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ラグジュアリーブランドを『選べる』人になるために必要な3の軸とは?

ラグジュアリーブランドを『選べる』人になるために必要な3の軸とは?

ラグジュアリーブランドの商品を買うのは簡単だ。しかし本当の意味でブランドを“選べる”ようになるには目利きが必要だ。今回は、偏愛できるラグジュアリーブランドを見極めるためのヒントを提案する。

ハイブランドを選ぶために必要なコト1ブランドのスペシャリテを知っておくというリテラシー

ラグジュアリーブランドには、それぞれ“スペシャリテ(得意料理)”がある。すべてのアイテムが傑作というブランドは存在しない。だからこそ、そのブランドが本領を発揮するカテゴリーを知っておくことが、ブランドを選ぶうえでの最低限のリテラシーになる。Burberryはトレンチコートで構造美を極め、軍由来の機能服を都市の装いへ昇華させた。Saint Laurentはレザージャケットで反骨とエレガンスの均衡を磨き上げ、モードの身体性を定義した。そしてLoro Pianaはカシミヤニットで素材の静謐を語り、“高級素材の民主化”という90年代的パラダイムを築いた。この“得意領域”を知らずにブランドを選ぶのは、店の看板料理を知らずに星付きレストランへ入るようなものだ。もちろん何を頼んでも一定の水準はあるが、真にその店を味わうには、シェフが最も得意とする皿を選ぶべきだ。ブランドにも同じことが言える。いくら名門であっても不得手なカテゴリーのアイテムを選んでいては、そのブランドの真価を楽しんでいるとは言い難い。スペシャリテを知り味わってみることが、ハイブランドを“理解”する第一歩になる。

ハイブランドを選ぶために必要なコト2クリエイティブディレクターを観察するという知性

いまハイブランドをハイブランドたらしめているのはモノ自体の品質以上に思想である。その思想を運用し資本を動かす存在がクリエイティブディレクター(以下、「CD」という。)だ。LVMHやKering、Richemontは人気CDの移籍に高額報酬を提示し、就任や退任は売上や株価にも影響する。デザイナー一人が企業価値を動かす時代という現実がある。ハイブランドを正しく選ぶ人は、CDを盲信することなく冷静に観察する。CDをカリスマとして崇拝するのではなく、時代の翻訳者としてとらえる。Hermèsのマルタン・マルジェラ期(1997–2003)は、ロゴや演出を排し、クラフトと構造の純度で勝負する“静かなラグジュアリー”を確立。以後のミニマリズム潮流の起点となった。Dior Hommeのエディ・スリマン期(2000–2007)では、細身シルエットでメンズウェアを更新。スーツのフォルムを20年規模で塗り替えた。Gucciのアレッサンドロ・ミケーレ期(2015–2022)は、ヴィンテージとジェンダーレスを軸に、過剰をエレガンスへと翻訳し、多様性の時代精神をブランド言語にした。そしてLoeweのジョナサン・アンダーソン期(2013–2025)は、クラフトをモードの文法に書き換え、手仕事を知性の領域へ引き上げた。CDが時代の空気をどう翻訳しているかを聞き分けて、それに共感できるかどうか考えてブランドを選ぶのはいかがだろうか。

ハイブランドを選ぶために必要なコト3ブランドの核心をとらえる感性

CDが変わるたびに、良くも悪くもブランドは変貌を遂げる。だが、その変化を経るからこそ“絶対に譲らない核心”が可視化される。Hermèsはその象徴だ。沈黙を宿したマルジェラ期の表現も、現行コレクションの端正な構築も、いずれも“職人技を核とする美学”に通じている。変化を恐れずに進化しながらも、その核を壊さない。真に強いブランドとは、その変化の軌跡の中で、核の輪郭をより鮮明にしていく存在である。Zegnaもまた同様である。100年以上続く自社ミルが常に“素材こそブランド”という信念を支えてきた。トレンドより構造、見せ方より工程。その抑制の美学は、現代のサステナブル論の源流にある。Berlutiは一見すると、揺らぎが大きい。CDが変わるたびにアート的実験を重ねてきたが、どの時代にも“革と色気”という軸が残る。官能性がブランドの統一言語として受け継がれているのだ。デザイナーによって変わるからこそ、変わらないものが見える。レガシーは静止画ではない。変化を通じて思想の持続性を証明する装置である。CD交替による変化を手放しに称賛したり、拒否したりするのではなく、変化の中に立ち上がる恒常性を読んではいかがだろうか。

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