
香水は単なる香りづけではなく、個性を表現し、印象を決定づける重要なツールだ。しかし「パルファン」や「オードトワレ」といった濃度の違いや、香りの主系統を体系的に理解している方は意外と少ないのではないだろうか。本記事では、フレグランス選びで失敗しないための基礎知識として、濃度による5つの分類から、代表的な香りの系統、香りの変化までを解説する。これを読めば、使用シーンを意識しながら、とっておきの一本を選び抜く審美眼が養われるはずだ。
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香水知識の基礎中の基礎香水の5つの濃度分類とは
香水を選ぶ際に最も基本的かつ重要なのは賦香率による分類だ。賦香率とは、エタノールや水などの溶剤に対して、どの程度の香料原液を配合しているかを示す比率を意味する。賦香率が高いほど香りが持続し、低いほど軽やかに香る。また、この違いを理解することで、ビジネスシーンやデート、リラックスタイムなど目的に合わせた適切な使い分けが可能になる。ここでは、香水選びの精度を上げるための指標として理解しておきたい「香水の5つの種類」を解説していく。
| 香水の濃度ごとの種類 | 賦香率 | 持続時間 | ピックアップシーン |
| パルファン | 約15~25% | 約5~12時間 | ラグジュアリーなパーティーや結婚式 |
| オードパルファン | 約10~15% | 約5~7時間 | 重要な商談、記念日デート |
| オードトワレ | 約5~10% | 約3~4時間 | 平日のオフィス、カジュアルなデート |
| オーデコロン | 約3~5% | 約1~2時間 | 軽い外出 |
| オーデサントゥール | 約1~3% | 1時間程度 | リラックスタイム |
香水の濃度の種類1最も華やかに香る「パルファン(パルファム)」
Parfum(パルファン)とは、フランス語で「香水」を意味する言葉だ。濃度の高さからフランス語で「エキス(抽出物)」を意味するExtrait(エクストレ)とも呼ばれる。語源は「per fumum(煙を通して)」にあり紀元前の神への儀式での「浄化」を彷彿とさせる。その後、中世ヨーロッパでの香水の発展においても、疫病の流行による水への不信感や不十分なインフラ設備により、体臭をマスキングするためのエチケットとして積極的に用いられたという背景がある。しかし現代において香水の役割は大きく変化を遂げ、デオドラントという実用的機能は後退し、香水は自己表現や気分転換のためのライフスタイル消費財として位置づけられるようになった。その結果、香料濃度が高く長時間強く香るパルファン(Extrait de parfum)は、日常生活やオフィス環境では過度になりやすく、パルファンは限定的ポジションへ移行した。賦香率は約15~25%と最も高いが、相対的にエタノールの含有量が少なくなるため拡散性は抑えられており、1滴で約5~12時間と十分に香る特質を持つ。また近年では、希釈をせずにほぼ香料だけで作られたアルコールフリーの製品の市場も拡大している。レセプションパーティーなど、格式高くも鮮烈な印象を残したい特別なシーンでの使用を推奨したい。
香水の濃度の種類2日常の中で確固たる印象残す「オードパルファン(オーデパルファム)」
パルファンに次いで約10~15%の賦香率を持つ種類が、Eau de Parfum(オードパルファン)だ。Parfum de Toilette(パルファムドトワレ)とも呼ばれ、略してEDPやPDTとも表記される。Eau(オー)とはフランス語で「水」という意味を持つ。約5~7時間とパルファンと比較して持続時間は短いものの、エタノールの含有量による拡散性とのバランスが良い。重要な商談や記念日のデートなど、日常の中で本腰を入れたいときに最適だ。
香水の濃度の種類3カジュアルに自分を表現できる「オードトワレ(オーデトワレ)」
メンズ・レディースを問わず香水の種類でもっとも多いのがEau de Toilette(オードトワレ)だ。賦香率は約5~10%とオーデパルファンよりも低く約3~4時間の持続だが、エタノールの含有量が多く拡散性が高いため、さりげなく香らせるのに好適。香水をつけ慣れていない方、カジュアルに使いたい方におすすめの種類だ。平日のデスクワークやのんびりとしたデートなど、香りの印象をまといすぎたくないがパフォーマンスをあげたいシーンにおすすめ。
香水の濃度の種類4ふとした瞬間へのニュアンス加える「オーデコロン」
賦香率が約3~5%と低めのEau de Cologne(オーデコロン)は、初めての香水としておすすめの種類だ。オーデコロンは「ケルンの水」というのが本来の意味で、ナポレオン時代にドイツ・ケルンで売り出された薄めの香水が起源と言われている。持続時間は約1~2時間と軽い付け心地で、デオドラントのように使われることも多い。手の出しやすい価格帯も特徴で、休日にふらっと近場を散歩するときなど、自身の安らぎのための使用やラフなシーンにぴったりだ。
香水の濃度の種類5子供も使用でき、リラックスのバディーを担う「オーデサントゥール」
敏感肌の方や子供が気兼ねなく使えるように誕生したのがアルコール不使用のEau de Senteur(オーデサントゥール)だ。日本ではあまり馴染みのない香水のタイプだが、ヨーロッパではポピュラーとされ、子供への贈り物としても親しまれている。アルコールが含まれていないことに加え、賦香率も約1~3%も低めになっており、非常にほのかな香り立ちかつ持続時間は1時間ほどと短め。そのためルームフレグランスやベットの上でのリラックス時間など、リフレッシュ目的として利用する人も多い。
また、ツロウやワックスに香料を練り込んだ固形タイプである「練り香水」であることも多く、バーム状のものを指先に取り、肌に馴染ませて使用する。アルコールを含まないものが多いため揮発が穏やかで、パーソナルスペースでふわっと香るのが魅力。肌の保湿ケアとしても使えるほか、液体漏れの心配がないのも安心だ。
失敗しない香水選びにとっての最終レイヤーメンズ香水における代表的な5つの香りの系統とは
メンズ香水を知る上でおさえておくべき主要な5つの系統がある。それぞれに主に用いられる香料や与えるイメージについて解説する。
知的で成熟した佇まいを求めるなら「ウッディ系」
樹木の香りをベースにした、メンズ香水の王道とも言える系統だ。サンダルウッド(白檀)、シダーウッド(杉)、ベチバーなどが代表的。分子量が大きく肌に残りやすいため、主にラストノートに用いられる。温かみや知性、落ち着きを感じさせるため、ビジネスシーンや秋冬との相性が抜群だ。
官能的でオーナーシップを求めるなら「オリエンタル系」
中東やアジアをイメージさせる、甘く重厚でスパイシーな香り。アンバー、ムスク、バニラ、そしてシナモンやクローブなどのスパイスが特徴だ。揮発が遅い特徴があるため、多くはラストノートに固定される。セクシーでミステリアスな雰囲気を演出でき、夜のデートやパーティーシーンで真価を発揮する。
親しみやすく爽やかさを求めるなら「シトラス系」
レモン、ベルガモット、グレープフルーツ、オレンジなどの柑橘系を中心とした香り。フレッシュで軽快な印象を与えるため、ビジネスからスポーツ、カジュアルまであらゆるシーンに対応する。分子量が小さく酸化しやすいため主にトップノートに用いられるが、初心者にも扱いやすく、性別年齢問わず好感度が高い。
包容力と溢れる信頼感を求めるなら「フローラル系」
花々の香りを基調とした系統であり、かつてはレディースのイメージが強かったが、近年はジェンダーレスなトレンドによりメンズ香水でも人気が高まっている。揮発性と持続性のバランスが良く、段階を問わず幅広く使用される。ジャスミン、ローズ、ラベンダーなどが使われ、洗練されたエレガントな雰囲気や、柔らかい雰囲気を演出したいときにうってつけだ。
にじみ出る気品と色気の両刀を求めるなら「フゼア系」
フゼアとはフランス語でシダ植物を意味し、1882年に香水ブランドのイメージを創作した香りであり、ウビガン(Houbigant)社が発表した「フジェール・ロワイヤル(Fougère Royale)」が起源であるという。ラベンダー、オークモス、クマリンを中心としてシダ植物の香りのイメージが構成されている。「バーバー(理髪店)の香り」とも形容されるような清潔感と渋さを兼ね備えたクラシックなメンズ香水の原型であり、スーツスタイルを格上げする、ダンディな大人の男性にふさわしい。
香水が織りなす3つの段階トップノート、ミドルノート、ラストノートの役目とは
香水の香りの変化は、香料のエタノールや水などの溶剤に対する揮発速度の違いにもとづいて構造化されている。また、香水はエタノールによって拡散性が促されることも押さえておきたい。香水は一般的に、トップノートが揮発したのちのミドルノートからラストノートにかけて印象に残る香料によって決まる。系統への理解を深めることで、自身の求めている香水へのイメージを一段とブラッシュアップできるだろう。
| 香水の段階 | 香水をつけてからの持続時間 | 多く用いられる系統 | 留意点 |
| トップノート | 10分~30分程度 | 揮発性の高いシトラス、ハーバル系 | 店頭でムエット(試香紙)に着けてすぐに香るのがトップノート。この香りのみで購入判断をしないよう注意。 |
| ミドルノート | 30分後から2時間後 | フローラルやスパイス、フルーツ系 | 「ハートノート」とも呼ばれる香水の核となる部分なので、ミドルノートが自分の好みかどうかが非常に重要。 |
| ラストノート | 2時間以降 | 揮発性の低いウッディ、ムスク、アンバー、バニラ系 | 「ベースノート」とも呼ばれ、体臭と融合してあなただけの香りとなる。最も長く香るのもこの系統。 |
製品に合わせた推奨シーンまで深堀りおすすめの香水11選
ここからは、香水5つの種類と5つの香りの系統を元に、OTOKOMAE厳選のおすすめ香水を紹介する。
おすすめの香水1「パルファン」特別な日の記憶を促す「BYREDO(バイレード)TOBACCO MANDARIN」
ヨーロッパとアフリカの文化が交差する、モロッコ・タンジールの風景に着想を得たフレグランス「タバコ マンダリン」。トップにシトラスやスパイスが立ち上り、徐々にマンダリンやコリアンダーが顔を出して「昼」を想起させ、ミドルではタバコやレザーといったスモーキーな香りが「夜」を表現。その複雑かつ非現実的な香りがクセになると、香水マニアから太鼓判を押されている香水だ。パルファンかつオリエンタル系やウッディ系に分類されるため、非日常的なシーンで特別なパートナーを意識した使用はいかがだろうか。
おすすめの香水2「オードパルファン」ありのままを見つめるための一本「FUEGUIA(フエギア)Chamber」
香りのありのままを追求するニッチフレグランス、FEGUIA 1833の「チェンバー」。アメリカテキサス州にあるキンベル美術館に使用された石や芝生からのインスピレーションと調香師のジュリアン・ベデルの天然由来原料へのこだわりが融合する。オールドマンズビアードというつる性の植物やマテリーフとったグリーン系の原料とウッディ系のベチバー香りが奥行きを作り出し、深みを求める愛好家に支持される。静謐な空間で自身と向き合うための使用を推奨したい。
おすすめの香水3「オードパルファン」どんな時でも清潔感をまとうための「CLEAN RESERVE(クリーンリザーブ)Warm Cotton 」
クリーンリザーブが定義する「ウォームコットン」は、綿のような清潔感がコアにある香り。リリーやフローラルアコードをミドルノートに据え、ラストノートをムスクやベチバー、アンバーで構成しており、爽やかさから温かく柔らかい質感へと推移する。シンプルで透明感のある香調ながら、フローラルとムスクの絶妙なバランスが清潔感の概念を刷新している点が支持される。控えめでありながらオードパルファンに位置するためしっかりと記憶に残る。フレグランス初心者から上級者まで幅広い層で評価が高く、シーンや相手を問わずに毎日でも使用したい万能な1本だ。
おすすめの香水4「オードパルファン」成功を掲げる日々へのリスペクトを込めた「CREED(クリード)Aventus」
18世紀のロンドンにて、クリードの前衛となる「ハウス・オブ・クリード」が開業し、ヴィクトリア女王は王室御用達に指名。その名はナポレオン3世の目にも留まり、1854年にパリに店を構える。その軌跡を経て、クリードが創業250年の記念に皇帝ナポレオン・ボナパルトの生き様を讃えて制作したのが「アバントゥス」だ。フルーティかつウッディな構成で、トップノートには手摘みのベルガモット、続いてレモンやピンクペッパー、パイナップルとパチョリがハートノートを席巻。ここまでのオリエンタル系の香りとは一転し、ミドルノートではバーチとシダーウッドがスパイスを付与する。爽やかさと重厚感を同時に備えた当作品は、ナポレオンに代表される、成功にひたむきな「アバントゥス・マン」に向けられており、ビジネスマンとして日々勤しむ男性にとってのモチベーションとなるに相違ない。
おすすめの香水5「オードパルファン」生活に根差した「水」を想起させる「Serge Lutens(セルジュ ルタンス) L'Eau Serge Lutens」
バスタイム等の「水」とともに過ごす時間を生活の原点回帰としてイメージされたコレクション「Matin Lutens(マタンルタンス)」の原点となる「L’Eau Serge Lutens(ローセルジュルタンス)」。社会の中での習慣や自己の誇張とは一歩離れ、自分自身の生活にフォーカスすることを目指す。トップノートにはアルデヒドやシトラスが爽やかに香り、ミドルノートではクラリセージやアロマティックノートのハーブの香りがフローラルノートと融合する。
おすすめの香水6「オードパルファン」カルチャー誌が持ち合わせる余裕を肌になじませる「LE LABO(ルラボ)ANOTHER13」
2010年に英国のファッション・アート・カルチャー雑誌「アナザーマガジン」とのコラボレーションとして、調香師にナタリー・ローソンが参画して生まれた人気作「アナザー13」。印刷したての雑誌の香りを想起させる作りで、トップノートにはシトラスやペアー、アップルが配合されているが無機質で澄んだ空気を演出する。ミドルノートではハイビスカス科の種子から取れるムスク系のアンブレットやモスがパウダリーな甘さを演出し、ラストノートではのムスクの核とも言われるアンブレットライドと、余韻を作るウッディ系のイソイースーパーを配置。肌なじみが良くも唯一無二の香りで、日常でも非日常でも、自身の輪郭をはっきりとさせる誉められ香水として存在感を放つだろう。
また、香水ではないがルラボのLIQUID BALMシリーズでは「アナザー13」の香りがロールオンタイプで楽しめる。先端についたボールを肌で転がして液体を塗布する「ロールオンタイプ」は手首や耳裏などにピンポイントで付けられるため、外出先での付け直しや周囲に配慮したいオフィス環境などで重宝する。容量が小さく持ち運びに便利な製品が多い。
おすすめの香水7「オードトワレ」嫌味のない華やかさと色気を持たせる「Chanel(シャネル)ÉGOÏSTE PLATINUM Eau de Toilette」
シャネルが1990年に発表した「ÉGOÏSTE(エゴイスト)」の系譜を引きつつ、デイリーユーズを意識して制作した男性用フレグランス。トップノートに配置したラベンダーやローズマリーをミドルノートのゼラニウムでよりフレッシュに昇華したのち、ラストノーのシダーウッドやベチバーで大人の男性の魅力を演出する。華やかなフローラル系とクールなフゼア系を併せた香りをオードトワレで実現しているため、オフィスではもちろん、男女問わずニュートラルに受け入れられやすい。
おすすめの香水8「オードトワレ」自然豊かなリフレッシュ空間を連想させる「Hermès(エルメス)Un Jardin Sur Le Nil(ナイルの庭)」
ナイル川流域の川面に浮かぶ島をモチーフにして作られた「ナイルの庭」は、グリーン系の香水の名作と言われる一本。つけた瞬間に柑橘系の酸味と若いマンゴーの甘さが香り立ち、ロータスフラワーのみずみずしい花の香りがフレッシュさを演出する。ミドル、ラストではウッディ系の森の中のような香りがほのかに漂う。全体的にクセがないため日常使いしやすく、「エルメス」というと少々お高いイメージもあるが、意外と手の出しやすい価格なのも嬉しい限りだ。
おすすめの香水9「オードトワレ」海辺の思い出へといざなう、柔らかい香りの「Diptyque(ディップティック)Do son」
創業者イヴ・クエロンが幼少期を過ごしたベトナム北部ハイフォン近郊に位置する海辺の避暑地「ドソン」。白い花の甘い香りと潮風が混ざり合う、彼にとって原風景ともいえる場所であり、そんな記憶へのオマージュとして制作されたディップティックの中でも象徴的な一本だ。トップノートではオレンジブロッサムとローズが広がり、朝の海風のような透明感を演出。ミドルノートには香りの主役であるチュベローズが配合され、日差しを浴びた花のような柔らかさを演出する。ラストノートではムスクとベンゾインがほのかな甘さを残す。白シャツやリネンなどほがらかな昼間を想起するナチュラルな装いと相性がよく、性別を問わず心地よく使える点も魅力。
おすすめの香水10「オーデコロン」黒いレモンが陰影を生みだす「Hermès(エルメス)Eau de Citron Noir」
調香師クリスティーヌ・ナジェルが手掛け、「シトロン・ノワール」という中東の料理に使用される黒いレモンから着想を得ている。シトロン・ノワールやブラックティー、スモーキーなグアヤクウッドが複合されているが、階層は公式に公開されていない。特筆すべきは、通常のシトラス系の香水は清涼感がポイントだが、「オー ドゥ シトロン ノワール」は一貫してシトラス系の香りを漂わせながらもウッディな陰影を伴う複層的な点だ。万人に好まれながらも様相を変えるため、日常的に個性をも演出してくれるとっておきの一本だ。
おすすめの香水11「オーデサントゥール」子供も使えるやさしい香りでリラックスを助長してくれる「Givenchy(ジバンシィ)Ptisenbon」
「プチサンボン」はフランスを代表するメゾンブランドの一つである「ジバンシィ」と、子供服ブランドである「Tartine et Chocolat(タルティーヌ エ ショコラ)」のコラボレーションで叶ったベビーフレグランス。トップノートにレモンやオレンジ、ミドルノートにはハニーサックルやスズラン、ジャスミンを採用し、ラストノートにはムスクやアンバー。清潔感と透明感のあるフレグランスで、通常はオードトワレだが、アルコールフリーのオーデサントゥールも展開されている。自宅やパーソナル空間でのリラックス時間への相性が期待できる。




























