
「ハイブランドの服を着るのは成金だけ」「由緒正しき家系のお金持ちはユニクロを選ぶ」といった言説がまことしやかに囁かれるのは一体なぜか?その背景を探る。
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「本当のお金持ちはラグジュアリーブランドの服を着ない」と言われる背景1資産価値が下がるものにお金を使わない
資産家が資産家たる所以は、資産を維持・拡大することに長けていることに他ならない。大前提として「無駄なモノにお金を使わない」という姿勢は共通。彼らは単なる浪費を避け、基本的には資産価値が維持・上昇するモノやコトにのみお金を投じる傾向がある。これは、先祖代々からの資産家であればなおさらのことで、親から子へと受け継がれる哲学でもある。彼らにとってラグジュアリーブランドのTシャツやスニーカーはあくまでも消耗品であり、買った瞬間にリセールバリューが下がり、着用による劣化によって最終的には価値がゼロになるので、積極的にお金を投じるべき対象ではないという判断にいたるのが至極当然である。一方で、パテック フィリップの時計やフェラーリの限定車などは、購入後に価値が上昇することすらあるので、いかに高額であろうと有力な投資対象となる。以上の文脈から派生する彼らがハイブランドの服を着ないという言説には一定の説得力があり、多くの人が信じる所以となっている。
「本当のお金持ちはラグジュアリーブランドの服を着ない」と言われる背景2実はハイブランド服を着ているが気付かれていない
「お金持ちはハイブランドを着ない」という言説は、そもそも「ハイブランド=ロゴ入りの派手な服」という認識に基づいていることが多い。しかし、実際にはラグジュアリーブランドの服でも、パッと見では分からない控えめなデザインのもの数多く存在する。例えば、ブルネロ クチネリ や エルメス には、ロゴを全面に押し出さない洗練されたアイテムが多く揃っているし、ロゴをアピールするイメージがあるブランドも全体を見ればロゴが目立たないウェアの展開の方がむしろ多かったりする。ファッションに対する造詣が深くない人にとっては「シンプルな服=ユニクロ、もしくはノーブランド」に見えてしまうことも。またビジネスウェアの場合、たとえばゼニアのビスポークスーツ、シャルべのオーダーメイドのシャツを身につけていても、その手のウェアにはそもそもブランドタグが内側にしか付かないものも多いため、一見するとブランドものとは気付かれないものだ。実際にラグジュアリーブランドの服を着ているが、気が付かれていないだけというケースも少なくない。
「本当のお金持ちはラグジュアリーブランドの服を着ない」と言われる理由3お金持ちこそ慎ましやかであってほしいという願い
日本社会には「成功者は高潔であるべき」という価値観が根強く存在する。政治家や芸能人がスキャンダルを起こすと激しくバッシングされるのも、国民の間に「地位のある者は質素で慎ましくあるべきだ」という無意識の期待があるためだ。その延長線上で、「本当に成功している人はブランド品を見せびらかさない」という考えが広まりやすい。「お金持ちは質素であってほしい」という社会的願望が、彼らのファッションを「ユニクロを選ぶ慎ましい生活」と解釈する方向にバイアスをかけている のだ。また、日本においては「成金趣味」がネガティブに捉えられる傾向がある。派手なブランドロゴを好む人々が「一代で財を成した成金」と見なされがちなのも、この価値観が影響している。逆に、「本当のお金持ちは目立たず、質実剛健な生活を送る」 という理想像が語られることで、彼らのファッション選択が「質素である」と誤認されるのだ。