
かつて映画の中でしか見なかった未来が、いま目の前まで来ている。メガネを掛けたまま写真を撮り、音楽を聴き、AIと話し、視界の中で翻訳やナビを確認する。そんなスマートグラスが、ついに日常のアイウェアとして選べる時代へ突入した。今回は、その現在地と注目モデルを掘り下げる。
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スマートグラスとは?アイウェアにAIやカメラ、ディスプレイを組み込んだ次世代デバイス
スマートグラスとは、アイウェアにカメラ、マイク、スピーカー、AI、ディスプレイなどの機能を組み込んだウェアラブル端末の総称だ。掛けたまま写真や動画を撮影する、音楽を聴く、通話する、音声でAIに質問するといった操作ができ、モデルによっては翻訳やナビゲーション、通知などの情報をレンズ越しに表示できる。
スマートグラスには、撮影やAIの音声操作を中心とするタイプ、視界に文字や案内を表示するタイプ、音楽鑑賞や通話に機能を絞ったタイプなどがあり、製品によってできることは大きく異なる。現時点では、各ブランドが異なる方向から「メガネを掛けたままで何ができるか」を模索している段階といえる。
アイウェアブランドの参入でデザイン性が進化スマートグラスは、ガジェットから装いの一部へ
これまでのスマートグラスは、電子機器を組み込んだことが一目で分かる、ガジェット感の強いデザインが多かった。しかし昨今は、アイウェアブランドが外観の設計を担い、日常の装いに取り入れやすいモデルが増えている。その流れを象徴するのが、Ray-BanとMetaが共同開発した「Ray-Ban Meta」だ。レイバンを代表するウェイファーラーをベースに、カメラやスピーカー、AIをフレームへ搭載。スマートグラスを特殊なガジェットではなく、普段使いするアイウェアの延長線上に置いた存在といえる。
さらに2026年秋には、GoogleがSamsungらと開発を進めるGemini搭載の音声型インテリジェントアイウェアが先行して登場予定。Gentle MonsterとWarby Parkerによるコレクションも2026年内に展開される。スマートグラスは、機能を優先したガジェットから、装いの一部として選べるアイウェアへと進化しつつある。
ここからは、そんな変化の途上にあるスマートグラスの中から、見た目と機能のバランスに注目した5モデルを紹介する。
おすすめのスマートグラス1Ray-Ban®「Wayfarer (Gen 2)」
✅タイプ:カメラ・AI・オーディオ型
✅主な機能:3K動画・写真撮影、通話、音楽再生、Meta AI
Ray-BanとMetaがタッグを組んで生まれた本作。不朽の名作「ウェイファーラー」をベースに採用し、1,200万画素の超広角カメラ、5つのマイク、オープンイヤースピーカーをフレームへ内蔵している。音声で指示すれば、スマートフォンを取り出すことなく写真や3K動画を撮影できるほか、通話、メッセージの送受信、音楽再生にも対応。Meta AIに目の前の建物や物について質問し、音声で回答を受け取るといった使い方もできる。レンズ内に情報を映し出すディスプレイは搭載していないため、視界を遮らずに撮影や音声操作を活用したい人に向く。今回紹介する第2世代ではカメラ性能が向上し、動画を最大3K Ultra HDで記録できるようになった。1回の充電で使える時間も最大8時間へ伸びている。クリアレンズ、サンレンズ、偏光レンズ、光量に応じて濃度が変化するTransitions®など、レンズの選択肢も幅広い。
おすすめのスマートグラス2OAKLEY「HSTN」
✅タイプ:カメラ・AI・オーディオ型
✅主な機能:3K動画・写真撮影、通話、音楽再生、Meta AI
OAKLEYとMetaが共同開発した「Oakley Meta HSTN(ハウストン)」。ベースとなったのは、モダンなラウンドシェイプと、名作「Razor Blades」に着想を得たトリガーステムを特徴とするライフスタイルアイウェアだ。その個性的な造形を受け継ぎながら、1,200万画素カメラ、5つのマイク、オープンイヤースピーカーをフレームへ内蔵。音声やタッチ操作によって、スマートフォンを取り出さずに写真や動画を撮影できるほか、通話、音楽再生、Meta AIにも対応する。基本機能は「Ray-Ban Meta」に近いが、IPX4の防水性能や、耐久性に優れたO Matter™フレーム、コントラストを高めるPrizm™レンズなど、OAKLEYらしい機能性が持ち味。クリアレンズや光量に応じて濃度が変わるTransitions®も選べるため、スポーツやアウトドアだけでなく、普段のスタイリングにも取り入れやすい。1回の充電で最大8時間使え、充電ケースを併用すれば追加で最大48時間の充電が可能だ。
おすすめのスマートグラス3Even Realities「Even G2」
✅タイプ:ディスプレイ・AI型
✅主な機能:リアルタイム翻訳、ナビ、テレプロンプター、通知、Even AI
Even Realities(イーブン・リアリティーズ)が手がける「Even G2」は、レンズ越しの視界に必要な情報を表示するスマートグラス。両眼式のマイクロLEDディスプレイを搭載し、35言語に対応するリアルタイム翻訳をはじめ、進行方向を示すナビ、原稿を視界に映すテレプロンプター、カレンダーや通知の確認などに対応する。「Hey, Even」と話しかければ、検索や質問、各種機能の操作も可能だ。会話中に関連情報を表示するAIキューや、終了後に内容を文字起こしして要点をまとめるAI要約など、対話を支援する機能も備えている。撮影用のカメラとスピーカーは搭載していない。マグネシウムとチタンを使い、ディスプレイ内蔵ながら重量をわずか36gに抑えている。一般的なアイウェアに近い端正なフレームと、最大2日間使えるバッテリーを両立した設計も特徴だ。
おすすめのスマートグラス4Rokid「スマートAIグラス」
✅タイプ:ディスプレイ・カメラ・AI・オーディオ型
✅主な機能:リアルタイム翻訳、写真・動画撮影、音楽再生、AI検索、文字起こし、ナビ
Rokidの「スマートAIグラス」は、両眼式のMicro LEDディスプレイに、1,200万画素の広角カメラ、4つのマイク、2つの指向性スピーカーを搭載した多機能モデル。相手の言葉や看板などを視界内に表示する89言語のリアルタイム翻訳をはじめ、写真・動画撮影、音楽再生、AI検索、音声文字起こし、ナビ、テレプロンプターなどに対応している。目の前にあるものをカメラで認識し、AIによる説明を音声とディスプレイ表示で受け取ることも可能だ。本体重量は49gで、電子機器を内蔵したテンプルには厚みがあるものの、フロントは黒縁のスクエア型に仕上げられている。20分で80%まで回復する急速充電にも対応。なお、89言語のオンライン翻訳、AI音声文字起こし、Googleナビゲーションなど、一部の機能は付与されたポイントを消費して利用する仕組みとなる。
おすすめのスマートグラス5OWNDAYS × HUAWEI Eyewear 2「HW2006-3A」
✅タイプ:スマートオーディオ型
✅主な機能:音楽再生、通話、音声アシスタント、タッチ操作、マルチポイント接続
OWNDAYS(オンデーズ)とHUAWEI(ファーウェイ)が共同開発した「HUAWEI Eyewear 2」は、テンプルにスピーカーとマイクを内蔵したスマートグラス。耳を塞がずに周囲の音を聞きながら、音楽再生や通話、音声アシスタントを利用できる。テンプルをダブルタップすれば電話の応答や音楽の再生、スライドすれば曲送りや音量調整が可能。2台のデバイスに同時接続できるマルチポイントにも対応する。上下対称のスピーカー設計によって耳元へ音を届けながら、周囲への音漏れを抑えているのも特徴だ。カメラやディスプレイは搭載しておらず、フル充電で最大11時間の音楽再生、最大9時間の通話が行える。今回ピックアップした「HW2006-3A」は、丸みのあるボストン型と端正なウェリントン型の中間に位置するフレーム。前世代よりスリムになったテンプルを採用し、度付きや調光、カラーレンズなどへの変更にも対応している。
購入前に知っておきたい疑問を解消スマートグラスに関するQ&A10選
Q1. スマートグラスとARグラスの違いは?A:ARグラスはスマートグラスの一種。違いは視界への情報表示機能にある
スマートグラスは、カメラやスピーカー、AI、ディスプレイなどを搭載したメガネ型デバイスの総称。ARグラスは、現実の景色に文字や画像、3Dコンテンツなどを重ねて表示するものを指す。厳密な線引きはないが、ARグラスはスマートグラスの一種と考えると分かりやすい。
Q2.スマートグラスはすべてレンズに映像や文字を表示できる?A:すべてではない。ディスプレイを搭載しないモデルも多数存在する。
スマートグラスには、レンズ越しに翻訳やナビ、通知などを表示できるモデルのほか、カメラやスピーカー、AI機能だけを備えた製品も存在する。視界への情報表示を使いたい場合は、ディスプレイ搭載の有無を確認する必要がある。
Q3.スマートグラスはスマートフォンなしでも使える?A:多くのモデルで必要。スマートグラス単体で使える機能は限られる。
多くのスマートグラスは、初期設定や専用アプリの利用にスマートフォンとの連携が必要だ。写真や動画の撮影など、スマートグラス単体で行える操作を備えたモデルもあるが、撮影データの確認や共有、AI、翻訳、ナビ、音楽再生などにはスマートフォンとの接続を要するケースがほとんど。購入前には、対応OSと単体で使える機能の範囲を確認しておきたい。
Q4.スマートグラスは度付きレンズに変更できる?A:対応モデルは多いが、購入先や対応度数の確認が必須。
Ray-Ban MetaやEven G2、OWNDAYS × HUAWEI Eyewear 2など、度付きレンズに対応するスマートグラスは増えている。ただし、対応度数や選べるレンズ、交換可能な店舗はモデルごとに異なる。一般的なメガネ店では対応できない場合もあるため、購入時に公式サイトや正規販売店で確認したい。
Q5.スマートグラスを使うメリットは?A:両手を空けたまま、視線を外さずに便利な機能を使える。
最大のメリットは、スマートフォンを手に持たずに各種機能を使えること。装着者の目線で写真や動画を撮影する、音声でAIに質問する、通話や音楽再生を操作する、視界内で翻訳やナビを確認するといった動作をハンズフリーで行える。移動中や作業中でも手を止めにくく、スマートフォンの画面へ視線を落とす回数を減らせるのが強みだ。
Q6.スマートグラスを選ぶ際に確認すべきポイントは?A:必要な機能、対応OS、度付き対応、重さ、バッテリーを確認する。
まず確認したいのは、カメラ、ディスプレイ、オーディオのどの機能を重視するか。そのうえで、スマートフォンの対応OS、度付きレンズへの変更可否、本体重量、バッテリー駆動時間、防水性能を確認する。AIや翻訳、ナビなどに追加料金が発生するモデルもあるため、購入後の利用条件まで見ておくことが重要だ。
Q7.カメラ付きスマートグラスで撮影すると、周囲の人に分かる?A:モデルによるが、撮影ランプが点灯する製品では周囲から判別できる。
撮影中の表示方法はモデルによって異なる。Ray-Ban MetaやOAKLEY Meta HSTNでは、写真や動画の撮影時にフレーム前面のキャプチャLEDが点灯し、周囲へ知らせる仕組みだ。Rokid「スマートAIグラス」にもカメラインジケーターライトが搭載されている。ランプの位置や見え方は製品ごとに違うため、撮影前に仕様を確認し、周囲の同意や施設のルールへ配慮したい。
Q8.スマートグラスで音楽を聴くと、周囲に音漏れする?A:一般的なイヤホンより漏れやすいが、音量と使用環境によって差が出る。
スマートグラスは耳の外側にあるスピーカーから音を届けるため、一般的なイヤホンと比べて音漏れしやすい。ただし、常に周囲へ音楽の内容が丸聞こえになるほどではなく、製品の設計や音量、使用環境によって程度は変わる。耳元へ音を集中させ、音漏れを抑えるモデルもあるが、静かな場所で音量を上げると、近くの人に聞こえる可能性がある。
Q9.スマートグラスは重い?長時間掛けると疲れる?A:一般的なメガネより重くなりやすい。疲れにくさは重量とフィット感で変わる。
スマートグラスは、カメラやスピーカー、バッテリーなどを内蔵するため、一般的なメガネより重くなりやすい。今回紹介したモデルでも、Even G2は36g、Rokid「スマートAIグラス」は49gと差がある。また、掛け心地を左右するのは重量だけではない。重心のバランスやテンプル、ノーズパッドの形状も確認し、可能であれば購入前に試着したい。
Q10.ディスプレイ搭載のスマートグラスは目が疲れる?A:長時間の使用で目の疲れを感じる場合がある。適度に休憩を挟みたい。
ディスプレイを視界内で長時間見続けると、目の疲れや痛み、頭痛などを感じる場合がある。負担の程度は、表示の明るさや文字の見やすさ、使用時間、視力に合ったレンズを使っているかによっても変わる。違和感を覚えたら使用を中断し、長時間連続して使わないことが大切だ。















































