パッカブルで最も軽くコンパクトにできるアトム SL フーディなら、アウターとしてはもちろん、シェルやコートの下に着るのにもちょうど良い。





























