一流の男が万年筆を使う理由

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デジタル全盛で文字を書く機会が減っている現代。しかし、そんな時代の中にあっても万年筆売り場のない百貨店はありませんし、メンズファッション誌では万年筆特集は定番です。文字を書くだけなら、メンテナンスや携帯性、価格の面でもボールペンの方が便利そうなのになぜ?今回はいつの時代もなぜか男を惹きつける万年筆の魅力に迫ります。

まずは万年筆についてぜひ、おさえておくべきエピソードを簡単に紹介していきます!

現代の万年筆が完成したのはある営業マンの大失敗がきっかけ!

アメリカの保険外交員ルイス・エドソン・ウォーターマン氏が、顧客との大口契約をする際にあるアクシデントが起こります。ウォーターマン氏はいざ契約という当日に、契約書にインク染みを作ってしまったのです。後日作り直した契約書をたずさえて再訪問したところ、なんとその間に顧客は他社と契約してしまっていたというのです

当時主流となっていた”インク貯蔵式の鋼鉄ペン“ですが「インク漏れしやすい」という致命的な弱点をもっていたのです..

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大きな契約を他社にとられてしまった悔しさから、ウォーターマン氏は万年筆の開発にのめりこんでいきます。

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1884年、ウォーターマン氏はついに毛細管現象を利用した画期的なペン芯を発明。ペン先とインクタンクの間に細かいスリットを施すという工夫を取り入れたものでした。これが現代の万年筆の原型となり、ウォーターマンは今も一流ペンブランドとして世界に君臨しています。

続いては、一流の男を魅了してやまない万年筆の魅力について紹介していきます。

日常のメモやホテルのチェックインでさりげなくステータスを演出

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取引先との打ち合わせ、社内会議など日常的なビジネスシーンで使うことでさりげなくステータスをアピールできます。特に高額商品やクリエイティブなサービスに関わるビジネスマンは相手に値踏みされることが多いので効果絶大。ホテルのチェックインでサラりと取り出すと、ホテルマンの対応が変わるなんていう話もよく聞きます。

文豪や作曲家、司法試験受験生も惚れ込む「筆記スピードアップと疲れにくさ」

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万年筆の特徴として、ほとんど力を入れずにスラスラとストレスなく文字を書けるという点が挙げられます。多くの文学作家や作曲家が万年筆を使う理由のひとつです。筆記速度が上がり手が疲れないので、実は万年筆を使う司法試験受験生も多いといいます。※紙質が悪いと、にじみが出やすく逆に書きにくいので注意。

万年筆は使うほどに自分の書き癖に馴染む一生モノ!

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万年筆の特徴として、使い込むほどに自分の書き癖にあわせてペン先の形状が変化していくという特徴があります。人によって、ペン先の角度や筆圧は微妙に違います。長期にわたって使い込むことで自分が使いやすい形状に変化していくというわけです。履きこむほどに自分の足に馴染む革靴に似ているかもしれません。
余談ですが「万年筆は他人に貸さないのが基本」です。特に万年筆を使いなれない人が使うと強い筆圧で使ってしまいがち。ペン先形状が変わってしまいせっかく育てた書き味が台無しなんてことになりかねません。

1本の万年筆で多彩な表現ができる→大切な人に気持ちが伝わる

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万年筆は、ペンの角度を寝せて使うと太めのラインになったり、書くスピードを遅くするとインクの出る量が多くなり文字が濃くなるなど使い方によって繊細な表現が可能です。愛好家になると、ペン先の材質や形状による書き味の違いを楽しんだりTPOに応じて使い分けることもあるようですが、1本の万年筆でも十分に多彩な表現ができることを理解しましょう。

また、意識せずとも「丁寧に書けば丁寧に」「雑に書けば雑に」「乱れた心で書けば乱れて」といった具合に驚くほど、書き手の状態が文字に現れやすいのも万年筆ならでは。毎日万年筆で文字を書くことによって自分のコンディションを確認すると語るエグゼクティブもいるくらいです。文字が上手いとか下手とかいうことよりも、受け取った相手に伝わる情報は多いのではないでしょうか。

想いをこめた礼状や年賀状、メッセージカードを万年筆で手書きすることで、商談相手や恋人、家族など大切な人に熱い気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。

万年筆は毎日接することが最大のメンテナンス。モノを大切にする男はデキる男!

万年筆のメンテナンスで最も重要なのは「できれば毎日、少なくとも週に2回くらいは使うこと」です。放置せずに向き合って接することが大事という意味では恋人や妻との関係に似ているかもしれません。しばらく使わない状態が続くと、インクの水分が蒸発して内部で固まってつまってしまったりしますが、現在流通する万年筆のインクは水溶性なので、基本的にインクを抜いてから水に一晩つけておけば綺麗になります。もちろんボールペンなどに比べればケアに手間や時間はかかりますが、逆に言えば万年筆を使っていること自体が「モノの状態をケアしながら継続的に大切に使える人」というアピールにつながるかもしれません。

※パーマネントインク(タンニン酸鉄インク)は、文書の長期保存に向いているため国同士の条約締結など公式文書へのサインにおいて使用されてきましたが、軸内でかたまってしまうと万年筆が使えなくなることから現在では一部を除き、ほとんどが水溶性の顔料インクに切り替わっています。ちなみにプラチナの”カーボンインク”やセーラーの”極黒”など消えない顔料インクもあります。

万年筆は”思考整理”を習慣化してくれるアイテム

デジタル全盛の時代ではありますが、思考を整理したりアイデアをまとめるときには「紙とペンを使う」というのが一流ビジネスマンに共通する習慣です。万年筆であればメンテナンスの意味でも、書き味の良さという意味でもペンをとる機会、すなわち思考を整理する機会を増やしてくれるでしょう。

デキる男は万年筆を胸ポケットには入れない?

せっかく入手した万年筆ですからスーツの胸ポケットに挿したくなるかもしれません。「ポケモン」といって「ポケットにモンブラン」が流行った時代もあったようですし。スーツの着こなしにおいて「胸ポケットに◯◯を入れてはいけない」といったルールは存在しませんが、あまりおすすめしません。100円ボールペンを挿すのは論外として、かと言って高級な万年筆を見せびらかすようにフロントに配置するのはエレガントとは言えませんし、ポケットに跡が残ってしまう可能性もあります。内ポケットやカバンに忍ばせておいて、いざというときに取り出すほうが粋ではないでしょうか。

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