
春アウターといえば、トレンチコートやデニムジャケット、MA-1など多くの王道アイテムが割拠するカテゴリだが、王道ばかりを追っていると“退屈”を感じることも。そんな退屈を、素材使いやデザインの妙で違った形に昇華して壊した「改・王道」の春アウターが、今季あのブランドでは豊作だ。
「改・王道」の春アウター1本格アイテムの弱点を克服した、超軽量な現代版トレンチコート
スプリングコートの超王道であるトレンチコート。春の気配を感じるとコーデに取り入れたくなるという方も多いのでは?ハリのあるコットンギャバジン素材を使用したものがクラシックとされているが、春用のコートとしては意外にずっしりとした重さを感じることも。そんなトレンチコートを超軽量の中空糸ナイロンで仕立てたのが、このタトラスの「FREDI」。生地にはシワ感を出すワッシャー加工が施されており、表面の質感と中空糸ナイロンの軽量感で王道とはひと味違った現代的なルックスに仕上げられている。今春のコートコーデは、裾がシューズに被るぐらいのロングレングスのゆったりしたパンツと合わせて、縦にユルいIラインシルエットで着こなすのがおすすめだ。
タトラスのコート9万9000円、パンツ8万8000円 (TATRAS 銀座店 03-6228-7770) ヘリルのポロシャツ4万4000円 (NISHINOYA 03-6434-0983) TBD アイウェアのサングラス3万9600円 (TBD アイウェア 050-7110-1773) IWCのヴィンテージウォッチ30万5800円 (江口洋品店・江口時計店 松濤 03-5422-3070)
「改・王道」ポイント一般的なトレンチコートが1kg強なのに対して、「FREDI」は1/4以下の245g!
先述したように、コットンギャバジンで作られたクラシックなトレンチコートは意外と重く、パーツの有無や丈の長さにもによるが、メンズモデルは1kg強ほどの重さが一般的。その重さのせいか、トレンチコートは肩が凝るという声も珍しくない。一方で、このタトラスの「FREDI」は見た目も着心地も軽く、畳んで手に持った際もコートとは思えないほどの軽量感。それもそのはず、実際に重量を量ると245gで、一般的なトレンチコートの重さの1/4以下であった。エポレットやガンフラップなどのトレンチコートらしいディテールはそのままに、最新のファブリック使いによって改・王道のアウターへと昇華している。
「改・王道」の春アウター2ナイロン素材で都会顔にイメチェンしたデニムジャケット型アウター
デニムジャケットの中でも特に安定した人気を誇るのが、トラッカージャケットタイプのデザイン。まさに王道中の王道と言って差し支えない春アウターだが、素材が変わるだけでこんなにも見違えるという好例がこちら。ベースデザインはそのままに、ナイロン素材を使用することで、デニムジャケット本来の土臭さやワイルドなイメージが更新され、洗練された都会的な印象に。裾がベルトラインぐらいのショート丈デザインが今の気分にぴったりで、ワイドパンツを合わせたモダンなAラインシルエットでコーディネートしたい。
タトラスのジャケット8万3600円、パンツ7万2600円、サングラス3万9600円 (TATRAS 銀座店 03-6228-7770) へリルのカットソー2万2000円 (NISHINOYA 03-6434-0983) IWCのヴィンテージウォッチ30万5800円 (江口洋品店・江口時計店 松濤 03-5422-3070) その他スタイリスト私物
「改・王道」ポイントシワになりにくいナイロンワッシャー素材は、バッグにラフに放り込んでもOK!
こちらのトラッカージャケット型ナイロンアウター「KANU」は、1で紹介したトレンチコート「FREDI」と同じ中空糸のナイロンワッシャー素材を使用している。立体的なシワ感が特徴のこの素材は、ラフに畳んでも折りジワがつきにくいというメリットも。春は昼夜で気温差が大きく、アウターを脱ぐシーンも多いため、バッグにガサっと放り込んでおいても大丈夫なのが嬉しい。
「改・王道」の春アウター3品の良いコーデにも街にも馴染む大人MA-1
数あるミリタリージャケットの中でも絶大な人気を誇るMA-1は、武骨な男の王道春アウター。もちろんラギッドなスタイルを楽しむのも大いにアリだが、少し趣向を変えて、品のある街を歩くキレイめコーデに馴染ませるのも面白い。となれば、MA-1自体も大人っぽいものを選んでみて。タトラスが今季提案するこちらのMA-1「NOAH」は、ロロ・ピアーナ社製の上品なウールナイロン素材を使用したもの。シガーポケットなどの本格的なディテールは健在だが、ウールを64%も混紡した、ガチのMA-1にはない品のある見た目で王道を改めている。何よりも「ロロ・ピアーナの生地を使ったMA-1」というギャップが、退屈なムードを壊してくれるだろう。
タトラスのジャケット12万1000円、サングラス3万9600円 (TATRAS 銀座店 03-6228-7770) モンサオのシャツ4万7300円 (ビームスF 03-3470-3946) タンジェントのパンツ3万9600円 (タンジェント https://tangentclothing.com/) アダワット トゥアレグのリング1万6500円(薬指)、1万4300円(小指) (アダワット トゥアレグ https://tuareg.store)
「改・王道」ポイントロロ・ピアーナのウールナイロンでMA-1が大人っぽく、品良く変貌
MA-1といえば、ツヤのある見た目とシャカシャカ系の質感が特徴のナイロン素材が思い浮かぶはず。一方、このロロ・ピアーナ社製のウールナイロン素材は、ややマットな見た目で触り心地が非常に柔らかいのが特徴。軽さなどのナイロンの良いところは残しつつ、ウールをミックスすることによって上品で大人っぽいムードを醸成している。
「改・王道」の春アウター4あえて王道をハズした、古き良きデザインが今逆に新鮮なウィンドブレーカー
ウィンドブレーカーやマウンテンパーカーなどのアウトドア系アイテムは、スポーツブランドが鎬を削って最新のテクノロジーを投下する、現代的アウターのひとつ。ゴープコアなどの流れもあり、最新鋭のテック系アウターがここ数年人気を集めているが、このウインドブレーカー「LEAO」はその流れに逆行するように、ヴィンテージのレトロデザインを採用している。今はあちこちにギミックが取り入れられた多機能デザインが多い中、ヴィンテージのウィンドブレーカーからインスパイアされた胸元のコンシールポケットとウエストのジップポケットだけに絞ったシンプルな見た目が◎ あえて今の王道からハズした古き良きデザインが着る者を退屈させない。ちなみにこのウィンドブレーカーにも、ロロ・ピアーナのウールナイロンが使用されている。
タトラスのジャケット12万3200円、キャップ2万6400円 (TATRAS 銀座店 03-6228-7770) スローンのカットソー1万3200円、インターナショナルギャラリー ビームスのパンツ3万1900円 (インターナショナルギャラリー ビームス 03-3470-3948) ロレックスのヴィンテージウォッチ76万7800円 (江口洋品店・江口時計店 松濤 03-5422-3070) その他スタイリスト私物
「改・王道」ポイント最近のウィンドブレーカーとの差別化を実現する、趣のあるコンシールポケット
コンシールポケットのジップを隠すフラップは、雨や埃などを避けるためのもの。現代のテック系ウェアに同様の目的でポケットを付ける場合は、多くは止水ジップが用いられているため、こんな趣のあるディテールが逆に新鮮だ。
「改・王道」の春アウター5見た目もフィット感もリラックスした抜け感シャツジャケット
サファリジャケットやミリタリータイプ、カバーオール型など、様々なデザインが流通するシャツジャケット。総じて両胸か片胸にポケットが配置されているものが王道だが、タトラスの「PODEGA」はフラップ付きの大きなポケットをウエストの低い位置に。重心を低くデザインすることで、ジャケットのゆったりシルエットと相まって今っぽいリラックス感のある顔立ちにアレンジしている。そんなリラックスしたシャツジャケットをトレンドコンシャスに着こなすなら、裾の絞りがないオープンヘム&ワイドシルエットのスウェットパンツを合わせてみて。
タトラスのジャケット9万2400円 (TATRAS 銀座店 03-6228-7770) ターンエーのカットソー1万5400円 (ビームスF 03-3470-3946) ジェントルマンプロジェクトのパンツ2万2000円 (ジェントルマンプロジェクト https://www.gentleman-projects.com/) TBD アイウェアのサングラス3万9600円 (TBD アイウェア 050-7110-1773) ロレックスのヴィンテージウォッチ76万7800円 (江口洋品店・江口時計店 松濤 03-5422-3070) アダワット トゥアレグのリング1万5400円 (アダワット トゥアレグ https://tuareg.store) その他スタイリスト私物
「改・王道」のポイントポケット位置のアレンジと脇の下のディテールで、見た目も着心地もエフォートレスに
胸の位置にポケットがあるとシャツの要素が強まり、どこかキチッとした印象に見えるものだが、これがウエストに下がるだけで肩の力が抜けた印象に。また、エフォートレスなフィット感はドロップショルダーや身幅の広さだけにあらず、脇の下のディテールにもポイントが。よく見るとアームホール部分に三角の切り替えが入っており、これが肩周りの可動域を大幅に拡げてくれる。王道シャツジャケットをベースにしながら、見た目も着心地も退屈を感じさせない仕様にアップデートした。