
ダブルジャケットは、深い打ち合わせが生む構築的なシルエットと重厚な佇まいが魅力。英国海軍の実用品として誕生し、やがてドレスウェアの定番に。今回は、その歴史と現代における姿をたどり、注目の着こなしとおすすめモデルを紹介する。
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ダブルジャケットの起源19世紀の英国海軍の軍服として生まれ、後にサヴィル・ロウで現在のスタイルへと昇華!
19世紀初頭に誕生した英国海軍のPコートやブレザーの原型として知られるリーファージャケットが、ダブルジャケットの原型とされている。当初は、荒海での航行に耐えるために厚手のメルトンウールを用い、冷風を防ぐために前身頃を二重に重ねる機能性を追求した設計の実用品だった。
19世紀中期に入り、英国のヨットクラブや紳士クラブが、海軍服に倣って制服としてダブルのブレザーを採用。なかでもレガッタ・ブレザーは、海軍服を手本にしたヨットクラブの制服として定着した。軍服がもつ端正な印象を社交の場に持ち込み、上流階級の統一感や品位を示すシンボルに。
写真:Heritage Image/アフロ Navy cadet Prince Albert with Admiral Sir Lewis Beaumont, 1912. The future King George VI (1895-1902) served in the Navy from 1910 until 1918, seeing action during World War I at the Battle of Jutland on board HMS ‘Collingwood’. A photograph from the “Illustrated London News: Coronation Record Number”, (London, 1937).
やがて19世紀末頃には、ロンドンのサヴィル・ロウにてこれが都市のスーツスタイルへと昇華した。立体的な胸、ピークドラペル、ダブル仕様のボタン配列は、男性の身体美と威厳を際立たせる。ここに、実用から生まれた服が威厳をデザインする服へと変わる転換点があった。
ダブルジャケットの歴史20世紀に突入し、ダブルジャケットは威厳の象徴から繁栄のシンボルへ
20世紀初頭、サヴィル・ロウが生み出したダブルジャケットスタイルを、英国社会では貴族や銀行家、政治家など社会的リーダー層がこぞって取り入れ、都市で働くジェントルマンの信用や責任の象徴となった。
1930〜50年代には、ハリウッド黄金期の映画を通じてそのスタイルが世界に広がる。ハンフリー・ボガートやケイリー・グラントらが作中でまとったダブルスーツは、威厳と余裕を兼ね備えた理想の男性像を形づくった。
映画『デッドエンド』(1937)写真:Album/アフロ HUMPHREY BOGART and JOEL MCCREA in DEAD END, 1937, directed by WILLIAM WYLER.
1980年代、ダブルジャケットは再び脚光を浴びる。経済成長の波に乗った金融街のエリートたちが、肩を誇張したパワースーツとして着用し、成功と影響力の象徴となった。また、ジョルジオ・アルマーニを筆頭に巻き起こった構築的なスーツを再評価するトレンドがそれを後押し。英国のシティ、米国のウォール街、そして日本のバブル期に至るまで、世界各地でダブルジャケットは繁栄のシンボルとして機能した。
ダブルジャケットの現在21世紀に入り、各ブランドが提示する多様なスタイルが開花
2010年代、クラシコ・イタリアスタイルが一大トレンドに。Lardini(ラルディーニ)やTAGLIATORE(タリアトーレ)などといったブランドが、アンコン仕立てによる軽やかな構造と、ウエストをシェイプしたスリムなフィッティングを両立させたジャケットを打ち出し、その流れを受けてダブルジャケットも変化を遂げた。
2010年代後半から2020年代初頭にかけては、Balenciaga(バレンシアガ)やVetements(ヴェトモン)などが、1980年代のパワースーツを参照したオーバーサイズのダブルジャケットを発表。肩を誇張したフォルムや長めの着丈など、モード的な文脈でダブルジャケットの構造が再解釈された。
そして現在では、Lemaire(ルメール)やWALES BONNER(ウェールズ・ボナー)、The Row(ザ・ロウ)などが中心となり、従来の力強さとは異なる、ミニマルで品格漂うダブルジャケットを提案。極端な肩パッドや大胆なシルエットなど、これまでファッションの文脈で脚光を浴びてきたフォルムとは一線を画し、モダンな雰囲気をまとったベーシックなデザインへと進化を遂げている。
ここからは注目のコーデを紹介!
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