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ダブルジャケット コーデ【誕生の背景と歴史を紐解き、注目の着こなし&おすすめモデルを紹介】

ダブルジャケット コーデ【誕生の背景と歴史を紐解き、注目の着こなし&おすすめモデルを紹介】

ダブルジャケットは、前身頃を深く重ねた構築的なフォルムと、シングルジャケットにはない存在感が魅力。ルーツのひとつをたどれば、英国海軍で用いられたダブルブレストの制服に行き着き、その意匠はやがて紳士服の世界へと広がっていった。今回は、ダブルジャケットの基本構造から歴史、現代におけるデザインの変化をたどり、後半では注目の着こなしとおすすめモデルを紹介する。

そもそもダブルジャケットとは?前身頃を深く重ね、ボタンを2列に配したジャケット

シングルジャケットとの大きな違いは、左右の前身頃が深く重なるフロント構造にある。前合わせの面積が広いため、胸から腹部にかけて量感が生まれやすく、着こなしに力強さや存在感を与えられる。伝統的なダブルジャケットでは、先端を上向きに尖らせたピークドラペルが定番。フロントのボタン配列には2つ、4つ、6つ、8つなどのバリエーションがあり、なかでも6つボタン仕様は広く知られている。ボタンの数だけでなく、実際に留める位置によってVゾーンの深さやジャケットの重心が変わるのも特徴だ。

現在は、肩まわりの構築性を抑えたアンコン仕立てから、ゆったりとしたオーバーサイズ、低いゴージラインを取り入れたモダンなデザインまで選択肢が広がっている。かつての威厳あるドレススタイルというイメージに縛られず、より自由に着こなせるジャケットへと変化している。

ダブルジャケットの起源海軍由来の実用的な意匠から、紳士服を代表するデザインへ

ダブルブレストのルーツを探るうえで欠かせないのが、19世紀の英国海軍だ。当時のロイヤルネイビーでは、前身頃を深く重ね、ボタンを2列に配したダブルブレストのコートが制服として実際に用いられていた。前合わせを広く取れる構造は身体を覆う面積が大きく、海上で着用する実用服とも好相性だった。

1912年、海軍士官候補生時代のアルバート王子(後の英国王ジョージ6世、1895-1952)とルイス・ボーモント提督。写真:Heritage Image/アフロ

こうしたダブルブレストの意匠は、19世紀後半になると軍服の外へと広がり、スポーツやレジャーを楽しむ英国紳士の装いにも取り入れられるようになる。さらにテーラリングの世界へ浸透するにつれて、立体的な胸まわりやピークドラペルと組み合わされ、現在のダブルジャケットにつながるスタイルへと発展していった。

写真:Mary Evans Picture Library/アフロ

ダブルジャケットの歴史20世紀には紳士服の定番となり、時代ごとに異なる男性像を映してきた

20世紀に入ると、ダブルブレストはスポーツやレジャーの装いからスーツへと浸透し、紳士服を代表するスタイルのひとつとして存在感を高めていく。

1930〜50年代には、ハリウッド黄金期の映画を通じてそのスタイルが世界へ広がった。ハンフリー・ボガートやケイリー・グラントをはじめとする俳優たちがダブルスーツをまとい、端正さと貫禄、余裕を兼ね備えた男性像を印象づけた。

映画『デッドエンド』(1937) 写真:Album/アフロ HUMPHREY BOGART and JOEL MCCREA in DEAD END, 1937, directed by WILLIAM WYLER.

1980年代に入ると、ダブルジャケットは再び強い存在感を放つ。金融街を中心に肩幅や胸まわりを強調したボリュームのあるスーツが支持され、いわゆるパワースーツは成功や権威を印象づけるスタイルのひとつとなった。

しかし、この時代のテーラリングは力強さ一辺倒だったわけではない。Giorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)は、伝統的なジャケットの構築性を抑え、芯地や肩まわりを軽くした柔らかな仕立てを提示。1980年公開の映画『アメリカン・ジゴロ』でリチャード・ギアがまとった衣装もその美学を広く印象づけ、スーツは威厳を示すためだけの服から、より自然体で着こなせるものへと解釈の幅を広げていった。

映画『アメリカン・ジゴロ』(1980)でリチャード・ギアがGiorgio Armaniの衣装を着用。写真:Photofest/アフロ

ダブルジャケットの現在21世紀に入り、ダブルジャケットのシルエットはさらに自由に

2010年代にはクラシコ・イタリアの流れを背景に、Lardini(ラルディーニ)やTAGLIATORE(タリアトーレ)をはじめとするブランドが、芯地や肩パッドを抑えた軽やかな仕立てと、身体のラインを美しく見せるフィッティングを提案。ダブルジャケットも従来の重厚なイメージから離れ、軽快に着こなせるデザインが広がっていった。

2015-16秋冬 メンズストリートスナップ ピッティ・ウォモ
写真:IMAXtree/アフロ

2010年代後半から2020年代初頭にかけては、Balenciaga(バレンシアガ)やVetements(ヴェトモン)などが、1980年代のパワースーツを想起させるオーバーサイズのテーラリングを提案。広い肩幅や長い着丈といった誇張されたプロポーションによって、ダブルジャケットをモードの文脈から再解釈した。

Balenciaga Spring/Summer 2017 – Paris Collection – Runway, Men
写真:IMAXtree/アフロ

そして現在では、Lemaire(ルメール)やWALES BONNER(ウェールズ ボナー)、The Row(ザ ロウ)などに見られるように、ダブルジャケットの表現はさらに多様化している。ゆとりを持たせたシルエットや低めのゴージライン、構築性を抑えた柔らかな仕立てなど、かつての「威厳を示す服」というイメージだけでは括れないデザインが増えた。クラシックな意匠はそのままに、現代のワードローブへ無理なく取り入れられる一着へと選択肢を広げている。

WALES BONNER 2025年春夏コレクション 写真:Launchmetrics/spotlight/アフロ

ここからは、ダブルジャケットを現代的に着こなすためのコーディネート事例を紹介!

ダブルジャケット コーデ事例集1無地インナー&スラックスを合わせてダブルジャケットを端正にまとめる

ピークドラペルや広い打ち合わせ、規則的に並ぶボタンなど、ダブルジャケットはシングルに比べて視覚的な存在感が強い。そんな特徴を素直に活かすなら、無地のシャツやカットソーにスラックスを合わせ、全体を端正にまとめるのも有力な選択肢だ。シャツなら品のある雰囲気を保ちやすく、クルーネックのカットソーなら適度に力の抜けた印象へ。色数も抑えることでダブルジャケットのフォルムが引き立ち、すっきりと洗練された着こなしに仕上がる。

こんな着こなしには、GENTLEMAN PROJECTSの「BLUFF」がオススメ。ふんわりと返るワイドラペルとゆとりのあるシルエットが特徴で、ダブルジャケットを主役にした端正な着こなしを楽しめる。

ダブルジャケット コーデ事例集2イマっぽさを意識するなら、ゆったりシルエットでゴージライン低めの一着を!

モダンなダブルジャケットスタイルを狙うなら、まず意識したいのがシルエットとゴージライン。身体に沿わせ過ぎないゆとりのあるフィッティングに、ゴージ位置を低めに設定した一着なら、ダブル特有の威厳を残しながらも肩の力が抜けた佇まいを作りやすい。着丈にも適度な長さがあると上半身の縦方向が強調され、クラシックな意匠がモダンなプロポーションへと変化する。トレンドを取り入れるときこそ、奇抜なディテールを足すのではなく、ジャケットそのもののバランスを更新するのが得策だ。

この方向を狙うなら、Our Legacy「HALT BLAZER」は好例。ゆったりとしたオーバーサイズフィットに低めのブレークポイントを組み合わせ、クラシックなダブルブレストを現代的なバランスへ落とし込んでいる。

ダブルジャケット コーデ事例集3ダブルジャケットをカジュアルに着こなすなら、デニム合わせが有力!

ダブルジャケットが備える品格をほどよく崩したいなら、パンツをデニムに替えるのが手っ取り早い。テーラリングの端正さとデニムのラフな表情にコントラストが生まれ、ジャケットの存在感を残したまま休日らしいスタイルへ持ち込める。とりわけ相性が良いのは、過度なダメージ加工や極端なシルエットを避けたジーンズ。ライトブルーなら軽快に、濃紺なら品良くまとまり、同じダブルジャケットでも印象を大きく変えられる。足元に革靴を合わせれば品を戻せるため、カジュアルに振り過ぎたくない場合にも使いやすい。

デニムと合わせながらダブルジャケットらしい品格も残したいなら、Brooks Brothersの一着が有力。端正なネイビーのウールサージにシルバーボタンを配した一着だけに、色落ちしたジーンズを合わせてもスタイル全体の軸がブレにくい。

ダブルジャケット コーデ事例集4柄インナーを差し込んで、ダブルジャケットの着こなしに遊びを効かせる!

無地のカットソー合わせに慣れたら、次はインナーの柄で変化をつけてみるのも面白い。ボーダーやストライプ、ボタニカル柄などをVゾーンから覗かせれば、ダブルジャケットが持つクラシックなムードに適度な遊びが加わる。ポイントは、ジャケットまで柄物にしたり小物を重ねたりせず、主張する場所をインナーに絞ること。とりわけネイビーやブラック、グレーといった無地のダブルジャケットなら柄を受け止めやすく、普段とはひと味違うカジュアルスタイルを組み立てやすい。

柄インナーを主役にするなら、ジャケットはオーセンティックな一着を選ぶのが好都合。Polo Ralph Laurenのダブルブレザーのようなトラッド色の強いモデルなら、ボーダーや柄シャツを合わせた際のギャップも楽しみやすい。

ダブルジャケット コーデ事例集5秋冬はコートのインナーにダブルジャケットを仕込んで、レイヤードに奥行きを!

ロングコートが主役になりやすい秋冬は、その内側にダブルジャケットを仕込むことでレイヤードに変化をつけられる。シングルジャケットより前身頃の重なりが広く、ラペルやボタンにも存在感があるため、コートを開いたときにも中間着としてしっかり主張するのがダブルならでは。ドレスコートと合わせて端正にまとめるのはもちろん、ミリタリーコートやラフなアウターの内側に取り入れ、テイストの差を楽しむのもアリ。秋冬に着こなしが一辺倒になったとき、ジャケットをシングルからダブルへ替えるだけでも装いの見え方は大きく変わる。

コートの中に着込むことまで考えるなら、過度に構築的な一着より軽快な仕立てが使いやすい。オーセンティックな方向ならBEAMS PLUSのダブルジャケット、より柔らかな着心地を求めるならLardiniのダブルブレストニットジャケットも選択肢に入る。コートを脱いだ後にもスタイルが成立しやすく、秋冬のレイヤードに取り入れやすい。

以下は2020年以前に公開された内容となっている。

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